2019年5月26日日曜日

あいみょん「君はロックを聴かない」feat.初音ミク&スキマスイッチ&三阪咲

今、最も乗っているミュージシャンと云えば「あいみょん」さんで間違いないでしょう。紅白歌合戦の出場を果たすなど、この1年間で知名度もうなぎ上りですし、FMラジオでも「ハルノヒ」とか「マリーゴールド」とかたくさん流れています。

そういえば、こんな写真がありました。「マリーゴールド」のリリース直後ですよね。今は、更にビッグな存在になって、手の届かないところに行っちゃった感じがします。
まあ、すーちゃんも逆な意味で、手の届かない存在になりましたけど・・・。


たしか、丸山純奈さんは、どこかのライブで「君はロックを聴かない」を歌ってたはずですけど、動画がないのでコメントのしようがありません。寂しい限りです。

「君はロックを聴かない」は、ちょうど2年前に発表された、彼女のメジャー3枚目のシングルだそうです。ロック好きの野郎が、彼女を部屋に招いて、自分の好きなレコードを聴かせようという歌で、「へぇ~、○○君って、こういうの聴くんだぁ。」とか、昭和のノリそのものです。
彼女に自分の好みの曲を紹介するのって、要は自分の内面を晒すことですから、ドキドキするし・・・そう云う気持ちって、時代を超えて共通の想いなんだろうなって思います。でも、ロックならまだマシな方だと思いますよ。ボーカロイドだったら彼女にドン引きされてしまうでしょうから。

22歳の彼女が描く世界にしては、ちょっとセピアっぽいなあと思っていたんですけど、「あいみょん」さんは、音楽的には父親の影響を強く受けているとのことで、ここに描かれている人物は、もしかしたら、彼女の父親そのままなのかもしれません。

なかなかの良曲ですから、YouTubeにもたくさんのカバー動画が投稿されています。
まずは、melodylightsさんの初音ミクによるカバー作品から貼り付けさせていただきます。


さすがの伴奏ですね。もちろん調教も素晴らしい。

ボーカロイド歌唱の観点から云うと、同じ「あいみょん」でも「貴方解剖純愛歌」とか、インディーズ時代の楽曲とかの方が向いているのかもしれません。でも、そういったインパクトのある曲って、人生に疲れてきた身には、聴くだけでもしんどくなるわけで、それに比べると、「君はロックを聴かない」以降の彼女の歌って、どこか安心できるって云うか、これだったらカラオケでも歌えるかも、って思わせてくれるんですよね。ホッとできるし、男目線だし、歌詞も分かり易いし・・・「あいみょん」って昭和のオジさんの救世主なのかもしれません。

次は、スキマスイッチによるカバーです。YouTubeでも人気のカバーテイクで、視聴再生数も200万回近くまで伸びてきています。コメント欄の記述によると、彼らはカバー曲中心のライブを行っていて、その時の録音なんだそうです。


僕は、「ゆず」よりも「コブクロ」よりも「スキマスイッチ」なんですが、お似合いのカバーかと思います。もともと、男歌でもありますし、彼らの世界観がこの楽曲にビンゴだったのでしょう。もし「マリーゴールド」だったら「コブクロ」がカバーすると味が出てイイ感じかもしれませんね。

次は、「三阪咲」さんです。
「三阪咲」さんは、中学生シンガーとして活躍の現在高校1年生の女の子です。「丸山純奈」さんとは同学年で、すーちゃんとは「パフォーマート5thアニバーサリーライブ」などで共演もしています。で、この時の共演者だった「冨金原佑菜」さんを含めた3人は、同学年で、それぞれ音楽チャンプに出演するなど共通点も多く、現代版の「花の中三トリオ」っていう感じでした。


いろいろと共通点の多い3人なんですけど、それぞれ個性があって、歌唱のタイプも異なり、面白いです。いつか「花の歌姫・高一トリオ」として、じっくり取り上げさせていただこうと思っていたんですが、すーちゃんが、あんな状態になってしまい残念至極でございます。

三阪咲さんは、音楽チャンプでは優勝できなかったようですが、その歌唱スタイルやルックスがうけて人気急上昇。現在では、インスタグラムのフォロワーも17万人を越えていて、ライブの動員力などは、その辺のメジャーデビューしているタレントさんよりあるんじゃないかって人気振りです。
                                                                 
彼女は、この歌を十八番にしているようで、ネット上には、たくさんのライブテイクがあります。もう少し、ちゃんと歌っているテイクもあるんですけど、今回は、面白さという理由で、こちらをセレクトさせていただきました。


