2019年7月31日水曜日

NHKドラマ「アシガール」~謎に満ちた永禄2年という設定~

永禄2年は、西暦で云うと1559年だそうだ。で、物語における現代とは、ドラマでは平成29年(2017)、コミックの連載開始だと平成23年(2011)となり、年数差は、それぞれ458年、452年となって、ずいぶん中途半端な印象を受ける。

ドラマでは、唯之介は城下の商人から永禄2年であることを教えてもらうのだが、コミックではそのような場面は描かれていない。ただ、平成に戻ってきたときに、制服の上着を永禄2年に置いてきたみたいなことを云っているので、戦国で生きていた1ヶ月の間に、永禄2年という年を知ったのだろう。当然のことながら、永禄2年が西暦1559年にあたることは、郷土史家でもある社会科の木村先生に教えてもらうまでは、知らなかったようである。

それにしても、何で、永禄2年という年代設定にしたのだろう。

実は、「アシガール」の時代考証については、意外と杜撰だなと思わせるところも多い。その中で、最も象徴的で、多くの歴史ヲタクから指摘されているのが「黒羽城」で或る。戦国時代中期だと云うのに、黒羽城には、立派な石垣に囲まれた5層7重の天守閣がそびえ立っている。特に、一階部分が石垣からハミ出ているのは、「張出造り」という独特の構造で、これは熊本城が有名なのだが、熊本城が加藤清正によって築城されたのは、1600年で・・・っていうか、黒羽城は、熊本城そのままである。原作者の「森本梢子」さんは熊本の方だそうだから、郷土愛ゆえの設定ということで、理解しておこう。

僕は、日本のコミックというのは、作品を描くにあたっては、スタッフさんたちを使って、膨大な資料を収集して描いているのだと思っていたし、そのクオリティーがあるから、海外からも高く評価されているのだと思っていたのだが、原作者さんは、そういうところは、あまり気になさらない方らしい。まあ、読者に分かりやすく伝えるためにワザとそうしている可能性も無くはないが・・・。

でも、嬉しいことに、ドラマ判の黒羽城は、NHKの時代考証と大河ドラマで培った技術力で、戦国中期の地方領主の居城に相応しい造りとなって蘇っている。NHK時代劇スタッフのフォローは、この他にも、至る所で見受けられるのだが、「アシガール」は、素敵なStoryを構成してくれた森本梢子さんと、それを見事な映像にしてくれたNHK時代劇スタッフの両方があってこその、名ドラマだと云えよう。


さて、アシガールは云うまでも無く架空の物語であるが、その中に登場してくる実在の人物が「織田信長」である。唯一と云っていい。原作者が織田信長を強く意識して、物語の構成を考えているのは明らかだし、架空の物語を実際の歴史と関連付ける作業を試みるときに、手がかりとなるのも織田信長である。

信長の登場によって、ストーリー的には多くの制約を受けることになる。「むかしむかし、あるところに・・・」では済まなくなる反面、物語に凄い緊張感を与えることになるわけで、信長を登場させた原作者のセンスは高く評価したい。

ただ、永禄2年の「織田信長」は・・・と云うと、1559年は「桶狭間の戦い」の前年であるから、信長の年齢は25才である。若君の設定年齢が18才であるから、二人は、7つしか年が離れていないということになる。意外と近い。

当時の織田信長は、家督を相続して、ようやく尾張一国を統一できた頃で、家臣からは「うつけもの」と呼ばれていた時期で或る。この頃の信長は、自ら全軍を率いて戦に明け暮れていて「桶狭間の戦い」で信長が動員した兵力は、3,000人あまりに過ぎない。物語のように、家臣に何千人もの兵を預けて派遣するなんて、有り得ない頃なのだ。

さらに、羽木家の宿敵高山軍には鉄砲足軽がいて、規模は小さいながらも鉄砲隊が編制されている。これは凄い。永禄2年の頃に、こんな鉄砲隊を運用できていた高山軍は、恐るべき戦国大名ということになるのだが、その財力は何処から得ていたのだろう。

そして、永禄4年のころには、羽木家は信長の家臣「相賀某」の侵略を受けるのであるが、当時の信長の勢力範囲から考えると、羽木も高山も、尾張周辺に領国を持っている地方大名ということにならざるを得ない。冬になると山道が雪に埋もれて動けなくなる、なんて設定もオカシイ。

挙げ始めればキリが無い。要は、永禄2年という年代設定が、アシガールのストーリー展開に大きな足枷となっているのである。
何で永禄2年にしたのだろう。永禄2年でなければならない理由は、どこにあるというのだろう、

