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2023年1月2日月曜日

ちょっと早いけど「紀平梨花」2022-23年シーズンを振り返る

あわよくば世界選手権出場。でなくても四大陸選手権という目標で臨んだであろう全日本選手権でしたが、SPのミスが響いて総合10位以内には入れず、代表入りは成りませんでした。まあ、相変わらず、あっちが痛いとか、こっちが痛いとか云ってますから、無理をせずにじっくり調整、休養していただきたいものです。

と云うわけで、もう大きな大会に出場することもないでしょうから、少し早いとは思いますが、今シーズンを振り返ってみたいと思います。


さて、こちらが、ジャンプの練習を再開して2週間で参戦したという「中部選手権」のジャンプ構成であります。

①3S+2T   ②2A+2T   ③2Lo   ④1A(転倒)  ⑤3S   ⑥1A+2T   ⑦2Lo

この後、グランプリシリーズに参戦することが決まっていたので、この予選さえ通過できれば、全日本の出場権をもらえることになっていたみたいです。3回転は、サルコウのみという構成。4番目は単独の2アクセルを跳ぼうとしてたんでしょうか。2トゥループを3回跳んでるってことは、最後のはノーカウントだったのかなぁ。

日本のエース、メダル候補と云われていた選手の構成としては寂しい限りでありますが、これが復活への出発点ということですね。


第2戦が「ジャパンオープン」でした。

①3S+2T  ②2A+2T  ③2Lo   ④3T  ⑤3S   ⑥2A+1Eu+2S  ⑦2Lo 

新たに3回転トゥループが入りましたね。単独のトゥループなんて、あまり見る機会がないので、何のジャンプだったのか、リピートして見直してしまいましたよ。1つジャンプが増えただけで構成がかたちになってきました。あと、後半の3連続ジャンプ、2回転でしたけど、跳べただけでも凄いなと思いました。

2つの大会を編集した動画がありましたので、貼り付けさせていただきましょう。


次に、グランプリシリーズ「スケートカナダ」に出場しました。フリースケーティングでは、3位に入る得点で、オーサコーチも「アメイジング」と喜んでいましたね。スケーティングにスピート感が戻り、ジャンプ以外は、いつもの梨花ちゃんの演技に戻ってきたようです。オーサコーチのところで良かったです。YouTubeにも動画が投稿されていますので、早速、視聴させていただきましょう。

① 3S+2T  ② 2A+1Eu+2S   ③ 3Lo  ④ 3T  ⑤ 3T+2T   ⑥ 2A   ⑦ 3S 

ここでは、新たに3回転ループが入ってきております。


GPシリーズの2戦目のフィンランド大会です。3フリップが入って、総合でも4位になり、表彰台まであと一歩であります。1番目のジャンプは、2トゥループを付けての連続ジャンプにしたかったのだと思いますが、3ループのところでリカバリーしてきましたね。「3Lo+2T」というのは、普通の試合では見られない組み合わせですから、練習なんてしてないと思うんですけど、いきなりやっても出来るんですね。

①  3S      ② 2A+1Eu+3S      ③ 3Lo     ④ 3Lo+2T       ⑤ 3F      ⑥ 2A+2T     ⑦ 3T

あとは、連続3回転ジャンプが戻ってくれば、OKですね。


で、万全を期しての「全日本」であります。こちらが、事前に提出してあった構成表です。3ルッツ1本と、3フリップ2本の構成で、実現すれば、全日本だけでなく、世界でも通用するプログラムになっていました。

① 3S+3T    ②3F+2T   ③  2A      ④  3F    ⑤  3Lz      ⑥  2A+3T+2T      ⑦  3Lo

で、こちらが、実際に演技した構成です。結局、ルッツは回避でした。

①  3S+3T    ②  3F     ③  2A       ④  3Lo+2T     ⑤  3Lo    ⑥  2A+2T+2Lo    ⑦  3S

「3S+3T」が着氷できて何より。これがSPで成功していれば四大陸選手権の代表が取れていたかと思うと、残念であります。予定表に入っていた「2A+3T+2T」の3連続ジャンプは、梨花ちゃんの演技では、見たことがないので、入れてくるのを楽しみに待ちたいと思います。あと、右足首の負担を考えると、ルッツは、今シーズンは無理かなぁ。3アクセルの方が、先に入るかもしれませんね。

如何でしたでしょうか、どれも「タイタニック」の演技なんですけど、試合ごとに、ジャンプの構成が違うのが、面白いですね。リピートとかしちゃいそうですけど、よく間違いなく出来るものです。

今回は、ジャンプの話ばかりになってしまいましたけど、動画を改めて見て感じたことは、梨花ちゃんのスケーティングの可愛らしさです。今の梨花ちゃんは、エキシビションでは、ジャンプは1つか2つしか跳ばないんですけど、それでも彼女の魅力は十分に伝わってきます。

羽生君がプロに転向してから、観客席はガラガラのようです。当日券とかたくさんありそうだから、久しぶりに応援に行こうかな。

2022年10月11日火曜日

フィギュアスケート「紀平梨花」 2022中部選手権大会からのジャパン・オープン

 紀平梨花選手(梨花ちゃん)が、アイスリンクに戻って来ました。足の怪我は、まだまだ完治していないようですが、年末の全日本選手権に出場すべく、中部選手権に出場したようです。欠場している間にシード権も失っていたようで、予選からの出場となりました。幕下に陥落した大相撲の力士みたいですね。

1年半ぶりの実戦だそうです。YouTubeに動画が上がっていましたので、視聴させていただきましょう。

まずは、ショート・プログラムです。今シーズンも、昨シーズンと同じ楽曲で滑るようです。

ジャンプ構成は、

①2A  ② 3S+2T  ③3T

といったところでしょうか。3つめのジャンプですけど、何てジャンプか分からなくって、繰り返し再生してしまいました。単独での3トゥループなんて見たことなかったものですから。

相変わらず、どんなに絶不調でも、2アクセルと3サルコウは跳べるようですが、フリップやルッツは厳しいようですね。右足首の怪我ということでしたけど、右足での踏み切りはOKでもトゥを突くのはダメということでしょうか。となると、左足踏み切りで、右足のトゥを使わないサルコウが、一番負担がないジャンプと云えそうです。

こちらは、フリー演技です。昨シーズンに準備していた「タイタニック」を今シーズンも使うようです。


①3S+2T   ②2A+2T   ③2Lo    ④1A(転倒)  ⑤3S   ⑥1A+2T   ⑦2Lo

ジャンプの練習を始めたのが2週間前だそうです。跳べるジャンプに限りがありますから、どうしてもリピートになってしまいますね。4番目のジャンプは、アクセルからの3連続にしたかったのかもしれません。が、転んでしまいましたので、6番目にもう一度チャレンジしたように思います。セカンドジャンプが流れてしまったので、3連続にはなりませんでしたけど、ドン底の状態でも、リカバリーを考えてくるところは、さすが梨花ちゃんです。1アクセルは、2アクセルの失敗でなくって、最初から1回転半の予定だったように思います。1アクセルの練習なんてしないでしょうから、回転が少な過ぎて、逆に跳びにくそうでしたね。

ジャンプ以外では、スピンもレベル3が多かったようです。ビールマン・スピンをしませんでしたが、これは足首の影響でしょうか、それとも腰の状態も良くないのでしょうか。

兎に角、この演技が、新しい梨花ちゃんのスタートでありました。

さて、こちらは、中部選手権の2週間後に開催された「ジャパン・オープン」の演技であります。同じ楽曲ですけど、衣装が違いますね。こちらの方が良い感じです。


演技の後で、絶対「まあまあ」って云ってます。

ジャンプ構成は次のようであります。こちらは、採点表でも確認しましたから、間違いないかと思います。

①3S+2T  ②2A+2T  ③2Lo  ④3T   ⑤3S   ⑥2A+1Eu+2S  ⑦2Lo 

2週間で、構成を変えてきましたね。6番目の3連続ジャンプで、ステップアウトしましたけどマズマズのデキではないでしょうか。2番目のセカンドジャンプで片手を上げたりと余裕のジャンプでした。3トゥループを付けられないと判断して、代わりに2回転のタノジャンプにしたのでしょう。1アクセルは2アクセルに修正してきました。

フリップもルッツも封印して、3回転も3本だけ。寂しい限りですけど、この構成で100点越えは凄いと思いますし、楽しそうに演技しているのが伝わってきて、こちらまで楽しくなってきました。梨花ちゃんのスケートをこんなに楽しく見たのは、久しぶりに思います。

できなくなったことを悲しんでいても、仕方ありませんからね。できるようになったことを1つ1つ積み上げていくしかありません。そして、それを一生に喜びたいと思います。

次の大会は、10月28日からの「スケートカナダ」だそうですけど、こちらは出場権があるようです。あと半月後。負担になっていないか心配でありますけど、次は、何をやってくれるんだろう、って云うわくわく感が、戻ってきて嬉しい限りです。

年末の全日本選手権では、是非ともSPで上位に食い込み、フリー演技を放送時間帯にできるようになってくれれば、と願っております。

2021年12月30日木曜日

フィギュアスケート「紀平梨花」全日本選手権欠場と、ロシア代表選考

紀平梨花選手(梨花ちゃん)が、北京オリンピックに出場しないなんて考えもしませんでした。ジュニア時代から怪我の多い選手でしたけど、丸々一年間ですからね。オリンピックの出場枠を取るために無理をして、自分がオリンピックに出ないんですから話になりません。まあ、愚痴は、ここまでにしておきましょう。

もし、梨花ちゃんの誕生日が2週間早かったら、平昌オリンピックに出られたかもしれないけど、あの頃のメンタルじゃあ、満足な結果は残せなかったと思うし、世界選手権で台乗りしていれば、北京オリンピックに出られただろうけど、こんな状態じゃあ、出場したとしても最終グループに残ることもできないでしょう。ギリギリまで全日本の出場を模索していたそうですけど、今までもそういうことをやってきたから、悪化させちゃったわけですし。周りの大人たち(オーサ・コーチかな?)が、よくぞ止めてくれたと思います。

で、オリンピックの派遣選手が決まりましたね。女子の3枠目は河辺選手になりましたけど、フィギュアファンは、圧倒的に三原選手推しだったようです。三原選手がツラい時期を乗り越えてきたことを、皆さんよく知っていますからね。だいたい、強化部長が「若いから選んだ」みたいなことを口走っちゃたのが問題だと思いますよ。全日本選手権の成績で上から3人を選んだって云っておけば良かった話です。

河辺選手は、梨花ちゃんとコーチが同じですから、スケーティングもどことなく似ていますね。結果を出せば、外野も静かになるでしょう。

それにしても、梨花ちゃんがツイッターで「みんなおめでとう。テレビで観戦していて感動しました」みたいな投稿をしたのにはビックリしました。本人の投稿か、疑っちゃいましたよ。どういう心境で、どういう情況で投稿したのか分かりませんけど、ファンの多くは、試合を見る気にもならなかったのにですよ。それを、

テレビで観てたんだ

落ち込んで損した気分です。さすが、ツッコミどころ満載の梨花ちゃん、推している甲斐があるというものです。

さて、ロシアの代表選びも、いろいろと炎上しているみたいですけど、「コストルナヤ」選手の怪我には驚きました。北京で最も金メダルに近いと云われていた選手です。北京オリンピックは、梨花ちゃんとコストルナヤの対決って、ずっと思っていましたから、その2人がいなくなってしまうなんて誰が予想したでしょうか。でも、コストルナヤは、あと4年間はスケートを止めない、って宣言したそうです。(その後は、医学部に進学するとか。)

ロシア選手権では、絶望的強さの「カミラ・ワリエラ」選手が、当然のように優勝。2位に「トルソワ」選手(サーシャ)が入って、この二人が代表内定のようです。残りの一人は、3位に入った「シェルバコワ」選手(アーニャ)か、ベテランの「トゥクタミシェワ」選手(リーザ)のどちらか。ヨーロッパ選手権の結果で決めるそうですが、そう云っておきながら、リーザは補欠ですから、余程のことがない限りアーニャになりそうです。プレーオフにするんだったら、二人とも出場して決着を付けるべきだと思うんですけど、ロシアのスケート界は、日本以上に陰謀が渦巻いていますからね。

アーニャは、フリー演技でクワッドを転倒したのに、得点がリーザより5点も多いモノですから、いろいろと叩かれているようです。プロトコルを確認した限りでは、リーザがアーニャの上になるとは思えませんでしたけど、エテリ帝国に対するヤッカミからの嫌がらせってところでしょうか。選手そっちのけで、いい大人が大喧嘩ですけど、日本みたいに裏でじめじめするより良いかもです。(いっそのこと、ロシアに4枠あげちゃえば)

記者会見でも、アーニャに意地悪な質問が出たそうで、「コストルナヤが記者に苦言!」なんていう記事がヤフーに出てました。コストルナヤって良い子だなって思いましたけど、同じチームですからね。援護射撃ってこともあろうかと。

アーニャも4回転なんて封印してしまえば良いのにって思いますよ。あんなに綺麗なスケートをしているのに、プレローテーションがどうとか、こんな批判ばっかりですから。北京オリンピックでも、アーニャが3位で、坂本選手が僅差で4位とかになったら、日本中のファンから叩かれまくるんだろうな。隠れシェルバコワ・ファンの僕としてはツラいところです。

北京オリンピック、推しが出場しないのは、残念だし寂しいことですけど、出たら出たで、テレビを見ながら「カミラ転べ」とか「サーシャこけろ」とか念じてしまうと思うので、かえって、純粋に競技を楽しめるかもです。(若干、負け惜しみ)

まあ、梨花ちゃんも「もっと強くなって戻って来ます」って云ってましたから、信じて待つことにしましょう。って、僕が推すと、何でみんなそうなるんだ?