彼女のファン層は、同年代、つまり若い男どもが中心のようですね。それにしても、動画撮りのスマホの数がハンパなくって、ちょっと前までの、中国でのライブみたいです。
もちろん、撮影OKだからカメラを回しているわけで、考えてみれば、これも1つのマナーかもしれません。だって、撮影してもイイですよって云ったのに、誰もカメラを回してくれなかったら、それはそれで悲しいですからね。

それにしても、たいしたステージ度胸です。とても15歳とは思えません。ファンに支えてもらっているタイプのタレントが多い昨今では、珍しいことに思います。

どうやら彼女は、1つのステージの中で、この歌はじっくり聴いてもらおうとか、この歌はお手振りに使おうとか決めているようで、そのためには、歌が多少崩れても構わないという思いっきりの良さを感じます。その辺が卓越したタレント性という評価につながっているのでしょう。ただ、このお手振りは、ファンサービスっていうよりも、振り付けの一部のようにも見えます。もちろん、手を振っている先には、誰もいないなんてことは無いとは思いますけど。

ただ、ステージを重ねるごとに歌が下手になっていく・・ていうのは言い過ぎかもしれませんけど、もう少し、歌う方にエネルギーを費やしてもイイのかなって思いました。折角の歌唱力が勿体ないです。松浦亜弥さんが、彼女と同い年の時、「あやや」は、もっとアイドルでしたけど、もう少しきっちり歌えてましたからね。

彼女って、どんなタレントさんを目指しているんでしょうか。メジャーデビューする前に、燃え尽きてしまわなければいいんだけど、なんて心配をしてしまいました。

では、御本家に登場していただいて、お終いにいたします。直に無くなりそうな動画ですので、今のうちに。


2019年5月22日水曜日

伝説のフィギュアスケーター「ジャネット・リン」を熱く語ってみた

1972年というから、もう47年前の話である。この年、札幌で冬季オリンピックが開催された。日本人のメダル獲得数は、日の丸飛行隊による、スキージャンプ70m級(ノーマルヒル)の3つだけだったが、盛り上がりは、かなりのものだった。それまで、ウインタースポーツなんて観たこともなかったから、物珍しくって、学校でオリンピックごっこをして遊んだのを覚えている。

なかでも、女子フィギュアスケートの銅メダリスト「ジャネット・リン」選手の人気は凄かった。半世紀近い昔の話である。ブロンドのショートカット、笑顔の愛くるしい18歳の女の子が、憧れの国アメリカからやってきたのだから、それだけでアイドル性は十分であった。当時、高校生だった安倍晋三総理がリンにファンレターを出して返事をもらった話は有名だ。ちなみに、彼女がもらったファンレターの総数は、1万5千通で、今でも残してあるらしい。
僕はファンになるには子ども過ぎたが、CMに出演したり、写真集が出たりしてたのを覚えている。

リン選手と云えば、フリー演技での尻もちがあまりにも有名で或る。尻もちをついての銅メダルという記憶から、実力よりも人気が先行していたスポーツ選手という印象をもっていたのだが、当時の動画を見て、彼女が素晴らしい技術をもつトップスケーターであったことを、今更ながら知った次第である。

ジャネット・リンに関する逸話は数多い。中でもホームシックに罹った彼女を励ますために、マクドナルドがオリンピック会場までハンバーガーを空輸した話は有名である。(賞味期限大丈夫か?)で、あたかも、それが札幌五輪での出来事のように書かれている記事もあるのだが、これは、その前のグルノーブル・オリンピックでの話だそうだ。


フランシス・レイの「白い恋人たち」が、フランス・グルノーブル冬季五輪の記録映画のテーマ曲だったなんて、お洒落すぎる。

リンがグルノーブルオリンピックに出場したのは14歳の時。史上最年少でのオリンピック出場であった。メディアのインタビューで、何か欲しいものは?と聞かれて、ハンバーガーが食べたいと答えたのが、それらしい。如何にもアメリカ人の女の子らしい可愛いエピソードだったので、話題になったのだろう。

グルノーブルでのリンの成績は9位とあった。その時の金メダルは、同じアメリカの「ペギー・フレミング」選手。全米選手権5連覇、世界選手権3連覇という名選手である。

そのフレミング選手がプロに転向した後、全米選手権を制したのが15歳になったリンであった。以来、1969年からプロに転向する1973年まで、ジャネット・リンは全米選手権を5連覇することになる。