僕は、初めてドラマを見たときに、木村先生の「翌年が、あの有名な桶狭間の戦いだ。」という台詞にひっかかった。桶狭間の戦いってそんなに有名だったかなと。で、今回いろいろと考えていくうちに、これって、「長篠の戦い」のことではないだろうかと考えるようになった。実は、「桶狭間の戦い」と「長篠の戦い」というのは、取り違えられることが多くって、中学生が歴史のテストでよく間違えるところでもある。そういう設定で考え直してみると、いろいろとツジツマが合ってくる。

長篠の戦いは、桶狭間の戦いから15年後、天正3年(1575)である。翌年には、安土城の築城もはじまり、信長は「天下人」となっていく。この頃は、信長の命を受け、彼から軍勢を預けられた「木下藤吉郎」や「明智光秀」などの有力な家臣が、最前線で戦っている。まさにアシガールで描かれている時代なのだ。鉄砲隊の存在にも矛盾は無い。


やはり、アシガールの年代設定は、天正2年(長篠の戦いの前年)が自然なのだと思う。

誤解しないでいただきたいのは、僕は、原作者が「桶狭間」と「長篠」を取り間違えるミスを犯したと云っているのではない。原作者は国立大学の教育学部卒だし、そんなことは、ちょっと考えれば分かるはずだし、スタッフさんだって何人もいる。黒羽城だと云って、熊本城を描いたり、戦国時代のお姫様に十二単を着せるノリでいくのならば、「永禄」って如何にも戦国時代っぽくて格好いい、なんて理由で設定したとしても可笑しくないからだ。

原作者が描きたかったのは、時空を越えてハッピーエンドで終わるラブ・コメディーだと思う。だから細かい年代設定など、どうでも良いことなのかもしれない。コミックのストーリー展開は秀逸だし、ドラマの伊藤健太郎君は格好いいし、黒島結菜さんは可愛いし。ただ、どうでも良いのであれば、天正2年にして欲しかった。それだけのことである。

やがて、永禄2年という年代設定は、 戦国時代で暮らす2人に大きな試練を与えることになる。第13巻以降で展開している第2章では、戦国時代で結ばれた2人が、厳しい時代を生き抜いていく姿が描かれていくことになるようだ。永禄2年という設定だと関ヶ原の戦いまでは41年ある。その時、若君は59才なのだ。これが、天正2年だったら44才である。この差は大きい。

永禄2年と云う年代設定の最大の犠牲者は、若君と唯の2人だと云えなくも無い。

2019年7月27日土曜日

ディズニー・プリンセス「紀平梨花」の過去動画からベスト・スリーを選ぶ

紀平梨花さんが、17才のお誕生日を迎えたらしい。先日は、ディズニーシーの新アトラクションのイベントにゲストとして招かれたそうだが、前日からイン・パークして、ランドで遊んだとのことだ。


「乗り物5つくらい乗ったんですけど、どれも初めてで夢中になって乗りました。昔から夢で。ここに来たかったので。本当に楽しかったです。」だって。

ディズニーランドに行くのは、初めてだったそうだ。ずっとスケート漬けの毎日で、遊びに行く時間もなかったのだろう。ストイックと云うか、トップ・アスリートを目指すと云うのは、厳しいことなのだと改めて感じた次第である。

梨花ちゃんは、7月生まれである。日本では、新年度は4月から始まるが、フィギュアスケートの世界は、7月が年度初めなんだそうだ。だから、6月生まれの子は、15才になれば直ぐにシニアに上がることが出来るが、7月生まれの子は、一年間待たなくてはならない。梨花ちゃんと同い年であるザキトワ選手が平昌オリンピックに出場できたのは、彼女が6月生まれだったからである。

だから、梨花ちゃんが、あと三週間早く生まれていれば、平昌オリンピックに出場できたわけだが、2017年の梨花ちゃんが出て行ったところで、結果を出せたかどうかは大いに疑問である。きっと、北京オリンピックへの、これからの3年間が、彼女が真のチャンピオンになるために必要な試練なのだろう。聖書には「神は最良のタイミングでチャンスを与え賜う」という言葉があると聞いた。

で、突然であるが、紀平梨花さん17才のお誕生日を記念して、過去動画から、独断でベスト・パフォーマンスな演技をセレクトさせていただいた。梨花ちゃんの涼しげな演技で暑気払いをしていただければと思う。

まずは、第3位。紀平梨花さんがブレイクすることになった、昨シーズンのNHK杯のフリーである。フィギュアスケート界に突如現れたシンデレラガール的扱いだったのは、記憶に新しいところだ。

このフリー演技で、8トリプルを加点付きで完璧にこなして、グランプリシリーズ初出場でいきなり優勝という快挙を成し遂げた梨花ちゃんだが、8トリプルを完璧に降りた演技というのは、絶好調だった昨シーズンでも、このNHK杯ぐらいだったように思う。技術点87.17のこの演技をベスト・パフォーマンス第3位とさせていただく。


