2019年12月31日火曜日

「黒島結菜」出演映画「カツベン!」と尾花劇場(ホテルサンルート奈良)

周防正行監督の最新作映画「カツベン!」を見てきました。

公開から一週間ほどでしたが、上映回数は当初の一日5回から3回に減らされていました。上映されていた11番シアターは、映画館の中で一番小さい劇場で、座席数は70ほど、観客数は20人くらいだったでしょうか。全員が中高年のオジさんオバさんでしたよ。
「アナ雪2」や「スターウォーズ」などは別格としても、同時に公開が始まった「浜辺美波」ちゃん出演の「屍人荘の殺人」や、「橋本環奈」さん出演の「午前0時、キスしに来てよ」と比べても、かなり苦戦しているようです。


でも、見た感想は、一言で云うと面白かったです。世間に広く知られてないのが勿体ないとも思いました。登場人物のキャラが立ちまくっていて、悪役がどこまでも悪い奴らで、分かりやすくって、爽快で、痛快で、これぞ娯楽映画って感じでしたよ。

もし、貴方が、かつてのドリフターズのような、頭の上にタライが落ちてくるギャグを面白かったと思い、キャラメルの味を懐かしいと感じられるのでしたら、鑑賞されることを強くお勧めいたします。ですから、対象年齢は45才以上と云ったところでしょうか。って、最も映画を観ないだろう世代が対象年齢ってことが、苦戦している最大の原因かもしれません。


もちろん、主人公の成長過程がきちんと描かれていないとか、終盤のドタバタ追いかけっこが長くてクドいと云ったツッコミどころはあります。お若い世代だと、子供が万引きをする場面などは、嫌悪感をいだくかもしれません。
活動弁士の魅力についても、しっかり描けているとは言えません。だって、出てくる弁士がヘンテコリンな奴らばかりなんですから。でも、昔、こういう人たちがいたんだなってことは分かりましたし、もし興味を持ったのなら自分で調べればいいわけですからね。

まあ、不満があるとすれば、黒島結菜さんの出演時間が、思いの外短かったことでしょう。


映画と云うと、「アルキメデスの大戦」のVFXや、「ボヘミアン・ラプソディー」の合成映像など、観客にそれらしく見せるという手法が当たり前になっています。けど、「カツベン!」は、セットを組んだり、ロケをしたり、大勢のエキストラを使ったりといった昔ながらのやり方で作られていました。丁寧に作られた手作り感満載の作品と云ったところでしょうか。

映画の中で白黒の無声映画を映すシーンがあるんですけど、あれって、昔の映画を流用しているのでなくって、この映画のために、昔の映画っぽく撮り直していたんですよね。


で、その劇中映画の「金色夜叉」のお宮が上白石萌音さんだったり、「椿姫」を城田優さんと草刈民代さんが演じていたりと、ちょい役にも有名な俳優さんが次から次へと出てきて・・・まあ、それを批判的に書くコメントもありますけど、オールスター勢揃いの昔の忠臣蔵みたいで面白かったです。年末ですからね。


「十戒」で海が割れるシーンがあって、その時の「モーゼ」は竹中直人さんの一人二役だったそうです。(後で知りました)演じていて絶対楽しかったと思います。

それから、青木館付きの楽士で管楽器を演奏していたのが、「アシガール」で木村先生を演じた「正名僕蔵」さんでした。


完璧な落武者ぶりでした。で、今回は、お洒落なクラリネット奏者。黒島結菜さんともたくさん共演している正名僕蔵さんですけど、何の役をやっても良い味を出しています。映画もドラマもこういう役者さんの存在があってこそ成立するのでしょう。

で、映画に出てきた活動写真館「青木館」のモデルの1つが、昭和54年まで奈良市高畑町にあった「尾花座(尾花劇場)」なんだそうです。これが芝居小屋だった頃の尾花座です。


こちらが映画に出てくる青木館です。雰囲気が似ていますよね。


現在、尾花劇場の跡地には「ホテルサンルート奈良」が建っています。実は、僕は奈良が好きで年に何回か訪れているのですが、サンルートをよく利用していたんです。猿沢の池の畔にあって便利だし、行楽シーズンを外せば安く泊まれますし、駐車場無料だし、ビジネスホテルよりもちょとだけ高級感あるし、何より朝食バイキングがすご~く美味しいんですよ。