1970年の世界選手権でのフリースケーティングである。16歳と云っているから、今シーズンの梨花ちゃんと同い年だ。


当時の映像では珍しく、ジャンプ名を連呼している。「次は、2アクセルだ!」みたいに跳ぶ前からジャンプ名を云ってしまうのが面白い。構成は次の通り。

①1A ②2A ③2Lz ④2Lo ⑤2T ⑥1A+2A(シークエンス)⑦2Lo ⑧1A ⑨2T ⑩2F
   
技術点5.7以上、芸術点5.8以上の素晴らしい演技で或る。って云うか、ABC放送のインタビュアー近すぎるだろっ。

ジャンプが、最高でも2回転半なので、現代のフィギュアスケートからすると、随分ノンビリした印象を受けるが、当時は、男子でも3回転が限界とされ、女子が3回転を跳ぶなんて発想そのものが無い時代だった。
ただ、つなぎのスケーティングなどは、50年近い時を隔てている現代でも充分に通じる美しさであるし、曲想に合わせて緩急を付けているところなどは、素人目にも明確に伝わってくる。

フリースケーティングでは、満足のデキの彼女であったが、この時の成績は6位だった。
 
実は、国内では無敵のリンだったが、世界選手権では、5位、6位、4位、3位となっていて、優勝できていない。これは、当時のフィギュアスケートが、規定演技(コンパルソリー)とフリースケーティングの2つで競われていたからである。両者の比率は、60:40(札幌オリンピックの時はルールが改正されて50:50)であった。さらに、コンパルソリーの方が得点差が付きやすく、コンパルソリーの強い選手が、そのまま逃げ切って優勝というのが、当時のパターンだった。

リンは、コンパルソリーを特別苦手にしていたわけでは無いらしいが、世界、特に東欧諸国などには、精密機械みたいな選手がいて、なかなか勝つことが出来なかった。フリーでは世界一、偉大なるフレミング選手をも凌ぐと云われながらも、リンは、世界チャンピオンになることができなかったのである。

札幌オリンピックに懸ける彼女の気持ちが、ハンパないモノであったのは、容易に想像できる。

全てを懸けて臨んだ札幌オリンピックであったが、リンはコンパルソリーで4位と出遅れてしまう。現在だったらSPで4位なんてのは、フリーで充分逆転可能な優勝圏内なのだが、当時の採点方法では、もはやフリーでの逆転は不可能であった。規定演技が終了した夜、選手村の部屋で大泣きしたと、彼女自身が回想している。

その2日後、リンクに現れた彼女は、いつもの笑顔に戻っていた。

「銀盤の妖精」「札幌の恋人」と呼ばれたジャネット・リン選手の伝説のフリーである。YouTubeにある幾つかの動画の中から、日本語解説ヴァージョンのこれで如何だろうか。


お上品な解説で或る。ジャンプの構成は、次の通り。(だと思う)

①2S ②2Lz ③1A+2A+2Lo(シークエンス) ④2A ⑤2A ⑥2Lo ⑦1A+2Lo(シークエンス) ⑧2T ⑨2F  

有名な尻もちは、ジャンプでは無くって、シットスピンの時だったようだ。

最大の魅せ場は、3つのジャンプを含むジャンプシークエンス。理想のジャンプは、振り付けの一部と云われるが、こういうことを云うのだろう。サルコウにしてもループにしても、フリーレッグを完全に浮かせているし、ルッツなどのエッジワークも明確だ。2回転だからできると云えばそれまでだが、ルッツだかフリップだか分からないような3回転よりも、明確な2ルッツの方が、価値があるというのがよく分かる。

芸術点で満点の6.0をたたき出したとされているが、実際に出したのは第4審判だけ(スウェーデンの審判らしい)。最高点と最低点を除いた7人の平均が得点となるから、芸術点6点というのは、正しい言い方では無い。
この得点は相対評価だから、前の演技者に高得点を付けてしまうと、その後の選手が、それ以上の演技をした場合には、さらに高得点を付けざるをえなくなる。で、転んでも6点なんてことが起きたのだと思う。まあ、おかげで話題性は抜群になったし、堂々のフリー演技1位であったのは確かだ。

ジャネット・リンは、尻もちをついてもフリーでは1位であったし、尻もちをつかなくても金メダルは取れなかったのである。

リンが絶賛されるべきは、尻もちをついても笑顔で演じきったことよりも、金メダルが絶望的な中でも笑顔でフリーを滑りきったことだと思う。この辺りは、ソチ・オリンピックでの浅田真央選手と重なるところと云えるが、異なるところがあるとすれば、リンの底抜けの明るさであろう。


「氷上の製図師」と呼ばれたオーストリアの「ベアトリクス・シューバ」選手が金メダル。フリーは7位だったものの、規定1位の大量リードで逃げ切った。銀メダルは、規定3位、フリー2位のカナダの「カレン・マグヌセン」選手だった。