お終いに昨シーズンのフリー演技を貼り付けさせていただきましょう。このプログラム、曲は良いんだけど、編集がぐちゃぐちゃでしたからね。オーケストラバージョンで合わせてみました。


梨花ちゃんは、もう今シーズンは全休でしょうから、ちょっとはスケートを離れた生活をして欲しいなあ。ディズニーランドに遊びに行くとか、彼氏をつくるとかさぁ。で、まずは、2023年の世界選手権ですよね。だいたい、世界選手権の台乗りもしてないのに、オリンピックでメダルを目指すなんて、10年・・・3年早いってことだったのでしょう。

クワッド・ジャンプが跳べなくなったって良いじゃないですか。怪我を治して、大人のスケーターになって帰ってきて欲しいです。その時は、梨花ちゃんじゃなくって、ちゃんと紀平選手って呼びますね。

2021年10月23日土曜日

フィギュアスケート「紀平梨花」~女子4回転の功なき絶望の時代~

紀平梨花選手(梨花ちゃん)ですが、今シーズンから念願のカナダ入りしたかと思えば、あっちが痛い、こっちが痛いと言って、全然試合に出てきません。左足首を痛めて一年近くルッツを封印していたのが昨シーズン、その後は腰を痛め、今度は右足首の「骨軟骨損傷」だそうです。

体が少しずつ変化していく中で、高回転ジャンプの練習ばかりしていましたからね。どこか1カ所を痛めると、その影響で別なところも痛めてしまうなんてことは、よく聞く話です。フィギュア選手は、どこかしら故障を抱えているものだそうですけど、症状が長引いているのは心配です。

夏には、デービッド・ウィルソン氏の振り付けによるフリー演技「タイタニック」の披露がありましたけど、楽曲も振り付けも、それからスケーティングもわくわくしないんで、コメントもスルーしてしまいました。今の梨花ちゃんのスケートは、見ていても全然楽しくありません。きっと梨花ちゃんだって、滑っていても楽しく無いんじゃないかと勝手に思っています。


ダイジェスト映像のようですね。腰を痛めていて、狭いアイスショーのリンクで、これだけ滑れればたいしたものです。わくわくしないと言った前言は、訂正、お詫びさせていただきます。

解説が入っていませんから、代わりに私がジャンプ構成を・・・。
①3S  ②2A+1Eu+2S  ③3S  ④3S+2T  ⑤2A+1Eu+2S
で如何でしょうか。2アクセルとサルコウしか跳んでませんね。絶不調の時の構成であります。まあ、フリーのお披露目にはなってませんけど、アイスショーとして見れば問題ないでしょう。

今になって思うと、代表枠を3つ取れていたのは、良かったです。梨花ちゃんは、NHK杯も欠場して、年末の全日本選手権での一発選考にかけることになるでしょう。結果如何によらず代表に入るでしょうけど、調子が上がらないのに代表決定なんてことになれば、アンチがすぐに騒ぎ出すに違いありません。でも、そのための3枠目ですからね。1,2枠は実力でも、3枠目は大人の事情で決まるというのが、昔からの日本式選考方法です。


イマイチなのは、梨花ちゃんだけではありません。北京オリンピックでは金メダル確実と言われていた「コストルナヤ」選手も本調子ではないし、僕が密かに応援している「シェルバコワ」選手(アーニャ)も怪我の後遺症に苦しんでいるようです。「トルソワ」選手(サーシャ)も怪我をしているとのことです。アメリカも韓国の選手も、みんな全然輝いてません。結局、頑張れてるのは、ベテランの「トゥクタミシェワ」選手(リーザ)と新人の「ワリエラ」選手だけの印象です。ロシアのオリンピック代表枠も日本と同じ3人。これをリーザとワリエラが獲得すると、今まで表彰台を独占してきた「コストルナヤ」「アーニャ」「サーシャ」の中で、オリンピックに出場できるのは、一人だけであります。僕が新横浜で、3人娘を見た時は、本当に輝いていましたからね。こんなことになるなんて予想もしてませんでした。

先月、世界選手権で4Sを女子で初めて成功させた、カザフスタンの「トゥルシンバエワ」選手が引退してしまいました。無理もありません。減量をしながら4回転の練習ばかりしていたら、体に良くないのは素人にも分かります。こんなことをしていれば、誰だって、いずれ怪我をしてしまいます。

怪我をする前、つまりシニアに上がったばかりの年に、運良くオリンピックを迎えられた選手が活躍するという、生年月日でメダルが確定するような情況は、スポーツとして正しいはずがありません。

腰を痛めてから、4回転ジャンプについて消極的な発言が目立つ梨花ちゃんですけど、今回の怪我で、4Sや4Tへの挑戦は完全に無くなったと思います。北京オリンピックまでに、2018年のグランプリファイナルのレベルに戻せれば御の字じゃないでしょうか。グランプリシリーズを欠場したのは、「ブライアン・オーサー」新コーチの指示とも伝えられています。良い結果を期待するばかりです。

恐らく、アーニャは、もう4回転ジャンプを跳ぶことはないと思います。4Lzなどは、ずっとプレローテーションとかで叩かれていて、今までは、ぎりセーフという扱いでしたけど、ジャンプの質が下がってくると、もう見逃してはくれないと思います。昨シーズンの世界選手権は、3Aも4回転も無しでチャンピオンになっていますからね。疑惑の4回転に固執するよりも、演技の質を高めた方が彼女は輝けるし、僕も嬉しいです。

サーシャは跳び続けると思います。彼女にとって4回転はスケートそのものですから。でも、成功の確率は確実に下がっています。強豪揃いの中で3枠しかないロシアの代表権を獲得できるか微妙です。

結局、北京オリンピックで4回転を跳ぶ選手って、ワリエラだけなんですよ。ワリエラのニックネームは「絶望」。相手に勝ち目のない演技を見せつけて絶望に追い込むのが彼女の凄さ。北京オリンピックは絶望の時代になるのは確実とされています。でも、そのワリエラだって、次のオリンピックは分からないわけです。

フィギュアスケート女子に、4回転時代なんて来てたんでしょうか。

2021年4月25日日曜日

紀平梨花「世界国別対抗戦2021」&「スターズ・オン・アイス2021」~リピートした3サルコウ~

悪夢のような(?)「世界国別対抗戦」が終わりました。この大会、世界選手権の後の消化試合みたいなものなんだけど、それだと営業的に困るから、トップ選手の出場を義務づけているんですよね。シェルバコワ選手とかトゥクタミシュワ選手は、日本に来れて嬉しいみたいなコメントを出していたけれど、ネイサン・チェン選手はどうだったんだろう。とはいえ、羽生選手との異次元対決は見応えあって素晴らしかったです。どんな情況でもベストを尽くすのが一流選手なんですね。さすがです。

今大会の最大の収穫は、坂本選手の活躍でしょうか。開催国へのご祝儀GOEって感じもしましたけど、国際大会での実績は、北京オリンピックに向けての大きなアドバンテージになったのは間違いありません。

で、梨花ちゃんですけど、大会直前に腰を痛めて棄権も考えるほどの状態だったそうです。世界選手権の時から、何となく変でしたよね。スイスでどんな練習をしていたのか分かりませんけど、絞り切れていないというか、ちゃんと調整できていないというか、違和感がありましたから。まあ、コロナ禍でのシーズンで難しかったでしょうから、何とも云えませんけど・・・。

僕も、昨年の秋に腰をやっちゃいましたから、辛さはよく分かります。2,3日は全然動けなくって、完全に治るのに1ヶ月かかりましたよ。ですから、大会に出場しただけでも尊敬いたします。

フリー演技です。昨シーズンのプログラムに戻しての演技でしたね。リンクになります。

イナバウアーを回避したり、最後のレイバックスピンがビールマンスピンに移行できなかったりと、かなり痛々しいんですけど、よくこれだけまとめたなぁと、或る意味、感動的な演技であります。ジャンプ構成は次の通りです。

①3S ②2A+3T ③3Lz ④2A+3T ⑤3F+2T(転倒) ⑥3S(リピート) ⑦3Lo

もう、構成がぐちゃぐちゃなんで、分からないところもあるんですけど、5番目のジャンプは転倒しなければ、2Loを付けて3連続ジャンプにしたかったんでしょうね。謎なのは、6番目の3サルコウです。ここは3フリップを跳ばなくてはいけないところです。(3アクセルでも良いけど・・・)間違えたってことも考えられますけど、恐らくフリップが跳べなかったんだと思います。で、減点を承知の上でサルコウをリピートしたんじゃないかって考えてたら、泣きそうになりました。そこまで追い詰められていたのかと・・・。2アクセルと3サルコウなら、どんな情況でも自信を持って跳べるんでしょうね。

試合後のインタビューで「今はなんか、楽しみもないような状態。立っているだけで痛いっていうか。楽しくないし嬉しくないし、希望もない」って答えたそうです。

「楽しくないし嬉しくないし、希望も無い」

これ名言ですよね。記憶に留めておきましょう。

「何も思いつかない。体がちゃんと動けてトレーニングができるなら、こういう物が食べたいなとか思うけど。でも食べたら動きたくなるし…。動けないならもっとショックになるから。結局食べ物で発散するのは無理。どこかに行くていってもコロナで無理だし、何がしたいか自分でもわからない」

うーん。ネガティブになるのは、致し方ないとしても、トップアスリートとは思えない発言。正に梨花ちゃん節炸裂です。さらに・・・、

「朝の練習で何も跳ばないようにして、本番だけ一発集中だと思ってやりました」「朝は何も跳んでないので結構体も軽かった。かえって調子が良くなった。思っていたよりも、試合直前にしっかり体の疲れを取ることがすごく大事なんだと今回の大会で学べた。学びの多かった大会でした」って、

新人か?!

もう「ランビエール」コーチ、頼むから何とかしてって感じです。

まあ、エキシビションを棄権したくらいですから、本当にツラかったのだとは思いますけど、演技と発言のギャップについていけません。

そんな梨花ちゃんでしたけど、先日の「スターズ・オン・アイス」には主演したようです。

「何とかギリギリな感じで、ケアして。今はなんとか立てるくらいのレベルで滑れる。動かして痛くなるけど、すごくひどくなることが少なくなった。間に合って良かったです。(アイスショーに)出たかったので。無理なく楽しんで滑りました」

という梨花ちゃんのエキシビション動画です。YouTubeに2本あるうちの、初日の演技かと思います。

新プログラムだったんですね。しっとりとした良いプログラムに思います。ですけど、本当に無理なくっていうか、恐る恐る滑っていますよね。ジャンプは次の通りです。

①2A ②3S ③3S

で、もう1つ動画が投稿されていました。

こちらは、2日目でしょうか。同じ演目ですけど、ジャンプ構成が変わっています。

①3S ②2A+1Eu+3S ③3S

2アクセルからの3連続ジャンプだって!!