で、つい先日もサンルート奈良に泊まって、その時にカツベンのチラシを見つけて、青木館のモデルだってことを知った次第です。映画に出てきた車のナンバープレートが奈良ナンバーだったので、奈良が舞台なのは分かっていたんですけど、こんなところでつながっているなんて驚きました。


「尾花座」の名は、小屋の横を流れている「尾花谷川」からとったようです。尾花谷川は猿沢の池の南側を流れ、やがて「率川(いさがわ)」と名前を変えます。率川は万葉集にも歌われた由緒正しい(?)川ですが、市街地化よって、ほとんどが暗渠化され、今はその流れを見ることができなくなってしまいました。

芝居小屋「尾花座」は、大正9年(1920年)に映画館「尾花劇場」となりますが、昭和54年(1979年)に閉館し、その跡地に建てられたのが「サンルート奈良」だそうです。実は、サンルート奈良はサンルートチェーンに加盟していますが、独立した会社で、今の社長さんは映画館を開業した方の曾孫さんだそうです。それから、映画館からホテル業への転進を決断した先代の社長さんもご健在で、僕が泊まったときも、きちんとした身なりでロビーを見回っていらっしゃいました。

サンルート奈良は独特の雰囲気があって、全然サンルートっぽく無いので不思議だったんですけど、その理由がようやく分かりました。

映画「愛染かつら」が大ヒットした頃の尾花劇場の写真です。写真の説明に昭和20年の年末に前編、21年の年始に後編が上映されたとありましたから、再上映の時でしょうか。太平洋戦争が終わって平和になって、恋愛モノを自由に上映できるようになった頃ですね。奈良は空襲に遭わなかったから、映画館も無事だったのでしょう。終戦直後の極端な食糧難で、餓死者も出るだろうと言われていたこの時期に、愛染かつらを見に集まった人たちです。とにかく人が多すぎて映画館の窓ガラスが割れてしまったそうですよ。


尾花劇場の雰囲気は、映画に出てくるライバルの「たちばな館」に似ているように思います。

さて、ホテルのホームページによると、サンルート奈良は、サンルートホテルチェーンとの加盟契約を終了して、令和2年6月より「ホテル尾花」と改名し、マークもサンルートから、かつての尾花座のものに変わるようです。

古民家が集まる奈良町も賑わっていますし、古いモノ伝統のあるモノは、それだけで価値があるという時代になったと云うことでしょうか。「カツベン!」の封切りが、尾花座復活のきっかけになったのかもしれませんね。


「カツベン!」は、見終わった人たちが、「面白かったねぇ」なんて云いながら、笑顔で劇場から出てくるような映画でした。そのうちテレビでも放送されるかもしれませんけど、無声映画を画面いっぱいに映し出すシーンなんかは、やっぱり本物のスクリーンで見た方が絶対良いと思います。

理屈抜きで、泣いたり笑ったり楽しめるのが映画の良さ。それは、カツベンの大正時代も、生きるだけで精一杯だった終戦直後も、令和の現代も変わらないものなんだなって思いました。ネタバレとか全然関係ないんで、僕も、もう1回見たいと思っています。まだの方も、騙されたと思って是非。

2019年12月27日金曜日

「紀平梨花」全日本フィギュア選手権2019 ~3A+3Tという選択~

今年の全日本フィギュア選手権は波乱だらけの大会だったが、女子は梨花ちゃんのぶっちぎり優勝で終わった。

NHK杯から全日本まで、5週間で3つの大会。そのうちの1つはイタリアまで出かけているのだから、連戦の緊張と時差ボケで、精神的にも体力的にも厳しかったことと思う。

だから、4回転サルコウを回避したことも致し方ない。・・・だったら、4回転絶対入れますなんて、云わなければいいのにと思う。どうせ、空気を読んで云わされちゃってるんだろうけど、翌日の見出しが「4回転回避するも優勝」みたいになって、せっかくの初優勝の演技がイマイチだったような印象を与えてしまうからだ。