コンパルソリーというのは、決められた図形の通りに滑って、その正確さを競うものである。観客にとっては、とにかく地味で退屈なものであったから、テレビ中継をされることもなかった。(唯一の例外が札幌五輪。理由は勿論、ジャネット・リンが出場したから。)その一方でフリー演技は会場も満員になるし、テレビ中継もされた。最も会場を沸かせた選手が、優勝者で無いというのは、営業的にもマズいことだったのだろう。世界選手権の表彰式で、台乗りできなかったリンを、観客がジャネットコールで呼び出したこともあったらしい。これらのこともきっかけとなって、コンパルソリーの比重を下げる提案がされる。

ところが、意外なことに、これに強く反対したのがアメリカであった。フィギュアスケートのfigureとは、形・図形のこと。コンパルソリーはフィギュアスケートそのものであり、当時の選手達にとって、コンパルソリーの無いフィギュアスケートなど考えられなかったのだろう。

結局、翌年の世界選手権から、ショートプログラムが導入され、フィギュアスケートは3種目の合計で競われることになった。比重は、規定が40%、SPが20%、フリーが40%とされた。コンパルソリーとフリーの比重を1対1のままにしておいて、演技全体のコンパルソリーの比重を10%下げるという苦肉の策で或る。

この大会で、リンは、コンパルソリーで2位と好調なスタートをきったが、ショートプログラムでは転倒が響いて12位。(ダイジェスト映像によると、この時の転倒はジャンプのときで、けっこう派手に転んでいる。)フリーでは、二人の審判員が6.0をつける圧巻の演技で1位をとるものの、総合では2位となり、またもや、世界チャンピオンになることができなかった。

1973年の世界選手権ブラチスラヴァ大会でのフリー。ジャネット・リンの集大成といえる演技だ。


優勝が絶望的な中でのフリー演技だったはずだが、兎に角明るい。アイドルのアリーナライブのノリである。

リンの演技を「時分の花」と表する記述を見たが、これはトンデモない話である。若いとか、可愛いだけで全米選手権を5連覇出来るわけなど無いし、可愛いから6点満点が出たなどと云うのは、国際審判員に対して失礼な話である。
ジャネット・リンの人気振りは異常であったかもしれない。ただ、そのアイドル的な人気のために、彼女のスケーティングが正当に評価されていないとすれば、それはそれで残念なことである。

この年を最後に、彼女は競技生活から引退。世界大会では無冠のまま競技生活を終えることとなった。
まだ若い彼女が、次のオリンピックを目指さなかったのは、持病の喘息が悪化して、競技生活を続けるのがキツくなったからだとされている。世界選手権の時も、あまり良くなかったらしい。
そういえば、彼女は演技の始まる前のポーズを取るときに、大きく呼吸をするのが特徴で、それが愛くるしい仕草にもなっているのだが、もしかしたら、笑顔の裏側で、必死に呼吸をセルフコントロールしていたのかもしれない。

リンは、145万ドルという破格の契約金でプロに転向する。当時の為替レートが1ドル265円くらいだったから、日本円に換算すると4億円ほどだ。45年前の4億円って、どのくらいの大金だったのだろう。

世界選手権でのエキシビション、確かな技術に裏打ちされたスーパーアイドルのアリーナソロライブである。4回転時代になったとはいえ、エキシビションは、今も昔も変らない。このまま、現代のアイスショーに出てきたとしても、全く違和感を感じないだろう。


お終いに・・・。
実は、リン選手への褒め言葉、助走に無駄な力を感じないジャンプとか、音楽に合わせた緩急をつけたスケーティングとかは、そのまま、梨花ちゃんが褒められていることと同じだ。スピード感溢れるアクセルジャンプとか、一気にトップスピードにもっていく加速力とか、明確なエッジワークとか、リン選手と梨花ちゃんのスケーティングには、共通点も多い。恐らく、フィギュアスケートには、50年経っても変らない、理想のスケーティングというのがあって、それを目指せば自ずから似てくるのだろう。



最大の共通点は、スケーティングに悲壮感がないところかな。

2019年5月12日日曜日

「紀平梨花」2019国別選手権 ~シンデレラの魔法が解けるとき~

4月の国別選手権をもって、梨花ちゃんのシニア1年目のシーズンが終わりました。

まずは、フリーで優勝したトゥクタミシェワ選手。挑発的なクリムキンイーグル、安定度を増してきた3アクセル、選手生命の短いロシアにあって、22才という年齢で、まだまだ進化を続けています。これで4番手なんですから、フィギュア超大国ロシア、恐るべしですね。