このときもSPでは失敗していて、たしか5位からのスタートだったと思う。NHK杯は、三原舞依選手と宮原知子選手が正式メンバーで、梨花ちゃんは開催国枠での追加メンバーだった。シーズン当初の彼女の序列は、日本女子選手の中でも7番目か8番目くらいだったし、シニア一年目の梨花ちゃんの前評判はそれほどでもなかったから、5位スタートというのは、予想通りの展開と云えなくもない。

もちろん、世界最高難度の演技構成であったから、ぶっちぎりで優勝できる可能性はあった。が、それはあくまでも決まればという話で、ジュニア時代から、肝心な大会で成績を残せなかった梨花ちゃんが、優勝できるなんて本気で考えていた奴は、ほとんどいなかったと思う。

紀平梨花の名を世界に轟かせた記念すべき演技である。


第2位は、平昌オリンピックの代表選考会を兼ねた、2017年の全日本選手権のフリー演技で或る。実は、この一ヶ月前に行われた、全日本ジュニアのフリーと、どちらにするかさんざ迷ったのであるが、演技全体のデキの良さで、こちらをセレクトさせていただいた。

なにより、僕が、梨花ちゃんの演技を初めてテレビ放送で見たのがこのフリーだったし、その時の衝撃は、今でも忘れることができない。

SPでは、3アクセルは成功したものの、3ルッツの回転が抜けてしまうと云う有り得ないミスでの5位スタートだった。このミスがなければ、出場資格の無い梨花ちゃんがオリンピック選考会で、優勝、或いは準優勝してしまうという大波乱となったのだが、梨花ちゃんは総合3位。梨花ちゃんの上の2人が代表内定と云う順当な結果に落ち着いたのである。


かつて高橋大輔選手も演じた、映画「道」である。やっぱり、梨花ちゃんは、こういう正統派の演技が似合っていると思う。これだけの確かな技術があるのだから、奇をてらうようなプログラム構成など不要なのだ。まあ、やらせれば何でも出来る子だけど、だからと云って、振付師の自己満足的構成は、やめて欲しいものである。

この演技の最大の見せ場は、演技後半に入ってアップテンポになるところ。一気に加速しての3ルッツからの連続ジャンプである。冒頭の連続ジャンプが3アクセル+2トゥループになった場合は、ここを3ルッツ+3トゥループとしてリカバリーしてくるはずだから、格好良さは倍増しただろう。


で、第1位は、2018年のグランプリ・ファイナルでのショートプログラム。世界最高得点をマークした衝撃の演技をセレクトさせていただいた。2019年4月の国別選手権での世界記録更新の演技よりも、僕はこちらの方を推したい。

動画は、伝説のロシア語解説バージョンである。世界一可愛いと称されたガッツポーズとドヤ顔をご覧いただきたい。


良く笑う可愛い声の解説者は、「ラジオノア」さんとのこと。この実況、演技中から、おしゃべりしているが、終了後に「ブラボー、ブラボー」と云った後で、途切れることなく、二人で喋り倒しているところが何とも面白い。

フィギュアスケートのファンサイトで、この解説の翻訳が一部紹介されていた。以前も引用させていただいたが、再掲させていただくこととする。

「ブラボー。ブラボー。」
「素晴らしい技術点に賞賛です。この選手を見てください。弱点を探そうとしても、ジャンプの高さ、回転数、全く非が見当たりません。スピンにはスピードがあって、ポジジョンも興味深い・・・。」
「彼女はリスクをとっている。スカートを穿いた羽生だ。落ち着きましょう、女子は始まったばかりです。」
「私はショック、ショックを受けました。何と云って良いのかすら分かりません。世界記録、更新するでしょうね。」
「これは確実に記録になるでしょう。この後、ザキトワが滑ります。今季、紀平の得点は、技術点でザキトワを抜いています。演技構成点では4,5点下回っていますが。」
「とても優雅で気迫のある演技。」
「これはドビッシーの『月の光』という曲で、カロリーナ・コストナーがかつて演じました。モスクワでも愛されている曲です。素晴らしいプログラム。この音楽のもとに彼女も傑作です。とても心が籠もった演技。柔軟性のある振り付け、全てがしっかりとしていて最上級。」
「長い間記憶に残る選手になるでしょうね。まるで太陽を見ているかのように・・・。」

こんな調子で、喋りまくっていたらしい。日本とかロシアとか関係なくって、良い演技を讃える。ニコニコ動画にもアップされているのだが、ロシア語翻訳の神は、未だに降臨されていないようである。