今シーズンは、ロシアの女の子たちのインパクトが凄いし、実際、国際大会で優勝できていないけど、梨花ちゃんの演技のデキは決して悪くない。


リアルタイムでのテレビ観戦というのは、転倒しちゃったらどうしようなんてハラハラドキドキできて楽しいものである。

で、ジャンプの構成は次の通り。

 ①3S ②3A+3T ③3F ④3A ⑤3F+2T ⑥2A+2T+2Lo ⑦3Lo

2つのトリプルアクセルを含む7トリプルで、減点無し。ルッツを封印しての155点台なんだから、昨シーズンだったら大絶賛である。


全日本フィギュアは、3月の世界選手権の出場権がかかっている大切な大会だ。梨花ちゃんはSPで首位に立っているとは云え、ミスもあって得点は73点。2位との差はわずか3点の混戦である。まあ、フリーで大コケしたとしても、今までの実績があるから、代表には選ばれるだろうけど、それでは後味が悪い。何よりも、彼女は未だこのタイトルを取ったことが無いから、絶対優勝したいと思っていたはずだ。

梨花ちゃんは、演技後のインタビューで、4サルコウを回避することを決めたときに、代わりに3アクセル+3トーループを跳ぼうと思ったと答えた。

だけど、この構成で、2番目に3A+3Tは有り得ない。リスクが大きいからだ。実際、3Tで回転不足を取られた。回転不足だけならまだしも、転倒してしまったら4回転サルコウを回避した意味そのものがなくなってしまう。

しかも、2番目に3Tを跳んでしまったから、5番目の連続ジャンプを3Tから2Tに変えなくてはならない。これだと得点が1.1倍になる5番目に、3Tよりも得点の低い2Tを跳ぶことになって、基礎点が下がってしまう。難易度を上げたのに得点は下がるなんていう構成を、コーチが指示するとは思えないから、これは梨花ちゃん自身の判断なんだと思う。

でも、僕は、このインタビューを聞いて嬉しくなった。これこそ、梨花ちゃんが梨花ちゃんである所以だからだ。梨花ちゃんの無意味なチャレンジャー精神は健在だったのだ。
今回は、全日本チャンピオンのタイトルを取ることを優先して安全策に出たけど、彼女は本当に4回転サルコウを跳びたかったんだと思う。梨花ちゃんは、逃げてなんかいなかったのだ。


そういえば、今シーズンは靴のことをあーだこーだと云わなくなった。きっと靴の締め方にこだわることに飽きたんだと思う。その代わりに、お昼寝の話ばかりしている。寝られなかったからダメだったとか、寝られなかったけど良かったとか・・・それって、お昼寝関係ないってことだろっ!

まあ、それで、メンタルコントロールしているのだろうけど・・・。

それにしても、ルッツの封印期間が長すぎる。本当に足首の状態が原因なのだろうか。もし、足首を故障しているのであれば、他のジャンプにも影響が出そうなのに、そんな様子は全然見られないんだから、逆に心配になってしまう。

次の試合は、2月の四大陸選手権。韓国で開催されるから、リアルタイムでテレビ放送されるだろう。梨花ちゃんならではのハラハラドキドキ、つっこみどころ満載の演技が楽しみである。

2019年12月15日日曜日

「紀平梨花」GPF2019 ~ジャンプ大会と化したファイナルに果敢に挑む格好良さ~

いやぁ、今年のグランプリ・ファイナル、面白かったですね。男子ではネイサン・チェン選手の近未来的理解不能衣装や、羽生選手の幻に終わった3A+3Aのジャンプシーケンス。ジュニア男子では日本選手の久し振りの活躍。女子では、記者会見でのロシアの女の子たちの態度が悪かったとかで、演技でも場外でもツッコミどころ満載の大会でした。