そういえば、グランプリファイナル表彰式後の記者会見で、梨花ちゃんとザギトワ選手が通訳を介してインタビューに答えていたのに対して、リーザは一人英語で受け答えをしていて貫禄ありまくり。借りてきた猫みたいに座っていた梨花ちゃんとは対照的だったのを思い出しました。

大人の底力というか、凄さを思い知らされた試合になりました。

今回は、アメリカとの得点差が開いていたので、最終滑走である梨花ちゃんが演技する段階で、すでに金メダルの可能性は消えてました。だから、梨花ちゃんが謝る必要なんてないんですけど、ネットニュースもスポーツ新聞も、梨花ちゃんの「ごめ~ん。」の写真一色でしたね。まあ、可愛いから載せたんでしょう。
でも、5位で留まったから良かったですよ。7位まで落ちていたら、ロシアに逆転されて銅メダルになるところでしたから、準優勝を死守できただけでも、これまた良しとしましょう。


シニアデビュー1年目にも関わらず、出ずっぱりでしたからね。出場した大会のほとんどは、地球の裏側での国際大会でしたし、アイスショーでの営業活動やマスコミ対応、それからコロラドで2回の合宿。新エキシビションプログラムの練習。精神的にも肉体的にもキツかったと思います。

冒頭の3アクセルで転倒するのは、もう見慣れた光景ですから、驚きもしなければ、がっかりもしないんですけど、中盤の3ルッツ+3トゥループでの転倒はショックでした。一つの演技で2回転倒するのは、今シーズン初めてではないでしょうか。フリーの得点138点は今季最低。シーズン最終戦が最高のSPと最低のFSという結果に終わりました。まあ、ジュニア時代から演技に波の或る子でしたから、梨花ちゃんらしいと云えばそうかもしれません。

1年前の今頃、梨花ちゃんは、シニアに上がるか、もう一年ジュニアに留まるかの選択を迫られてました。連盟としては、ポテンシャルは高いものの、あまりにも成績が安定しないので、もう一年様子を見たいというのが正直なところだったようです。結局「梨花ママ」の意向もあって、半ば強引に上がった梨花ちゃんでしたけど、国際大会の出場権も約束されていない状況での出発だったそうです。

ジュニア時代からプレッシャーに弱いと云われ、カメラのシャッター音に動揺したとか、リンクに立ったときに足が震えていたのが観客席から分かったとか、その類いの逸話には事欠かなかった彼女が、開催国枠の選考会を経て3番手の選手として出場したNHK杯で、GPシリーズ初出場での初優勝。そこからの国際大会6連勝という大活躍は、正にシンデレラ・ストーリーでした。

そして、日本のエースとして、高まる期待の中で出場した国別選手権。ショートプログラムでは、奇跡のノーミス演技で世界最高得点を更新します。


できることなれば、このプログラムをエキシビションやアイスショーでやって欲しいですね。彼女の可愛らしさを存分に引き出しているプログラムに思います。ジャンプの構成を若干落とせば可能だと思うんですけど。

演技そのもののデキは、グランプリ・ファイナルの方が上かなって思います。やはり、スピード感やジャンプの高さが少し落ちているような。けど、スピンをすべてレベル4に揃えられたのが良かったのでしょう。(GPFはレベル2が1つあり。)自身の持つ世界最高得点と、ザチトワ選手のもつ旧ルールでの世界最高得点をともに更新するという快挙を成し遂げます。

そして迎えた、翌々日のフリー演技。
ショート・プログラムで失敗することの多かった彼女は、最終滑走者として演技をしたことがあまりありませんでした。さらにフィギュアスケートでは珍しいチーム戦、エースとしての期待と、勝って当然という雰囲気。世界選手権での失敗を挽回したいという想い。その全てが、プレッシャーとしてのしかかっていたのだと思います。

結果は、2回の転倒と今季最低得点。フリーでの梨花ちゃんは、プレッシャーに押しつぶされていたジュニア時代の彼女そのものでした。シンデレラストーリーは終演し、魔法は解けてしまったのです。

フリーの演技は、見てるのも辛くなるような、或る意味、無様な姿だったんでけど、あの「ごめ~ん」のポーズを見たときに、応援する側であるはずの僕らが救われた気分になりました。彼女のスケーティングの最大の魅力って、悲壮感が無いことなんですよね。
今シーズン躍進の最大の要因は、ミスを引きずらなくなったこと。そして、これこそがシンデレラの魔法の正体だったんです。

