2019年7月27日土曜日

ディズニー・プリンセス「紀平梨花」の過去動画からベスト・スリーを選ぶ

紀平梨花さんが、17才のお誕生日を迎えたらしい。先日は、ディズニーシーの新アトラクションのイベントにゲストとして招かれたそうだが、前日からイン・パークして、ランドで遊んだとのことだ。


「乗り物5つくらい乗ったんですけど、どれも初めてで夢中になって乗りました。昔から夢で。ここに来たかったので。本当に楽しかったです。」だって。

ディズニーランドに行くのは、初めてだったそうだ。ずっとスケート漬けの毎日で、遊びに行く時間もなかったのだろう。ストイックと云うか、トップ・アスリートを目指すと云うのは、厳しいことなのだと改めて感じた次第である。

梨花ちゃんは、7月生まれである。日本では、新年度は4月から始まるが、フィギュアスケートの世界は、7月が年度初めなんだそうだ。だから、6月生まれの子は、15才になれば直ぐにシニアに上がることが出来るが、7月生まれの子は、一年間待たなくてはならない。梨花ちゃんと同い年であるザキトワ選手が平昌オリンピックに出場できたのは、彼女が6月生まれだったからである。

だから、梨花ちゃんが、あと三週間早く生まれていれば、平昌オリンピックに出場できたわけだが、2017年の梨花ちゃんが出て行ったところで、結果を出せたかどうかは大いに疑問である。きっと、北京オリンピックへの、これからの3年間が、彼女が真のチャンピオンになるために必要な試練なのだろう。聖書には「神は最良のタイミングでチャンスを与え賜う」という言葉があると聞いた。

で、突然であるが、紀平梨花さん17才のお誕生日を記念して、過去動画から、独断でベスト・パフォーマンスな演技をセレクトさせていただいた。梨花ちゃんの涼しげな演技で暑気払いをしていただければと思う。

まずは、第3位。紀平梨花さんがブレイクすることになった、昨シーズンのNHK杯のフリーである。フィギュアスケート界に突如現れたシンデレラガール的扱いだったのは、記憶に新しいところだ。

このフリー演技で、8トリプルを加点付きで完璧にこなして、グランプリシリーズ初出場でいきなり優勝という快挙を成し遂げた梨花ちゃんだが、8トリプルを完璧に降りた演技というのは、絶好調だった昨シーズンでも、このNHK杯ぐらいだったように思う。技術点87.17のこの演技をベスト・パフォーマンス第3位とさせていただく。


このときもSPでは失敗していて、たしか5位からのスタートだったと思う。NHK杯は、三原舞依選手と宮原知子選手が正式メンバーで、梨花ちゃんは開催国枠での追加メンバーだった。シーズン当初の彼女の序列は、日本女子選手の中でも7番目か8番目くらいだったし、シニア一年目の梨花ちゃんの前評判はそれほどでもなかったから、5位スタートというのは、予想通りの展開と云えなくもない。

もちろん、世界最高難度の演技構成であったから、ぶっちぎりで優勝できる可能性はあった。が、それはあくまでも決まればという話で、ジュニア時代から、肝心な大会で成績を残せなかった梨花ちゃんが、優勝できるなんて本気で考えていた奴は、ほとんどいなかったと思う。

紀平梨花の名を世界に轟かせた記念すべき演技である。


第2位は、平昌オリンピックの代表選考会を兼ねた、2017年の全日本選手権のフリー演技で或る。実は、この一ヶ月前に行われた、全日本ジュニアのフリーと、どちらにするかさんざ迷ったのであるが、演技全体のデキの良さで、こちらをセレクトさせていただいた。

なにより、僕が、梨花ちゃんの演技を初めてテレビ放送で見たのがこのフリーだったし、その時の衝撃は、今でも忘れることができない。

SPでは、3アクセルは成功したものの、3ルッツの回転が抜けてしまうと云う有り得ないミスでの5位スタートだった。このミスがなければ、出場資格の無い梨花ちゃんがオリンピック選考会で、優勝、或いは準優勝してしまうという大波乱となったのだが、梨花ちゃんは総合3位。梨花ちゃんの上の2人が代表内定と云う順当な結果に落ち着いたのである。