で、そのグランプリファイナルの総括もできていないのに、今度は、ザギトワ選手の休業宣言ですからね。展開が早すぎてついていけません。

男子は、ネイサン・チェン選手と羽生結弦選手の異次元一騎打ち。他の選手がこの争いに全然ついていけず、二人で勝手にやってろ状態。とにかく、チェン選手の演技があまりにも完璧すぎて、全然頭に残りません。松浦亜弥さんのアイドル時代に、「完璧すぎて萌えられない」という名コメントがありましたけど、正にそれ。


一方、羽生選手は、演技終了時の倒れこみ方とか、プーさんシャワーとか、こちらの演出は完璧。キスクラまでを演技に含めれば、演技構成点では圧勝していたと思います。


結果的には世界選手権で大敗を喫した羽生選手が、リベンジを図るも返り討ちに遭ったかたちになりました。

で、演技予定表で、ジャンプの7番目に3A+3A+SEQってあったんで、もの凄い楽しみにしていたんです。連続トリプルアクセルのジャンプシークェンス・・・そんなの見たことありませんからね。そしたら、すっぽ抜けのシングル・アクセル・・・。
全日本選手権では、4ルッツとか4ループとか全て回避しても構いませんから、今度こそ3A+3A+SEQを披露して頂きたいものです。

さて、紀平梨花選手は、今シーズン好調だったはずのSPにおいて、連続ジャンプで転倒するなど、まさかの最下位。大舞台になるほどコケてしまうジュニア時代の梨花ちゃんの悪いところが出てしまったかのようです。
インタビュー記事によると調整失敗とのことですが、そういうことを喋っちゃうところが梨花ちゃんなんですよね。けど、そのまま流してしまうメディアもメディアですよ。まあ、僕が梨花ちゃんを紀平選手と呼ぶことができないのもこういうところにあるんですけど・・・でも、嫌いじゃ無いです。


翌日のフリー演技。テレビ放送は夜からだったんですけど、試合は朝のうちに終わっていました。パソコンを開いたら、ネット上にプロトコルは公開されているわ、動画はアップされているわで、ネタバレどころの話ではありません。
で、出場6選手のプロトコルを眺めていたら、何だか涙が滲んできてしまって・・・プロトコルを見て感動できるなんて・・・何だか一端のフィギュアファンになった気分です。

だって、どの選手もガンガン攻めまくっていて、守りの演技をしている子が一人もいないんですから。あの大人しそうなシェルバコワちゃんが、いきなり4フリップにチャレンジしてくるなんて思わなかったし、どの選手も失敗を厭わず大技をバンバン繰り出していて、フィギュアスケートってスポーツなんだなと改めて感じた次第です。
試合結果どころか、誰が何をやってどうなったかまで全て分かってしまいましたけど、テレビ放送を見ないわけにはいかないなと強く思いました。


結果的には、ノーミスで完璧な演技をしたコストルナヤ選手が勝ちました。4回転が無くてもフリーで160点台が出せることを証明してくれましたからね。いろんな意味で収穫の多い大会だったと思います。

紀平選手のフリー演技の動画です。繋ぎのスケーティングが単調に感じるのは、ジャンプをするのに精一杯だったからでしょうか。このあたりがコストルナヤ選手との得点差だったのかな。まあ、これからさらにブラッシュアップされてくるでしょうから、シーズン後半に期待しましょう。


で、ジャンプの構成は、次の通りです。

①4S ②3A+2T ③3F ④3A ⑤3F+3T ⑥2A+1Eu+3S ⑦3Lo

何と云っても、やると言いながらずっと回避してきた4サルコウに初チャレンジしたことでしょうね。それから、6番目の3連続ジャンプを2A+2T+2Loから+1Eu+3Sにアップグレードしてきたのも嬉しいところです。これに封印してきた3ルッツが加われば、フリーで160点台に乗せることができますから、ロシアの女の子たちにも対抗できる構成になります。

今回は、4Sで転倒しましたけれど、きっちり回りきっていましたからね。これで失敗しても4点近く貰えます。さらに、転倒した後の演技で大崩れすることなく、2つの3アクセルを跳べたことは、大きな自信になったのではないでしょうか。来週の全日本選手権でも4Sに挑戦するはず。もう回避する理由も必要も無いですからね。