ニコニコ動画には、CBC放送の英語解説バージョンもあって、こちらは翻訳もされている。2人のオバサンが褒めまくっているのだが、印象に残ったコメントに、「ディズニー映画のプリンセス・・・神々しさと幼さ・・」というのがあった。「見ているだけで笑顔になってしまう」とも。


そうだ、紀平梨花は、ディズニー・プリンセスなのだ。可愛らしさの中にも凛としたものがあって、常に笑顔で、見ている者を幸せにしてくれる。梨花ちゃんには、そんなフィギュア・スケーターになって欲しい。打倒ロシアなんていう言葉は、梨花ちゃんには似合わない。次回のプログラムには、是非ともディズニー・ミュージックを採用して欲しいものである。

さて、今シーズンの梨花ちゃんは、止せば良いのに、4回転サルコウと2つのトリプル・アクセルを入れたプログラムで戦うそうだ。あまりにも無謀なチャレンジであるが、それこそが梨花ちゃんの梨花ちゃんたる所以であるし、やっぱり無理となれば、とっさに構成を落として演技しちゃうのも、梨花ちゃんの面白いところである。きっと、今シーズンも、ツッコミ処満載な演技で、ハラハラ・ドキドキさせてくれるだろう。

2019年7月15日月曜日

POLU丸山純奈「NEXT」のレビューを書いてみた・・・けど

今さらながらですけど、少しでもPOLUさんたちのお役に立つべく、「NEXT」のAmazonレビューを書いてみました。随分前ですけど、プロデューサーのTOMさんからも、Twitterで要請があったような気がしましたからね。POLUさんには悪態ばかりついていましたから、罪滅ぼしのつもりで書こうかと思った次第です。

ただ僕は、このCDを現場で購入しておりまして、Amazonで買ってない物のレビューって書けるのかしらんと思って調べましたら、5,000円以上の利用実績が無いとダメなことが分かりました。
ちょっと前までなら、ウォーターラインのプラモデルをせっせと買ってましたんで問題なかったんですけど、最近は全然利用してなかったので投稿資格が無くなっていたんです。

で、諦めておりましたところ、先日「アシガール」のコミック本全12巻を大人買いしたものですから、晴れて投稿資格獲得ということになった次第です。

評価は当然、星(★)5つとしても、あまり絶賛し過ぎるのもわざとらしいですからね。
それほど関心があったわけではないんだけど、ひょんなことから興味を持って、何気なくCDを買ってみたら、素晴らしかったみたいなシチュエーションで書き始めたんですけど、書いては消しの繰り返し。何をやってんだか自分でも分からなくなってしまいました。

上手いこと書いてやろうなんて、ヤマシイ心でいるとダメですね。
感動したことを素直に書けば良いんでしょうけど、性格上、どうしても理屈を捏ねてしまいます。

で、すっかり忘れていたんですけど、以前、1回だけAmazonのレビューを書いていたことが分かりました。ちょうど4年前に松浦亜弥さんのラストライブのBlu-rayが発売されたんですけど、その時にレビューを書いていたみたいです。


この手の商品ってファンならば買いますし、そうでなければスルーでしょうから、レビューなんてあまり関係ないと思いますけど、何も無いのも寂しいですし、松浦亜弥さん復活の願いを込めて書いたんだと思います。
改めて読み返してみると、もう赤面モノなんですけど、僕のなんてまだカワイイ方で、25本ほどあるレビューは、大作と力作のオンパレードになってました。
で、僕のレビューにも「役に立ちました」ボタンが7つほど押してあって・・・、内輪同士の褒め合いと分かっていても嬉しい限りです。

松浦亜弥さんのファン(あやヲタ)の凄いところは、デキが悪いとか、意にそぐわないと思うと、ファンであるにもかかわらず、酷評してくるところにあります。ファンなのに、星(★)1つとか、普通ありえないでしょ。ハードルが高いというか、何でもかんでも絶賛っていうわけでは無かったんですよね。
或る意味、ファンとアーティストの真剣勝負って様相ですけど、肝心の松浦亜弥さんが、そんなことに意を介さずって方でしたから、何となくファンの独り相撲みたいになっちゃいましたけど。

で、POLU丸山純奈さんのCDですけど、これからAmazonで買おうって人、いるんでしょうかね。Mステに出場したときのように、外に向かっての発信が何もありませんから、身内が買ってしまえば、それでお終いになりそうです。

ただ、すーちゃんが数年後にバーーーンてメジャーデビューした時に、昔、バンド活動してたんだよって話になって、NEXTが再注目された時に、オレなんか、ずーーと前から注目していて、Amazonのレビューで3番目に書いたのは、このオレなんだぜ、なんて自慢するのも悪くないかなって・・・・なんてヤマシイ心では、良いレビューは書けませんですね。

