2019年12月31日火曜日

「黒島結菜」出演映画「カツベン!」と尾花劇場(ホテルサンルート奈良)

周防正行監督の最新作映画「カツベン!」を見てきました。

公開から一週間ほどでしたが、上映回数は当初の一日5回から3回に減らされていました。上映されていた11番シアターは、映画館の中で一番小さい劇場で、座席数は70ほど、観客数は20人くらいだったでしょうか。全員が中高年のオジさんオバさんでしたよ。
「アナ雪2」や「スターウォーズ」などは別格としても、同時に公開が始まった「浜辺美波」ちゃん出演の「屍人荘の殺人」や、「橋本環奈」さん出演の「午前0時、キスしに来てよ」と比べても、かなり苦戦しているようです。


でも、見た感想は、一言で云うと面白かったです。世間に広く知られてないのが勿体ないとも思いました。登場人物のキャラが立ちまくっていて、悪役がどこまでも悪い奴らで、分かりやすくって、爽快で、痛快で、これぞ娯楽映画って感じでしたよ。

もし、貴方が、かつてのドリフターズのような、頭の上にタライが落ちてくるギャグを面白かったと思い、キャラメルの味を懐かしいと感じられるのでしたら、鑑賞されることを強くお勧めいたします。ですから、対象年齢は45才以上と云ったところでしょうか。って、最も映画を観ないだろう世代が対象年齢ってことが、苦戦している最大の原因かもしれません。


もちろん、主人公の成長過程がきちんと描かれていないとか、終盤のドタバタ追いかけっこが長くてクドいと云ったツッコミどころはあります。お若い世代だと、子供が万引きをする場面などは、嫌悪感をいだくかもしれません。
活動弁士の魅力についても、しっかり描けているとは言えません。だって、出てくる弁士がヘンテコリンな奴らばかりなんですから。でも、昔、こういう人たちがいたんだなってことは分かりましたし、もし興味を持ったのなら自分で調べればいいわけですからね。

まあ、不満があるとすれば、黒島結菜さんの出演時間が、思いの外短かったことでしょう。


映画と云うと、「アルキメデスの大戦」のVFXや、「ボヘミアン・ラプソディー」の合成映像など、観客にそれらしく見せるという手法が当たり前になっています。けど、「カツベン!」は、セットを組んだり、ロケをしたり、大勢のエキストラを使ったりといった昔ながらのやり方で作られていました。丁寧に作られた手作り感満載の作品と云ったところでしょうか。

映画の中で白黒の無声映画を映すシーンがあるんですけど、あれって、昔の映画を流用しているのでなくって、この映画のために、昔の映画っぽく撮り直していたんですよね。


で、その劇中映画の「金色夜叉」のお宮が上白石萌音さんだったり、「椿姫」を城田優さんと草刈民代さんが演じていたりと、ちょい役にも有名な俳優さんが次から次へと出てきて・・・まあ、それを批判的に書くコメントもありますけど、オールスター勢揃いの昔の忠臣蔵みたいで面白かったです。年末ですからね。


「十戒」で海が割れるシーンがあって、その時の「モーゼ」は竹中直人さんの一人二役だったそうです。(後で知りました)演じていて絶対楽しかったと思います。

それから、青木館付きの楽士で管楽器を演奏していたのが、「アシガール」で木村先生を演じた「正名僕蔵」さんでした。


完璧な落武者ぶりでした。で、今回は、お洒落なクラリネット奏者。黒島結菜さんともたくさん共演している正名僕蔵さんですけど、何の役をやっても良い味を出しています。映画もドラマもこういう役者さんの存在があってこそ成立するのでしょう。

で、映画に出てきた活動写真館「青木館」のモデルの1つが、昭和54年まで奈良市高畑町にあった「尾花座(尾花劇場)」なんだそうです。これが芝居小屋だった頃の尾花座です。


こちらが映画に出てくる青木館です。雰囲気が似ていますよね。


現在、尾花劇場の跡地には「ホテルサンルート奈良」が建っています。実は、僕は奈良が好きで年に何回か訪れているのですが、サンルートをよく利用していたんです。猿沢の池の畔にあって便利だし、行楽シーズンを外せば安く泊まれますし、駐車場無料だし、ビジネスホテルよりもちょとだけ高級感あるし、何より朝食バイキングがすご~く美味しいんですよ。


で、つい先日もサンルート奈良に泊まって、その時にカツベンのチラシを見つけて、青木館のモデルだってことを知った次第です。映画に出てきた車のナンバープレートが奈良ナンバーだったので、奈良が舞台なのは分かっていたんですけど、こんなところでつながっているなんて驚きました。


「尾花座」の名は、小屋の横を流れている「尾花谷川」からとったようです。尾花谷川は猿沢の池の南側を流れ、やがて「率川(いさがわ)」と名前を変えます。率川は万葉集にも歌われた由緒正しい(?)川ですが、市街地化よって、ほとんどが暗渠化され、今はその流れを見ることができなくなってしまいました。

芝居小屋「尾花座」は、大正9年(1920年)に映画館「尾花劇場」となりますが、昭和54年(1979年)に閉館し、その跡地に建てられたのが「サンルート奈良」だそうです。実は、サンルート奈良はサンルートチェーンに加盟していますが、独立した会社で、今の社長さんは映画館を開業した方の曾孫さんだそうです。それから、映画館からホテル業への転進を決断した先代の社長さんもご健在で、僕が泊まったときも、きちんとした身なりでロビーを見回っていらっしゃいました。

サンルート奈良は独特の雰囲気があって、全然サンルートっぽく無いので不思議だったんですけど、その理由がようやく分かりました。

映画「愛染かつら」が大ヒットした頃の尾花劇場の写真です。写真の説明に昭和20年の年末に前編、21年の年始に後編が上映されたとありましたから、再上映の時でしょうか。太平洋戦争が終わって平和になって、恋愛モノを自由に上映できるようになった頃ですね。奈良は空襲に遭わなかったから、映画館も無事だったのでしょう。終戦直後の極端な食糧難で、餓死者も出るだろうと言われていたこの時期に、愛染かつらを見に集まった人たちです。とにかく人が多すぎて映画館の窓ガラスが割れてしまったそうですよ。


尾花劇場の雰囲気は、映画に出てくるライバルの「たちばな館」に似ているように思います。

さて、ホテルのホームページによると、サンルート奈良は、サンルートホテルチェーンとの加盟契約を終了して、令和2年6月より「ホテル尾花」と改名し、マークもサンルートから、かつての尾花座のものに変わるようです。

古民家が集まる奈良町も賑わっていますし、古いモノ伝統のあるモノは、それだけで価値があるという時代になったと云うことでしょうか。「カツベン!」の封切りが、尾花座復活のきっかけになったのかもしれませんね。


「カツベン!」は、見終わった人たちが、「面白かったねぇ」なんて云いながら、笑顔で劇場から出てくるような映画でした。そのうちテレビでも放送されるかもしれませんけど、無声映画を画面いっぱいに映し出すシーンなんかは、やっぱり本物のスクリーンで見た方が絶対良いと思います。

理屈抜きで、泣いたり笑ったり楽しめるのが映画の良さ。それは、カツベンの大正時代も、生きるだけで精一杯だった終戦直後も、令和の現代も変わらないものなんだなって思いました。ネタバレとか全然関係ないんで、僕も、もう1回見たいと思っています。まだの方も、騙されたと思って是非。

2019年12月27日金曜日

「紀平梨花」全日本フィギュア選手権2019 ~3A+3Tという選択~

今年の全日本フィギュア選手権は波乱だらけの大会だったが、女子は梨花ちゃんのぶっちぎり優勝で終わった。

NHK杯から全日本まで、5週間で3つの大会。そのうちの1つはイタリアまで出かけているのだから、連戦の緊張と時差ボケで、精神的にも体力的にも厳しかったことと思う。

だから、4回転サルコウを回避したことも致し方ない。・・・だったら、4回転絶対入れますなんて、云わなければいいのにと思う。どうせ、空気を読んで云わされちゃってるんだろうけど、翌日の見出しが「4回転回避するも優勝」みたいになって、せっかくの初優勝の演技がイマイチだったような印象を与えてしまうからだ。


今シーズンは、ロシアの女の子たちのインパクトが凄いし、実際、国際大会で優勝できていないけど、梨花ちゃんの演技のデキは決して悪くない。


リアルタイムでのテレビ観戦というのは、転倒しちゃったらどうしようなんてハラハラドキドキできて楽しいものである。

で、ジャンプの構成は次の通り。

 ①3S ②3A+3T ③3F ④3A ⑤3F+2T ⑥2A+2T+2Lo ⑦3Lo

2つのトリプルアクセルを含む7トリプルで、減点無し。ルッツを封印しての155点台なんだから、昨シーズンだったら大絶賛である。


全日本フィギュアは、3月の世界選手権の出場権がかかっている大切な大会だ。梨花ちゃんはSPで首位に立っているとは云え、ミスもあって得点は73点。2位との差はわずか3点の混戦である。まあ、フリーで大コケしたとしても、今までの実績があるから、代表には選ばれるだろうけど、それでは後味が悪い。何よりも、彼女は未だこのタイトルを取ったことが無いから、絶対優勝したいと思っていたはずだ。

