2019年12月15日日曜日

「紀平梨花」GPF2019 ~ジャンプ大会と化したファイナルに果敢に挑む格好良さ~

いやぁ、今年のグランプリ・ファイナル、面白かったですね。男子ではネイサン・チェン選手の近未来的理解不能衣装や、羽生選手の幻に終わった3A+3Aのジャンプシーケンス。ジュニア男子では日本選手の久し振りの活躍。女子では、記者会見でのロシアの女の子たちの態度が悪かったとかで、演技でも場外でもツッコミどころ満載の大会でした。


で、そのグランプリファイナルの総括もできていないのに、今度は、ザギトワ選手の休業宣言ですからね。展開が早すぎてついていけません。

男子は、ネイサン・チェン選手と羽生結弦選手の異次元一騎打ち。他の選手がこの争いに全然ついていけず、二人で勝手にやってろ状態。とにかく、チェン選手の演技があまりにも完璧すぎて、全然頭に残りません。松浦亜弥さんのアイドル時代に、「完璧すぎて萌えられない」という名コメントがありましたけど、正にそれ。


一方、羽生選手は、演技終了時の倒れこみ方とか、プーさんシャワーとか、こちらの演出は完璧。キスクラまでを演技に含めれば、演技構成点では圧勝していたと思います。


結果的には世界選手権で大敗を喫した羽生選手が、リベンジを図るも返り討ちに遭ったかたちになりました。

で、演技予定表で、ジャンプの7番目に3A+3A+SEQってあったんで、もの凄い楽しみにしていたんです。連続トリプルアクセルのジャンプシークェンス・・・そんなの見たことありませんからね。そしたら、すっぽ抜けのシングル・アクセル・・・。
全日本選手権では、4ルッツとか4ループとか全て回避しても構いませんから、今度こそ3A+3A+SEQを披露して頂きたいものです。

さて、紀平梨花選手は、今シーズン好調だったはずのSPにおいて、連続ジャンプで転倒するなど、まさかの最下位。大舞台になるほどコケてしまうジュニア時代の梨花ちゃんの悪いところが出てしまったかのようです。
インタビュー記事によると調整失敗とのことですが、そういうことを喋っちゃうところが梨花ちゃんなんですよね。けど、そのまま流してしまうメディアもメディアですよ。まあ、僕が梨花ちゃんを紀平選手と呼ぶことができないのもこういうところにあるんですけど・・・でも、嫌いじゃ無いです。


翌日のフリー演技。テレビ放送は夜からだったんですけど、試合は朝のうちに終わっていました。パソコンを開いたら、ネット上にプロトコルは公開されているわ、動画はアップされているわで、ネタバレどころの話ではありません。
で、出場6選手のプロトコルを眺めていたら、何だか涙が滲んできてしまって・・・プロトコルを見て感動できるなんて・・・何だか一端のフィギュアファンになった気分です。

だって、どの選手もガンガン攻めまくっていて、守りの演技をしている子が一人もいないんですから。あの大人しそうなシェルバコワちゃんが、いきなり4フリップにチャレンジしてくるなんて思わなかったし、どの選手も失敗を厭わず大技をバンバン繰り出していて、フィギュアスケートってスポーツなんだなと改めて感じた次第です。
試合結果どころか、誰が何をやってどうなったかまで全て分かってしまいましたけど、テレビ放送を見ないわけにはいかないなと強く思いました。


結果的には、ノーミスで完璧な演技をしたコストルナヤ選手が勝ちました。4回転が無くてもフリーで160点台が出せることを証明してくれましたからね。いろんな意味で収穫の多い大会だったと思います。

紀平選手のフリー演技の動画です。繋ぎのスケーティングが単調に感じるのは、ジャンプをするのに精一杯だったからでしょうか。このあたりがコストルナヤ選手との得点差だったのかな。まあ、これからさらにブラッシュアップされてくるでしょうから、シーズン後半に期待しましょう。


で、ジャンプの構成は、次の通りです。

①4S ②3A+2T ③3F ④3A ⑤3F+3T ⑥2A+1Eu+3S ⑦3Lo

何と云っても、やると言いながらずっと回避してきた4サルコウに初チャレンジしたことでしょうね。それから、6番目の3連続ジャンプを2A+2T+2Loから+1Eu+3Sにアップグレードしてきたのも嬉しいところです。これに封印してきた3ルッツが加われば、フリーで160点台に乗せることができますから、ロシアの女の子たちにも対抗できる構成になります。

今回は、4Sで転倒しましたけれど、きっちり回りきっていましたからね。これで失敗しても4点近く貰えます。さらに、転倒した後の演技で大崩れすることなく、2つの3アクセルを跳べたことは、大きな自信になったのではないでしょうか。来週の全日本選手権でも4Sに挑戦するはず。もう回避する理由も必要も無いですからね。

さて、ザキトワ選手の休業宣言を受けて、フィギュアスケートの在り方が議論になっています。


新横浜で初めてフィギュアスケートを見たとき、誰よりもファンを楽しませてくれたのがザギトワ選手でした。でも、その裏で、彼女は苦しんでいたんですよね。3月の世界選手権での気迫溢れる演技。あの時に彼女は燃え尽きていたんだなって思いました。グランプリ・ファイナルまで必死に頑張ってきた彼女を全力で讃えたいと思います。

ロシアの女の子たちの登場により、今シーズンの競技がジャンプ大会になってしまったのは確かです。世界チャンピオンが17才で事実上の引退に追い込まれるようなこの情況を正しいとは思いません。が、フィギュアスケートがスポーツで或る以上、そういう側面を全く否定することもできません。

そんな中、羽生選手にしても梨花ちゃんにしても、演技力で勝負するというやりかたもあったはずなのに、果敢にジャンプ合戦に挑んでいった。これを格好良いと云わずして何と言えましょう。

無難に演技して3位狙いなんて梨花ちゃんには似合いませんからね。「紀平梨花ロシア勢に惨敗」ってマスコミは書きたてるのだろうけど、梨花ちゃん本人は手応えを感じていたと思います。演技最後の控えめなガッツポーズ。ロシアの女の子たちに惨敗したのに、4サルコウで転倒したのに、何故ガッツポーズなのか。ファンはその意味を分かっていますから。

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