エキシビションやアイスショーというのは、これを跳ばなくてはならない、ということがありませんから、こういうところから選手の肉体的、精神的情況が推察できるんですよね。アイスショーで3連続ジャンプを跳ぶってことは、希望も無い状態から、だいぶ前向きな気持ちになれているんじゃないかと思います。

「スターズ・オン・アイス」は、八戸に会場を移して、30日まで開催されるそうです。僕的には、無理をしないで休んだ方が良いんじゃないかって思ったんですけど、今シーズンを気持ち良く終えるためにも、出演したかったんでしょうね。

もしかしたら「希望も無い」というのは、スケートにではなくって、(体を動かせないので)好きな物が食べられないってこと?

まあ、来シーズンもツッコミ満載な言動・・・演技を期待です。

#紀平梨花

#フィギュアスケート

2021年3月29日月曜日

「紀平梨花」フィギュアスケート世界選手権2021 エキシビジョン

世界選手権のエキシビションの映像が投稿されました。感染予防からすれば、エキシビションなんてやらないで、早く帰ってくれば良いのにって思うんですけど、まあ、スイスに行ったところで、コロナ禍であることには変わりないですかね。

梨花ちゃんは、7位だったけど出場したらしいです。エキシビションに出場するのは、メダリストと開催国の選手、あとは主催者の招待(推薦)枠となっています。日本人の男女シングルは、二人ずつ出演したようです。

楽曲は Louise Hoffstenの「Bepop and Lulu」とありました。新プログラムのようですね。衣装は、今年一月の名古屋と同じみたいです。

はめ込み不可のようですけど、「YouTubeで見る」のリンクから見れるみたいです。

こちらは、ロシア語解説ヴァージョン。演技中は音声がないので、関係ないですかね。

ジャンプは、①3S ②2A ③2A でしたね。やっぱり、ちょっと元気ないみたいです。

カメラワークが話題になってましたけど、カメラマンもスケート靴を履いて、いっしょに滑りながら、撮影していたみたいです。アップで撮っているだろうから、距離は保てているとは思いますけど、ぶつかったりしないのかなぁ。

来月は、大阪で国別選手権です。感染拡大中ですから、開催されるかどうか分かりませんけど、シェルバコワ選手は来るとか出てましたね。「日本に行くの楽しみ」みたいなことを言っているそうです。アーニャは、コロナに感染済みですから、お気楽のようですね。

それから、梨花ちゃんが、フリーの曲を変えるかもみたいなことを、いきなりインタビューで云っちゃったそうです。好きな曲なんだけど、緩急があったほうが良いとか・・・って

選ぶときに気づけよ!

もう、言わんこっちゃ無いって感じですよ。周りの大人たちも、ちゃんと言って欲しいです。

でも、清塚信也氏は、喜んでいたので残念です。僕的には、楽曲はそのままでも、演技用にアレンジすれば良いと思っているんですけどね。悪いイメージが付いちゃったから、一新したいのかなぁ。良い曲だと思うんだけど。

ツッコんだら元気出てきました。明日も、お仕事頑張ります。

#紀平梨花

#フィギュアスケート

2021年3月28日日曜日

「紀平梨花」フィギュアスケート世界選手権2021

 2021年の世界選手権は、残念な結果に終わってしまった。ただ、梨花ちゃんを応援してきた奴は、予想外とは思っていないだろう。最悪のケースであるが、ジュニア時代から何度も見てきた光景。これも想定の範囲内だからだ。

試合後のインタビューで、試合時間のこととか、いろいろと云っていた。敗因として、正しいこともあるだろうし、思い込みに過ぎないこともあろう。言い訳などみっともないとか、自己分析ができていて凄いとか、いろいろとコメントされているけど、梨花ちゃんは、言葉にして吐き出すことで、メンタルの崩壊から自分を守っているところがあるので、これも何度も見てきた光景だ。こういう時の梨花ちゃんは、アスリートとは程遠い、気の強い18才の女の子だ。

ネットニュースには、ジャッジのことが出ていた。確かに、GOEや回転不足の判定に(?)なところはあるけど、それが敗因とは云えないだろう。

演技構成点で比べれば、アンナ・シェルバコワ選手(アーニャ)が1番、エリザベータ・トゥクタミシェワ選手(リーザ)と梨花ちゃんが僅差で2番と3番、ジャンプに特化したアレクサンドラ・トルソワ選手(サーシャ)の演技構成点は、坂本選手よりも下だから、云われているほど滅茶苦茶な採点とは云えない。まあ、あのフリーで演技構成点を70点(80点満点)とれたということは、国際審判から一定の評価を得ている証だから、それが収穫といえばそうだろう。

でも、坂本選手のルッツは、完全に先入観を持たれているように思う。これからルッツを修正できたとしても、国際審判たちに坂本のルッツは正確であると印象付けなくてはならないわけで、北京オリンピックまでには時間が足りない。今回、オリンピック出場枠を3つ獲得できたのは、坂本選手の頑張りあってのことだし、オリンピックだって何が起きるか分からない。メダル獲得の可能性もゼロでは無い。ルッツを捨てるのも、選択肢の1つに思う。

梨花ちゃんが、最初に提出した構成である。

①4S ②3A ③3F+1Eu+3S ④3Lo ⑤2A+3T ⑥3F+3T ⑦3Lz

当日になって、調子が思わしくないと判断した梨花ちゃんは、3Aを2本の構成に変更したらしい。でも、SPの時から回転不足を取られていたくらいだから、調子は最初っから悪かったのだろう。

で、梨花ちゃんがやりたかったのは、こんな感じの構成だと思う。

①3A+2T ②3A ③3F+1Eu+3S ④3Lo ⑤2A+3T ⑥3F+2T ⑦3Lz

でも、何で3アクセルから入ったんだろう。自在に構成を変えられるのが、梨花ちゃんの強みなんだけど、この曲でアクセルから入る練習なんてしていたのかなぁ。構成を落とすんだったら、冒頭の4サルコウを3回転にすれば良いだけのこと。(あと3回転を1つ2回転に)構成を落としたって言いながら、かえって難しくしちゃったように思えてならない。って云うか、何故、変えたんだろう。一番たくさん練習してきた構成が、一番成功する確率が高いはずじゃないのか。

試合後のインタビューで、梨花ちゃんは、4サルコウを2本入れるような練習をして、落としても1本できるようにしたい、みたいなことを云っていた・・??・・・梨花ちゃん節は健在のようだ。少し安心した。

ずっと気になっているのは、フリーの楽曲である。ピアニスト清塚信也氏による「Baby, God Bless You」なんだけど、ピアノソロアレンジなのでテンポが揺れているよう聞こえる。彼女ならばどんなリズムにも合わせることができるかもしれないけれど、それが評価されているようには思えない。やはり、リズムに乗り切れていないように感じてしまうし、構成もツギハギっぽいし、冒頭のジャンプへの入りも合っていない。ここは、是非ともピアノ+オーケストラで再アレンジして欲しい。

調整不足というならば、みんな転倒していたし、今大会で調子の良かった選手なんていなかったように思う。コロナ禍での強行開催で、みんな、調整を失敗していたんだろう。ネイサン・チェン選手の転倒なんて2年半ぶりだって云うし。結局、実力を発揮できたのは、出場できるだけで嬉しいって云っていた、ノープレッシャーの鍵山君だけだったように思う。

そんな中でもロシアの選手は強かった。

アーニャは、終盤の2つの連続ジャンプ(3F+1Eu+3S)と(3Lz+3Lo)が凄かった。ラストジャンプで3ルッツ+3ループなんて凄すぎる。女子も4回転時代到来なんて云いながら、4回転も3回転半も跳ばなかった彼女が優勝というのも面白い。

リーザの演技は、絶賛するしかないだろう。24才でロシアの代表に復帰しただけでなく、ばっちり結果を出してきたのだから。彼女の3アクセル2本の構成は、梨花ちゃんがやろうとしたことと同じ。違うところは、リーザは最初からこれをやろうとしていたところだ。

サーシャのクワド4種類5本の鬼構成は脱帽である。2回転倒しても150点台のフリー1位だ。4Lz+3Tなんて、あのネイサン・チェン選手だって跳んでいない。

いよいよオリンピックシーズンだ。僕の願いは、梨花ちゃんとアーニャが、共にノーミスで並んで台乗りすること。それは今も変わらない。

ネット記事に、勝つための距離感がハッキリした、って書いてあったけど、正にその通りに思う。ロシアは、コロナ禍で選手や関係者に感染者が出ても、構わずに国内大会を実施してきた。そんなことができる国なんて世界中に無い。もちろん、台乗りした選手は、みんな凄いと思う。本気で命を懸けていたのだろう。でも、だけど、あの程度。決して手の届かないところに居るわけでは無いのだ。

2021年1月10日日曜日

「紀平梨花」選手が4回転トゥループに挑戦!だって?

 年末に開催された全日本選手権。エキシビションは、昨年の四大陸選手権と同じ「2002 by Anne-Marie」だった。ラストで3連続の2アクセルを披露して喝采を浴びたようだが、動画を見ると、昨年の四大陸より抑え気味の演技に思えた。自由に滑れるエキシビションというのは、選手の調子のバロメーターだから、体調は絶好調ではなかったようだ。やっぱりルッツを回避したのが気になる。

名古屋フィギュアスケートフェスティバルに出演した後は、スイスに戻るとあった。

その名古屋のアイスショーでは、全日本を欠場した「本田真凜」さんが出ていた。動画を見る限り元気そうで何よりである。楽しそうに滑っているのを見ていたら、このままプロに転向した方が良いんじゃないかって思った。知名度は抜群で、可愛いし、表現力はあるし、アイスショーだったら回転不足がどうとか煩いこと言われることも無いし・・・。

で、先日、紀平梨花選手(梨花ちゃん)のインタビュー記事が出ていた。それによると、梨花ちゃんは、「北京オリンピックの金メダルへの決意として、4回転トゥループに挑戦」するのだそうだ。全日本選手権で、会心の4サルコウを跳んだことを受けての発言らしい。インタビューと云うのは、いろんなことを聞いていて、その中で記事になりそうなモノをピックアップしているのだろうから、これも、いろいろ話したことの1つなんだと思う。

梨花ちゃんは、インタビューで「トーループは3回転を(ステファン・ランビエル氏のもとで)一から教わり、型にはまったものができてきた。きれいな3回転ができれば4回転もできる」と答えたらしい。やっぱり、北京に向けて4トゥループに挑戦するなんて云ってないじゃないか。云っていることは「4トゥループの練習もしようかなぁ」ってことであって、練習するだけだったら皆している。それを試合に取り入れるかどうかは、全然別の問題だ。

梨花ちゃんの国際試合での戦い方は、SPで3アクセルを成功させての先行逃げ切りしかない。そのためには、兎に角、3アクセルを安定させることに尽きる。2年前みたいに、SPでミスってもフリーで逆転なんてことは、ロシアの女の子たちがクワドを跳びはじめて完全になくなった。だから、羽生選手みたいに「3アクセルだったら考え事をしながらでも跳べる」くらいの境地まで高めることが大切なんだと思う。

でも、トゥループを見直したってのは、本当なんだろう。昨シーズン、梨花ちゃんは、4サルコウに挑戦する前段階として、3サルコウのフォームを変更した。それまでは、両足をハの字にして、安定重視の跳び方だったのを、右足を前に出して回転重視の跳び方に変えたのである。フォームの変更は、あっという間だった。僕は、ジャンプのフォームというのは、体に染みついているモノで、そう簡単には、変えられないと思っていたのでビックリした。まあ、それだけ、梨花ちゃんの身体能力が高いということなんだろう。トゥループは単独で跳ぶことは無いジャンプだけど、どんなフォームなのか、次の試合での楽しみが1つ増えた。

4トゥループは、踏み切りの時に体を180度ねじっているので、空中では、体を3回転半(足は4回転だけど)すれば良い。だから、6種類のジャンプの中では最も難易度が低いとされている。とはいえ、クワド(4回転)ジャンプというのは、技術的にも身体的にもリスクが大きいから、試合に取り入れるのは、そんなに簡単ではないと思う。

勝負となるフリー演技は、4サルコウ1本と3アクセル2本、あるいは、4サルコウ2本と3アクセル1本の構成になるだろう。それでダメなら致し方ない。メディアや世間は期待しているだろうけど、3アクセルと基礎点で1.5点しか違わない4トゥループを、構成に入れる可能性は小さいと思う。