梨花ちゃんは、演技後のインタビューで、4サルコウを回避することを決めたときに、代わりに3アクセル+3トーループを跳ぼうと思ったと答えた。

だけど、この構成で、2番目に3A+3Tは有り得ない。リスクが大きいからだ。実際、3Tで回転不足を取られた。回転不足だけならまだしも、転倒してしまったら4回転サルコウを回避した意味そのものがなくなってしまう。

しかも、2番目に3Tを跳んでしまったから、5番目の連続ジャンプを3Tから2Tに変えなくてはならない。これだと得点が1.1倍になる5番目に、3Tよりも得点の低い2Tを跳ぶことになって、基礎点が下がってしまう。難易度を上げたのに得点は下がるなんていう構成を、コーチが指示するとは思えないから、これは梨花ちゃん自身の判断なんだと思う。

でも、僕は、このインタビューを聞いて嬉しくなった。これこそ、梨花ちゃんが梨花ちゃんである所以だからだ。梨花ちゃんの無意味なチャレンジャー精神は健在だったのだ。
今回は、全日本チャンピオンのタイトルを取ることを優先して安全策に出たけど、彼女は本当に4回転サルコウを跳びたかったんだと思う。梨花ちゃんは、逃げてなんかいなかったのだ。


そういえば、今シーズンは靴のことをあーだこーだと云わなくなった。きっと靴の締め方にこだわることに飽きたんだと思う。その代わりに、お昼寝の話ばかりしている。寝られなかったからダメだったとか、寝られなかったけど良かったとか・・・それって、お昼寝関係ないってことだろっ!

まあ、それで、メンタルコントロールしているのだろうけど・・・。

それにしても、ルッツの封印期間が長すぎる。本当に足首の状態が原因なのだろうか。もし、足首を故障しているのであれば、他のジャンプにも影響が出そうなのに、そんな様子は全然見られないんだから、逆に心配になってしまう。

次の試合は、2月の四大陸選手権。韓国で開催されるから、リアルタイムでテレビ放送されるだろう。梨花ちゃんならではのハラハラドキドキ、つっこみどころ満載の演技が楽しみである。

2019年12月15日日曜日

「紀平梨花」GPF2019 ~ジャンプ大会と化したファイナルに果敢に挑む格好良さ~

いやぁ、今年のグランプリ・ファイナル、面白かったですね。男子ではネイサン・チェン選手の近未来的理解不能衣装や、羽生選手の幻に終わった3A+3Aのジャンプシーケンス。ジュニア男子では日本選手の久し振りの活躍。女子では、記者会見でのロシアの女の子たちの態度が悪かったとかで、演技でも場外でもツッコミどころ満載の大会でした。


で、そのグランプリファイナルの総括もできていないのに、今度は、ザギトワ選手の休業宣言ですからね。展開が早すぎてついていけません。

男子は、ネイサン・チェン選手と羽生結弦選手の異次元一騎打ち。他の選手がこの争いに全然ついていけず、二人で勝手にやってろ状態。とにかく、チェン選手の演技があまりにも完璧すぎて、全然頭に残りません。松浦亜弥さんのアイドル時代に、「完璧すぎて萌えられない」という名コメントがありましたけど、正にそれ。


一方、羽生選手は、演技終了時の倒れこみ方とか、プーさんシャワーとか、こちらの演出は完璧。キスクラまでを演技に含めれば、演技構成点では圧勝していたと思います。


結果的には世界選手権で大敗を喫した羽生選手が、リベンジを図るも返り討ちに遭ったかたちになりました。

で、演技予定表で、ジャンプの7番目に3A+3A+SEQってあったんで、もの凄い楽しみにしていたんです。連続トリプルアクセルのジャンプシークェンス・・・そんなの見たことありませんからね。そしたら、すっぽ抜けのシングル・アクセル・・・。
全日本選手権では、4ルッツとか4ループとか全て回避しても構いませんから、今度こそ3A+3A+SEQを披露して頂きたいものです。

さて、紀平梨花選手は、今シーズン好調だったはずのSPにおいて、連続ジャンプで転倒するなど、まさかの最下位。大舞台になるほどコケてしまうジュニア時代の梨花ちゃんの悪いところが出てしまったかのようです。
インタビュー記事によると調整失敗とのことですが、そういうことを喋っちゃうところが梨花ちゃんなんですよね。けど、そのまま流してしまうメディアもメディアですよ。まあ、僕が梨花ちゃんを紀平選手と呼ぶことができないのもこういうところにあるんですけど・・・でも、嫌いじゃ無いです。


翌日のフリー演技。テレビ放送は夜からだったんですけど、試合は朝のうちに終わっていました。パソコンを開いたら、ネット上にプロトコルは公開されているわ、動画はアップされているわで、ネタバレどころの話ではありません。
で、出場6選手のプロトコルを眺めていたら、何だか涙が滲んできてしまって・・・プロトコルを見て感動できるなんて・・・何だか一端のフィギュアファンになった気分です。

だって、どの選手もガンガン攻めまくっていて、守りの演技をしている子が一人もいないんですから。あの大人しそうなシェルバコワちゃんが、いきなり4フリップにチャレンジしてくるなんて思わなかったし、どの選手も失敗を厭わず大技をバンバン繰り出していて、フィギュアスケートってスポーツなんだなと改めて感じた次第です。
試合結果どころか、誰が何をやってどうなったかまで全て分かってしまいましたけど、テレビ放送を見ないわけにはいかないなと強く思いました。


結果的には、ノーミスで完璧な演技をしたコストルナヤ選手が勝ちました。4回転が無くてもフリーで160点台が出せることを証明してくれましたからね。いろんな意味で収穫の多い大会だったと思います。

紀平選手のフリー演技の動画です。繋ぎのスケーティングが単調に感じるのは、ジャンプをするのに精一杯だったからでしょうか。このあたりがコストルナヤ選手との得点差だったのかな。まあ、これからさらにブラッシュアップされてくるでしょうから、シーズン後半に期待しましょう。


で、ジャンプの構成は、次の通りです。

①4S ②3A+2T ③3F ④3A ⑤3F+3T ⑥2A+1Eu+3S ⑦3Lo

何と云っても、やると言いながらずっと回避してきた4サルコウに初チャレンジしたことでしょうね。それから、6番目の3連続ジャンプを2A+2T+2Loから+1Eu+3Sにアップグレードしてきたのも嬉しいところです。これに封印してきた3ルッツが加われば、フリーで160点台に乗せることができますから、ロシアの女の子たちにも対抗できる構成になります。

今回は、4Sで転倒しましたけれど、きっちり回りきっていましたからね。これで失敗しても4点近く貰えます。さらに、転倒した後の演技で大崩れすることなく、2つの3アクセルを跳べたことは、大きな自信になったのではないでしょうか。来週の全日本選手権でも4Sに挑戦するはず。もう回避する理由も必要も無いですからね。

さて、ザキトワ選手の休業宣言を受けて、フィギュアスケートの在り方が議論になっています。


新横浜で初めてフィギュアスケートを見たとき、誰よりもファンを楽しませてくれたのがザギトワ選手でした。でも、その裏で、彼女は苦しんでいたんですよね。3月の世界選手権での気迫溢れる演技。あの時に彼女は燃え尽きていたんだなって思いました。グランプリ・ファイナルまで必死に頑張ってきた彼女を全力で讃えたいと思います。

ロシアの女の子たちの登場により、今シーズンの競技がジャンプ大会になってしまったのは確かです。世界チャンピオンが17才で事実上の引退に追い込まれるようなこの情況を正しいとは思いません。が、フィギュアスケートがスポーツで或る以上、そういう側面を全く否定することもできません。

そんな中、羽生選手にしても梨花ちゃんにしても、演技力で勝負するというやりかたもあったはずなのに、果敢にジャンプ合戦に挑んでいった。これを格好良いと云わずして何と言えましょう。

無難に演技して3位狙いなんて梨花ちゃんには似合いませんからね。「紀平梨花ロシア勢に惨敗」ってマスコミは書きたてるのだろうけど、梨花ちゃん本人は手応えを感じていたと思います。演技最後の控えめなガッツポーズ。ロシアの女の子たちに惨敗したのに、4サルコウで転倒したのに、何故ガッツポーズなのか。ファンはその意味を分かっていますから。