天才ボーカリスト「丸山純奈」の進化を実感

POLU3枚目にして最後のアルバム。
天使の歌声と称された中学生ボーカルの丸山純奈さんは、中学卒業を機にメジャーデビューに備えて上京し、POLUは惜しまれつつ2019年3月に解散した。
「NEXT」は、そんな彼女の卒業アルバムとも云うべき作品で、「別れ」や「旅立ち」をテーマに、多彩な楽曲が収録されている。
    夢に向かって旅立つ少女の心情を、爽やかに歌い上げる、応援ソング「新色」。
   
   切ないラブソング「夢の中に」。
   丸山純奈さんがPOLUのボーカルに抜擢されたのは12才の時。
  「気持ちの込め方が分からん。」と語っていた愛という言葉。
   それから2年半の時を経て歌い上げるバラードは、15才の少女でしか表現できないであろう、
   清々しささえ感じるバラードになっている。
   
   そして、真っ直ぐで純真な歌声で、聴く度に故郷の情景が浮かび上がる、卒業ソング「home」。
丸山純奈の歌唱は、前作から更に表現力を増し、彼女の成長の跡と、ポテンシャルの高さが実感できるのが嬉しい。
しばらくライブ活動を封印するという彼女だが、天才シンガー丸山純奈の序章の最後を飾るとともに、来たるべきメジャーデビューを、大いに期待させるアルバムである。

って感じでレビューさせていただきました。

レビューを読み返してみましたら、随分、上から目線な文章で、全然罪滅ぼしになっていませんですね。お許しくださいです。

で、先ほどの松浦亜弥さんのBlu-rayなんですけど、ライブは2013年なのに、円盤化されたのが2015年。で、今も、わずかでありますが売れているようです。活動を全くしていない歌手が、なんで2年も経って再評価されたり、CDやDVDが売れ続けるのかっていうと、YouTubeでの情報発信があったからに他なりません。僕を含め、新規のファンは、皆さんYouTube動画に出会ったことがきっかけになっているんです。


「百読は一聴にしかず」本当は、すーちゃんのこんな動画をガンガンYouTubeにアップしてくれることが、最高のレビューになるんですけどね。

2019年7月13日土曜日

ドリーム・オン・アイス in 新横浜 その2 ~「紀平梨花」と国境なきフィギュア愛の現場~

30分間のトイレ休憩が終わると、いよいよシニア選手の登場です。

日本人選手で大きな声援がかかっていたのは「友野一希」君でした。こちらの世界では、なかなかの人気者のようです。フリーの演技(のショート・バージョン?)を披露してくれましたが、ジャンプが若干不安定な感じでした。リンクが狭いので滑りにくかったのかもしれませんけど、ロシアの女の子たちは、きっちり滑りきってましたからね。

彼ばかりではないんですけど、若手男子選手の状況は厳しいと思いました。エキシビションとかアイスショーでコケられると心配になってしまいます。

「田中刑事」さんは、新しいエキシビションを演じてくれました。「ジョジョの奇妙な冒険」が見られなかったのは残念でしたけど、新プログラムも力強い演技で良かったですよ。3回転ジャンプも格好良かったです。永遠の3番手というイメージの田中選手でしたけど、生演技を見させていただいて、好感度アップです。

フランス代表ペアの「ヴァネッサ・ジェームス&モルガン・シプレ」組は、黒人女性と白人男性のペアです。昨シーズンの世界選手権では、惜しくもメダルを逃しましたけど、グランプリ・ファイナルやヨーロッパ選手権で優勝しているトップ・アスリートさんです。
演目は、マイケル・ジャクソンのナンバーでした。スロー・ジャンプとデス・スパイラルは、それぞれ1回だけでしたけど、安心して見ていられるのが有り難いです。
フィギュアスケートのペアというと、女の子は、小さければ小さいほど演技しやすいわけですから、中国ペアのように親子みたいなペアが多いんですけど、彼女たちは大人のカップルって感じで、本当に格好良かったです。

「坂本花織」さんは、新しいショート・プログラムを披露してくれました。思ってた以上にオーラのある選手で、会場も一気に明るくなりました。ダイナミックな振り付けで、彼女らしさを存分に発揮できるプログラムだったと思います。ジャンプ構成は、①3F+3T ②2A ③3Lo(?)だと思います。2番目のダブル・アクセルがシングル・アクセルになってしまいました。これが試合だったら、1Aは0点ですからピンチなんですけど、これから滑り込んで安定度を増していくのだと思います。

次に登場したのは、昨年度大活躍の「ヴィンセント・ジョウ」選手。今回は、新SPを披露してくれたんですけど、スケートリンクが狭かったからでしょうか、なんとなく跳びにくそうで、ジャンプの精彩がイマイチ無かったように感じました。

