今年だと、「吉川晃司&黒柳徹子」さんの公演とかもあったようです。
ちなみに、僕が行った日の前日は「三浦貴大&大島優子」さんの公演で、とっても素敵だったと聞きました。台本は全て同じだそうですけど、俳優さんの組み合わせによって、全然違う雰囲気になるみたいです。
新国立劇場の小劇場は、客席数が500未満のこじんまりとしたホールでした。チケットは完売とのことでしたが、所々に空席がありましたので、90%くらいの入りだったと思います。
客層は中高年カップルが中心で、あとは若い女の子たちとかでしょうか。平均年齢は高かったです。観客は、岡山天音君のファンと、黒島結菜さんのファンと、朗読劇のファンとで構成されているはずなんですけど、誰が誰のお目当てで来ているのかの区別が、全くつきませんでした。
舞台の両袖から二人が入ってきて、おじぎをして、椅子に座って、すぐに始まりました。とても静かな雰囲気の中で、マイクを使わずに朗読をします。15分の休憩をはさんで、延々と朗読を聴き続けます。俳優さんの生声を2時間近くも聴く機会なんて滅多にあるものではありません。
おやおや、居眠りをしている人がいます。スポットライトがステージを照らし、朗読する声だけが響いてるホールですからね。それだけ、二人の声が心地よいと云うことでしょう。イビキはNGでしょうが、意識が飛ぶ程度は良しとしてあげましょう。(誓って云いますが僕は寝てません)
それにしても、この緊張感の中で、台本を2時間も読み続けるというのは、大変なコトだと思います。ですから、たまーに噛んでしまうのも致し方ないかと・・・前半は天音君が、後半は結菜さんが噛んでいたような気がします。
岡山天音君のことは、あまり知らなかったのですが、ちょうど今やっている、高畑充希さんのドラマを家族が見ているものですから、それで分かりました。さえない男の役が多いようですが、実際の天音君は、背も高くって、格好良くって、オーラのある方でした。よく云うところの「テレビで見るより良い男」ってところでしょうか。
で、途中から、汗をハンカチで拭うようになったんですよね。緊張しているのかな、スポットライトが暑いのかな、なんて思ってたんですけど、水もたくさん飲んでいたので、もしかしたら体調でも悪いのかと心配になってしまいました。でも、最後は、にこやかでしたから、やっぱり緊張してたんでしょうか。
黒島結菜さんは、第1幕では髪の毛をアップにして、第2幕では下ろしていました。僕はファッションのことは全く分からないのですか、かなり地味めな服装だったように思います。もっと可愛い格好をしても良いのになんて思いましたが、物語に合わせていたのでしょうね。
何となく表情が硬かったのは、やはり緊張していたからでしょう。ただ、無駄に愛想はふりまかないところはイメージ通りでしたね。言い換えると、真剣さが伝わってきたってことです。
黒島結菜さんの朗読は、いかにも黒島結菜さんで、この台詞まわし絶対聴いたことあるってのが幾つかありました。完全に「FLY! BOYS, FLY!」の「高山つばさ」であり、「死役所」の「三樹ミチル」です。
ただ、声がハッキリしていて良く通るし、メリハリも効いているので、自由奔放でツンデレな「メリッサ」の雰囲気は良く出ていました。「あなたって、本当にサイテー!!!」みたいな憎々しい台詞が本当に似合っていました。
ただ、早口でまくし立てる場面が多くって、また、そういうのが彼女の得意とするところなんだろうけど、時には、間を取って、ゆーーっくり読むのも聴きたいなって思いました。
岡山天音君の朗読は、声質が優しくって、彼の人の良さがモロに出ていました。だから、主人公「アンドリュー」が、穏やかで、とっても良い奴に思えました。気の強い「メリッサ」に振り回されっぱなしで、時々する精一杯の抗議も遠慮がちって感じが伝わってきて、面白かったです。
物語は、お互いが出し合った手紙(ラブレター)を読み合うことで進んで行きます。だから、「今度の週末が楽しみだわ。」の次の台詞がいきなり「この前の週末はゴメン。」って感じで、「えっ!週末にいったい何があったの?」ってなるんですけど、それは聴き手が自分で読み取れってコトのようです。
二人の出来事が現在進行形で綴られることが無くって、場面や状況を自分で想像しながら聴くという面白い体験でした。
第1幕が始まったとき、随分、甘ったるく読むなぁと思ったら、子どもの頃の場面でした。で、二人が思春期を迎えて、異性として意識し合って、でも、気持ちがすれ違ってばかりといった感じで話が進んで行きます。
第2幕では、それぞれが別の結婚をして、別々の人生を歩むんですけど、話のテンポが一気に早くなってきて、物語にどんどん引き込まれていきました。第1幕で居眠りをしていた方も、2幕ではしっかり起きていたと思います。
で、相変わらず惹かれ合ったり、すれ違ったりするんですけど、黒島結菜さんの朗読が、ぜんぜん歳をとらないことに気付きました。
ラヴ・レターズは、もともとは30才以上の俳優さんが演じていたんだそうです。最近は、若手の俳優さんも演じるようになったそうですけど、天音君は25才、結菜さんなんて、まだ22才ですからね。22才で「メリッサ」を演ずるというのは、歴代の演者の中でも、かなり若いんじゃないかと思います。
だから、離婚して子どもの親権も奪われて、芸術活動でも行き詰まって、アルコール依存症で病んでいる50代の女性を朗読で表現しろと云っても、かなり無理があるんじゃないかと思いました。だって、ついこの間まで、女子高生を演じていたんですから。
でも、不思議と不自然さを感じることはありませんでした。それは、結菜さんがメリッサの心情を、彼女のスタイルで表現できていたからだと思います。若くして死んでしまったメリッサってところでしょうか。
今回の公演ですけど、良かったか悪かったかと云われれば、良かったと思います。ただ、もっと良くなると思います。
「ラヴ・レターズ」は、同じ台本でありながら、演ずる役者さんによって、全く異なる作品になるそうですけど、同じ台本で同じ役者さんであっても、演ずる年齢によって全く異なる作品になるように思います。だから、これから色々と経験を積んでいって、二人には10年後にもう一度演じて欲しいなぁ。
30代になった二人が再演するんだったら、日本の何処へだって、僕は参戦・・・鑑賞に行きますよ。
同じ演目が29年も続くって云うのは、こういう魅力があるからなんだと思いました。
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