昨シーズンの梨花ちゃんは、クワドを跳ぼうとしなかった。消極的な態度に思えたけど、負けず嫌いであるが故の選択とも云えよう。彼女にとってベストを尽くすとは、一か八かの勝負に挑むことではなく、ノーミスで演技をすることと考える。それが、僕のイメージしている梨花ちゃんだ。

ロシア選手権では、アンナ・シェルバコワ選手(アーニャ)が、4ルッツと4フリップという高難度のジャンプを成功させて優勝した。アーニャと梨花ちゃんとの対決を煽る報道もあるみたいだ。

アーニャについては、コロナに感染したことを伏せたり、選手権で発熱があるのに出場したことが問題になっている。アンチは、盛んにプレ・ローテーションのことを指摘しているし、良い話が伝わってこない。アーニャに課せられ使命は、祖国ロシアのために北京オリンピックで金メダルを獲ること。僕には、彼女が、大人たちに使い捨てにされるような気がしてならない。

次の大会は、3月に開催される世界選手権だけど、5月頃に延期される可能性も大きいようだ。北京オリンピックの出場枠を決める大会なので、代替地になっても、無観客でも、延期してでもやるんだろう。ロシアの女の子たちとの直接対決は、楽しみでしょうがない。それまでは、冬眠の期間になりそうだ。

2020年12月30日水曜日

「紀平梨花」4回転サルコウと裏ステップシークエンス ~2020全日本選手権女子フリー~

紀平梨花選手を応援し始めて、決めたことが1つあった。

ジュニア時代の梨花ちゃんは、成績が安定しない選手だった。3アクセルを決めてぶっちぎりで優勝したかと思えば、1本のジャンプのミスからグダグダになり、国内大会の予選すら通らない時もあった。シニアに進んでからは、少しずつ安定感が出てきたが、ショートプログラムでコケて、フリーで逆転なんていう試合が続いた。

3アクセルからの三連続ジャンプなんて史上初の技を成功させた試合で、規定違反によってジャンプ1本をノーカウントにしちゃったり、3アクセル成功の後、問題なく跳べるはずの3ルッツの回転が抜けてしまったりと、ツッコミどころ満載な演技も多かった。試合外でも、ブレードの位置をイジり過ぎて調整できなくしちゃったこともあった。

それらは、誰からも尊敬される日本のエースと呼ぶには、まだまだなことを表していると思えた。だから僕は、彼女を敢えて「梨花ちゃん」と呼ぶことにした。心技体名実ともに日本のエースになった時に、改めて「紀平梨花選手」と呼ぼうと決めたのだ。

そして、ついに、その日が来た。全日本選手権連覇、さらに日本女子として17年ぶりの4回転ジャンプ成功だ。

フリー演技でのジャンプ構成は、次の通りである。

  ①4S ②3A ③3F+1Eu+3S ④3Lo ⑤2A+3T ⑥3F+3T ⑦2A

冒頭の4サルコウは凄かった。あんなに安定感のあるジャンプをしてくるとは思わなかった。あれだったら、後ろに2トゥループを付けることもできるだろう。4サルコウを2本組み込んだプログラムも不可能では無いと云うことだ。

3アクセルは、まさかの回転不足になってしまったが、その後の3連続ジャンプが良かった。これも、実戦では初披露だ。練習動画で見てから、ずっと楽しみにしていたジャンプだ。これ、下手なジャンパーだと、真ん中のオイラーがヨタヨタになって、如何にも繋いでいるだけってなっちゃうんだけど、梨花ちゃんのは、流れのある連続ジャンプだったと思う。もっとGOEが付いても良いだろう。

気がかりなのは、3ルッツを回避して、2アクセルと差し替えたことだ。昨シーズンに足を痛めた梨花ちゃんは、ずっとルッツを封印してきた。今回は、ショートプログラムで3ルッツを問題なく跳んでいたので安心していたのだが、まだ、足首は悪いようだ。もう2年くらい痛いと云っているので、痛め癖になっていないか心配である。

①4S ②3A+2T ③3F+1Eu+3S ④3A ⑤3Lo ⑥3F+3T ⑦3Lz

多分、これが完成形のジャンプ構成じゃないかと思う。4サルコウ1本と3アクセル2本の演技だ。同じ日に開催されていたロシア選手権では、アンナ・シェルバコワ選手(アーニャ)が、4ルッツと4フリップを跳んで優勝したようだ。基礎点はあっちの方が上かも知れないが、十分に対抗できる構成だと思う。

アーニャと梨花ちゃんでは、合計得点で30点以上の差がついている。だからロシア選手には敵わない、みたいなコメントを見かけるが、これは正しい認識では無い。ロシアの国内大会は難しい技を決めるとボーナスポイントが付加されるというインフレルールがあるし、ジャッジは自分が贔屓する選手の演技構成点を爆盛りしてくる。この辺のことはロシアのファンはちゃんと認識していて、30点以上得点の低い梨花ちゃんを見下げるようなコメントは出てこない。

僕は、昨年、新横浜のリンクでアーニャを見て以来、彼女のファンにもなった。現在、ロシアでは有力選手の足の引っ張り合いが行われていて、代表選手になるだけで、もの凄いエネルギーを使うだろうけど、アーニャには是非とも代表権を勝ち取って欲しい。そして、北京オリンピックで、互いにノーミスで台乗りしてくれたら、こんな嬉しいことはない。

そんなことを考えながら、ネットニュースを見ていたら、とんでもないことが書かれていた。なんと、梨花ちゃんは演技の途中で左右を間違えていたと云うのだ。スッテプシークエンスでは、ジャッジに裏側を見せてしまったらしい。

はぁ?

どう云うことだ。梨花ちゃんの解説で演技をふりかえってみよう。

どうやら、3ループの後のキャメルスピンの時に、出る方向を間違えたらしい。スケートリンクは楕円形だからどっちが前でも良いんだけど、普通はジャッジが座っている方を向いて演技する。テレビカメラもそっち側にあるし・・・。で、気付いてからは、どうやって戻そうかと、そればっかり考えていたそうだ。

云われてみれば、「コレオシークエンス」はグラついていたし、5番目のジャンプ2A+3Tの次の「ステップシークエンス」もリズムに乗り切れていなかったように思う。ただ、この楽曲のピアノソロのアレンジって、リズムに乗りにくいんじゃないかってずっと思ってたんで、イマイチなのは楽曲のせいだと思っていた。で、6番目のジャンプの前で、ようやく戻れたらしい。

それから、演技が終わった後、いつも以上にニコニコしていて、コーチとも笑い合っていたのも気になっていた。4回転が成功したのが、よっぽど嬉しかったのかなんて思っていたんだけど、逆向きに演技しちゃったことを「も~、やだぁ」って感じで、笑っていたのが真相らしい。

しかし、こんなことってあるのだろうか。聞いたことが無い。っていうか、あっても普通は黙っているものだろう。テレビのインタビューとかで喋ったりしない。素晴らしいリカバリーですね、なんてフォローされてたけど、リカバリー力って、こんなことに使うべきものじゃないだろう。

2位になった坂本選手が、サバサバした性格で、ツッコミを入れてくれたのが救いだった。関西の子たちは、ボケ(天然だけど)に対してツッコミを入れるというのが、当たり前のようにできるようだ。これがロシアだったら、1位と2位の選手が同じ番組に和やかに出るなんて有り得ないし、コーチは演技構成点を巡って大騒ぎしているだろう。

それにしても、全日本チャンピオンの演技が、裏返しだったなんて・・・。これは羽生選手の0点スピンを上回るインパクトだ。梨花ちゃんは、やっぱり梨花ちゃんだった。つっこみどころ満載の梨花ちゃんは健在だったのだ。

紀平選手と呼べる日は、もう少し先のようである。

2020年12月27日日曜日

「羽生結弦」フィギュアスケート全日本選手権2020 ~圧巻のSPで無価値とされたCSSp~

 あれは、斬新なツイズルなのか、それとも、シットスピンの出来損ないか。絶対王者で稀代のスピナー「羽生弓弦」選手のスピンが0点、つまり「無価値」とされたのだから、炎上するのも当然であろう。

まずは、用語のおさらいから。

フィギュアスケートは、氷上で反時計回りにクルクル回転する競技である。空中で回転すればジャンプ。止まって回ればスピン。移動しながら回転するとツイズルとなる。

 問題になっている場面は、3アクセルを跳んだ後で、足替えのシットスピンに入る前、動画での3分5秒あたりのところである。このクルクルってやったのが、ツイズルなのか、スピンなのかが問題にされているわけだ。


その場でしゃがんでクルクル回るとは、なんと斬新なツイズルなんだろう・・・って、

これ、スピンだろっ?!

羽生選手は、この後、完璧なCSSp(チェンジフットシットスピン)を披露するのだが、同じスピンの2回目はノーカウントだし、1回目のツイズルみたいなスピンも認定されないから、結果0点となった次第である。

この大会では、羽生選手は、ぶっちぎりの首位だから、ここで6、7点無くなったとしても影響なんて全然無いのだけれど、完璧な演技にケチを付けられるのはファンとして耐え難いことのようだ。

ジャッジにイチャモンを付けるのは、スポーツ観戦の楽しみ方の1つではあるけど、連盟に直接抗議するなんて他のスポーツには無いことに思う。運営側も、(後ろめたいことが無いのならば)もっと毅然とした態度を取れば良いんだけど、ファンあってのフィギュアスケートってことなんだろう。

ちなみに、これはフリー演技のプロトコルである。ファンは、すでに2番ジャッジを特定しているはずだ。

それにしても、何で、あんな紛らわしい演技をしたんだろう。スピン1つだって、世界大会だと致命的なミスになりかねない。案外、スピンに入るタイミングをちょっと間違えただけなんてのが真相だったりして・・・まあ、国内大会でご祝儀採点をして、国際大会でコケるよりも、ずっと良いことに思う。

演技はホントに素晴らしかったと思う。翌日のフリーも圧巻だったけど、僕的には、このSPの方が断然インパクトがあった。出来映え点を稼ぐために、タケノコジャンプを連発する姑息な選手も多い中で、彼の凄さは採点基準を超越したところにあることを再認識した。

コロナ禍で、国際大会が次々と中止になり、コーチ不在の中で、10ヶ月ぶりの大会にバッチリ合わせてくるなんて凄すぎる。嫌いになりそうなくらい格好良かった。「僕の演技で世界を元気づける」なんて何様な発言も、彼なら許されよう。

羽生結弦選手は最高のフィギュアスケーターなのだ。

2020年10月31日土曜日

「紀平梨花」選手2020新プログラムの前評判がやたら高い話

紀平梨花選手の2020新プログラムの前評判がやたら良い。公開が遅れている分、期待が高まっているからだろう。

紀平選手が出場を予定していた、グランプリシリーズ・フランス大会が中止になってしまった。最近のヨーロッパでの感染状況を考えれば致し方ない事とは云え、テレビでのライブ中継も予定されていたから残念極まりないことである。スイスの国内大会に出場するのではという話もあったが、御本人直々に、エントリーしていないとの告知があった。結局、こちらも中止になってしまったけど・・・。全日本選手権までの間、どのように調整されるのか心配なところである。

コロナ禍により、今シーズンは国際大会が全然開催できていない。12月の全日本選手権が、梨花ちゃんの初戦になる可能性もある。新しいプログラムを念入りに準備しているのは、今年のプログラムを北京オリンピックまで使うことを視野に入れてのことかもしれない。

さて、GPSフランス大会の中止が発表されたのを受けて、SNSに新プログラムの一部が公開された。

まずは、ショートプログラム。最後のステップシークェンスの部分のようだ。片手側転を取り入れた振り付けが話題になった。ピアノ曲かと思っていたのだが、どうやらオーケストラ・バージョンを採用するらしい。

 楽曲は、ジェニファー・トーマス氏作曲の「The Fire Within」で、振付を担当したのが、ブノワ・リショー氏とのことである。ジェニファー・トーマス氏は、一昨年のフリー「A Beautiful Storm」の作曲者でもあるから、雰囲気が似ているのはそのためのようだ。


こちらは、フリー演技。今、話題のピアニスト清塚信也氏による「Baby, God Bless You」である。SNSには、清塚さん自身から、歓迎のコメントも投稿されていた。振り付けは、新コーチでもある「ステファン・ランビエール」氏とのことだ。


今シーズンのプログラムの特徴は、ずっと振付を担当していた「トム・ディクソン」氏が外れたことである。ステップ・シークェンスを見ただけだけど、ランビエール氏の振り付けは、もの凄く普通に思えた。これは良い意味で期待できる。梨花ちゃんのステーティングに、奇をてらったような演出は不要だからだ。