さて、ザキトワ選手の休業宣言を受けて、フィギュアスケートの在り方が議論になっています。


新横浜で初めてフィギュアスケートを見たとき、誰よりもファンを楽しませてくれたのがザギトワ選手でした。でも、その裏で、彼女は苦しんでいたんですよね。3月の世界選手権での気迫溢れる演技。あの時に彼女は燃え尽きていたんだなって思いました。グランプリ・ファイナルまで必死に頑張ってきた彼女を全力で讃えたいと思います。

ロシアの女の子たちの登場により、今シーズンの競技がジャンプ大会になってしまったのは確かです。世界チャンピオンが17才で事実上の引退に追い込まれるようなこの情況を正しいとは思いません。が、フィギュアスケートがスポーツで或る以上、そういう側面を全く否定することもできません。

そんな中、羽生選手にしても梨花ちゃんにしても、演技力で勝負するというやりかたもあったはずなのに、果敢にジャンプ合戦に挑んでいった。これを格好良いと云わずして何と言えましょう。

無難に演技して3位狙いなんて梨花ちゃんには似合いませんからね。「紀平梨花ロシア勢に惨敗」ってマスコミは書きたてるのだろうけど、梨花ちゃん本人は手応えを感じていたと思います。演技最後の控えめなガッツポーズ。ロシアの女の子たちに惨敗したのに、4サルコウで転倒したのに、何故ガッツポーズなのか。ファンはその意味を分かっていますから。

2019年12月7日土曜日

NHK連続テレビ小説「スカーレット」で「黒島結菜」が演じる「松永三津」とは

NHK朝の連続ドラマ「スカーレット」に、「黒島結菜」さんが1月初旬から出演します。で、ファンの間に、その役どころについて懸念する声が広がっております。
「スカーレット」は、信楽の陶芸家「神山清子」さんをモデルとした創作ドラマですが、史実に照らし合わせた場合、黒島結菜さんが演じる「松永三津」という女性は、主人公の旦那さんと不倫関係になり、家庭を滅茶苦茶にした嫌われ役と予想されるからです。

こちらは、1月13日の投稿記事のリンクになります。


さて、一部のファンの間では、黒島結菜さんの役どころを、同じく神山清子さんの弟子で、神山親子を献身的に支えた陶芸家「牛尼瑞香」さんに求める希望的観測があるようですが、出演時期を考えると黒島さんは伊藤君の少なくとも10才以上歳上の役であり、その可能性は低いかと思います。もちろん、スカーレットはオリジナルストーリーですから、如何様にも作り替えることはできますけど、そこまで変更してしまっては、牛尼瑞香さんをモデルにしたとは云えなくなってしまいますからね。


実在の名前と役名と俳優名が混在していますが、整理するとこうなります。

 実名 → 役名  → 俳優名
神山清子→川原喜美子→戸田恵梨香
神山易久→十代田八郎→松下洸平
神山賢一→川原武志 →伊藤健太郎
 ?  →松永三津 →黒島結菜

神山清子さんの旧姓は「金場清子」とありました。結婚して神山姓になったのですが、離婚後も神山をそのまま名乗っています。既に陶芸家「神山清子」の名前は広く世間に知られていましたからね。ただ、一説には、(ドラマでもそうですけど)清子さんは父親との折り合いが悪く、また在日朝鮮人と間違えられる金場姓を嫌っていたとも云われております。神山姓は、信楽では由緒正しい名字だそうです。
ただ、神山易久氏の経済状態は悪く、神山夫婦はマスオさん状態だったと云われています。二人が「寸越窯」を開いた資金も清子さんの父親から出ていて、離婚後の窯の権利も清子さんが継いで現在に至っております。

さて、黒島結菜さんがドラマに登場する、つまり清子さんに弟子入りする頃は、長男の賢一君は未だ子供ですから、伊藤健太郎君の役には子役を立てると思われます。
伊藤健太郎君が演ずる「神山賢一」氏は、若くして白血病で亡くなります。この時の親子の物語は、それだけで大型ドラマが作れるほどでして、2月以降のスカーレットの盛り上がりは凄いことになるでしょうし、伊藤健太郎君の好感度もバカ上がりになろうかと思います。

