2021年4月29日木曜日

(祝)配信再開 NHKドラマ「アシガール」と最近の黒島結菜さん

黒島結菜さんが、男性ファッション誌「UOMO」のフルーツサンドの特集記事に出たそうだ。男性誌にフルーツサンド特集?と思ったのだが、どうやらフルーツサンドを食べている女の子がメインらしい。

フルーツサンドが流行っているのは、オジサンでも知っている。でも、あのサンドウィッチの断面のことを「萌え断」というのは知らなかった。僕も、セブンイレブンの苺サンドの萌え断にやられて、衝動買いをしてしまったが、後で冷静に考えてみたら、苺が1パック買える値段だった。食べてしまえば、フルーツのクリーム和えなので、フルーツサンドとは、萌え断を鑑賞するものだと学んだ。

この特集は、可愛い女の子たちが美味しそうにフルーツサンドを頬張っている写真が掲載されているらしいのだが、その中に上國料萌衣さんの名前もあった。この二人が同じ雑誌に登場するなんて予想もしてなかったので、ビックリした次第である。

さて、先週から、アシガールの配信が再開された。伊藤健太郎君が不起訴になったことを受けてだと思う。昨年、配信停止になった時、「さようならアシガール」なる記事を投稿してしまった手前、ちょびっと気まずいのだが、喜ばしいことには違いない。

2、3日前に、健太郎君の独占インタビューが、芸能誌に掲載されていた。ワイドショーでは動画も流れたらしい。番組を見た人(ライトなファン)から聞いたところによると、話の内容が言い訳としか受け取れず、不快な会見だったらしい。健太郎君に好意を持っていた人でさえそうなんだから、好感度を一層下げてしまったのは確かだろう。被害者との示談も済んで、不起訴になったというのに、最悪のタイミングである。今は、黙っているべき時期だなんて素人にも分かること。多額の賠償金を前にして、焦っているのかもしれないけど、負のスパイラルに入り込んでしまったようで悲しい。

アシガールの配信だが、停止するときには一気に全話消してしまったのに、再開は、全13話を2話ずつ、小出しにして配信するらしい。現在は第6話まで再開されていて、折角だから、少しずつ視聴させていただいている。もう何度も見て、台詞もあらかた覚えてしまっているんだけど、それでも新たな発見はある。あと、オジさんになると、ドラマ視聴は字幕が必須ってことも分かった。

もう1つ、嬉しいことと云えば、今「hulu」で、日本テレビ「時をかける少女2016」の全5話を無料で配信している。こちらは、現在公開中の竹内涼真君主演ドラマの番宣によるものだろう。

どちらも、ちゃんとお金をかけて制作した、黒島さんの数少ない主演ドラマなので嬉しい限りである。五連休は、毎日、アシガールを2話と、時かけを1話ずつ視聴させていただくこととしよう。

それから、黒島さんは、5月5日にはNHKのコント番組「LIFE!春」にも出演するらしい。こちらは朝ドラ「ちむどんどん」にむけての話題作りってところだろうか。いつかは出てくるだろうと思っていたが、楽しみが1つ増えて嬉しい限り。この番組、面白い時と、やたらツマラナイ時がある。つまり、脚本次第なんだけど、4月の放送がめちゃくちゃ面白かっただけに、比べられて叩かれないかと、心配事も1つ増えてしまった。

後は、「鶴瓶の家族に乾杯」に出演できれば、NHKコンプリートだ。秋までにコロナ禍が治まることを祈るばかりである。

#黒島結菜  #上國料萌衣   #時をかける少女2016  #アシガール

2021年4月25日日曜日

紀平梨花「世界国別対抗戦2021」&「スターズ・オン・アイス2021」~リピートした3サルコウ~

悪夢のような(?)「世界国別対抗戦」が終わりました。この大会、世界選手権の後の消化試合みたいなものなんだけど、それだと営業的に困るから、トップ選手の出場を義務づけているんですよね。シェルバコワ選手とかトゥクタミシュワ選手は、日本に来れて嬉しいみたいなコメントを出していたけれど、ネイサン・チェン選手はどうだったんだろう。とはいえ、羽生選手との異次元対決は見応えあって素晴らしかったです。どんな情況でもベストを尽くすのが一流選手なんですね。さすがです。