この動画は、清塚さんが気持ち良くピアノを弾いていて、それに梨花ちゃんが合わせているって感じがする。どんなリズムにだってハメてしまうのが彼女の運動能力の高さなんだけど、フィギュアの試合では、あまり評価されてないように思う。簡単な曲でも、完璧に合わせさえすれば加点されるのに、難しい曲を使って頑張っても、チョットのミスで減点される。それが最近のジャッジの傾向だ。

だから、理想を云えば、梨花ちゃんが気持ち良く滑って、それにピアノ伴奏を付けるというのがベスト。フリー演技は4分間だから、楽曲も当然4分に編集するわけで、是非とも、清塚さんご自身に演技用バージョンの編曲・演奏をお願いしたいものである。

Baby, God Bless You のオーケストラ・バージョンを貼り付けさせていただいて、お終いにしようと思う。オーケストラ・バージョンも諦め難い。この楽曲を、清塚信也氏に4分間に編曲してもらって、ご自身にピアノを演奏していただくか、指揮をしていただければ、最高のフリー楽曲になると思うんだが。

2020年10月16日金曜日

紀平梨花 今季FS「Baby, God Bless You」には期待しかない

 先日、ネットニュースにフィギュアスケーター本田真凜選手の記事が掲載されていた。東京選手権のフリー演技で、違う曲のCDを提出しちゃったそうだ。差し替えも間に合わず、そのまま演技することになったものの、どうにかまとめて結果は7位。東日本大会には進めるらしい。まあ、東京選手権のような地方大会の出来事がニュースになるのも、その演技がYouTubeにアップされているのも、本田姉妹ならではである。

ファンは即興力を褒め称え、アンチは失態を蔑むのは、予想どおり。ちょっと安心したのは、キスアンドクライでの彼女の表情が明るかったことだ。まあ、それはそれで、スケートに真剣に取り組んでいないとか云われちゃうんだけど。

即興的演技構成で審判団がパニックになったみたいで、得点が出るまでの時間が異様に長かったけど、演技構成点が53.33(80点満点)もついたのは面白かった。フィギュアスケートってのは、音楽に合わせて、演技構成(ジャンプ7本とスピン3つ)をこなせば、それっぽくなるってことなんだろう。

いつもの年だったら、今シーズンの演技のお披露目も終わり、国際大会も始まっているはずだけど、コロナ禍で全く先の読めない情況にある。フィギュアスケート界というのは、練習拠点とか、コーチとか、国境や国籍の壁があまりないのが良いところだったんだけど、今はそれが、裏目に出ちゃっている感がある。

梨花ちゃんも、オーサー氏に師事する話とか、プルシェンコ氏のチームに入る話とか、いろいろ出ていたんだけど、ステファン・ランビエール氏の夏季合宿に参加して、そのまま、コーチングを受けることに決まったらしい。濱田コーチも引き続き登録されているってことは、日本に滞在中の間は、濱田コーチのリンクで練習するってことだろう。

それにしても、ヨーロッパ人には、ソーシャルディスタンスという概念がないらしい。

グランプリシリーズは、フランス大会に参戦する予定だそうだ。開催地は、ウィンタースポーツの聖地グルノーブルだから、凄い楽しみなんだけど、ヨーロッパでは、新型コロナウィルスの感染が再び広がっているようだから、開催中止になる可能性も高い。全日本選手権のことを考えれば、早めの帰国もありえるし、そうして欲しいと思ってる。

で、先日、音楽に動きを合わせるとそれっぽくなるという動画を見つけた。今シーズンの紀平梨花選手のフリー演技の音楽に、昨年の国別対抗のSPの演技映像を合わせた動画である。

楽曲は、話題のピアニスト「清塚信也」氏が作曲した、ドラマ「コウノドリ」より“Baby, God Bless You”だ。本当の振り付けは、新コーチ「ステファン・ランビエール」によるものだが、全然公開されていないので、2019年の国別対抗SPの動画を合わせて作ったらしい。

ショート・プログラムの本当の楽曲はドビュッシーの「月の光」。この時、梨花ちゃんは、当時の世界最高得点を叩き出した。昨シーズンは、ショートもフリーもへんてこりんな楽曲だったから、次は、クラシックか映画音楽みたいな王道のプログラムが良いなと思っていた。ずっと、こんな梨花ちゃんが見たいと思っていたから、合成映像とは云え嬉しい限りである。

そう云えば、ドビュッシーの「月の光」はピアノ曲だけど、梨花ちゃんはオーケストラバージョンを使っていた。ってことは、「Baby, God Bless You」もオーケストラバージョンを使うってことか。

コロナ禍が収って、アイスショーができるようになったら、清塚信也氏の生ピアノで滑って欲しい。クアド・サルコウも、トリプル・アクセルもいらない。今ならはっきり云える。紀平梨花のスケーティングが好きだ。

2020年8月18日火曜日

紀平梨花 ~2つの連続ジャンプから2020年を妄想する~

東京オリンピックの開催が2021年の夏に延期された。2022年には、北京で冬季オリンピックが開催される。冬季オリンピックが開かれるのは二月、つまり、東京オリンピックと北京オリンピックは同じ年度内に開催されることになる。あと一年半後には、北京オリンピックが開催されるのだ。フィギュアスケートにとって今シーズンは、世界選手権の結果でオリンピックの出場枠が決まるという大切なシーズンなのである。
NHK杯とか、全日本選手権とかは、開催することにはなっているが、どうなるのか予想もつかない。羽生君がNHK杯でなく、スケートカナダに出場する可能性もある。フィギュアスケートの観客の99%は、羽生君のファンと云ってよい。大規模なアリーナで特設リンクを設営したって、羽生君が出場しなければ、ガラガラってことも考えられるのだ。
今シーズンの会場が、大阪のラクタブドームと長野のビックハットという半常設リンクに決まったのも、中止や、無観客や、羽生君が出場しないかも、というリスクを考えてのことだろう。

異例続きのシーズンオフだったせいか、今年は外野も騒がしかったように思う。ISUアワードを巡るゴタゴタとか、ジャンプのルール改正の白紙撤回騒動とか、ロシアの女の子たちの移籍もあった。
ザギトワ選手は、スポーツジャーナリストを目指して大学に進学するそうだし(でも、スケートをやめるとは云ってない)、サーシャ(トゥルソワ)とアリョーナ(コストルナヤ)は、プルシェンコ氏のチームに入った。(でも、一緒には練習したくないらしい)

先日、紀平梨花選手について失礼極まりない見出しの記事が投稿されていた。書かれている内容はよくある週刊誌ネタだけど、あのタイトルは酷い。梨花ちゃんはアスリートだけれど、18才になったばかりの女の子だ。
紀平ママと濱田コーチのネタは「だろうねぇ」とは思うけど「だから何?」って感じだし、所属チームの「N高」だって前例がないわけではない。暫定的って云うけど、そりゃ卒業すれば変わるだろう。「先が思いやられる」なんて大きなお世話ですら無い。

唯一の心配と云えば、オーサー氏に師事する話が消えてしまったことだ。まあ、(代わりに参加した?)ランビエール氏の夏季合宿での練習動画や、密になって楽しそうにオフしている写真がSNSにアップされているから良しなのだろう。それにしても、ステファン・ランビエールってホントに良い奴だと思う。


さて、練習動画が投稿されたので、さっそく貼り付けさせていただこう。練習で出来たからと云って、試合で使えるわけではないが、練習で出来なければ何も始まらない。

まずは、3連続ジャンプの動画である。


何と、3A + 1Eu + 3Sという基礎点12.8のジャンプである。梨花ちゃんは、ジュニア時代に 3A+3T+2T(基礎点13.5)というジャンプをノリで跳んでいるが、それに次ぐ高得点のジャンプである。得点が1.1倍になる演技後半に組み込めば凄い破壊力だ。
とは云っても、リスクも大きいから、通常の構成で組み込むことはないだろう。使うとすれば、「降りればメダル、コケれば圏外」みたいな、一か八かの大勝負の時だろうか。まあ、梨花ちゃんの場合、そういう時って大抵失敗するような・・・。
今までの3アクセルからの連続ジャンプは、 3A+3T (基礎点12.2)とか3A+2T(9.3)だった。でも、3A + 1Eu + 3Sは、多少着地が乱れても、真ん中のオイラーで立て直せるし、サルコウは梨花ちゃんが一番得意なジャンプだから、 3A+3Tよりも安定して跳べるように思う。だとすると実戦投入も有りかもしれない。

もう1つの動画は連続ジャンプ。


これは 3F+3Lo 。いわゆる、セカンド・ループってやつだ。フィギュアスケートのジャンプは、全て右足で着地するから、続けて跳ぶセカンド・ジャンプは、右足踏み切りのジャンプに限定される。つまり、トゥループかループの2択である。、左足のつま先で氷を突くトゥループの方が、右足1本でジャンプするループより簡単であるが、基礎点は低い。
梨花ちゃんは、ジュニア時代からずっとセカンドジャンプにトゥループを付けてきた。実は、何でも跳べる梨花ちゃんだが、どちらかと云うと、左足踏み切りの方が安定していて、ループは単独ジャンプでも失敗する確率が高かった。

セカンド・ループを避ける理由は他にもある。

3トゥループの基礎点は4.2、3ループの基礎点は4.9で、差は0.7点しかないが、セカンドで跳ぶ場合の難易度は全然違うそうだ。セカンドにループを付けるためには、最初のジャンプの着地が完璧でなくてはならないし、加速を付けられないためセカンドが回転不足になってしまうことも多い。だったら、セカンドジャンプはリスクの少ないトゥループにして、GOE(出来映え点)を稼いだ方が良い結果を得られる、と云うことになる。

かつて、この難易度の高いセカンド・ループを得意技にしていた選手がいる。ミキティや浅田真央ちゃんだ。特に真央ちゃんは、この動画と同じ「3フリップ+3ループ」をプログラムに入れていた時期があった。
でも、セカンドループの回転不足を厳しく取る傾向が強くなって(真央ちゃんファンは、それをキムヨナ選手に金メダルを取らせるための陰謀と考えている)セカンドループに挑戦する選手は、次第にいなっくなってしまった。

その雰囲気は、今も続いているのだが、それを打ち破ったのが、ロシアの女の子たちである。彼女たちは、リスクをモノともせず、セカンドループを組み入れて、貪欲に得点を積み上げていった。
まあ、これは、ロシア国内で代表権を勝ち取るためでもある。ロシア代表になるのはメダルを取るよりも難しい。フィギュアスケートのジャンプ構成は飽和状態にあるから、ロシアの子たちは、0コンマの得点に拘らなくては勝ち残れないのだ。

僅差の戦いになると0.7は大きい。特にショート・プログラムでセカンドループを組み込むことができれば、6種類のジャンプの内で、難しい方から順に4種類跳んだことになるからだ。(現行ルールの最大値は、①3A  ②3F  ③3Lz+3Loの構成である)

練習中の2つのコンビネーションジャンプは、リスクも大きく、実戦で組み込むかどうかは分からない。

梨花ちゃんの魅力は、そのリカバリー力にある。技の引き出しが多いということは、リカバリーのオプションが豊富だということだし、何が飛び出してくるか分からないエキサイティングな試合が期待できるということだ。
まあ、演技系の競技というのは、決められた構成を完璧に実施できることがベストであって、リカバリーが必要になるのは、本来好ましいことでは無いんだけど・・・。

2019年の梨花ちゃんは、チャレンジして失敗することを嫌がり、構成を落としてでも確実に勝ちを拾おうとしていた。グランプリ・ファイナルでは、4サルコウに挑戦して4位に終わった。普通だったら、チャレンジしたことを良しとするのに、彼女はチャレンジしたことを後悔していた。構成を落としていれば3位に入れたかもしれないと。面白い。本当の負けず嫌いというのは、こういうことなのだろう。

妄想ばかりでつまらない。早く2020年の梨花ちゃんを見たい。

2020年6月30日火曜日

「紀平梨花」選手のコーチにオーサー氏就任で、ちょっびっとイヤな予感

フィギュアスケートは7月が年度初め、いよいよ新シーズンが開幕です。昨シーズンは、3月の世界選手権が中止になり、さらに春のアイスショーも全て中止で、不完全燃焼のまま終了してしまいました。現在、選手たちは、練習を少しずつ始めているようですが、新プログラムへの取り組みなどは、だいぶ遅れているようです。11月のNHK杯は大阪、12月の全日本選手権は長野での開催が決定されましたが、GPシリーズが本当に開催できるのかとか、今後のことは、全く予想できない状況にあります。