 で、残り3人。僕はここで梨花ちゃんが出てくるのかと思いました。最後は、世界チャンピオンの2人なのかなって。そうしたら、ザキトワ選手が、出てきたんですよね。どうやら梨花ちゃんは、トリを務めるようです。

「ザギトワ」選手は、昨年度のSP、オペラ座の怪人を演じてくれました。余裕のファン・サービス、変らない安定感、限界説もなんのその、今シーズンもまだまだやってくれそうな予感です。ジャンプは、①3Lz  ②2A ③3Lz という風に見えました。もしかしたらどちらかのルッツがフリップだったのかもしれません。ただ、彼女のルッツは、助走してきて、跳ぶ直前に一度右側(左足のインサイドエッジ)に振るのが特徴なんで、見間違えないと思うんですけど、一瞬のことですから自信はありませんです。3番目のジャンプは、試合では連続ジャンプですけど、今回は単独ジャンプでした。最初から単独にするつもりだったのか、コンビネーションを跳ぼうとして跳べなかったのかは、分かりませんです。

トリ前は、世界チャンピオン「ネイサン・チェン」選手です。昨シーズンのフリー演技(のショートバージョン?)を披露してくれました。いきなりの4回転。一瞬のことで種類は分かりませんでしたけど、4回転であることは、瞬時に分かりましたよ。4回転ジャンプを生で見られるなんて最高でした。想像以上の回転スピードでした。ジャンプと云うのは、3回転も4回転も滞空時間はあまり変らないようです。っていうか、3回転だってすでにギリギリなわけで、そのうえで4回転を跳ぶためには、回転速度を上げるしかないわけですからね。跳んだ瞬間に、思わず「うわっ」って声が出てしまいましたよ。

全選手の全演技を通して、4回転ジャンプは、この1回だけでした。狭いリンクですから、助走スピードなんて全然確保できないと思うんですけど、それでも跳べてしまうんですから、さすがです。他の選手とはモノが違うと云うところでしょうか。彼の天下は、当分続きそうです。

で、いよいよ紀平梨花ちゃんの登場です。今シーズンのエキシビションを披露してくれました。

今回のジャンプ構成は、 ①2A ②3S+3T ③3F だと思います。サルコウからの連続ジャンプというのは、試合だとリカバリーで跳ぶくらいで、あまり披露することのないジャンプです。単独のサルコウにすることの多いエキシビションで、ここをコンビネーションにしたということは、調子が良かったのか、気分がノリノリだったかのどちらかだと思います。どんなジャンプにも、気分次第で3Tを付けられるという梨花ちゃんのポテンシャルの高さを表している構成に思います。

こちらは、韓国で開催されたアイスショーの動画です。こんな派手な紹介はありませんでしたけど、雰囲気的には、こんな感じでした。ただ、2番目のジャンプが単独になっていますから、新横浜の演技の方がレベル的には上だったと思います。


今回、最も楽しみにしていた梨花ちゃんの演技なんですけど、実は、思ったよりも感動しなかったんですよね。その理由の1つは、僕の期待値が高すぎちゃったと云うことです。で、もう1つは、今回のエキシビションの構成が、僕的にどうもイマイチだからです。
ダンスナンバーってことなんですけど、彼女の最大の魅力である、スケーティングの美しさが、全然伝わってこないんですよね。黒い衣装も可愛くないし。まあ、今のうちにいろいろなことに挑戦してみたいという気持ちは分かりますけど、彼女には、昨シーズンのSPみたいな楽曲が一番似合っていると思います。

でも、思い直してみると、今回出場してきた選手の中で、決めたプログラムをきっちり滑りきったのは、ロシアの女の子たちと、ネイサン・チェン選手と、梨花ちゃんと、あと他にいたかなぁって感じでしたから、やっぱり紀平梨花さんは、凄い女の子なんだなって思います。

今回のアイスショーに関連して、梨花ちゃんのインタビュー記事が出ていました。それによると、今シーズンのフリー演技では、4回転サルコウと2回のトリプル・アクセルを構成に入れることを公言したそうです。6月1日の投稿記事で、今シーズンのジャンプ構成を

①4S ②3A+2T ③3Lz+3T ④3Lz ⑤3A ⑥3F+1Eu+3S ⑦3Lo

と予想しましたけど、まさか本当に3アクセルを2つ入れてくるとは思いませんでした。まあ、目標は高くても良いんですけど、本当に出来るんかイナって思います。

なんか今シーズンも、決まればぶっちぎりで優勝。コケれば惨敗って1年になりそうです。

グランプリ・ファイナルと世界選手権。この2つの大会で、紀平梨花選手とアンナ・シェルバコワ選手が揃って表彰台に乗ってくれることが、今シーズンの僕の願いであります。

それから、フィギュア大好きおばさんたちのパワーにも圧倒されました。彼女たちは、日本・アメリカ・ロシアの3国の国旗を持参して、どの国の選手も同じように応援し、良い演技にはスタンディング・オベーションしてました。会場に揺れるたくさんのロシア国旗。あれは、日本のフィギュア大好きおばさんたちが振っているんです。