まもなく始まる新シーズン。もう魔法ではなく、自らのメンタルで切り開かなくてはなりません。真価が問われるというのは、正にこのことでありますし、梨花ちゃんから紀平選手への第一歩だと思います。

でも、彼女の真価って、連戦連勝することにあるとは思えないんですよね。いつまでもSPでの3アクセルに拘ったり、止せば良いのに4サルコウを入れると云ってみたり、まあ、上を目指すのは、トップ・アスリートとして当然の覚悟ですけど、その覚悟に暗さを伴わないのも、これまた梨花ちゃんの良いところ。

きっと、来シーズンも、世界最高の演技の翌日に自己最低記録なんて試合が続くんでしょう。そんなバタバタ感満載、ツッコミどころ満載の演技で、たくさんワクワクさせて欲しいです。

そうそう、シーズンオフに(とは云っても、試合が無い時期というだけですが)何をしたいかってインタビュー。坂本選手は「近場で良いから一人旅がしたい」と答えたそうですけど、梨花ちゃんは「4回転の練習時間が増やせる」と言ったとか。誰か、映画にでも誘ってあげて!!!って、またコロラドに出発しちゃったかな。

2019年5月7日火曜日

炭焼きレストラン「さわやか」GWの御殿場店が400分待ち!

5月2日の午後5時頃、炭焼きレストラン「さわやか」御殿場店の待ち時間が、240組400分待ちを記録しました。って、400分と云われてもピンときませんですね。400÷60で計算すると6時間40分待ちということになります。でも「さわやか」は23時閉店のはず、そんな時間の整理券を発行しても大丈夫なんでしょうか。整理券を取っても来店しない客を見込んでるのかなぁ。

この日の「さわやか」は、どの店舗も軒並み100分~200分待ちでした。なんでこんなことが分かるのかと云うと、「さわやか」のホームページには、全店舗の待ち組数と待ち時間がリアルタイムで表示されているからです。で、行くわけでも無いのに、今日の混み具合はどんなかなって眺めるのが、趣味みたいになってしまいました。

炭焼きレストラン「さわやか」の現在の待ち状況


GW中は全店舗10:45開店で、10:30頃から整理券を発行するとのことですけど、今日の御殿場店なんて、10:35の時点で、61組112分待ちですからね・・・・でも、それなら12:30頃に着席できるわけで、ちょうど良いってことですよね。

問題は、それまでどうやって時間を潰すかってことです。

御殿場店が混むのは首都圏に近いってことと、もう1つ、近くにあるプレミアム・アウトレットとセットで訪れる客が多いからです。つまり、「さわやか」で整理券をゲットして、アウトレットへ向かう客が結構いるわけで、彼らにとっては4時間待ちとかでも全然困らないわけです。逆に、60分待ちなんて中途半端な時間だと、予定が立てにくいなんてことになります。

まるで、ディズニーランドのファストパスですね。

整理券をゲットすると、今何番まで呼ばれていて、自分の前に何組待っているのかが、スマホで分かるようになっているんですけど、凄いなぁって思うのは、ゲットしたときに表示される予想待ち時間がかなり正確で、僕の経験でも誤差は±5分くらいです。

さらに面白いのは、同じ20組待ちでも、40分待ちもあれば、60分待ちもあるんですよね。店舗ごとに席数も微妙に違うみたいですし、1組が8人なんて客もいますから、そういったところも計算に入っているようです。あとは、着席したばかりの客が多いとか少ないとかでも変わってくると思います。

予想待ち時間と客が実際に待っていた時間は、データとして蓄積されていくことによって予想値はどんどん正確になっていわけで、このあたりはAIの最も得意な分野かと思います。(さわやかの待ち時間予測にAIが使われているかどうか知りませんけど)

この正確な待ち時間予測のおかげで、いろいろと予定が立てられるってわけです。

家族で「さわやか」に行こうって話になったら、まず混み具合を調べて、ちょうど良い時刻に呼ばれるようにタイミングを見計らって、子どもに整理券を取りに行かせます。さわやかの整理券取りが子どものお使いってことですね。

新しくできた「さわやか」函南店は、町の文化センターの向かいにあって、その隣に町民図書館があります。この図書館は、田舎の町に似つかわしくない立派な図書館なんですけど、「さわやか」が開店してから来館者数が増加したと聞きました。どうやら待ち時間に図書館を訪れている客がいるようです。当初は、「さわやか」の客に図書館の駐車場を使われたら迷惑だ、なんて話もあったみたいですけど、上手い具合に共存しているようです。
今年の成人式の日には、函南店が180分待ちになりました。この日は、式典が文化センターであったんですよね。同級生と久し振りに顔を合わせて、目の前に開店したばかりの「さわやか」があれば、考えることは皆さん同じなわけで、まあ、おしゃべりをしていれば3時間くらい経ってしまうでしょうし、一度実家に戻って着替えて出直して来る、なんて奴もいたかもしれません。