シーズンオフには、ジャンプに関するルール変更が発表されたと思ったら、いきなりの白紙撤回。さらにISUアワードをめぐるゴタゴタとか、がっかりさせられるような話題ばかりでした。

そんな中で、紀平選手のコーチ変更のニュースが飛び込んできたモノですから、びっくりしました。ただ、4月に強化選手を発表した時に、彼女の所属が未定となっていたので、コーチが変わるのではないかと云われてはいたんですよね。
ファンからしてみると、昨シーズンはSPもフリーも、へんてこりんな楽曲でしたし、4回転も跳ぶのか跳ばないのかブレブレの一年でモヤモヤしていたのも事実。頻繁にコロラドで練習していましたからね。関西大学KFSC内のモラハラ騒動とかもあって、集中して練習できる場が欲しかったのだと思います。

新コーチは、あの羽生結弦君の師でもあるブライアン・オーサー氏だそうです。濱田美栄氏が従来通りにメインコーチを務め、オーサー氏は第2コーチだという話や、紀平選手は、夏季合宿に参加するだけではないかって話もあったんですけど、所属が「関西大学KFSC」から「N高東京」に変わったことを考えると、伝えられているよりも本格的な移籍ではないかと思われます。濱田氏がメインコーチだったら、宮原選手と同じで、ジャンプ担当のジスラン・ブリアン氏もゲスト・コーチとして登録されている「木下スケートアカデミー」の所属になればいいわけですし。
ただ、フィギュアスケートの所属チームとか、コーチとの契約とかは、かなり複雑で、新参者のファンにはよく分からないことも多く、まあ、あっちこっちの顔を立てつつ、円満に移籍するための方便なんだろうなって、勝手に想像しております。北京オリンピックのことを考えると、彼女にロシアのコーチが付くことは有り得ないし、結局のところ、オーサー氏の一択だったようにも思います。全ては、演技の後のキス&クライで、隣に誰が座るかでハッキリするでしょう。(恐らく、強引に濱田コーチが座ると思うけど)

通信制高校の「N高」にしてみれば、名義貸しをすることで知名度アップと云ったところでしょうか。心配なことは、新型コロナの影響で練習拠点のトロントに行けてないこと、同じチームで最近評判が芳しくない「メドベージェワ」選手から虐められなければいいなってこと、それから、オーサー氏がかつてキム・ヨナ選手のコーチだったことで、アンチが騒ぎださなきゃいいけどってことでしょうか。(これが一番心配だったりして。)

今シーズンの目標は、北京五輪のプレシーズンを見据え、サルコーとトーループの2種類の4回転ジャンプの習得だそうです。これで3アクセルを2本入れれば、彼女的には上限いっぱいの構成となります。ここまで頑張れれば十分過ぎですからね。全力で応援したいと思います。

2020年3月11日水曜日

紀平梨花「チャレンジカップ2020」~いきなりの「4回転なしで160点めざす」宣言~

2月20日から23日までの4日間、フィギュアスケートの国際B級大会「チャレンジカップ(Challenge Cup 2020)」がオランダで開催されました。紀平梨花選手は昨シーズンこの大会に出場して優勝。今シーズンもエントリーして連覇を達成いたしました。

オランダというと冬季オリンピックで金メダルを何個も獲得するスケート大国ですが、盛んなのはスピードスケートでしてフィギュアスケートは全く強くありません。フィギュアスケートのような演技系のスポーツは、オランダ人のような大柄の民族には向かないってことでしょうか。欧米でもフィギュアー選手は小柄な方が多いですからねぇ。

とは云っても、スケート大国なんですから、少しはフィギュアにも力を入れようとスポンサーが付いて始めたのが、この「チャレンジカップ」のようです。
チャレンジカップの面白いところは、オランダの国内選手権を兼ねていることです。フィギュアスケートのオランダ代表を決める大会に、外国選手も出場して一緒に盛り上げようってことのようですが、実質的には外国選手中心の国際大会になっています。
で、何故か日本は昔からこの大会に選手を送り込んでいて、歴代の優勝者にもたくさん名を連ねています。また、ジュニアの子たちも毎年参加しているようです。

日本のジュニア選手がこのような海外の大会に遠征できるのは、日本のスケート連盟がそれだけお金持ちだからです。で、そのお金は、浅田真央ちゃんとか、羽生結弦君がせっせと稼いでくれたものです。真央ヲタの中にはアンチ梨花ちゃんが結構いて何かと叩いてくる一方で、梨花ちゃんファンが真央ちゃんの悪口を絶対言わないのは、こういった事情があるからです。まあ、梨花ちゃんも最近は稼ぐ側になったようですけど。

「チャレンジカップ」の格付けは国際B級大会。フィギュアスケートの大会の格付けは、上から順に、
オリンピック≧世界選手権>欧州・四大陸選手権>GPシリーズ>チャレンジャーS>国際B級大会
だそうですから、若手にとっては経験を積む場・・・まあ、国際親善って意味合いもあろうかと思います。スピードスケートの強化のためにもオランダと仲良くするのは良いことですからね。

まずは、紀平梨花選手のショートプログラムから。

   
フィニッシュで反対側を向いてしまって、向き直しているところが何とも可愛いですね。

ジャンプの構成は次の通りです。

①3A ②3Lz ③3F-3T 

今回の特徴は、連続ジャンプを3番目にもってきたところです。でも、後ろに付けた3トーループで転倒してしまいました。2番目のルッツも詰まってましたから、連戦の疲れもあったのかもしれません。でも、そんな情況でも、ちゃんと3アクセルを跳べるのが、今シーズンの梨花ちゃんの成長の証です。

最も基礎点が高い連続ジャンプを、得点が1.1倍になる3番目に持ってくるのは、ロシアの女の子たちがよくやる構成です。ただ、3番目に跳ぶというのは、疲れも出てきますし、何より失敗して単独ジャンプになった場合、リカバリーができないというリスクがあります。

で、どのくらい基礎点が高くなるのかというと。

3Lzの基礎点は5.9点、3F-3Tは9.5点ですから、得点差は3.6。その0.1倍ですから0.36。

たったの0.36点なんですよね。出来映えGOE の+1の得点よりも少ないです。
まあ、こんなわずかな得点でも、貪欲に積み上げようとするロシア選手、恐るべしってことですけど、梨花ちゃんの強みはリカバリー力。それを捨ててまで取るリスクとは思えません。まあ、コケちゃったことでもありますし、ここは、是非とも、元の構成に戻して頂きたいものです。

次は、フリー演技です。

今回は、テレビ放送が無かったこともあって、初めてライスト(ライブ・ストリーミング)で観戦させて頂きました。

地上波放送の録画中継は、ネットニュースとかで結果が知らされちゃうんで、ドキドキ感ゼロだったんですが、これだと地球の裏側の試合をリアルタイムで観戦できます。ただ、解説もなくって簡単な実況だけで、それも英語ですから何を言ってるのか分かりません。でも会場音とかそのままなんで、リアルな感じで悪くなかったです。世界選手権も、地上波で生放送しないのなら、ライブストリーミングしてくれると良いんですけど。って云うか、大会そのものが無くなってしまいそうですね。


ジャンプ構成です。

 ①3S ②3A-2T ③3Lz ④3A ⑤3F-3T ⑥3Lz-2T-2Lo ⑦3Lo

やはり4サルコウは跳びませんでした。でも、3アクセル2本、3ルッツ2本という、6種類8トリプルの高難度構成。昨シーズンだったらぶっちぎりの優勝なんですけどね。

最後は右手・左手での時間差ガッツポーズ。ノーミスで本人は大満足のようですが、ファンからすると4回転にチャレンジしなかったことが、ナンとも歯痒かったようです。

で、インタビューでは、
160点を目指していた。(4回転)サルコーなしでも、160点に乗せられる選手になりたい。昨季は4回転がないと、私もやっていけないかなと思っていた。でも(アリョーナは)アクセル2本という(自分と)同じ構成で4回転を何本も跳んでいる選手(サーシャちゃん)より点数が高い。他のジャンプの自信が100%ぐらいあれば(自分も)動揺せずに挑戦できる。
と答えていたそうです。これはちょっとサプライズでした。だいたい、4回転無しで160点取るって、4サルコウを成功させるよりも遥かに難しいことじゃないですか。

完全にコストルナヤを意識した発言です。今シーズン無敵のロシア3人娘、中でも最強なのが「アリョーナ・コストルナヤ」選手です。彼女のジャンプ構成は紀平選手とほぼ同じで、4回転ジャンプがありません。

しかし、コストルナヤ選手の強みは、スケーティングの全ての要素で高評価を得ているところです。技術面でも演技構成でも、ほとんど全てに於いて梨花ちゃんより評価が高い。まあ、高いと云っても、1つ1つの要素の差は0.3点とかだけど、演技全体として積み重なると3点5点という決定的な差になるわけです。だから、今シーズンは、互いにノーミスだったら、梨花ちゃんはコストルナヤには絶対敵わない。それを挽回するには、ヘンテコリンな楽曲を変えて、4Sや4Tといったクワドジャンプを成功させるしかないわけです。

まあ、「量より質」って云いたいのかもしれませんけど、勝ち抜くためには、「量も質も」じゃなきゃダメなんです。

コストルナヤだって、4回転に取り組んでいないわけではありません。そのうちに実戦で投入してくるでしょう。さらに、アメリカや韓国、ロシアのジュニア選手がシニアに上がってくると4回転はもはや必至の技になる。

梨花ちゃんがクワドジャンプ(4回転)ができそうもない子ならば致し方ありませんが、実戦投入までもう一歩という段階まできてるのに、何でこんなことを云い出したんでしょう。4回転4回転と五月蠅いマスコミにウンザリした果ての発言とも思えないんですよね。

ジュニア時代の梨花ちゃんは、失敗しても失敗しても3Aを跳び続けて、今シーズンようやくモノにすることができました。でも、一方では、100%できる確信が持てるまで実戦に投入しないという方針もあったわけです。コストルナヤがそうでした。彼女はジュニア時代から3Aを練習していたんだろうけど、試合では全く跳んでなかった。
同じ「エテリ」コーチのチームでも、トルソワ選手は、3Aとか未完成でもどんどん試合で使ってくる。恐らく、選手の性格を見極めてのことだろう。

だとすると、かなりな「きにしい」である梨花ちゃんに合わせた方針は、自ずから決まってくるはず。今まではやるやると言ってやらなかったけど、今回はやらないと断言したようなものだから、世界選手権では4回転サルコウは100%やらないだろう。

梨花ちゃんは、もう試合で失敗するのが単純にイヤなんだと思う。

だからと云って、放棄したわけでも無いはず。160点発言だって、梨花ちゃんの負けず嫌いなところから出てきた言葉だと思うし、何てったって、言行不一致、有言不実行な梨花ちゃんですからね。この先、何が起きるか分かりません。

って云うか、世界選手権って開催するのかなぁ。観戦チケットとホテルと航空券をゲットしてた羽生ファンには、申し訳ないけど、僕的には、ライストさえあれば無観客でもOKなんですけどね。羽生選手以外のフィギュアの選手って、ガラガラの観客席には慣れてそうだし・・・。

2020年2月15日土曜日

「紀平梨花」エキシビションでジャンプ6本だって!~2020四大陸フィギュアスケート選手権EX~

紀平梨花選手の新しいエキシビジョンナンバーがお披露目されました。この前、ライオンキングのやつを披露したばかりなのに、もう新作なんですね。


で、エキシビションにはジャンプの規定などありませんけど、コケるのもばつが悪いでしょうから、得意なジャンプとか多少難度を下げたヤツとかを跳ぶのが普通です。たまーに、調子づいた梨花ちゃんが3アクセルに挑戦してきたり、トルソワが4回転を跳んだりもしますけど、まあ、これは、明らかなウケ狙いです。

あと、同じ演目でも、その日の状態によって変えてきたりもします。だから、エキシビションで跳ぶジャンプは、同じ曲だからといって、いつも同じというわけではありません。逆に云えば、どんなジャンプを跳んでくるかで、その時の調子を計り知ることもできます。