2019年12月7日土曜日

NHK連続テレビ小説「スカーレット」で「黒島結菜」が演じる「松永三津」とは

NHK朝の連続ドラマ「スカーレット」に、「黒島結菜」さんが1月初旬から出演します。で、ファンの間に、その役どころについて懸念する声が広がっております。
「スカーレット」は、信楽の陶芸家「神山清子」さんをモデルとした創作ドラマですが、史実に照らし合わせた場合、黒島結菜さんが演じる「松永三津」という女性は、主人公の旦那さんと不倫関係になり、家庭を滅茶苦茶にした嫌われ役と予想されるからです。

こちらは、1月13日の投稿記事のリンクになります。


さて、一部のファンの間では、黒島結菜さんの役どころを、同じく神山清子さんの弟子で、神山親子を献身的に支えた陶芸家「牛尼瑞香」さんに求める希望的観測があるようですが、出演時期を考えると黒島さんは伊藤君の少なくとも10才以上歳上の役であり、その可能性は低いかと思います。もちろん、スカーレットはオリジナルストーリーですから、如何様にも作り替えることはできますけど、そこまで変更してしまっては、牛尼瑞香さんをモデルにしたとは云えなくなってしまいますからね。


実在の名前と役名と俳優名が混在していますが、整理するとこうなります。

 実名 → 役名  → 俳優名
神山清子→川原喜美子→戸田恵梨香
神山易久→十代田八郎→松下洸平
神山賢一→川原武志 →伊藤健太郎
 ?  →松永三津 →黒島結菜

神山清子さんの旧姓は「金場清子」とありました。結婚して神山姓になったのですが、離婚後も神山をそのまま名乗っています。既に陶芸家「神山清子」の名前は広く世間に知られていましたからね。ただ、一説には、(ドラマでもそうですけど)清子さんは父親との折り合いが悪く、また在日朝鮮人と間違えられる金場姓を嫌っていたとも云われております。神山姓は、信楽では由緒正しい名字だそうです。
ただ、神山易久氏の経済状態は悪く、神山夫婦はマスオさん状態だったと云われています。二人が「寸越窯」を開いた資金も清子さんの父親から出ていて、離婚後の窯の権利も清子さんが継いで現在に至っております。

さて、黒島結菜さんがドラマに登場する、つまり清子さんに弟子入りする頃は、長男の賢一君は未だ子供ですから、伊藤健太郎君の役には子役を立てると思われます。
伊藤健太郎君が演ずる「神山賢一」氏は、若くして白血病で亡くなります。この時の親子の物語は、それだけで大型ドラマが作れるほどでして、2月以降のスカーレットの盛り上がりは凄いことになるでしょうし、伊藤健太郎君の好感度もバカ上がりになろうかと思います。

さて、神山清子さんの自伝映画などで描かれている彼女の夫「神山易久」氏は、妻の才能に嫉妬し、若い女性の弟子(清子さん側の資料では使用人)と駆け落ちするゲスな男ですが、それはあくまでも清子側から描かれた物語の場合でして、史実の「神山易久」氏は、国際的にも著名な陶芸家であります。


まあ、芸術家どうしの結婚が上手くいきそうにないことは容易に想像できますし、清子さんのような凄すぎる女性の旦那を務めるというのも大変なことに思います。窯元経営についても、陶芸家としての評価も常に清子さんの方が高かったわけで、そんな時に、自分の云うことを聞いてくれる若い女性に出会ったら・・・心を奪われてしまうのも致し方ないと思うんですよね。

離婚の原因は、今で云うところのDVとされています。ただ、史実はプライベートな問題ですから、他人がどう云うものではありません。大切なのはドラマとしてどう描くかです。清子さんをモデルにした場合、その原因を愛人の存在に求めていました。あの女さえいなければこんなことにはならなかったという論理です。
易久氏には、才能ある妻を陰で支えるという人生の選択肢もあったはず。でも、それを許さなかったのは、彼の陶芸家としての才能ではないでしょうか。だとすれば、物語の描き方も大きく変わっていくはずです。

神山易久氏についてネットで検索したところ、神山清子さんの夫であったことは伏せられているような印象を受けましたし、駆け落ちしたと言われている女性については、その後どうなったのか全く分かりませんでした。まあ、黒歴史と云ったところでしょうか。
ただ、この夫婦は離婚したことによって互いに成功したわけで、神山易久氏の才能は清子さんと離れることによって開花したのですから、黒島結菜さんが演じる「松永三津」という女性は、易久氏の才能の救い主という言い方もできようかと思います。


神山易久氏をモデルにした「十代田八郎」は、ドラマでは好意的な描かれ方をしています。俳優「松下洸平」君の好感度も高いようです。そこに黒島結菜さんが絡んでくるわけですからね。単純な嫌われ役で無いことは確かです。僕は、「スカーレット」が、ゲスな男という扱いを受けてきた神山易久氏とその愛人をどのように描くのかが楽しみで仕方ありません。
松永三津は難しい役どころですけど、女優としてこれほど面白い役は無いように思います。そして、その配役に黒島結菜さんを指名してくれた内田Pには感謝しかありません。


今後の史実(と云われていること)をもう一度整理してみました。

①「神山易久」「神山清子」夫妻は共同で自宅に穴窯「寸越窯」を開く。
②清子氏の陶芸家としての評価が高くなるにつれ、二人の関係が悪化していく。
③二人は離婚し、易久氏は内弟子の女性を伴い家を出る。子供の親権と窯の権利は清子氏が得る。
④窯の顧客は易久氏についたため、残された「寸越窯」の経営が苦しくなる。
⑤逆境の中、清子氏は自然釉薬を使った古信楽の再現に成功し、陶芸家として高い評価を得る。
⑥長男「神山賢一」氏も陶芸家になり、釉薬を使った「天目茶碗」の研究に没頭する。
⑦賢一氏が白血病で亡くなる。この時のドナー探しの活動が現在の骨髄バンク設立の元になる。
⑧易久氏は「自然釉」「須恵器」などの研究を重ね、「メトロポリタン美術館」をはじめ多くの美術館に作品がコレクションされるなど、国内外から高い評価を受けるようになる。

これを残り3ヶ月間でやってしまおうというのですから、怒濤の展開になりそうですね。


そうそう、最初に出てきた「牛尼瑞香」さんですけど、そういう純粋な女性の役は、僕的には「浜辺美波」ちゃんが適任かと思います。きっとステキなシーンが撮影できるかと思いますが、如何でしょうか。

2019年12月2日月曜日

日曜劇場「グランメゾン・東京」で萌絵ちゃんが作る「モンブラン・アマファソン」が食べたい。

面白いですねぇ、木村拓哉さん主演の「グランメゾン・東京」。日曜日が来るのが楽しみです。視聴率は12%ほどでビミョ~なんて報道がありますけど、メディアはキムタクを叩くことを使命としていますからね。TBSが続編を検討しているそうですから、ヒット作であることは間違いないと思います。

ドラマの魅力については、あちらこちらで皆さんが語られている通りです。料理を作るシーンは、かつてのビストロスマップや料理の鉄人みたいだし、ミステリーを絡めた展開もテンポ良くって面白いです。
こういった、チームで頑張ろう物語は、登場人物のキャラ立てが重要なんですけど、脇を固める俳優さんたちが、ベテランも若手も存在感をバンバン発揮してくるんで、どんどん引き込まれてしまいます。

そんな中で、パティシエの松井萌絵役を演じているのが「吉谷彩子」さんです。他の出演者と比較すると存在感は薄めなんですけど、生意気キャラが程良く心地よくって、イイ感じなんですよね。


吉谷彩子さんはトライストーン所属の・・・って、この子もトライストーンなんですね・・・子役でデビューして芸歴は20年以上、ドラマ50本以上、映画20本以上、CMにもたくさん出演しているベテラン俳優さんなんだそうです。NHKの朝ドラや大河にも出演経験があるそうですけど、最近の大きな役としては、日曜劇場の「陸王」で可愛い女工さんを演じたことでしょうか。


陸王は見てましたんで、そういえばそんな子がいたなぁって程度なんですけど、「竹内涼真」くんがフライデーされた時のお相手の女の子だったんですね。半同棲とか騒がれたようです。まあ、未成年のアイドルじゃないんですから、本当に好きならば別に良いと思うんですけど、双方の事務所(ホリプロとトライストーン)が出てきて、お友達宣言を出して幕引きとなったようです。でもこうやって、再び日曜劇場で、今度はもっと大きな役を演じるんですから、なかなか逞しい女優さんに思います。

ちなみに、悪役の「手塚とおる」さんもトライストーン所属の俳優さんです。


では、さっそく、萌絵ちゃん大活躍の第4話のダイジェスト動画です。
「松井萌絵」の人物設定は、設定年齢27才、美術大学出身で抜群の美的センスを持ち、コンクールの受賞経験もあるパティシエールと云ったところのようです。