「さわやか」長泉店の隣は「ノジマ電器」さんです。先日、長泉店に行った時は40分待ちくらいだったんですけど、ノジマでルンバのデモンストレーションとかを見ていたら、あっという間に時間が来てしまいました。
その長泉店の駐車場には、「タリーズ・コーヒー」の看板が出ています。看板には、「コーヒーはいかがですか。歩いて10分・車で3分」みたいなことが書いてあって、実際、何人の人がタリーズで時間を潰しているか知りませんけど、完全に「さわやか」に乗っかって商売をしています。
それから、長泉店の反対隣が工事中だったんですけど「スタバ」とかできたら最強じゃん!って思ってたら「au」だったのでガッカリしました。

連休最終日の「さわやか」は、それほど待ち時間も発生していませんでした。皆さんお家でノンビリといったところでしょうか。
まあ、待ち時間が3時間もある。ではなく、3時間後に予約が取れたという発想で来店していただければ、アタマにくることも無いかと思います。

今は、春のデザートシリーズ。完熟紅ほっぺを8粒使った「いちごジュース」496円がおすすめなんですが、まもなく終了。今度は、袋井産クラウンメロンを使った夏のデザートメニューが始まります。おすすめは「メロンパフェ」ですね。


これで691円。静岡へお越しの際には是非。

2019年5月5日日曜日

奈良「興福寺」北円堂と御朱印ブーム (No.321、No.31)

平成が終わり、令和が始まりました。で、折角の10連休ということで、性懲りも無く奈良へ行ってきました。
4ヶ月ぶりの奈良になります。奈良公園前で長らく工事中だったバスターミナルが完成していました。2階は広々としたガラス張りのスペース、スタバも入ってたりして気持ちの良いところになってましたよ。
奈良公園は中国語だらけですけど、困るほどではありません。中国人は必ず「鹿せんべい」を買うので、煎餅の売り上げはアップしたようですけど、鹿は食傷気味と聞きました。
奈良町や餅飯殿は、県内の有名店が移転してきたり、支店を出したりと、ますます賑やかです。ちょっと歩いて高畑方面へ行けば、静かに散策もできます。こだわりの古民家カフェとか、お洒落なセレクトショップとか、競争も厳しいみたいで、お店の入れ替わりもありましたけど、外国人観光客に媚びきれない不器用さと、都会に成りきれない品の良さが、奈良の魅力であります。

今回も相変わらずのノープラン旅行です。奈良町へ向かうために興福寺を通り抜けようとしたら、御朱印をいただくための行列ができてたんですよね。

年号も変ったことですし、久し振りに御朱印をいただくことにしました。行列は50人ほど。4人で書いていましたから、それほど待つこともないだろうと並んだんですけど、結局30分以上待ちました。考えてみれば、1つ1つ手書きですからね。明治神宮で、平成最後の日の御朱印が10時間待ちだってワイドショーで云ってましたけど、何千人も押し寄せれば、10人がかりで書いたとしても、そのくらいの時間はかかるってことでしょう。


令和元年5月1日付けでいただきました。通算321筆目の御朱印です。1つ300円として、御朱印代だけで10万円くらい費やしたことになります。

この日は、北円堂が開扉中でしたので、そちらにもお参りさせていただきました。前回は仏像ブームの頃でしたから、入堂待ちの行列があったと思います。そのかわりに御朱印の行列なんてありませんでしたけどね。

興福寺北円堂と云えば、何と云っても、古代インドに実在したとされる兄弟の僧侶、無著菩薩と世親菩薩の立像が有名です。鎌倉時代に運慶の工房で制作されたと云われております。



仏像というのは仏様ですから、その姿形は経典に書かれています。ですから、足がやたら甲高であったり、指が異様に長かったり、腕がのっぺりとしていて筋肉や血管が表現されてなかったりします。西洋人からすれば、人体観察もろくに出来ていない稚拙な像ということになるんですけど、そもそも仏像は人間ではありませんから、不自然なのは当然のことであります。逆に、仏像が超リアルな人間の姿をしていたら、心穏やかに拝めなくなってしまうでしょう。

ところが、無著・世親は菩薩とはいえ僧侶ですから、制作者は仏像の儀軌から解放されます。人間の像としてのリアルさを思う存分表現できるわけで、オレ達だってやればできるんだぜって云わんばかりの超リアルな人体表現が、この立像の魅力となっています。