そうそう、僕の隣と、その隣に座っていたフィギュア大好きおばさんなんですけど、国籍問わず熱心に応援していながら、梨花ちゃんの演技だけ完全スルーだったんですよね。真央ちゃんファンにアンチ梨花ちゃんが多いって聞きますけど、あまりにも極端なのが可笑しかったです。

新横浜スケートセンターは、フィギュアスケートの聖地と云われるだけあって、とてもイイ感じの所でした。スケートリンクの他は、本当に何も無いんですけど、一番後ろの6,000円の席でも十分楽しめそうですから、また機会があったら訪れたいです。

2019年7月5日金曜日

ドリームオンアイスin新横浜 その1 ~ロシア三人娘「シェルバコワ」に魅了されるの巻~

フィギュアスケートのアイスショー「ドリームオンアイス」に行ってきました。

フィギュアスケートの聖地「新横浜スケートセンター」は、コンパクトな専用リンクでした。特設リンクと違って、専用リンクは寒いと聞いてましたけど、予想を上回る寒さ。念のためにと持っていったウインドブレーカーが大活躍。真冬の服装でもOKなくらいでしたよ。

本当にコンパクトな会場ですので、最後列の席でも十分近いです。新横浜は、安い席から埋まるってネット情報にありましたけど納得です。僕はスタンド席の前から4列目(でも4列しかないので最後列)で、料金的には下から2番目の席でした。でも、テレビカメラが近くにあって、普段テレビで見ているようなアングルで全体を見渡すことができて、かなりの良席でしたよ。
リンクの氷の上にも床を作って、パイプ椅子を並べていました。アリーナ席ってことのようです。ここは、目の前に選手がいる感じでしょうけど、足元が氷ですから高いお金を払って寒い思いをしなければなりません。

会場の作りの関係で、リンクは狭いですし壁も無くって、いきなり観客が座っていますから、加速を間違えれば観客席に飛び込んでしまいます。しかも、暗い照明の中でスポットライトを浴びて演技するわけですから、滑り難そうだな、なんて余計な心配をしてしまいました。

ドリーム・オン・アイス(DOI)~日本代表エキシビション~は、幕張メッセなどで開催されたファンタジー・オン・アイスと違ってショー的演出はありません。全日本代表となった若手のスケーターが、新シーズンにむけてのプログラムをお披露目する場であります。代表選手が順番に出てきて演技をするだけですけど、余計な演出がない分スケートそのものを楽しめますし、勉強にもなりました。ただ、演技そのものは、さらなるブラッシュアップが必要なものが多かったですね。(シーズン前ですから致し方ありませんが)

DOIでは、ゲストスケーターとして世界のトップアスリートを招待しています。まあ、どちらかというと、そっちの方がメインになってしまっている感もあります。今回は、フランス代表ペアのバネッサ・モーガン組、アメリカのネーサン・チェン選手、ロシアのザギトワ選手らが招待されていました。凄いメンバーでしょ。

一方、日本勢は若手中心ですから、羽生選手や宇野選手、宮原選手などは出ていません。(何故か田中刑事選手は出てきました)羽生選手が出場しないので、チケットは簡単に手に入ります。僕は、一般販売でしたけど、当日券もありました。小さな会場なのに、お客の入りは9割程度。羽生選手が出るアイスショーは、幕張メッセみたいな大箱でやっても高倍率抽選ですからね。彼が出るか出ないかで、テレビの視聴率も全然違うみたいです。

3日間で4公演。僕が観たのは土曜日の夜公演です。若手中心の第一部が60分、30分の休憩を挟んで、シニア中心の第2部が60分でした。

で、その第一部のラストに出てきたのが、今回取り上げさせていただく、ロシアの女の子たちでした。今シーズンからシニアデビューする「アリョーナ・コストルナヤ」「アレクサンドラ・トルソワ」「アンナ・シェルバコワ」の三人です。


ロシア選手権では、ザギトワたちを抑えて、このジュニアの三人が表彰台を独占しました。今シーズン最も注目されている三人を揃って観られるなんて、滅多に無いことと思います。

で、この子たち、写真の通りで、フランス人形のように可愛かったですよ。リンクサイドに3人並んでお喋り(ロシア語で)している時なんて、本当に可愛らしくって、世界最強のアスリートになんか全然見えませんです。