今大会の最大の収穫は、坂本選手の活躍でしょうか。開催国へのご祝儀GOEって感じもしましたけど、国際大会での実績は、北京オリンピックに向けての大きなアドバンテージになったのは間違いありません。

で、梨花ちゃんですけど、大会直前に腰を痛めて棄権も考えるほどの状態だったそうです。世界選手権の時から、何となく変でしたよね。スイスでどんな練習をしていたのか分かりませんけど、絞り切れていないというか、ちゃんと調整できていないというか、違和感がありましたから。まあ、コロナ禍でのシーズンで難しかったでしょうから、何とも云えませんけど・・・。

僕も、昨年の秋に腰をやっちゃいましたから、辛さはよく分かります。2,3日は全然動けなくって、完全に治るのに1ヶ月かかりましたよ。ですから、大会に出場しただけでも尊敬いたします。

フリー演技です。昨シーズンのプログラムに戻しての演技でしたね。リンクになります。

イナバウアーを回避したり、最後のレイバックスピンがビールマンスピンに移行できなかったりと、かなり痛々しいんですけど、よくこれだけまとめたなぁと、或る意味、感動的な演技であります。ジャンプ構成は次の通りです。

①3S ②2A+3T ③3Lz ④2A+3T ⑤3F+2T(転倒) ⑥3S(リピート) ⑦3Lo

もう、構成がぐちゃぐちゃなんで、分からないところもあるんですけど、5番目のジャンプは転倒しなければ、2Loを付けて3連続ジャンプにしたかったんでしょうね。謎なのは、6番目の3サルコウです。ここは3フリップを跳ばなくてはいけないところです。(3アクセルでも良いけど・・・)間違えたってことも考えられますけど、恐らくフリップが跳べなかったんだと思います。で、減点を承知の上でサルコウをリピートしたんじゃないかって考えてたら、泣きそうになりました。そこまで追い詰められていたのかと・・・。2アクセルと3サルコウなら、どんな情況でも自信を持って跳べるんでしょうね。

試合後のインタビューで「今はなんか、楽しみもないような状態。立っているだけで痛いっていうか。楽しくないし嬉しくないし、希望もない」って答えたそうです。

「楽しくないし嬉しくないし、希望も無い」

これ名言ですよね。記憶に留めておきましょう。

「何も思いつかない。体がちゃんと動けてトレーニングができるなら、こういう物が食べたいなとか思うけど。でも食べたら動きたくなるし…。動けないならもっとショックになるから。結局食べ物で発散するのは無理。どこかに行くていってもコロナで無理だし、何がしたいか自分でもわからない」

うーん。ネガティブになるのは、致し方ないとしても、トップアスリートとは思えない発言。正に梨花ちゃん節炸裂です。さらに・・・、

「朝の練習で何も跳ばないようにして、本番だけ一発集中だと思ってやりました」「朝は何も跳んでないので結構体も軽かった。かえって調子が良くなった。思っていたよりも、試合直前にしっかり体の疲れを取ることがすごく大事なんだと今回の大会で学べた。学びの多かった大会でした」って、

新人か?!