さて、神山清子さんの自伝映画などで描かれている彼女の夫「神山易久」氏は、妻の才能に嫉妬し、若い女性の弟子(清子さん側の資料では使用人)と駆け落ちするゲスな男ですが、それはあくまでも清子側から描かれた物語の場合でして、史実の「神山易久」氏は、国際的にも著名な陶芸家であります。


まあ、芸術家どうしの結婚が上手くいきそうにないことは容易に想像できますし、清子さんのような凄すぎる女性の旦那を務めるというのも大変なことに思います。窯元経営についても、陶芸家としての評価も常に清子さんの方が高かったわけで、そんな時に、自分の云うことを聞いてくれる若い女性に出会ったら・・・心を奪われてしまうのも致し方ないと思うんですよね。

離婚の原因は、今で云うところのDVとされています。ただ、史実はプライベートな問題ですから、他人がどう云うものではありません。大切なのはドラマとしてどう描くかです。清子さんをモデルにした場合、その原因を愛人の存在に求めていました。あの女さえいなければこんなことにはならなかったという論理です。
易久氏には、才能ある妻を陰で支えるという人生の選択肢もあったはず。でも、それを許さなかったのは、彼の陶芸家としての才能ではないでしょうか。だとすれば、物語の描き方も大きく変わっていくはずです。

神山易久氏についてネットで検索したところ、神山清子さんの夫であったことは伏せられているような印象を受けましたし、駆け落ちしたと言われている女性については、その後どうなったのか全く分かりませんでした。まあ、黒歴史と云ったところでしょうか。
ただ、この夫婦は離婚したことによって互いに成功したわけで、神山易久氏の才能は清子さんと離れることによって開花したのですから、黒島結菜さんが演じる「松永三津」という女性は、易久氏の才能の救い主という言い方もできようかと思います。


神山易久氏をモデルにした「十代田八郎」は、ドラマでは好意的な描かれ方をしています。俳優「松下洸平」君の好感度も高いようです。そこに黒島結菜さんが絡んでくるわけですからね。単純な嫌われ役で無いことは確かです。僕は、「スカーレット」が、ゲスな男という扱いを受けてきた神山易久氏とその愛人をどのように描くのかが楽しみで仕方ありません。
松永三津は難しい役どころですけど、女優としてこれほど面白い役は無いように思います。そして、その配役に黒島結菜さんを指名してくれた内田Pには感謝しかありません。


今後の史実(と云われていること)をもう一度整理してみました。

①「神山易久」「神山清子」夫妻は共同で自宅に穴窯「寸越窯」を開く。
②清子氏の陶芸家としての評価が高くなるにつれ、二人の関係が悪化していく。
③二人は離婚し、易久氏は内弟子の女性を伴い家を出る。子供の親権と窯の権利は清子氏が得る。
④窯の顧客は易久氏についたため、残された「寸越窯」の経営が苦しくなる。
⑤逆境の中、清子氏は自然釉薬を使った古信楽の再現に成功し、陶芸家として高い評価を得る。
⑥長男「神山賢一」氏も陶芸家になり、釉薬を使った「天目茶碗」の研究に没頭する。
⑦賢一氏が白血病で亡くなる。この時のドナー探しの活動が現在の骨髄バンク設立の元になる。
⑧易久氏は「自然釉」「須恵器」などの研究を重ね、「メトロポリタン美術館」をはじめ多くの美術館に作品がコレクションされるなど、国内外から高い評価を受けるようになる。

これを残り3ヶ月間でやってしまおうというのですから、怒濤の展開になりそうですね。


そうそう、最初に出てきた「牛尼瑞香」さんですけど、そういう純粋な女性の役は、僕的には「浜辺美波」ちゃんが適任かと思います。きっとステキなシーンが撮影できるかと思いますが、如何でしょうか。