これが、ドラマで登場したモンブランですね。焼き栗の風味があるそうですよ。


最近は、チョットしたカフェでも、大きなお皿に可愛くケーキを盛り付けて出してくるようになりましたけど、それにしても、美味しそうに作るものですね。テレビ画面に出てきた瞬間、うわーって声を出してしまいました。崩してしまうのが勿体ないです。

こちらは、酷評された試作品1号です。十分に美味しそうなんですけど。


さて、モンブランの師弟対決ですけど、結局、マロンクリームは祥平君に作ってもらったんですよね。で、レシピ的には尾花も同様の域に達していたことになっています。ただし、ケーキに仕上げたのは萌絵ちゃんですからね。その美的センスは天才シェフ尾花も認めるモノだった、というのがオチだったように思います。
デザートって、味だけでなく、見た目のわくわく感も大事ですからね。リンダも絶賛してくれましたし。

僕が子どもの頃のモンブランと云うと、ぐるぐる巻きの黄色い餡子がのってるやつで、とくに美味しいとは思ってませんでした。そもそも、ケーキに餡子がのっているのが理解できなかったですね。昭和の田舎のケーキ屋では、本物の栗なんてろくに使ってなかったでしょうし、モンブランが美味しいなんて思ったのは最近のことです。

ちなみに、この季節、炭焼きレストラン「さわやか」でも渋皮栗モンブランを提供中です。萌絵ちゃんの美的センスには敵いませんですが、ちゃんと大きなお皿で出てきます。


「さわやか」というと、皆さん「げんこつハンバーグ」を食べただけで帰っちゃうんですけど、さわやかでデザートを食べないなんて勿体ない話です。


で、吉谷彩子さんですけど、生意気キャラを演じて可愛いと云ってもらえるのは若手女優の特権。これからもドラマの中での存在感ある演技を楽しみにしております。

2019年11月30日土曜日

「牧瀬里穂」&「黒島結菜」冬が来ると思い出す伝説のCM

季節が一気に進んで冬がやってきました。お天気ニュースでの「気温は平年より低く」なんてコメント、地球温暖化が進む世の中にあって久し振りに聞いた気がします。で、冬と云えば、このCM。おじさんが思わず人生をやり直したくなる名作CMを2本、今年も投稿させていただきました。

まずは、「牧瀬里穂」さんのJR東海「X'mas Express」。

放送が1989年ですから、ちょうど30年前です。終電後の旧名古屋駅でロケを行ったとのことですから、歩いている人たちは全員エキストラ。そう思って見てみると、確かに動きが不自然ですよね。
今の名古屋駅は高島屋と一体化しちゃいましたけど、当時は如何にも「駅」って感じです。まあ、今でも地方の新幹線の駅はこんな感じですけど。


1989年と云うと、スマホどころか、携帯電話さえも無かった時代です。それでも昭和の恋人どおしは、ちゃんとつながっていたんですよね。
この時、牧瀬里穂さんは17才。東京の大学に進学した彼氏と、地元に残っている高校生の彼女という設定でしょうか。こんな可愛い彼女を待たせているなんて羨ましい限りです。それにしても山下達郎さんの名曲は、何年経っても色褪せませんね。
この後も、毎年毎年、たくさんの女優さんによって続編が制作されましたけど、設定年齢が最も低いこのバージョンが、僕は断トツで好きなんです。


次は、「黒島結菜」さんのNTT docomo 「想いをつなぐ篇」。

こちらのCMは、放送が2013年とありますから6年前、本格的にスマホが普及し始めた頃ですね。黒島結菜さん高校2年生の作品になります。
スマホでつながり合っていれば、大切なデートの日にバイトを入れても大丈夫ということなんでしょうか・・・っていうか、こんな可愛い彼女がいたら、絶対バイト入れないと思います。昭和だったら、一発アウトでしょうね。


CM 曲は、SPICY CHOCOLATEの「ずっと feat. HAN-KUN & TEE」とありました。曲は以前から知っていたんですけど、曲名やグループについて知ったのは最近であります。

最近の大人っぽくなった黒島結菜さんも、もちろん素敵なんですけど、この頃の黒島さんも最強。最近のアイドルは、ハーフ顔が主流で、本物のハーフの子も多いですし、日本人離れした可愛らしさが魅力に思います。それに対して、黒島さんの魅力は普通っぽさ。何だかその辺に居そうな可愛い子って感じが良いんですよね。
ちなみに、お相手役は「葉山奨之」さんで、丸山純奈さんと同じトライストーン所属の俳優さんだそうですよ。

周防正行監督の映画「カツベン」も公開間近ということで、黒島結菜さんのメディアへの露出が爆発的に増えております。年明けには、NHK朝ドラにも出演しますから、知名度も一気に上がることでしょう。ブレイク直前というのは、こういう状態を云うんでしょうね。まあ、しなければしないで、地道に女優さんを続けてくれれば良いだけのことですけど。

では、お終いに、雑な作業で申し訳ありませんが、究極の冬CM2つを掛け合わせて、最強?の1本を制作いたしましたのでどうぞ。


SPICY CHOCOLATEさん、牧瀬里穂さんゴメンナサイ。

2019年11月24日日曜日

「紀平梨花」NHK杯 グランプリシリーズ2019

確かに羽生結弦選手は凄いと思う。視聴率も取れる。経済効果もハンパない。だから、男子の演技は、地上波で生放送する。一方、女子のSPは、深夜枠での録画放送だ。

でも、これが国際大会なの?っていう男子の演技を、ゴールデンタイムの生放送で延々と見せられるのはつらいものです。だいたい、50点満点の男子の演技構成点が、40点満点の女子と、どっこいどっこいなんだから話になりません。
NHKさんも、技術点40点以下なんていう女の子以下の演技は深夜の録画放映にまわして、空いた尺で女子のハイレベルな演技を、放送していただきたいものです。

それにしても、コストルナヤ選手は強い。伝説のアクセルジャンパー伊藤みどり選手を彷彿させるトリプルアクセルなど、技術的にも、芸術性でも、全ての要素で完璧といえます。エキシビションでの3F+1Eu+3Sにも恐れ入りましたし。
実は、3年後の北京冬季オリンピックで最も金メダルに近い選手は、コストルナヤ選手だと云われています。恐ロシアの三人娘では4回転ジャンプのトルソワ選手が注目されてますけど、今がピーク感は否めないですからね。

梨花ちゃんが持っていたSPでの世界最高得点を更新した演技です。


連続ジャンプを3番目にもってくるチャレンジングなプログラム。ロシア国内では、このくらいのことをしないと生き残れないというのが、彼女たちの強さの一因なんだと思います。

対する梨花ちゃんのSP。前回と衣装を変えてきたようですね。


ジャンプ構成は、①3A ②3F+3T ③3Loとなっています。
依然として足首の状態は悪いようで、今回もルッツを封印しての演技となりました。
3つめのループがちょっと詰まってしまって、80点代にわずかに届きませんでしたが、演技構成点は35.45ですから、なかなかの好演技だと云えましょう。
バグダッドの朝飯とか云うへんてこりんな楽曲に、ジャッジが(僕もだけど)慣れてきたってことでしょうか。

さて、翌日の女子フリーは、地上波でライブ放送してくれましたけど、大相撲中継で白鵬のインタビューをやっている間に、ザギトワ選手の演技は終わっていました。まあ、ネット動画を見れば良いだけのことなんだけど、せっかく、リアルタイムで本放送を視聴しているのだから、VTRくらい流して欲しいものです。
で、ゴールデンタイムは、イマイチな男子(3位以下は梨花ちゃんより低い技術点)の演技を延々と生放送なんだから・・・。

やっぱり、羽生選手は凄い。特に、フリー演技において、リカバリーで跳んだ最後の2つのジャンプ。最終ジャンプが3A+1Eu+3Sなんて有り得ない。しかも、インタビューによると、あのリカバリーはオマケなんだそうだ。つまりファンサービス。そりゃぁ、リカバリーしなくたって、ぶっちぎりで優勝だろうけど・・・。


縫いぐるみを投げ込むときは、糸くずが氷に着かないように、ラッピングするのがマナーなんだそうです。今年のNHK杯は、羽生選手のための大会でしたね。

グランプリシリーズの全6戦は、ロシアの3人娘が2勝ずつして終了しました。強いことは分かっていましたけど、これほどとは・・・とにかく、本番での集中力と精神力がハンパなかったですね。