もう「ランビエール」コーチ、頼むから何とかしてって感じです。

まあ、エキシビションを棄権したくらいですから、本当にツラかったのだとは思いますけど、演技と発言のギャップについていけません。

そんな梨花ちゃんでしたけど、先日の「スターズ・オン・アイス」には主演したようです。

「何とかギリギリな感じで、ケアして。今はなんとか立てるくらいのレベルで滑れる。動かして痛くなるけど、すごくひどくなることが少なくなった。間に合って良かったです。(アイスショーに)出たかったので。無理なく楽しんで滑りました」

という梨花ちゃんのエキシビション動画です。YouTubeに2本あるうちの、初日の演技かと思います。

新プログラムだったんですね。しっとりとした良いプログラムに思います。ですけど、本当に無理なくっていうか、恐る恐る滑っていますよね。ジャンプは次の通りです。

①2A ②3S ③3S

で、もう1つ動画が投稿されていました。

こちらは、2日目でしょうか。同じ演目ですけど、ジャンプ構成が変わっています。

①3S ②2A+1Eu+3S ③3S

2アクセルからの3連続ジャンプだって!!

エキシビションやアイスショーというのは、これを跳ばなくてはならない、ということがありませんから、こういうところから選手の肉体的、精神的情況が推察できるんですよね。アイスショーで3連続ジャンプを跳ぶってことは、希望も無い状態から、だいぶ前向きな気持ちになれているんじゃないかと思います。

「スターズ・オン・アイス」は、八戸に会場を移して、30日まで開催されるそうです。僕的には、無理をしないで休んだ方が良いんじゃないかって思ったんですけど、今シーズンを気持ち良く終えるためにも、出演したかったんでしょうね。

もしかしたら「希望も無い」というのは、スケートにではなくって、(体を動かせないので)好きな物が食べられないってこと?

まあ、来シーズンもツッコミ満載な言動・・・演技を期待です。

#紀平梨花

#フィギュアスケート

2021年4月5日月曜日

谷山浩子「ねこの森には帰れない」「窓」~ヲタクが支持したシンガーソングライター~

ラジオを聴いていたら、突然「谷山浩子」が流れて来た。懐かしく思って調べてみたら、NHK「みんなの歌」で公開された「まっくら森の歌」がトラウマソングとかで、ちょびっと話題になっているらしい。

谷山浩子をカセットテープにダビングして喜んで聴いていたのは、高校生ぐらいの頃だったと思う。今も活躍されているとのことだが、僕が知っているのは初期の楽曲ばかり。メルヘンチックな曲調だったけど、男性のファンも多かったように思う。

彼女の代表曲として、まず思い浮かぶのは「ねこの森には帰れない」である。この曲、アルバムの表題曲だけど、シングルカットはされなかったらしい。曲調が、実質的なデビューシングル「お早うございますの帽子屋さん」と被っていたからだろうか。

リンクになります。YouTubeからどうぞ。


谷山さんは、ヤマハのポプコン出身だが、中・高校生の時から自作曲をレコード会社に持ち込んでいたらしい。アルバム「ねこの森には帰れない」が発表されたのは1977年だが、楽曲の「ねこの森」は、彼女が高校3年生の時に作った曲とのことである。

歌詞の内容は、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」を連想させるが、故郷を出てきたことに後悔の念が無いところが面白い。当時、谷山さんは子猫を飼っていたそうで、その猫からインスピレーションを得たとあった。つまり、この歌は人間の心情を猫に例えたのではなく、猫の気持ちを代弁している曲になる。歌詞に出てくる「いい人」というのは、谷山さんの彼氏ではなく、谷山さん自身。人間の世界にやってきて、人間と暮らすことを選んだ「猫」の歌なのである。

谷山さんは、PC-8001の時代からのパソコンマニアなんだそうだ。今から40年以上前、パソコンが「マイコン」と云われていた時代である。僕が初めて触ったパソコンもPC-8001で、初めて買ったパソコンはPC-8001mkⅡだった。谷山さんのファンに理系ヲタクが多かったのは、彼女の中に「こっちの人間」を感じていたからかもしれない。彼女の楽曲に「宮沢賢治」っぽさを感じるのも、このことと無関係ではないだろう。中島みゆきは文系男子に、谷山浩子は理系男子に人気だったという書き込みがあったが、ナルほどと納得してしまった。