2019年12月2日月曜日

日曜劇場「グランメゾン・東京」で萌絵ちゃんが作る「モンブラン・アマファソン」が食べたい。

面白いですねぇ、木村拓哉さん主演の「グランメゾン・東京」。日曜日が来るのが楽しみです。視聴率は12%ほどでビミョ~なんて報道がありますけど、メディアはキムタクを叩くことを使命としていますからね。TBSが続編を検討しているそうですから、ヒット作であることは間違いないと思います。

ドラマの魅力については、あちらこちらで皆さんが語られている通りです。料理を作るシーンは、かつてのビストロスマップや料理の鉄人みたいだし、ミステリーを絡めた展開もテンポ良くって面白いです。
こういった、チームで頑張ろう物語は、登場人物のキャラ立てが重要なんですけど、脇を固める俳優さんたちが、ベテランも若手も存在感をバンバン発揮してくるんで、どんどん引き込まれてしまいます。

そんな中で、パティシエの松井萌絵役を演じているのが「吉谷彩子」さんです。他の出演者と比較すると存在感は薄めなんですけど、生意気キャラが程良く心地よくって、イイ感じなんですよね。


吉谷彩子さんはトライストーン所属の・・・って、この子もトライストーンなんですね・・・子役でデビューして芸歴は20年以上、ドラマ50本以上、映画20本以上、CMにもたくさん出演しているベテラン俳優さんなんだそうです。NHKの朝ドラや大河にも出演経験があるそうですけど、最近の大きな役としては、日曜劇場の「陸王」で可愛い女工さんを演じたことでしょうか。


陸王は見てましたんで、そういえばそんな子がいたなぁって程度なんですけど、「竹内涼真」くんがフライデーされた時のお相手の女の子だったんですね。半同棲とか騒がれたようです。まあ、未成年のアイドルじゃないんですから、本当に好きならば別に良いと思うんですけど、双方の事務所(ホリプロとトライストーン)が出てきて、お友達宣言を出して幕引きとなったようです。でもこうやって、再び日曜劇場で、今度はもっと大きな役を演じるんですから、なかなか逞しい女優さんに思います。

ちなみに、悪役の「手塚とおる」さんもトライストーン所属の俳優さんです。


では、さっそく、萌絵ちゃん大活躍の第4話のダイジェスト動画です。
「松井萌絵」の人物設定は、設定年齢27才、美術大学出身で抜群の美的センスを持ち、コンクールの受賞経験もあるパティシエールと云ったところのようです。


これが、ドラマで登場したモンブランですね。焼き栗の風味があるそうですよ。


最近は、チョットしたカフェでも、大きなお皿に可愛くケーキを盛り付けて出してくるようになりましたけど、それにしても、美味しそうに作るものですね。テレビ画面に出てきた瞬間、うわーって声を出してしまいました。崩してしまうのが勿体ないです。

こちらは、酷評された試作品1号です。十分に美味しそうなんですけど。


さて、モンブランの師弟対決ですけど、結局、マロンクリームは祥平君に作ってもらったんですよね。で、レシピ的には尾花も同様の域に達していたことになっています。ただし、ケーキに仕上げたのは萌絵ちゃんですからね。その美的センスは天才シェフ尾花も認めるモノだった、というのがオチだったように思います。
デザートって、味だけでなく、見た目のわくわく感も大事ですからね。リンダも絶賛してくれましたし。

僕が子どもの頃のモンブランと云うと、ぐるぐる巻きの黄色い餡子がのってるやつで、とくに美味しいとは思ってませんでした。そもそも、ケーキに餡子がのっているのが理解できなかったですね。昭和の田舎のケーキ屋では、本物の栗なんてろくに使ってなかったでしょうし、モンブランが美味しいなんて思ったのは最近のことです。

ちなみに、この季節、炭焼きレストラン「さわやか」でも渋皮栗モンブランを提供中です。萌絵ちゃんの美的センスには敵いませんですが、ちゃんと大きなお皿で出てきます。


「さわやか」というと、皆さん「げんこつハンバーグ」を食べただけで帰っちゃうんですけど、さわやかでデザートを食べないなんて勿体ない話です。


で、吉谷彩子さんですけど、生意気キャラを演じて可愛いと云ってもらえるのは若手女優の特権。これからもドラマの中での存在感ある演技を楽しみにしております。