梨花ちゃんが自信をもっているジャンプは、ダブル・アクセルとトリプル・サルコウです。アクセルに関しては、いつも3アクセルの練習ばかりしていますから、1回転少ない2アクセルなんかは余裕で跳べるのでしょう。
もう1つのサルコウについては、僕は梨花ちゃんが失敗したところをほとんど見たことがありません。梨花ちゃんが挑戦している最初の4回転が、4トゥループでなくって、4サルコウだってことからも、彼女がサルコウを得意としていることが分かります。
ですから、エキシビションでも、大抵、この2つのジャンプを跳んできます。

梨花ちゃんがエキシビションで跳ぶジャンプは普通3回です。でも、指を脱臼していた昨年の四大陸では、2アクセルと3サルコウを1回ずつしか跳びませんでした。だから、映像を見たときには「ツラいんだなぁ」って分かって、ちょっと悲しくなってしまいました。

あと、3回跳んでも、2アクセルを1回と3サルコウを2回みたいな時は、調子が悪いのかなぁとか、疲れているのかなぁなんて考えたりもします。

では、今回の四大陸のエキシビションの映像を貼り付けさせていただきますね。


エキシビションは、映像に演技の解説が入りませんから、誰にも邪魔されずにジャンプを見分けることができます。この演技のジャンプ構成は、次の通りです。

①2A ②3S ③3F ④2A+2A+2A+SEQ 

3つ目がフリップでしたね。さすがにルッツは跳んできませんでしたけど、ここで3フリップを跳んだってことは、調子が良い証拠だと思います。
で、普通ならこれでお終いなんですけど、最後に2アクセルを3回続けて跳んできたじゃありませんか。会場のどよめきが聞こえてきたんで、だいぶウケていたようですけど、ぼくもびっくりしました。

現行のルールでは、3連続のジャンプシークェンスってのはありませんから、(そもそも同じジャンプを3回跳んだら規定違反で3本目は0点)エキシビションならではの演技です。
難易度は高くはありませんけど、3分間でジャンプ6本なんていう演技も、あまり例が無いように思います。


この3連続ジャンプが、最初から演技に組み込まれていたのか、この日に限ってノリで跳んだだけなのかは分かりません。案外、フリーで4回転を回避したことが頭の片隅に残っていて、鬱憤晴らしで跳んだのかも知れませんしね。まあ、これからも、その時の気分で跳んだり跳ばなかったりするんだろうなって思います。

でも、こんなに楽しそうにジャンプをする梨花ちゃんを見たのは初めてかもしれません。


次の試合は、オランダで開催される「チャレンジカップ」です。まあ、普通に演技って云うか、失敗しても優勝できちゃうレベルの大会だから、4サルコウにチェレンジする絶好の場なんだけど、跳ぶか跳ばないかは、半々ってとこでしょうか。

四回転にこだわる梨花ちゃんも、勝負に執着する梨花ちゃんもアリだと思います。メンタルも強いんだか弱いんだか分からないところがあるし、その二面性が彼女の面白いところですからね。「エキシビションでジャンプ6回も跳ぶくらいなら、4サルコウに挑戦しろよ!」なんてツッコむ隙を見せてくれるのも、梨花ちゃんならでは。梨花ちゃんを紀平選手と呼べる日は、もう少し先になりそうです。

何だか、7:3で跳ばない気がしてきました。

2020年2月11日火曜日

「紀平梨花」リカバリーで怒濤の3連続ジャンプ ~四大陸選手権2020女子フリー~

まずは「四大陸フィギュアスケート選手権」のおさらいから。

四大陸とは、ヨーロッパを除いた残り全部という意味です。アメリカは南北2つだとか、南極はどうしたとか、そもそもユーラシア大陸なんだから、アジアとヨーロッパは1つだ、と云う意見もありましょうが、大航海時代の世界観(オリンピックの五輪も同じ)に基づいているのでしかたありません。フィギュア界を二つに分けた場合、「ヨーロッパ選手権」と「その他の国々選手権」となるのは、フィギュアスケートはヨーロッパが本場なのだという、彼らのプライドが感じられる編成であります。

冬季オリンピックを除いた場合、最も大切な大会は世界選手権です。ヨーロッパ選手権や四大陸選手権は1ランク下という扱いですから、ベテランになると世界選手権に集中するために出場しないという選手も多いですし、オリンピック・イヤーだと補欠組の大会みたいになってしまいます。
ですから、今年のように、羽生結弦君が出るなんてのは異例中の異例、おかげでチケット販売は好調だったようですけど、女子の試合では空席も目立ってましたね。

でも、ちゃんとした国際大会ですから、世界ランキングを上げたい若手にとっては大切な試合です。実際、梨花ちゃんも今回の優勝で世界ランキングで1位になりましたし。


今年は、開催国が時差の無い「韓国」ということで、SPはライブ中継だったんですけど、何故かフリーは録画放送。フジテレビさんもゴールデンタイムにこだわらなくてもいいのにって思いました。ネットニュースばかりか、NHKのニュースとかでも結果をバンバン言っちゃうものですから、地上波放送ではドキドキ感ゼロでしたよ。

でも、感動モノの演技でした。


フリーの楽曲にもだいぶ慣らされてきました。

事前に公開されていたジャンプの構成は次の通りです。

    ①4S ②3A-2T ③3Lz ④3A ⑤3F-3T ⑥3Lz-2T-2Lo ⑦3Lo

ルッツの封印が解けたのが一番の収穫ですね。ただ、6番目の「3Lz-2T-2Lo」を見たときに、今日は、4回転は跳ばないんだなって思いました。もし、本気で跳ぼうとしているのなら、ここを「3Lz-1Eu-3S」にしてくるはずです。サルコウを冒頭の1回だけにしてきたのは、ここの4回転が3回転になっても構成を変えずに済むからです。ただ、最初から、3サルコウにしちゃうと、4回転、4回転と騒いでいるマスコミがまた騒ぎ出しますから、とりあえず4サルコウにしておいたのでしょう。

で、梨花ちゃんが、当日演技したかった構成が次だと思います。

      ①3S ②3A-2T ③3Lz ④3A ⑤3F-3T ⑥3F-2T-2Lo ⑦3Lo

ルッツを解禁したとは云え、2回跳ぶつもりは無かったように思います。ルールでは、6種類の3回転ジャップのうち2回跳べるのは2種類までですから、アクセルとフリップを2回ずつ跳ぶ予定だったのではないでしょうか。

ところが、2番目に跳ぶ予定だった3アクセル+2トゥループが1アクセルになってしまうミスが起きてしまいます。基礎点でいうと9.3が1.1になってしまいましたから、単純に計算すると8.2点の損失です。ショートプログラムでの貯金なんて完全に吹き飛んでしまいました。

3番目のルッツを予定どおりに跳んだ後、4番目の単独だった3アクセルに2トゥループを付けて、とりあえず1.3点のリカバリー。ここまでは、今までにもよくあったことです。
で、インタビューによると、この後のステップシークェンスを踏みながら、残りのリカバリーを考えていたそうです。

まあ、とりあえず3アクセルが1本入りましたから、無理にリカバリーせずに、残りのプログラムを予定どおりに演じるという選択肢もあったはずです。以前、宇野昌磨君がインタビューで、「無理にリカバリーすると、演技が崩れて墓穴を掘るから考えない」って話していて、ナルほどって思ったことがあります。

究極のリカバリーとしては、最後の3ループを3アクセルと入れ替える(3.41点アップ)ってのがありますけど、これは現実的ではありません。で、梨花ちゃんの選択は、3連続ジャンプを5番目に前倒しして「3F-3T-2T」にするということでした。このジャンプですね。


テレビを見る前から勝敗は知っていましたけど、演技内容のプロトコルは見ていなかったので、一瞬、何が起こったのか分かりませんでした。(荒川静香さんは予測していたかのように冷静でしたけど)

ジュニアの大会では「3A-3T-2T」という冗談みたいな3連続ジャンプを跳んでいる動画がありますけど、シニアのガチな試合で「3F-3T-2T」なんて3連続ジャンプを見たのは初めてです。正式なプログラムにだって組み込むのが大変な連続ジャンプを、とっさのリカバリーで跳んでしまうなんて・・・。

これで、どのくらいリカバリーできたかですけど、「3F-2T-2Lo」が8.3点で、「3F-3T-2T」が10.8ですから、2.5点のアップとなりました。僕的には、普段から練習している「3F-1Eu-3S」ってのもアリじゃないのかなって思ったんですけど、基礎点を計算したら10.1でしたから、梨花ちゃんの判断が正しかったってことになります。

演技が終わって直ぐに、濱田コーチに「あれで合ってました?」みたいなことを訪ねていましたけど、完璧なリカバリーだったと思います。

実際に演技した構成は次の通りでした。

    ①3S ②1A ③3Lz ④3A-2T ⑤3F-3T-2T ⑥3F-3T ⑦3Lo

元々、上限いっぱいの構成ですから、どんなにリカバリーしても得点低下は免れませんけど、見応えのあるフリー演技だったと思います。失敗しているのに、3回転6種類の8トリプルですからね。これがあるから、彼女のファンは辞められません。


では、参考までに、捨て身の覚悟で演技してきたとき、つまり今の梨花ちゃんにとって現実的で実現可能な最高難度のジャンプ構成は次の通りです。

        ①4S ②3A-2T ③3Lz ④3A ⑤3Lz-3T ⑥3F-1Eu-3S ⑦3Lo

世界チャンピオンになれるプログラムです。ロシアの最強3人組に勝てる可能性を持っているのは、世界中で梨花ちゃんだけなんですよね。そりゃぁ、完璧に演技して優勝ってのが一番凄いことですけど、梨花ちゃんの魅力って、勝つこと以上に、ワクワクさせてくれるスケートをしてくれるところにあるんです。

次の試合は、2月の22日・23日にオランダで開催される「チャレンジカップ2020」だそうです。昨年も出ていた大会です。B級の国際大会ですから、無理をして出場することも無いと思うんですけど、調整を兼ねての営業というか、国際親善ってことでしょうか。怪我のないように頑張って欲しいです。

2019年12月27日金曜日

「紀平梨花」全日本フィギュア選手権2019 ~3A+3Tという選択~

今年の全日本フィギュア選手権は波乱だらけの大会だったが、女子は梨花ちゃんのぶっちぎり優勝で終わった。

NHK杯から全日本まで、5週間で3つの大会。そのうちの1つはイタリアまで出かけているのだから、連戦の緊張と時差ボケで、精神的にも体力的にも厳しかったことと思う。

だから、4回転サルコウを回避したことも致し方ない。・・・だったら、4回転絶対入れますなんて、云わなければいいのにと思う。どうせ、空気を読んで云わされちゃってるんだろうけど、翌日の見出しが「4回転回避するも優勝」みたいになって、せっかくの初優勝の演技がイマイチだったような印象を与えてしまうからだ。


今シーズンは、ロシアの女の子たちのインパクトが凄いし、実際、国際大会で優勝できていないけど、梨花ちゃんの演技のデキは決して悪くない。


リアルタイムでのテレビ観戦というのは、転倒しちゃったらどうしようなんてハラハラドキドキできて楽しいものである。

で、ジャンプの構成は次の通り。

 ①3S ②3A+3T ③3F ④3A ⑤3F+2T ⑥2A+2T+2Lo ⑦3Lo

2つのトリプルアクセルを含む7トリプルで、減点無し。ルッツを封印しての155点台なんだから、昨シーズンだったら大絶賛である。


全日本フィギュアは、3月の世界選手権の出場権がかかっている大切な大会だ。梨花ちゃんはSPで首位に立っているとは云え、ミスもあって得点は73点。2位との差はわずか3点の混戦である。まあ、フリーで大コケしたとしても、今までの実績があるから、代表には選ばれるだろうけど、それでは後味が悪い。何よりも、彼女は未だこのタイトルを取ったことが無いから、絶対優勝したいと思っていたはずだ。

梨花ちゃんは、演技後のインタビューで、4サルコウを回避することを決めたときに、代わりに3アクセル+3トーループを跳ぼうと思ったと答えた。

だけど、この構成で、2番目に3A+3Tは有り得ない。リスクが大きいからだ。実際、3Tで回転不足を取られた。回転不足だけならまだしも、転倒してしまったら4回転サルコウを回避した意味そのものがなくなってしまう。

しかも、2番目に3Tを跳んでしまったから、5番目の連続ジャンプを3Tから2Tに変えなくてはならない。これだと得点が1.1倍になる5番目に、3Tよりも得点の低い2Tを跳ぶことになって、基礎点が下がってしまう。難易度を上げたのに得点は下がるなんていう構成を、コーチが指示するとは思えないから、これは梨花ちゃん自身の判断なんだと思う。

でも、僕は、このインタビューを聞いて嬉しくなった。これこそ、梨花ちゃんが梨花ちゃんである所以だからだ。梨花ちゃんの無意味なチャレンジャー精神は健在だったのだ。
今回は、全日本チャンピオンのタイトルを取ることを優先して安全策に出たけど、彼女は本当に4回転サルコウを跳びたかったんだと思う。梨花ちゃんは、逃げてなんかいなかったのだ。


そういえば、今シーズンは靴のことをあーだこーだと云わなくなった。きっと靴の締め方にこだわることに飽きたんだと思う。その代わりに、お昼寝の話ばかりしている。寝られなかったからダメだったとか、寝られなかったけど良かったとか・・・それって、お昼寝関係ないってことだろっ!