谷山浩子さんのマイナー調の曲と云うと「あやつり人形」や「窓」が思い浮かぶ。「窓」は、谷山さんの中では、普通っぽい楽曲。ネットで見つけたのは、2番の歌詞が異なる初期ヴァージョンと云われてるテイクで、現実世界での閉塞感が、より強調されている。

お終いは、胃腸薬のCMソング「風になれ~みどりのために」。谷山浩子さんはヒットチャートとは無縁であったが、楽曲には聞き覚えがあるという人も多いと思う。

作曲家志望ではあったけど、歌には自信が無くって、人前で歌うのがツラかったらしい。とは云え、透明感有りまくりな高音は唯一無二。何年経っても全然変わっていないのは、奇跡としか云いようが無い。   

谷山浩子さんは「乳がん」であることを公表されて、現在は療養中と聞いた。来年は、デビュー50周年とのことで、きっと記念ライブとか計画されていることと思う。癌を克服されて、無事ライブを開催できるよう願うばかりである。

#谷山浩子  #ねこの森には帰れない  #窓

2021年4月2日金曜日

「シン・エヴァンゲリオン」鑑賞記 (注:作品解説ではありません。)

映画「シン・エヴァンゲリオン」を見てきた。本当は、ハロヲタ君の映画「あの頃。」を見るつもりだんたんだけど、気付いた時には、すでに公開終了になっていたからだ。気分は映画モードになっていたので、ならばエヴァを、となった次第である。

僕は、マジンガーZとか宇宙戦艦ヤマトの世代なので、テレビアニメ「ヱヴァンゲリオン」のことは何も知らない。ただ、家には何故か「貞本義行」氏によるコミック全14巻がある。さらに、新劇場版「ヱヴァンゲリオン・序」は、テレビ放映で見た。だから、同世代の中では、ちょっとは知っている方かもしれない。

ただ、「序」を見て疲れてしまった。100分も見たのにやっと「ヤシマ作戦」、結末まで程遠かったからだ。「破」は録画したけど消してしまった。「Q」については録画さえもしなかった。

そんな感じだけど、いよいよ完結するって話を聞いて、見てみようと思った次第である。NHKのプロフェッショナルで「庵野秀明」氏を取り上げていたってこともある。番組を見ての感想は、僕の身近に居なくて良かったぁ。

映画に行くに先立って、コミックを全巻読み返した。それから、ネットで「破」と「Q」のあらすじを確認して、予習完了だ。

映画館では、複数のシアターを使って上映していた。さすが話題の作品である。僕の選んだ時間帯だと、2つのシアターで同時に上映しているようだ。臨場感体感上映ってのがあって、4Kレーザープロジェクターとシネマプロセッサーを使ったプレミアム上映が、追加料金無しで見られるらしい。普通だったら一択なんだけど、密になるのがいやだから、空いてそうな通常版にした。300席の劇場で観客は10人だった。2時間半の長丁場だから、トイレに行きやすいように通路脇の席に座る。おじさんになると、いろいろと配慮することが多い。

結論から言うと、やっぱり「Q」をちゃんと見るべきだったかな。「Q」は起承転結の「転」だからね。あと、予備知識無しでの視聴は、かなり無謀。興行成績が好調なのは、新しいファンを開拓したというよりも、元からのファンがリピートしているからだろう。


物語は、14年後の世界という設定だった。だから、みんな大人になっている。それでいて、エヴァ・パイロットは歳を取らないっていう安易な設定。葛城ミサトには子どもがいるんだけど、ミサト自身はエヴァパイロットでも無いのに歳をとっていない。リツコも歳を・・・・いつまでもお若いって云うべきですね。失礼しました。

公開から一ヶ月近くなるので、ネットやYouTubeにネタバレ記事や解説動画が出ている。いくつか見たんだけど、そうだったのかと思うところが、たくさん有る。やっぱり、復習も大事ってことか。