さて、紀平選手のフリー演技のジャンプ構成は次の通り。

①3S ②3A+2T ③3F ④3A ⑤3F+3T ⑥2A+2T+2Lo ⑦3Lo

カナダ大会では4番目に跳んでいたサルコウを1番目にもってきましたね。これを仮想4サルコウとして、4回転ジャンプを取り入れたときの構成を確認したんだと思います。その時には、6番が3F+1Eu+3Sになって、3フリップが3ルッツと入れ替わって・・・って全然予行演習になって無いと思うんですけど。


17才の女の子の演技テーマが、世界平和ってどうなんでしょうか。まあ、今年はこれで良しとして、次回こそは、2017年の「道」みたいな、彼女のスケーティングの美しさと可愛らしさを前面に出すような構成をお願いしたいものです。

でも、トリプルアクセルが本当に安定してきましたね。今までは、一ミリでもズレると跳べないみたいなことを云ってましたけど、そのうちに目をつむっていても跳べるくらいの域に達するんじゃないでしょうか。

昨シーズンは、グランプリ・ファイナルの頃がピークで、シーズン終盤は調子を落としていったように思います。全日本選手権だって未だ制覇して無いんですよね。まずは、日本チャンピオン。そして、3月の世界選手権を万全の状態で迎えて、表彰台に乗れれば最高に思います。まずは、ルッツが跳べるように怪我の回復に努めて、4回転はそれからですよね。

2019年11月18日月曜日

黒島結菜と「アシガール」~第二章 緑合編の世界観~

超時空ラブコメディー「アシガール」の第二章が始まりました。当初は、超ハッピーエンドで終了した第12巻をもって完結の予定だったそうですが、ファンの強い要望もあって、続編を執筆することになったようです。

第二章では、夫婦となった若君と唯が、新天地「緑合」で御月家を継ぎ、戦国時代を生き抜くという設定になっています。先日、第二章の始まりとなる第13巻が発売されたのですが、その中に注目すべき2つの事柄が描かれておりました。


1つは、永禄4年という設定年代を意識した展開に修正してきたことです。

アシガールの第一章は永禄2年とのことでしたが、描かれている世界には、明らかに違和感がありました。それについては、以前このブログで、投稿させていただいた通りです。

          謎に満ちた永禄2年という設定

で、新しく始まった第二章では、織田信長に関する記述を、永禄年間の史実に合わせて修正してきました。第二章で描かれている織田信長は、永禄4年という年代設定に合わせてあり、尾張一国をようやく平定したばかりで、強力な権力を持っているわけではありません。しかし、このことにより、第一章の展開と辻褄が合わなくなったところが幾つか出ています。

13巻で若君は、織田信長の家臣「志喜正綱」と共に村上城を攻めることになります。信長が正綱に預けた軍勢は二千。当時の信長は、そこまでの軍勢を家臣に預けられるほど権力基盤は磐石ではありませんでしたが、まあ、第9巻で信長が「相賀一成」に預けた二万の軍勢と三千挺の鉄砲から比べれば、現実的ではあります。が、一気にスケールダウンしてしまいました。
確かに、永禄4年の信長の勢力からすると、加勢は多くても二千程度です。しかし、この程度の加勢ならば、第一章において、羽木家は落ちのびることなく、高山・織田連合軍と戦えていたはずです。

さらに、信長の勢力範囲を永禄4年に合わせたため、高山家の治める長澤城や、羽木家の黒羽城が、尾張国内か美濃などの隣国に限定されてしまいました。

アシガール第一章の、僕的なスケールイメージは、天正年間、天下統一に本格的に始動した織田信長が、信濃か関東あたりにある羽木の領地にまで勢力を伸ばしてきて、羽木家は北関東か東北南部にある緑合の地へ落ちのびていったというものです。
それが、第二章では物語の舞台が、尾張周辺に一気に矮小化されています。
「ついに信長の魔の手が平和な緑合の里に迫る」なんて云っても、走っても一日二日で着くような、お隣さん同士です。互いに知っている仲だろうし、家臣同士が顔見知りであってもおかしくない。だから、羽木家が緑合の地へ落ちのびていって御月家を継いだなんて情報が、信長に伝わらないはずがありません。

確かに、アシガール第一章の時代設定には無理がありました。でも、舞台設定は凄く面白かった。だから、そのまま押し通して欲しかったんです。年代設定なんて形式的なものなんですからね。ところが、第二章では、その形式の方に物語の舞台を合わせてしまったわけで、結果として、物語の展開に多くの矛盾を生み出してしまったのは、もったいないことに思います。

さて、若君は対信長戦略について、陣列には加わるが臣下にはならないと発言しています。若君は平成の時代にタイムワープした時に歴史の教科書を見ていますから、信長が成し遂げようとしていることを知っているわけですね。そして、若君が目指そうとしている御月家の立ち位置は、信長と家康の関係に似ています。史実では、家康は信長との同盟関係を維持するために、正室と嫡男を喪うことになるのですが・・・。


もう1つの重要事項は、タイムワープに関する思想です。このことについても、以前このブログで投稿させていただきました。


僕は、この投稿記事の中で、過去へのタイムワープは、それ自体が歴史に内包されるという思想を支持しました。宇宙では全ての時空が確定していて、タイムワープすることも歴史的事実であり、過去での行動によって歴史が変わることはないという、まあちょっと変った思想です。

主人公「早川唯」の弟「尊」は、タイムマシンを発明した当初、戦国時代で若君を助けることは歴史を変えることになりNG、と云うタイムトラベルに関する一般的な思想を持っています。
ところが、13巻で、改良型の起動スイッチを使って、戦国時代へタイムワープしようとしたときに「自分は、新型のタイムマシンをまだ発明していないので、ここで命を落とすはずがない」と自らに言い聞かせているんですよね。
第11巻では、未来の尊が作った新型の起動スイッチが登場します。これが存在するということは、尊の未来は、少なくとも新型のタイムマシンを完成させるまでは保証されていると考えたわけです。

実は、一般的なタイムトラベルの思想では、そんな保証はどこにも無くって、尊が永禄年間で命を落とした瞬間に、現在の時空は崩壊し、新型の起動スイッチなど消滅してしまうことになります。

まあ、これは、尊が自らを奮い立たせるために考えた詭弁の可能性もありますので、第二章が、この世界観の中で展開していくとは言い切れませんが、僕的には、アシガールに最も相応しい思想だと信じておりますので、作品中に描かれたことを嬉しく思います。



近いうちに、この続きが見られますように。

2019年11月9日土曜日

祝!「黒島結菜」&「伊藤健太郎」NHK連続テレビ小説「スカーレット」出演決定

11月7日、黒島結菜さんと伊藤健太郎くんが、NHK連続テレビ小説「スカーレット」に出演することが発表され、アシ・ラバさんたちがSNSで大騒ぎになっています。

スカーレット制作統括の内田さんは、アシガールのプロデューサーだった方なんですね。今回のオファーは、内田さんの職権行使によるものでしょうか。NHKのPさんって偉いんですねぇ。
まあ、世間的には「アシガール」と云われても「何?、なに?」ってところでしょうが、これで、健太郎くんのオバさんファンが益々増殖することでしょう。

「スカーレット」の舞台は、焼き物の町「信楽」とのことです。僕は、陶器には、さほど興味は無いのですが、家族がハマっておりまして、運転手として益子へ行ったり常滑に通ったりしています。

信楽には2回ほど行きました。1回目は「窯元散策路」を歩きました。常滑にも「やきもの散歩道」というのがあって、窯元の直売所や、古民家カフェとか雑貨屋さんを巡るお洒落なエリアになっていて、若いカップルもたくさん歩いているんですけど、信楽の散策路は、なぁーんにも無い田舎道で、誰も歩いていないので道を間違えたのかと思いました。ただ、何気なく入った古民家カフェ「アワ・イサ」のお姉さんが作るグリーンカレーは、ことのほか美味でした。


2回目は、「信楽作家市」に行きました。この時は、会場周辺の国道が超大渋滞で、駅前にある臨時駐車場に車を止めて会場まで歩きました。
最近の陶芸ブームを支えているのは若い女性達で、彼女たちが喜んで購入しているのが、1つ数千円程度の手軽に買えてちょっと高級な作家モノなんですよね。人気作家さんのブースは、あっという間に完売になってました。きっと、買い求めた可愛い食器に料理を盛って、SNSに投稿するのでしょう。
飲食ブースに「アワ・イサ」さんが出店していたので、お姉さんが作ったグリーン・カレーを再食いたしました。


(以下、妄想&ネタバレ注意です)

NHKの制作サイドによると「スカーレット」は架空の物語ということになっていますが、戸田恵梨香さん演じる「川原喜美子」は、信楽焼の女流陶芸家「神山清子」さんがモデルだと云われています。神山清子さんは、女性陶芸家の草分け的存在で、自然釉薬を使った古信楽の再現に成功し、信楽焼の評価を高めたという凄い作家さんだそうです。