まあ、それで、メンタルコントロールしているのだろうけど・・・。

それにしても、ルッツの封印期間が長すぎる。本当に足首の状態が原因なのだろうか。もし、足首を故障しているのであれば、他のジャンプにも影響が出そうなのに、そんな様子は全然見られないんだから、逆に心配になってしまう。

次の試合は、2月の四大陸選手権。韓国で開催されるから、リアルタイムでテレビ放送されるだろう。梨花ちゃんならではのハラハラドキドキ、つっこみどころ満載の演技が楽しみである。

2019年12月15日日曜日

「紀平梨花」GPF2019 ~ジャンプ大会と化したファイナルに果敢に挑む格好良さ~

いやぁ、今年のグランプリ・ファイナル、面白かったですね。男子ではネイサン・チェン選手の近未来的理解不能衣装や、羽生選手の幻に終わった3A+3Aのジャンプシーケンス。ジュニア男子では日本選手の久し振りの活躍。女子では、記者会見でのロシアの女の子たちの態度が悪かったとかで、演技でも場外でもツッコミどころ満載の大会でした。


で、そのグランプリファイナルの総括もできていないのに、今度は、ザギトワ選手の休業宣言ですからね。展開が早すぎてついていけません。

男子は、ネイサン・チェン選手と羽生結弦選手の異次元一騎打ち。他の選手がこの争いに全然ついていけず、二人で勝手にやってろ状態。とにかく、チェン選手の演技があまりにも完璧すぎて、全然頭に残りません。松浦亜弥さんのアイドル時代に、「完璧すぎて萌えられない」という名コメントがありましたけど、正にそれ。


一方、羽生選手は、演技終了時の倒れこみ方とか、プーさんシャワーとか、こちらの演出は完璧。キスクラまでを演技に含めれば、演技構成点では圧勝していたと思います。


結果的には世界選手権で大敗を喫した羽生選手が、リベンジを図るも返り討ちに遭ったかたちになりました。

で、演技予定表で、ジャンプの7番目に3A+3A+SEQってあったんで、もの凄い楽しみにしていたんです。連続トリプルアクセルのジャンプシークェンス・・・そんなの見たことありませんからね。そしたら、すっぽ抜けのシングル・アクセル・・・。
全日本選手権では、4ルッツとか4ループとか全て回避しても構いませんから、今度こそ3A+3A+SEQを披露して頂きたいものです。

さて、紀平梨花選手は、今シーズン好調だったはずのSPにおいて、連続ジャンプで転倒するなど、まさかの最下位。大舞台になるほどコケてしまうジュニア時代の梨花ちゃんの悪いところが出てしまったかのようです。
インタビュー記事によると調整失敗とのことですが、そういうことを喋っちゃうところが梨花ちゃんなんですよね。けど、そのまま流してしまうメディアもメディアですよ。まあ、僕が梨花ちゃんを紀平選手と呼ぶことができないのもこういうところにあるんですけど・・・でも、嫌いじゃ無いです。


翌日のフリー演技。テレビ放送は夜からだったんですけど、試合は朝のうちに終わっていました。パソコンを開いたら、ネット上にプロトコルは公開されているわ、動画はアップされているわで、ネタバレどころの話ではありません。
で、出場6選手のプロトコルを眺めていたら、何だか涙が滲んできてしまって・・・プロトコルを見て感動できるなんて・・・何だか一端のフィギュアファンになった気分です。

だって、どの選手もガンガン攻めまくっていて、守りの演技をしている子が一人もいないんですから。あの大人しそうなシェルバコワちゃんが、いきなり4フリップにチャレンジしてくるなんて思わなかったし、どの選手も失敗を厭わず大技をバンバン繰り出していて、フィギュアスケートってスポーツなんだなと改めて感じた次第です。
試合結果どころか、誰が何をやってどうなったかまで全て分かってしまいましたけど、テレビ放送を見ないわけにはいかないなと強く思いました。


結果的には、ノーミスで完璧な演技をしたコストルナヤ選手が勝ちました。4回転が無くてもフリーで160点台が出せることを証明してくれましたからね。いろんな意味で収穫の多い大会だったと思います。

紀平選手のフリー演技の動画です。繋ぎのスケーティングが単調に感じるのは、ジャンプをするのに精一杯だったからでしょうか。このあたりがコストルナヤ選手との得点差だったのかな。まあ、これからさらにブラッシュアップされてくるでしょうから、シーズン後半に期待しましょう。


で、ジャンプの構成は、次の通りです。

①4S ②3A+2T ③3F ④3A ⑤3F+3T ⑥2A+1Eu+3S ⑦3Lo

何と云っても、やると言いながらずっと回避してきた4サルコウに初チャレンジしたことでしょうね。それから、6番目の3連続ジャンプを2A+2T+2Loから+1Eu+3Sにアップグレードしてきたのも嬉しいところです。これに封印してきた3ルッツが加われば、フリーで160点台に乗せることができますから、ロシアの女の子たちにも対抗できる構成になります。

今回は、4Sで転倒しましたけれど、きっちり回りきっていましたからね。これで失敗しても4点近く貰えます。さらに、転倒した後の演技で大崩れすることなく、2つの3アクセルを跳べたことは、大きな自信になったのではないでしょうか。来週の全日本選手権でも4Sに挑戦するはず。もう回避する理由も必要も無いですからね。

さて、ザキトワ選手の休業宣言を受けて、フィギュアスケートの在り方が議論になっています。


新横浜で初めてフィギュアスケートを見たとき、誰よりもファンを楽しませてくれたのがザギトワ選手でした。でも、その裏で、彼女は苦しんでいたんですよね。3月の世界選手権での気迫溢れる演技。あの時に彼女は燃え尽きていたんだなって思いました。グランプリ・ファイナルまで必死に頑張ってきた彼女を全力で讃えたいと思います。

ロシアの女の子たちの登場により、今シーズンの競技がジャンプ大会になってしまったのは確かです。世界チャンピオンが17才で事実上の引退に追い込まれるようなこの情況を正しいとは思いません。が、フィギュアスケートがスポーツで或る以上、そういう側面を全く否定することもできません。

そんな中、羽生選手にしても梨花ちゃんにしても、演技力で勝負するというやりかたもあったはずなのに、果敢にジャンプ合戦に挑んでいった。これを格好良いと云わずして何と言えましょう。

無難に演技して3位狙いなんて梨花ちゃんには似合いませんからね。「紀平梨花ロシア勢に惨敗」ってマスコミは書きたてるのだろうけど、梨花ちゃん本人は手応えを感じていたと思います。演技最後の控えめなガッツポーズ。ロシアの女の子たちに惨敗したのに、4サルコウで転倒したのに、何故ガッツポーズなのか。ファンはその意味を分かっていますから。

2019年11月24日日曜日

「紀平梨花」NHK杯 グランプリシリーズ2019

確かに羽生結弦選手は凄いと思う。視聴率も取れる。経済効果もハンパない。だから、男子の演技は、地上波で生放送する。一方、女子のSPは、深夜枠での録画放送だ。

でも、これが国際大会なの?っていう男子の演技を、ゴールデンタイムの生放送で延々と見せられるのはつらいものです。だいたい、50点満点の男子の演技構成点が、40点満点の女子と、どっこいどっこいなんだから話になりません。
NHKさんも、技術点40点以下なんていう女の子以下の演技は深夜の録画放映にまわして、空いた尺で女子のハイレベルな演技を、放送していただきたいものです。

それにしても、コストルナヤ選手は強い。伝説のアクセルジャンパー伊藤みどり選手を彷彿させるトリプルアクセルなど、技術的にも、芸術性でも、全ての要素で完璧といえます。エキシビションでの3F+1Eu+3Sにも恐れ入りましたし。
実は、3年後の北京冬季オリンピックで最も金メダルに近い選手は、コストルナヤ選手だと云われています。恐ロシアの三人娘では4回転ジャンプのトルソワ選手が注目されてますけど、今がピーク感は否めないですからね。

梨花ちゃんが持っていたSPでの世界最高得点を更新した演技です。


連続ジャンプを3番目にもってくるチャレンジングなプログラム。ロシア国内では、このくらいのことをしないと生き残れないというのが、彼女たちの強さの一因なんだと思います。

対する梨花ちゃんのSP。前回と衣装を変えてきたようですね。


ジャンプ構成は、①3A ②3F+3T ③3Loとなっています。
依然として足首の状態は悪いようで、今回もルッツを封印しての演技となりました。
3つめのループがちょっと詰まってしまって、80点代にわずかに届きませんでしたが、演技構成点は35.45ですから、なかなかの好演技だと云えましょう。
バグダッドの朝飯とか云うへんてこりんな楽曲に、ジャッジが(僕もだけど)慣れてきたってことでしょうか。

さて、翌日の女子フリーは、地上波でライブ放送してくれましたけど、大相撲中継で白鵬のインタビューをやっている間に、ザギトワ選手の演技は終わっていました。まあ、ネット動画を見れば良いだけのことなんだけど、せっかく、リアルタイムで本放送を視聴しているのだから、VTRくらい流して欲しいものです。
で、ゴールデンタイムは、イマイチな男子(3位以下は梨花ちゃんより低い技術点)の演技を延々と生放送なんだから・・・。

やっぱり、羽生選手は凄い。特に、フリー演技において、リカバリーで跳んだ最後の2つのジャンプ。最終ジャンプが3A+1Eu+3Sなんて有り得ない。しかも、インタビューによると、あのリカバリーはオマケなんだそうだ。つまりファンサービス。そりゃぁ、リカバリーしなくたって、ぶっちぎりで優勝だろうけど・・・。


縫いぐるみを投げ込むときは、糸くずが氷に着かないように、ラッピングするのがマナーなんだそうです。今年のNHK杯は、羽生選手のための大会でしたね。

グランプリシリーズの全6戦は、ロシアの3人娘が2勝ずつして終了しました。強いことは分かっていましたけど、これほどとは・・・とにかく、本番での集中力と精神力がハンパなかったですね。

さて、紀平選手のフリー演技のジャンプ構成は次の通り。

①3S ②3A+2T ③3F ④3A ⑤3F+3T ⑥2A+2T+2Lo ⑦3Lo

カナダ大会では4番目に跳んでいたサルコウを1番目にもってきましたね。これを仮想4サルコウとして、4回転ジャンプを取り入れたときの構成を確認したんだと思います。その時には、6番が3F+1Eu+3Sになって、3フリップが3ルッツと入れ替わって・・・って全然予行演習になって無いと思うんですけど。


17才の女の子の演技テーマが、世界平和ってどうなんでしょうか。まあ、今年はこれで良しとして、次回こそは、2017年の「道」みたいな、彼女のスケーティングの美しさと可愛らしさを前面に出すような構成をお願いしたいものです。

でも、トリプルアクセルが本当に安定してきましたね。今までは、一ミリでもズレると跳べないみたいなことを云ってましたけど、そのうちに目をつむっていても跳べるくらいの域に達するんじゃないでしょうか。

昨シーズンは、グランプリ・ファイナルの頃がピークで、シーズン終盤は調子を落としていったように思います。全日本選手権だって未だ制覇して無いんですよね。まずは、日本チャンピオン。そして、3月の世界選手権を万全の状態で迎えて、表彰台に乗れれば最高に思います。まずは、ルッツが跳べるように怪我の回復に努めて、4回転はそれからですよね。