エヴァは、ヲタクが制作したものをヲタクが鑑賞してる世界。制作側の庵野氏は、芸術系(文系)ヲタクだ。細かい設定なんて気にしてたら、あんな作品は作れない。で、それを見た論理系(理系)ヲタクの解説補完が必要となるわけだ。

このアニメの最大の疑問点は、何のために誰と戦っているのかってことだ。これって、皆でサードインパクトを防ごうとしていたんじゃ無かったんだ。全人類を巻き添えにした「碇ゲンドウ」の動機が、妻に会いたい一心だったとか、対立点が、話し合いで解決できるレベルの父子喧嘩だったら、死んでった奴らは浮かばれない。

全人類が消滅し新たに生まれ変わるって結末を見て、僕は学生時代に見た「伝説巨神イデオン」を連想した。2部構成の長編アニメで、ラストシーンで、みんな死んでしまったのが衝撃だった。(魂が新たな生命として再生されるみたいなフォローはあったけど)後で知ったことだが、当時は「皆殺しの富野」とか云われていたらしい。

庵野氏もこのアニメに影響されたらしい。僕は、エヴァの世代ではないけれど、庵野氏とは同世代なのだ。もちろん、彼は、すでにアニメーションの世界で仕事をしていたから、向こうはプロ、こっちは一視聴者だったわけだけど・・・。

ロボットアニメが、鉄人28号やマジンガーZから始まって、ガンダム、イデオン、マクロスと続く中で、庵野氏がエヴァを制作したのは、ネタ的には出尽くしちゃた時代ってことになる。何をやっても、何かと同じという厳しい時代だったんだと思う。

映画はこんな感じ。   


 挿入歌として「VOYAGER~日付のない墓標」が使われているのは、映画「さよならジュピター」へのオマージュらしい。この映画、僕も見た。木星が太陽になるやつだ。って思っていたら、それは「2010年宇宙の旅」だった。ラストシーンで、葛城ミサト(ジュピターでは三浦友和さん)が自らを犠牲にして突っ込んでいくってのもオマージュなんだろう。それにしても、感動のラストシーンで「松任谷由実」とか自由すぎる。

映画は、前作までのおさらいから始まった。一応、僕みたいな観客にも配慮してくれているようだ。でも、これで概要を理解できる奴は皆無だろう。これって、知っている奴が思い出すためにあるってことか。

で、いきなりの戦闘シーン。パリが舞台らしい。日本のヲタク文化が大好きなフランス人へのサービスかな。僕らは国会議事堂とか東京タワーが壊されるシーンを何回も見てきたけど、凱旋門やエッフェル塔がぶっ壊れるシーンを見たフランス人の反応が知りたい。

登場するエヴァ・パイロットは「真希波マリ」だ。このキャラクター、コミックの最後にも出てきた。母親の大学の後輩っていう設定だったけど、劇場版での設定が全然分からない。いったい何歳なんだろう。懐メロ歌うし、裏事情にも詳しい。碇ゲンドウとは、お友達感覚で、眼鏡キャラで猫言葉・・・これが、シン・エヴァのヒロイン?・・全然好感できない。可愛くない。

ロボットアニメで重要なのは戦闘シーンだ。シン・エヴァは、兎に角、敵の数が多すぎる。一人で無数の敵と戦うから、戦い方が雑になる。ミサイルをまとめてブッ放すところまでは良いんだけど、格闘シーンなんてのは、もはやドタバタ喜劇、敵へのリスペクトの欠片も無い。

とはいえ、戦艦を遊園地の飛行塔みたいに吊してクルクル回したり、発電機みたいなエヴァが並んで行進してきたのは、シュールで面白かったけど。

次の舞台は第三村だ。ニアサードインパクトで生き残った人たちが暮らしている村という設定だ。この景色、どこかで見たことがあると思ったら、天竜浜名湖鉄道の天竜二俣駅じゃないか。転車台とか、診療所になっている車庫とか見学したのを思い出した。乗車料収入だけでは大赤字の路線だから、聖地となって賑わうことを願うばかりである。