だとすると、喜美子に弟子入りする「黒島結菜」さんは、喜美子の夫と不倫関係になる役です。スカーレットは、オリジナル・ストーリーと云うことですが、NHKの番組サイトにも「川原家に波乱を巻き起こす」とか「突然現れて、影響を与えていく重要な役どころ」とありますので、ほぼ史実通りの展開になると思われます。NHKの朝ドラと云えば、国民的番組ですからね。今回は、主役である師匠の旦那を寝取ってしまうという悪役ですけど、まあそれも「新たな個性と魅力を発揮」には違いないと思います。この間まで女子高生を演じていた黒島さんが、今回の不倫役をどのように演じるのか興味のあるところです。

一方、「伊藤健太郎」君は、喜美子の長男の役とのことです。この息子さんは、泥沼不倫騒動のあげく離婚した母親を支えて、彼女が陶芸家として成功するために重要な働きをした方のようです。ご自身も有能な陶芸家だったようですが、白血病で31才の若さで亡くなってしまいます。で、この時の骨髄のドナー探しが、現在の骨髄バンクの創設につながったという、これまた凄い方なんですね。
こちらは、好感度上げまくりの役どころでしょうか。

黒島結菜さんが戸田恵梨香さんの旦那と不倫関係になったとき、伊藤健太郎さんは子どもだったようですから、年齢的に考えて二人が同時に出演することはなさそうですね。1月から黒島さんが出演して、2月に健太郎くんが出演するころには、黒島さんはいなくなっているのではないでしょうか。

 神山清子さんの半生を描いた映画「火火」の紹介動画です。「スカーレット」の後半部分も、このような展開になると予想されます。



で、今回の発表によって、さらに幾つかの事柄が妄想できます。

1つは、ファンが熱望している、黒島結菜さんの朝ドラ主演の可能性が消えてしまったと云うことですね。まあ、無くなったので、ここで出演することになったとも云えましょう。
そして、僕が最も熱望していた、来年の大河ドラマで、二人が「細川ガラシャ」と「細川忠興」役で共演する可能性も無くなってしまいました。僕的には、こちらの方がショックです。

それから、黒島さんが出演していた、テレビ東京の「死役所」ですけど、第4話で突然の降板とのこと。成仏までには49日あったはずなのに、あまりにも不自然に思います。これって、朝ドラの収録に備えてのことなのかなぁ。テレ東の深夜ドラマと、NHKの朝ドラを天秤にかけたら・・・そりゃぁNHKとりますよね。

まあ、内田Pさんが、今もなお、アシガールの存在を意識してくれていることが明らかになりましたので、ファンが最も熱望している、アシガールの続編の制作は期待して良いと思います。本日、第一子を出産された川栄さんが復帰する頃には、原作も進んでいるでしょうし。


そうそう、信楽と云えば狸の焼き物が有名で、陶器販売所には、信楽町の人口を遥かに上回る狸の置物が並べられているのですが、僕は、お客さんが狸を買っているところを一度も見たことがありませんです。無造作に置いてある割には値段が高かったりして。

2019年11月5日火曜日

「ラヴ・レターズ 2019 Autumn Special」岡山天音&黒島結菜

11月3日、新国立劇場で朗読劇を鑑賞してきました。「LOVE LETTERS」という作品です。作者はアメリカのA.R.ガーニー氏で初演は1988年。日本での初演は1990年で、これまでの29年間、様々なカップルによって演じ続けられてきたそうです。僕が参戦・・・鑑賞させていただいたのは「岡山天音」君と「黒島結菜」さんによる公演で、通算494公演目になるようです。



今年だと、「吉川晃司&黒柳徹子」さんの公演とかもあったようです。


ちなみに、僕が行った日の前日は「三浦貴大&大島優子」さんの公演で、とっても素敵だったと聞きました。台本は全て同じだそうですけど、俳優さんの組み合わせによって、全然違う雰囲気になるみたいです。

新国立劇場の小劇場は、客席数が500未満のこじんまりとしたホールでした。チケットは完売とのことでしたが、所々に空席がありましたので、90%くらいの入りだったと思います。
客層は中高年カップルが中心で、あとは若い女の子たちとかでしょうか。平均年齢は高かったです。観客は、岡山天音君のファンと、黒島結菜さんのファンと、朗読劇のファンとで構成されているはずなんですけど、誰が誰のお目当てで来ているのかの区別が、全くつきませんでした。

舞台の両袖から二人が入ってきて、おじぎをして、椅子に座って、すぐに始まりました。とても静かな雰囲気の中で、マイクを使わずに朗読をします。15分の休憩をはさんで、延々と朗読を聴き続けます。俳優さんの生声を2時間近くも聴く機会なんて滅多にあるものではありません。

おやおや、居眠りをしている人がいます。スポットライトがステージを照らし、朗読する声だけが響いてるホールですからね。それだけ、二人の声が心地よいと云うことでしょう。イビキはNGでしょうが、意識が飛ぶ程度は良しとしてあげましょう。(誓って云いますが僕は寝てません)

それにしても、この緊張感の中で、台本を2時間も読み続けるというのは、大変なコトだと思います。ですから、たまーに噛んでしまうのも致し方ないかと・・・前半は天音君が、後半は結菜さんが噛んでいたような気がします。

岡山天音君のことは、あまり知らなかったのですが、ちょうど今やっている、高畑充希さんのドラマを家族が見ているものですから、それで分かりました。さえない男の役が多いようですが、実際の天音君は、背も高くって、格好良くって、オーラのある方でした。よく云うところの「テレビで見るより良い男」ってところでしょうか。


で、途中から、汗をハンカチで拭うようになったんですよね。緊張しているのかな、スポットライトが暑いのかな、なんて思ってたんですけど、水もたくさん飲んでいたので、もしかしたら体調でも悪いのかと心配になってしまいました。でも、最後は、にこやかでしたから、やっぱり緊張してたんでしょうか。

黒島結菜さんは、第1幕では髪の毛をアップにして、第2幕では下ろしていました。僕はファッションのことは全く分からないのですか、かなり地味めな服装だったように思います。もっと可愛い格好をしても良いのになんて思いましたが、物語に合わせていたのでしょうね。
何となく表情が硬かったのは、やはり緊張していたからでしょう。ただ、無駄に愛想はふりまかないところはイメージ通りでしたね。言い換えると、真剣さが伝わってきたってことです。


黒島結菜さんの朗読は、いかにも黒島結菜さんで、この台詞まわし絶対聴いたことあるってのが幾つかありました。完全に「FLY! BOYS, FLY!」の「高山つばさ」であり、「死役所」の「三樹ミチル」です。
ただ、声がハッキリしていて良く通るし、メリハリも効いているので、自由奔放でツンデレな「メリッサ」の雰囲気は良く出ていました。「あなたって、本当にサイテー!!!」みたいな憎々しい台詞が本当に似合っていました。
ただ、早口でまくし立てる場面が多くって、また、そういうのが彼女の得意とするところなんだろうけど、時には、間を取って、ゆーーっくり読むのも聴きたいなって思いました。

岡山天音君の朗読は、声質が優しくって、彼の人の良さがモロに出ていました。だから、主人公「アンドリュー」が、穏やかで、とっても良い奴に思えました。気の強い「メリッサ」に振り回されっぱなしで、時々する精一杯の抗議も遠慮がちって感じが伝わってきて、面白かったです。

物語は、お互いが出し合った手紙(ラブレター)を読み合うことで進んで行きます。だから、「今度の週末が楽しみだわ。」の次の台詞がいきなり「この前の週末はゴメン。」って感じで、「えっ!週末にいったい何があったの?」ってなるんですけど、それは聴き手が自分で読み取れってコトのようです。
二人の出来事が現在進行形で綴られることが無くって、場面や状況を自分で想像しながら聴くという面白い体験でした。

第1幕が始まったとき、随分、甘ったるく読むなぁと思ったら、子どもの頃の場面でした。で、二人が思春期を迎えて、異性として意識し合って、でも、気持ちがすれ違ってばかりといった感じで話が進んで行きます。
第2幕では、それぞれが別の結婚をして、別々の人生を歩むんですけど、話のテンポが一気に早くなってきて、物語にどんどん引き込まれていきました。第1幕で居眠りをしていた方も、2幕ではしっかり起きていたと思います。

で、相変わらず惹かれ合ったり、すれ違ったりするんですけど、黒島結菜さんの朗読が、ぜんぜん歳をとらないことに気付きました。

ラヴ・レターズは、もともとは30才以上の俳優さんが演じていたんだそうです。最近は、若手の俳優さんも演じるようになったそうですけど、天音君は25才、結菜さんなんて、まだ22才ですからね。22才で「メリッサ」を演ずるというのは、歴代の演者の中でも、かなり若いんじゃないかと思います。
だから、離婚して子どもの親権も奪われて、芸術活動でも行き詰まって、アルコール依存症で病んでいる50代の女性を朗読で表現しろと云っても、かなり無理があるんじゃないかと思いました。だって、ついこの間まで、女子高生を演じていたんですから。

