2021年の世界選手権は、残念な結果に終わってしまった。ただ、梨花ちゃんを応援してきた奴は、予想外とは思っていないだろう。最悪のケースであるが、ジュニア時代から何度も見てきた光景。これも想定の範囲内だからだ。
試合後のインタビューで、試合時間のこととか、いろいろと云っていた。敗因として、正しいこともあるだろうし、思い込みに過ぎないこともあろう。言い訳などみっともないとか、自己分析ができていて凄いとか、いろいろとコメントされているけど、梨花ちゃんは、言葉にして吐き出すことで、メンタルの崩壊から自分を守っているところがあるので、これも何度も見てきた光景だ。こういう時の梨花ちゃんは、アスリートとは程遠い、気の強い18才の女の子だ。
ネットニュースには、ジャッジのことが出ていた。確かに、GOEや回転不足の判定に(?)なところはあるけど、それが敗因とは云えないだろう。
演技構成点で比べれば、アンナ・シェルバコワ選手(アーニャ)が1番、エリザベータ・トゥクタミシェワ選手(リーザ)と梨花ちゃんが僅差で2番と3番、ジャンプに特化したアレクサンドラ・トルソワ選手(サーシャ)の演技構成点は、坂本選手よりも下だから、云われているほど滅茶苦茶な採点とは云えない。まあ、あのフリーで演技構成点を70点(80点満点)とれたということは、国際審判から一定の評価を得ている証だから、それが収穫といえばそうだろう。
でも、坂本選手のルッツは、完全に先入観を持たれているように思う。これからルッツを修正できたとしても、国際審判たちに坂本のルッツは正確であると印象付けなくてはならないわけで、北京オリンピックまでには時間が足りない。今回、オリンピック出場枠を3つ獲得できたのは、坂本選手の頑張りあってのことだし、オリンピックだって何が起きるか分からない。メダル獲得の可能性もゼロでは無い。ルッツを捨てるのも、選択肢の1つに思う。
梨花ちゃんが、最初に提出した構成である。
①4S ②3A ③3F+1Eu+3S ④3Lo ⑤2A+3T ⑥3F+3T ⑦3Lz
当日になって、調子が思わしくないと判断した梨花ちゃんは、3Aを2本の構成に変更したらしい。でも、SPの時から回転不足を取られていたくらいだから、調子は最初っから悪かったのだろう。
で、梨花ちゃんがやりたかったのは、こんな感じの構成だと思う。
①3A+2T ②3A ③3F+1Eu+3S ④3Lo ⑤2A+3T ⑥3F+2T ⑦3Lz
でも、何で3アクセルから入ったんだろう。自在に構成を変えられるのが、梨花ちゃんの強みなんだけど、この曲でアクセルから入る練習なんてしていたのかなぁ。構成を落とすんだったら、冒頭の4サルコウを3回転にすれば良いだけのこと。(あと3回転を1つ2回転に)構成を落としたって言いながら、かえって難しくしちゃったように思えてならない。って云うか、何故、変えたんだろう。一番たくさん練習してきた構成が、一番成功する確率が高いはずじゃないのか。
試合後のインタビューで、梨花ちゃんは、4サルコウを2本入れるような練習をして、落としても1本できるようにしたい、みたいなことを云っていた・・??・・・梨花ちゃん節は健在のようだ。少し安心した。
ずっと気になっているのは、フリーの楽曲である。ピアニスト清塚信也氏による「Baby, God Bless You」なんだけど、ピアノソロアレンジなのでテンポが揺れているよう聞こえる。彼女ならばどんなリズムにも合わせることができるかもしれないけれど、それが評価されているようには思えない。やはり、リズムに乗り切れていないように感じてしまうし、構成もツギハギっぽいし、冒頭のジャンプへの入りも合っていない。ここは、是非ともピアノ+オーケストラで再アレンジして欲しい。
調整不足というならば、みんな転倒していたし、今大会で調子の良かった選手なんていなかったように思う。コロナ禍での強行開催で、みんな、調整を失敗していたんだろう。ネイサン・チェン選手の転倒なんて2年半ぶりだって云うし。結局、実力を発揮できたのは、出場できるだけで嬉しいって云っていた、ノープレッシャーの鍵山君だけだったように思う。
そんな中でもロシアの選手は強かった。
アーニャは、終盤の2つの連続ジャンプ(3F+1Eu+3S)と(3Lz+3Lo)が凄かった。ラストジャンプで3ルッツ+3ループなんて凄すぎる。女子も4回転時代到来なんて云いながら、4回転も3回転半も跳ばなかった彼女が優勝というのも面白い。
リーザの演技は、絶賛するしかないだろう。24才でロシアの代表に復帰しただけでなく、ばっちり結果を出してきたのだから。彼女の3アクセル2本の構成は、梨花ちゃんがやろうとしたことと同じ。違うところは、リーザは最初からこれをやろうとしていたところだ。
サーシャのクワド4種類5本の鬼構成は脱帽である。2回転倒しても150点台のフリー1位だ。4Lz+3Tなんて、あのネイサン・チェン選手だって跳んでいない。
いよいよオリンピックシーズンだ。僕の願いは、梨花ちゃんとアーニャが、共にノーミスで並んで台乗りすること。それは今も変わらない。
ネット記事に、勝つための距離感がハッキリした、って書いてあったけど、正にその通りに思う。ロシアは、コロナ禍で選手や関係者に感染者が出ても、構わずに国内大会を実施してきた。そんなことができる国なんて世界中に無い。もちろん、台乗りした選手は、みんな凄いと思う。本気で命を懸けていたのだろう。でも、だけど、あの程度。決して手の届かないところに居るわけでは無いのだ。
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