かつて高橋大輔選手も演じた、映画「道」である。やっぱり、梨花ちゃんは、こういう正統派の演技が似合っていると思う。これだけの確かな技術があるのだから、奇をてらうようなプログラム構成など不要なのだ。まあ、やらせれば何でも出来る子だけど、だからと云って、振付師の自己満足的構成は、やめて欲しいものである。

この演技の最大の見せ場は、演技後半に入ってアップテンポになるところ。一気に加速しての3ルッツからの連続ジャンプである。冒頭の連続ジャンプが3アクセル+2トゥループになった場合は、ここを3ルッツ+3トゥループとしてリカバリーしてくるはずだから、格好良さは倍増しただろう。


で、第1位は、2018年のグランプリ・ファイナルでのショートプログラム。世界最高得点をマークした衝撃の演技をセレクトさせていただいた。2019年4月の国別選手権での世界記録更新の演技よりも、僕はこちらの方を推したい。

動画は、伝説のロシア語解説バージョンである。世界一可愛いと称されたガッツポーズとドヤ顔をご覧いただきたい。


良く笑う可愛い声の解説者は、「ラジオノア」さんとのこと。この実況、演技中から、おしゃべりしているが、終了後に「ブラボー、ブラボー」と云った後で、途切れることなく、二人で喋り倒しているところが何とも面白い。

フィギュアスケートのファンサイトで、この解説の翻訳が一部紹介されていた。以前も引用させていただいたが、再掲させていただくこととする。

「ブラボー。ブラボー。」
「素晴らしい技術点に賞賛です。この選手を見てください。弱点を探そうとしても、ジャンプの高さ、回転数、全く非が見当たりません。スピンにはスピードがあって、ポジジョンも興味深い・・・。」
「彼女はリスクをとっている。スカートを穿いた羽生だ。落ち着きましょう、女子は始まったばかりです。」
「私はショック、ショックを受けました。何と云って良いのかすら分かりません。世界記録、更新するでしょうね。」
「これは確実に記録になるでしょう。この後、ザキトワが滑ります。今季、紀平の得点は、技術点でザキトワを抜いています。演技構成点では4,5点下回っていますが。」
「とても優雅で気迫のある演技。」
「これはドビッシーの『月の光』という曲で、カロリーナ・コストナーがかつて演じました。モスクワでも愛されている曲です。素晴らしいプログラム。この音楽のもとに彼女も傑作です。とても心が籠もった演技。柔軟性のある振り付け、全てがしっかりとしていて最上級。」
「長い間記憶に残る選手になるでしょうね。まるで太陽を見ているかのように・・・。」

こんな調子で、喋りまくっていたらしい。日本とかロシアとか関係なくって、良い演技を讃える。ニコニコ動画にもアップされているのだが、ロシア語翻訳の神は、未だに降臨されていないようである。

ニコニコ動画には、CBC放送の英語解説バージョンもあって、こちらは翻訳もされている。2人のオバサンが褒めまくっているのだが、印象に残ったコメントに、「ディズニー映画のプリンセス・・・神々しさと幼さ・・」というのがあった。「見ているだけで笑顔になってしまう」とも。


そうだ、紀平梨花は、ディズニー・プリンセスなのだ。可愛らしさの中にも凛としたものがあって、常に笑顔で、見ている者を幸せにしてくれる。梨花ちゃんには、そんなフィギュア・スケーターになって欲しい。打倒ロシアなんていう言葉は、梨花ちゃんには似合わない。次回のプログラムには、是非ともディズニー・ミュージックを採用して欲しいものである。

さて、今シーズンの梨花ちゃんは、止せば良いのに、4回転サルコウと2つのトリプル・アクセルを入れたプログラムで戦うそうだ。あまりにも無謀なチャレンジであるが、それこそが梨花ちゃんの梨花ちゃんたる所以であるし、やっぱり無理となれば、とっさに構成を落として演技しちゃうのも、梨花ちゃんの面白いところである。きっと、今シーズンも、ツッコミ処満載な演技で、ハラハラ・ドキドキさせてくれるだろう。

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