でも、不思議と不自然さを感じることはありませんでした。それは、結菜さんがメリッサの心情を、彼女のスタイルで表現できていたからだと思います。若くして死んでしまったメリッサってところでしょうか。

今回の公演ですけど、良かったか悪かったかと云われれば、良かったと思います。ただ、もっと良くなると思います。

「ラヴ・レターズ」は、同じ台本でありながら、演ずる役者さんによって、全く異なる作品になるそうですけど、同じ台本で同じ役者さんであっても、演ずる年齢によって全く異なる作品になるように思います。だから、これから色々と経験を積んでいって、二人には10年後にもう一度演じて欲しいなぁ。
30代になった二人が再演するんだったら、日本の何処へだって、僕は参戦・・・鑑賞に行きますよ。

同じ演目が29年も続くって云うのは、こういう魅力があるからなんだと思いました。

2019年11月2日土曜日

狩野川台風に匹敵する「台風19号」が直撃した狩野川流域の話

10月12日に台風19号が、静岡県の伊豆半島北部に上陸し、東日本各地に甚大な被害をもたらしました。

NHKのサイトからの引用です。
台風19号について、気象庁は、河川の氾濫が相次ぎ、静岡や関東で1200人以上が犠牲となった1958年の「狩野川台風」に匹敵する記録的な大雨となり、大雨の特別警報を発表する可能性もあるとして、厳重な警戒を呼びかけました。
狩野川台風???!

もはや静岡県人でさえ知らない「狩野川台風」を持ち出してくるとは驚きました。最近は、「今までに経験したことの無い」みたいな表現が多かったように思いますけど、今ひとつ伝わっていないと判断したんでしょう。だからと云って、誰も知らない60年以上前の台風を持ち出してくるとは・・・。

ただ、知らない方が逆にインパクト有りってことでしょうか、皆さん一斉に検索されたようで、このブログで一年前に投稿させていただいた記事にも、ちょびっとだけアクセスがありました。


少しはお役に立ちましたでしょうか。

しかし、今回の台風は、長野・福島・宮城など、狩野川台風とあまり関係の無かった地方に、大きな被害が出てしまいました。
「今回、類似台風として狩野川台風を持ち出したのは、予想される現象や災害の程度が著しいことや、大きさや進路・勢力・北上スピードなどが似ていることから説明に用いようと判断した。一方で、類似台風を持ち出して呼びかけることは非常にリスクがあるとも考えている。災害の起こる場所や広がりについては事例ごとに大きく異なる」と述べ、狩野川台風で被害がなかった場所が安全というわけではないと強調しました。
なるほどです。でも、このような発言の部分って報道されませんでしたから、今回の発表については、評価の分かれるところだと思います。

とは云え、北伊豆地方の人たちにとって、狩野川台風に匹敵するという言葉は、かなりのインパクトだったようです。
伊豆市修善寺地区では、台風の接近に備え、マニュアルに沿って「避難勧告」を出したようですけど、いつもだったら避難して来る人なんてほとんどいないのに、大勢の人たちが避難してきたものですから、慌てて避難所を増やした、なんて話が伝わってきました。

僕の周りでも、狩野川台風に匹敵という発表に加えて、千葉県を襲った台風15号による強風と長期停電の惨状が、連日マスコミから報道されていたこともあって、窓ガラスに養生テープを貼ったり、水やカップラーメンを買い漁ったりと、かなりの緊張感を持って台風に備えていました。
近所のスーパーでは、水やラーメンの棚が空っぽになっていましたけど、不思議なことにポテトチップの棚も空になってました。いざとなったら、ポテトチップで生き延びようと云うのでしょうか。

で、雨も風も凄くって、伊豆半島北部の函南町や伊豆の国市などでは浸水被害が出ましたが、戦後最大級の台風が真上を通り過ぎて行った割には、(一部地域を除いて)大災害に見舞われることも無く、ホッとした次第であります。

今回、狩野川流域が千曲川や阿武隈川流域のような事態に陥らなかったのは、狩野川台風から7年後の昭和40年に完成した狩野川放水路によって、狩野川の氾濫を防ぐことができたからとされています。


ただ、狩野川の水位の上昇は、ハンパないものがありまして、朝の5時頃から放水路を開放していたにも関わらず、昼過ぎには既に危険な水位まで上昇していたとのことで、モニターを見ていた関係者は越水を覚悟したと聞きました。


今回の放水によって、狩野川の水位は約1.8m下がったと推定されるそうです。近年最も大量に放水されたとされる平成19年の台風9号の放流では約3.7m低下したそうですから、それと比べると今回の狩野川の流量がいかに多かったかが分かります。ただ、この1.8mのおかげで、狩野川の堤防はギリギリのところで越水や決壊すること無く済んだわけであります。
今回の件で、第2放水路の必要性も考えられているようですが、実現には多くの困難がありそうです。

放水路のおかげで、狩野川本流の氾濫は防ぐことができましたが、支流域では浸水被害が発生しました。


函南町畑毛温泉も浸水の被害がありました。柿沢川の堤防下には函南桜の並木があって、毎年、お花見に行っていたのですが、桜の木が完全に水没しています。
昔からの家は、全て地区を通る県道の東側(山側)に建てられていて、県道の西側(川側)には、田畑や新しく立てられたアパートがあります。上がってきた水は、県道のところで止まりました。昔の人たちは、どこまで水がくるのか、ちゃんと分かっていたようです。


本流と支流との合流地点では、本流の水位が上昇すると、支流への逆流を防ぐために水門を閉め、ポンプを使って強制的に本流へ排水することになっているそうです。狩野川流域には、そのための排水機場が数多く設置されています。


函南町では、大場川や来光川などの支流が狩野川と合流しています。これらの支流は箱根山麓を水源としていて、箱根に降った大量の雨水が流れてきたものですから、排水機能が追いつかなくなって、浸水してしまったようです。


年寄りの話によれば、浸水被害があったところは、昔から水が漬くような場所だったそうですけど、最近は、そういう土地にも家が建ったり、商業施設が作られたりしていますからね。
パチンコ屋さんも浸水被害にあってしまいました。広い駐車場のある大きなパチンコ屋さんです。ここは、堤防のすぐ外側で、国道よりも低いところにあって、遊水池みたいな所です。パチンコ台も全部水に浸かって、しばらく休業してましたけど、同じ場所で営業再開しました。また浸水したらどうするんだろう。


今回の台風19号は、静岡県外の被害があまりにも大きかったものですから、狩野川流域の被害状況については、県内でさえあまり報道されませんでした。函南町の方が、他県のニュースを見てしまうと被害を訴えるのが申し訳なくなる、みたいなことをインタビューで答えてました。特産のイチゴなどの農業被害もありますから、決して大したことで無くはないんですけどね。
人的被害がなくって報道されなかったのは、良しとすべきことなのかもしれませんが。


今回の台風によって、一週間ほど断水した地域もあって、給水車が出て活動をしていたようです。給水活動自体は行政の仕事なんですけど、それを受け入れるのは各自治会です。同じ町内でも、自治会が機能している地区とそうで無い地区があって、機能しているところは受け入れ体制もしっかり整い、トラブルも無かったそうですから、日頃から高い防災意識を持つことが大切だと改めて知った次第です。

2019年10月27日日曜日

「紀平梨花」グランプリシリーズ・カナダ大会 ~ルッツ封印での230点越えに進化を実感~

グランプリシリーズ第2戦カナダ大会が終わりました。新鮮な気持ちで応援できるよう、ニュース速報を見ないよう心がけておりました。昨日のショートプログラムは大丈夫でしたけど、今日のフリーはダメでした。って、テレビ朝日さん。自分のところで放送する試合の結果を、朝の情報番組で言っちゃうなんて・・・そりゃ無いでしょう。
ネット動画で見てしまいましたから、テレビ放送は、どうしようかな。

で、まずは、トゥルソワ選手のフリー世界新の演技。冒頭の4Sで転倒しているのに、その影響を微塵も感じさせず、技術点は100点越え。転んでもぶっちぎりで優勝は、まるで絶頂期の羽生結弦選手状態。構成も羽生選手に迫る勢いです。


特筆すべきは、基礎点が1.1倍になるラスト3本のジャンプでしょうか。
⑤4T+1Eu+3S ⑥3Lz+3Lo  ⑦3Lz 
4回転を含む3連続ジャンプを演技後半に持ってくるなんて、男子でも羽生選手くらいのものですからね。演技がジャンプに偏重しているとか、プレローテーションがどうとか云われてますけど、ルールに則ってるわけですし、それだけの努力もしているんですから、絶賛するしかないでしょう。

さて、紀平梨花選手の演技を振り返ってみましょう。

まずは、ショートプログラム。ここでの特筆すべきは、キスクラで濱田コーチが抱えている「鶏」でしょうか。ネットでも話題になったニワトリは、5分52秒から出てきます。


キスクラって、テレビにバッチリ映りますから、女性コーチたちは、かなり意識しているみたいで、時には、どっちが主役?みたいな映像も出てきます。でも、なんでニワトリ?!