無著・世親像は、一対として造られていますが、その人物表現は対照的です。

無著は温厚な眼差しで遠くを見つめる老年の像。世親は鋭い目で悲しみに耐えているかのような壮年の像です。後ろから見るとよく分かりますが、世親の方が背中たっぷりの体格をしております。鎌倉時代の仏師が優れているのは、両像の体格の違いが、袈裟の上からも分かるように表現できているところです。恰幅の良い人物が袈裟を着たときと、それほどでもない人物が着たときでは、シワのできかたとかも違うわけで、そういったところがちゃんと彫り分けられているんですよね。

写真映りが良いのは無著さんの方ですので、よくポスターなんかに使われます。ただ、実物を見たときに、引き込まれるような迫力を感じるのは世親さんの方に思いました。

北円堂の御朱印は、別の場所でいただくことになってて、こちらも行列ができていました。さすがに2回並ぶ気分には、なれませんでしたから、スルーさせていただきました。まあ、北円堂さんの御朱印は、前回いただいてることですし。

こちらがその時の御朱印です。


興福寺みたいな大きな寺院では、御朱印を書く人って10人以上はいると思います。当然、個性とか癖とか上手下手がありますから、どんな字を書いていただけるかも、ご縁であり、ちょっとしたスリルであります。
これは、僕がいただいた300あまりの御朱印の中でも最高の1つになります。これを書いてくれたおじさんは、太筆1本で途中で墨を継ぎ足すこともなく、一気に書き上げてくれました。興福寺を訪れる度に、もう一度、このおじさんに書いていただこうって思ってたんですけど、なかなか巡り会えないまま、10年たってしまいました。もう引退されたかもしれませんね。

ここ2、3年は御朱印ブームということで、神社や寺院の御朱印所で行列ができているのをよく見かけます。刀剣女子とか神社女子などが、ブームの火付け役だったようです。

本来、御朱印というのは、お寺さんのモノで、神社では御朱印の無いところも多く、あっても印だけの簡素なモノが多かったように思います。禅宗や浄土真宗では御朱印そのものが無かったり、真面目なお寺さんだと納経しない人には書かないなんて云われたりもしました。仏像巡りで、御朱印をいただけますかってお願いしたら、有るにはあるけど書いたこと無いって、住職にパニクられたこともありました。御朱印代を納めようとしたら、ウチはそういうところじゃ無いからって、受け取ってもらえなかったり(そういう時はラッキーと思わずに、相当額をお賽銭箱に入れましょう)、印はそこに置いてあるから自分で押してと云われたりとか。
それが、一筆書くだけで300円ですからね。今では、何処でも御朱印を受け付けるようになりました。若い子が喜びそうなデザインの御朱印を書いてくれるところもあるようです。

御朱印集めは、お守りを買って机の引き出しに仕舞いっぱなしにするよりも、ずっと記念になるし、御朱印帳を見返していると、お参りしたときのことをいろいろと思い出せますから、悪い趣味ではないと思います。

ところが、最近、御朱印をいただく側のマナーの悪さが指摘され、御朱印はスタンプラリーとは違うみたいなことが話題になっています。正しい御朱印のいただき方みたいなネット記事もたくさんあります。まあ、そんなことはブームになる前から散々言われてきたことで、御朱印集めは、お守りを買うよりも関わりが濃くなるので、いろいろなことが起きます。僕も、書いているところをちゃんと見ていろとか、スリッパの脱ぎ方が悪いとか怒られましたけど、それも徳を積むための修行みたいなものです。

現代は、お金を払う=お客さん=偉いって風潮があって、トラブルもそういう意識からきているように思います。御朱印代は、サービスを得るための対価じゃなくって、志納であり、喜捨であり、御利益を得るための寄付です。納経所で千円札を出して、お釣りを渡そうとしたお寺さんに、お納めくださいなんて云ってた人を見ましたけど、本来はそういうものなんですよね。(真似できない僕は100円玉を大量に準備してました)

ぶっちゃけ、御朱印集めは、若干マナーにうるさいスタンプラリーだと思います。マナーを守ることに心地よさを感じるスタンプラリーでいいと思います。だって、違う違うって騒ぐのも、それはそれでスタンプラリーに失礼ですからね。

今回も、御朱印をもらって直ぐに写真を撮って、SNSに上げている女性が何人かいました。朱印帳を掲げ、背景に五重塔とかを入れて写真を撮っているようです。きっとたくさんの「イイね」が貰えることでしょう。