ここでの生活描写は、完全にジブリ。WILLE(ヴィレ)が設置した「相補性L結界浄化無効阻止装置」により一定の範囲内がコア化せずに残っている、という設定からして、完全に「風の谷のナウシカ」だ。違うのは、王政で無くって共産制ってところ。村人が総出で棚田の田植えとかしている。人間は自然と共に暮らし、結婚して子どもを育てるのが一番の幸せって価値観が庵野氏から出てきたのは意外だった。彼らはこの暮らしを手に入れるために、14年間苦しい思いをしてきたんだろう。やがて来る結末がツラい。

シンジは、ここで大人になった中学校の同級生と出会う。14年後という設定が生かされているのはここだけ。「鈴原トウジ」は医者になり、学級委員長と結婚して子どもをもうけているし、ミリヲタだった「相田ケンスケ」は、ヲタク的サバイバル知識で村人に頼られる存在だ。

このケンスケが、とにかく良い奴で格好いい。しかも、アスカと良い仲なんて羨ましすぎる。彼こそ世のヲタクたちの憧れの的、理想の姿だろう。

そして、物語は、NERV(ネルフ) とWILLE(ヴィレ)の対決へと進んで行く。って、ネルフって碇と冬月の二人だけになっちゃったのか。たった一人で、あれだけの仕事をしている冬月コウゾウ先生って凄すぎる。

冬月先生の設定年齢は60才だから、リアルに同世代。かつての教え子の部下になるって設定は、年下の上司を持つオジサン世代には身に染みる話である。シン・エヴァは14年後の世界だから、ここでは74才ってことだけど、どう見てもそんな爺さんには見えない。そもそも、この14年後って云う設定、無理あり過ぎだろう。作品解説に、登場人物がこの心情になるには14年の歳月が必要だったって書いてあったけど、どうせ作り話なんだから5年後くらいで良かったんじゃないか。

ゲンドウの唯一の理解者でクールな副司令官「冬月」は、理系ヲタクの憧れでもある。でも、ゲンドウと最期まで行動を共にする動機がイマイチ分からない。それが、シンジの母親との三角関係だとすると、ただのエロ親爺だし。冬月副司令の願いって何だったんだろう。僕は、科学者としての知的欲求かと思うんだが、エヴァ・ファンに教えを蒙りたいものである。

衝撃のラストは、フォースインパクトとか、アナザーインパクトとか、アディショナル・インパクトとか出てきて、文字通りのインパクト有り過ぎな展開。いきなり出てきたマイナス宇宙で何か凄いことが起きているようだが、劇場では全然理解できなかった。まあ、ネタバレ記事と解説動画を見た今でも、全て理解できてるわけじゃないけど。

でも、アスカが綾波と同じクローンだったってオチは、そんなこと聞いてないよぉ、って感じ。やっぱり大好きなキャラクターは、唯一無二の存在であって欲しい。渚カオルも、たくさん存在していたって描写もあった。物語がループして一気に世界観が広がったわけだけど、その分、1つの物語としてのシン・エヴァンゲリオンが矮小化されちゃった気がしたのは僕だけだろうか。


でも、「さよなら、全てのエヴァンゲリオン」て云う台詞のところでは、何の思い入れのない僕でも、ウルってきちゃったし、楽しい2時間半だったことは確かだ。映画を観た後、解説記事を読んでいる時も楽しかった。勝手なことを書き綴ってきたが、無知な視聴者の世迷い言とスルーしていただきたい。

エヴァンゲリオンはこれで完結のようだけど、庵野氏の新しい仕事も楽しみにしている。「シン・ゴジラ」は2回も劇場で見るくらい面白かったから、「シン・ウルトラマン」も期待している。この勢いで「シン・宇宙戦艦ヤマト」とか「シン・となりのトトロ」とかも作ってくれたら嬉しい限りである。