ルッツを封印して、へんてこりんな楽曲を使っての80点越えは、素晴らしいの一言。ジャパンオープンで手を着いてしまった3本目の3ループも綺麗にきまりましたしね。梨花選手の場合、ループは、両手を上げてタケノコ・ジャンプにした方が安定するようです。GOEはそれほど高く付けて貰えなかったんですけど、良いジャンプだったように思います。
ルッツ封印によって、比較的苦手なループに頼らざるを得なくなったわけですけど、このピンチを乗り越えて、さらに成長することができたようです。

翌日のフリーは、世界新を出したトゥルソワ選手の次の演技となりました。


冒頭の3アクセルがステップアウトしましたけど、次を連続ジャンプにしてリカバリー、あとは安定の演技でしたね。ルッツを封印しても150点近い得点を得られたことは、大きな自信につながったと思います。

ジャンプ構成は次の通り。
①3A ②3A+2T ③3F ④3S ⑤3F+3T ⑥2A+2T+2Lo ⑦3Lo

今度は3アクセルを前の方に集めてきました。左足踏み切りのジャンプが前半、右足踏み切りのジャンプが後半に集まっていて、全体的には難しい順に跳んだって感じでしょうか。試合ごとに構成をガラガラ変えて、よく対応ができるものです。


字が小さすぎて見えませんですね。失礼しました。

演技構成点では、採点がかなりバラついたようです。七番ジャッジは日本人なのかなぁ。一番ジャッジは梨花ちゃんに恨みでもあるんでしょうかねぇ。まあ、上下2つをカットして、真ん中の7人の平均が得点になりますから、どうでも良いんですけどね。
こちらもSPと同様に、へんてこりんな楽曲で、ジャッジ泣かせの構成であることは、間違いないようです。これから演技がブラッシュアップされるにつれて、ファンもジャッジも慣れてくのかな。このバラつきが高得点側に収束することを期待しましょう。

今回の演技は、できることを、できる範囲で、最大限できた、という評価のようです。メディアが打倒ロシアとか、4回転がどうだとか騒ぎたてて、目の前でトゥルソワ選手が世界新を出すような情況でも、ブレない演技ができたのは立派。メンタル面でもお姉さんになってきたように思います。梨花ちゃんが紀平選手になる日も近いようです。
                                       
次回は、第6戦NHK杯。ロシアからはコストルナヤ選手とザギトワ選手が参戦とのこと。表現力に定評のある選手たちですし、実力的にも完全に互角ですから、これぞフィギュアスケートという名勝負が期待できそうです。とにかく今は、ルッツの封印が解けるよう願うばかり。4サルコウは、もうちょっと先の楽しみでしょうか。

2019年10月22日火曜日

「紀平梨花」ジャパンOP2019 ~ルッツを封印して迎える試練の開幕~

グランプリシリーズが始まり、フィギュアスケートもシーズン開幕となりました。先週開催された第1戦アメリカ大会では、推しのシェルバコワ選手がフリーで4ルッツ2本を決め160.16点で圧勝、嬉しい限りです。前日のSPでコケちゃいましたけど、そこもまた彼女の可愛いところ。抜群の破壊力とのギャップは梨花ちゃんとも通じるところです。ぜったい性格も良いと思う。遠くから見てただけだけど。


ロシア女子は、国際大会で優勝することよりも、国内大会を勝ち抜く方がよっぽど厳しいですから、応援していきたいと思います。

で、今回は、10月5日にさいたまスーパーアリーナで開催された、ジャパン・オープン2019の話です。テレビ東京でゴールデンタイムに録画放送されたんですけど、あの日は、裏でラグビーの日本VSサモアの試合がありましたので、録画放送の録画視聴になりました。ところが、うっかりとYahooニュースを開いてしまい、トルソワ4回転3種類4本で圧勝という結果を、見る前から知ってしまった次第です。

放送中にチラリと見えたんですけど、アリーナの上の方の観覧席には、お客さんを入れてなかったようですね。それでいて、羽生君が出場すれば満席どころか、チケット大争奪戦が起きるんですから、この極端な情況には困ったものです。

さて、ジャパン・オープンとは、男女2名ずつの団体戦で、フリー演技だけで競技するという大会だったようです。
 
結果は、紀平選手が144.76点で3位、宮原選手が134.94点で4位。シニアデビューのアレクサンドラ・トルソワ選手が3種類4回の4回転を成功させて160.53点という男子もビックリの得点で1位、アリーナ・ザギトワ選手が154.41点で2位となりました。

マスコミは、トルソワ選手の4回転の報道ばかりでしたね。想像以上の安定感で、失敗しそうな雰囲気がまるでありません。これで、ジャッジが演技構成点を盛り始めたら、もう試合になりませんよ。これをきっかけに、ルール改正の動きとか出てくるかも、ってくらいの衝撃でした。

ザギトワ選手のデキも良かったです。シーズンオフなんてアイスショーに出まくって営業三昧だったのに、いつ練習したんでしょうか。それにしても、4回転も3アクセルも跳んで無いのに154点とは凄い。ジャッジの皆さん・・・出来映え点を盛るにも程があります。
でも、自分がデキることを最大限活用して、0.1点でも得点を積み上げていく姿勢はアッパレです。紀平選手がインタビューで、自らの構成を見直していきたいみたいな発言をしたのも、ザキトワ選手に触発されてのことではないでしょうか。


さて、この時の紀平選手のフリー演技のジャンプ構成は、次の通りです。

①3S ②3A ③3F ④3A+2T ⑤3F+3T ⑥2A+2T+2Lo ⑦3Lo(お手つき)

昨シーズンの構成を流用して臨んだオータムクラシックと変えてきました。基本的には、今シーズン用の構成なんですけど、超サプライズがありますですね。

冒頭に予定していた4サルコウが3回転になったのは、或る意味予定通りで、想定の範囲内・・・そんなことより、ルッツを跳ばなかったことですよ。6種類ある3回転ジャンプのうち5種類しか跳びませんから、代わりに2アクセルが入ってきています。6番目の2A+2T+2Loなんて3連続ジャンプ、初めて見ましたよ。

実況も解説も4回転とか3アクセルの話ばかりで、ルッツを跳んでないことに全く触れてないんですよね。視聴者に話しても、どうせ分からないとか思っているのかなぁ。

左足首が痛いのは聞いていましたけど、ルッツを封印せざるを得ないほど状態が悪いとは思いませんでした。ルッツは、アクセルに次いで2番目に高得点のジャンプですから、これでは角落ちで将棋を指しているようなものです。
それにしても、ルッツを封印してジャンプの構成も変えているのに、試合では、ほぼノーミス。この対応力と精神力は素晴らしいと思います。

でも、ルッツを封印するとなると、少なくとも5,6点は得点がダウンしてしまいます。ノーミスで演技したとしてもフリーで150点台、SPで80点台を出すのは、難しくなってしまいました。

先日も、北京オリンピックまでには4回転を入れられるようにしたい、って発言が出てましたけど、北京なんて3年も先の話ですよ。明らかにトーンダウンしています。
まあ、メディアも4回転4回転とうるさいですからね。北京で金メダル取れば文句ないだろって叫びたい心境では無いでしょうか。3ルッツが跳べない状態なのに、4サルコウが跳べるわけ無いし、そもそも、梨花ちゃんに打倒ロシアなんて可愛くない使命を課すこと自体が、間違いなんですから!

同日に行われたエキシビションの演技です。この新しいプログラム良いと思います。前のよりもずっと良いです。


でも、ジャンプは、2アクセルと3サルコウの2本しか飛びませんでした。いつもはエキシビションでも3本入れてくるのに・・・だから、本当に痛いんだなって思います。

今週末は、いよいよグランプリシリーズ第2戦カナダ大会です。不安だらけの開幕となってしまいました。表彰台に乗れるかだって分かりません。昨シーズンのファイナル女王が、ファイナルに出場できないってことだって考えられます。


得意なルッツを封印しての開幕なんて、スポーツ漫画の主人公みたいです。今シーズンが、こんな試練の年になるとは、想像もつきませんでした。でも、笑顔で出てくるんですよね。

今度こそ、Yahooニュースを放送前に開かないようにします。