最初に登場したのは「アリョーナ・コストルナヤ」選手でした。右側の子になります。昨シーズンのジュニアグランプリファイナルでは、出場選手6人中5人がロシア勢。大混戦を制したのが彼女でした。コストルナヤは4回転こそ跳ばないものの、表現力に定評のある選手です。
この日は、昨シーズンのエキシビションを披露してくれました。マントを着ての登場でしたよ。メモによるとこの日跳んだジャンプは2つで、3サルコウと3フリップ(ルッツかも)となっています。

二人目は、世界が注目する4回転ジャンパーの「アレクサンドラ・トルソワ」でした。左側の子で、昨シーズンの世界ジュニアチャンピオンです。
この日は、昨シーズンのショートプログラムを演じてくれました。メモによるとジャンプ構成は、①2A ②3F ③3Lz+3Tとなっています。動画を見てみると、試合では3番目の連続ジャンプが3Lz+3Loとなるようです。あと、ちょびっとだけですけど、得意技のクリムキン・イーグルも披露してくれました。
今シーズンのフリーでは、4回転ジャンプを複数回入れた最高難度のプログラムを披露してくれると思います。ノーミスで演技されたら、もう誰も追いつくことはできません。
今シーズン、紀平梨花選手が執拗に4回転にこだわるのは、彼女の存在に脅威を感じているからだと思います。

そして、最後に登場したのが「アンナ・シェルバコワ」でした。世界ジュニアでは、トルソワに次いで2位でしたけど、続くロシア選手権で優勝したのは彼女でした。写真では真ん中にいる子です。 
演じてくれたのは、昨シーズンのSP。ジャンプ構成は、トルソワと同じです。というのも、3Aを跳ばない場合は、この組み合わせが最高難度だからです。

僕的には、3人の中では、この子が1番でした。っていうか、この日に見た全ての演技の中で1番だったと思います。

参考までに、4月に行われたイタリア・ボローニャのアイスショーの動画を貼り付けさせていただきます。新横浜でもこんな雰囲気でしたよ。


素敵な演技でしょ。これを生で見たんですよ。
動画では3回目のジャンプが単独になっていますけど、新横浜では、きっちりコンビネーションを決めましたからね。デキは、この動画よりも上だったってことになります。
紀平梨花選手と同様に、ずっと見ていたいと思わせてくれる演技です。

動画や写真からは、体つきがかなり華奢な印象を受けますけど、実際見た感じでは、体の線もしっかりしていて、弱々しさとかは全然感じなかったです。

兎に角、可愛いだけじゃなくって、スケーティングが美しいんですよね。最初の2アクセルなんて、全く構えが無くって、いつの間にか跳んでるって感じでしょ。ただ滑っているだけという場面が全く無いし、スピンもステップも美しい。正に正統派のフィギュアスケーターです。「氷上のバレリーナ」と呼ばせていただきましょう。

彼女は、4回転ルッツっていう、羽生君や宇野君も実戦投入していない高難度の4回転ジャンプを成功させたことが話題になりましたけど、彼女のスケーティングには、そんなジャンプなんてどうでもイイって思わせるだけのものがあります。
確かに、技術面だけを取り上げればトルソワの方が上かもしれません。ロシア選手権の動画などを見ると、アンチさんの指摘どおり、4回転ジャンプでのプレローテーションなども気にはなります。けど、スピンや表現力などのトータルバランスでは、彼女が最強だと思います。


アンチさんたちによると、ロシアの選手は、子ども体型を維持できる16歳までがピークだろうと云われてきました。所詮、紀平梨花ちゃんの敵では無いとも。実際、無理なダイエットの結果、栄養障害に陥ってしまう例が少なからずありましたし、ラジオノアとか、リプニツカヤなど18才くらいでみんな引退してしまいましたからね。ただ、最近のトゥクタミシェワの復活や、メドベージェワやザギトワの活躍などを見ていると、状況が変ってきているように思います。


何より、僕が惹かれたのは、彼女の演技の内に15才らしさを感じたからです。よく、15才に見えないとか、15才らしからぬっていう云い方をするときがあります。それはそれで褒め言葉なんでしょうけど、彼女の魅力は、大人の真似じゃなくって、表現すべきモノを既に彼女自身がもってるところにあります。そして、それは、彼女が経験を重ねることによって進化していくものだと思います。

こんな写真もありましたよ。新横浜でのセレモニーで撮ったショットのようです。


で、彼女の演技が終わるか終わらないかのうちに、トイレダッシュが始まりました。皆さん冷えてますからね。会場のトイレの数が少ないので、女の人は大変です。隣のセブン・イレブンのトイレまでが大行列でしたよ。この時ばかりは、男で良かったなと思いましたです。

この続きは、近いうちにまた。