深い理解のために、合わせて読んでいただければと思います。
まずは、おさらいから。
「ダブルレインボウ」は2007年に松浦亜弥さんがリリースしたアルバム名であり、収録曲の一つであり、そして、コンサートツアーのタイトル名であります。
この2007年は、松浦亜弥さんの歌唱史を語るに大変重要な年だとされています。
2007年10月10日、松浦亜弥さんの3年ぶりのオリジナルアルバム「ダブルレインボウ」がリリースされました。この4枚目のアルバムの特徴は、つんく♂曲が1つも収録されていないことです。ハロプロ色を一掃し、シンガー松浦亜弥を全面に打ち出したアルバムと云えます。
リリースを受けて、10月13日より、1年ぶりのソロコンサートツアーが始まりました。ツアータイトルは、アルバムと同じ「ダブルレインボウ」。全国5会場、7日間で14公演と、全盛期と比べると淋しい限りですが、追加公演が発売されたそうですから、それなりにチケットは売れていたのでしょう。
オリジナルアルバムがリリースされて、ソロコンサートツアーも開催できたというのは、生き残ったファンにとっても、松浦亜弥さんにとっても、期待の一年だったと思います。
一方で、藤本美貴さんとのユニット「GAM」の活動が頓挫したのもこの年でした。この影響は極めて大きいものでした。と云うのは、ハロプロタレントとしての「GAM」の活動と、本格的バラードシンガー「松浦亜弥」の活動を両輪として2・3年続けることができたならば、その後の展開も大きく変わっていったと思えるからです。
結局、2007年以降は「つんく♂」氏のプロデュースから完全に外れることとなり、数々の困難を乗り越えながらも、アイドル「あやや」を追い求めて付いてきた多くのファンを失望させることになりました。
さて、2つのシングル曲を含めた全11曲で構成されたオリジナルアルバム「ダブルレインボウ」は、渾身の1作とも云える素晴らしいデキに思います。実年齢からすると、若干落ち着き過ぎの感はありますが、これからの松浦亜弥が求めている歌唱の方向性が明確に伝わってくるからです。
タイトル曲「ダブルレインボウ」は、たくさんのライブで歌っていますが、どれも好テイクで「ダブルレインボウ」にハズレなしと云うのが、僕の感想です。
力強い歌唱の2008年のライブテイク。2010年のコットンクラブでのテイクも秀逸です。で、今回紹介させて頂くのは、2009年のコンサートツアーの動画になります。このライブは観客のリクエストに即興で答えるという「アコースティックコーナー」が特徴ですが、DVDにはリクエストに応えて「ダブ・レボ」を歌った時のテイクが収録されています。って云うか、代表曲なんですから、ちゃんとセットリストに入れるのが本来だと思うんですけどね。
貼り付けさせて頂いた動画は、TKLYIMさんが投稿してくださったものです。
コメントによると、会場で録音された音源をDVDの映像に貼り付けたとありました。当時、あやヲタさんたちの間では、ライブ会場で録音された音源が出回っていたようで、一部は、YouTube上に投稿されたりもしています。
直接録音された音源は、音質はお世辞にも良いとは言えませんが、ホールエコーがかかっていて、DVD音源とは違ったリアル感があります。
で、この動画では、歌詞カードを見ているのにもかかわらず、一番のサビのところで歌詞を間違えているんですよね。「私には とても 分からないけれど」を「変わらないけれど」と歌っているんですが、これがDVDでは修正されていると云うんです。
分かりましたか。並べてみましょう。
よくぞ見つけたと云うか、あやヲタさん恐るべしです。
差し替えしたのか、デジタル処理なのか分かりませんけど、まあ、修正と云っても二文字分ですから大した手間では無いかと思います。で、面白いことに、同じDVDの「想いあふれて」でも、歌詞を間違えまくっているんですが、こちらは、そのままなんですよね。
松浦亜弥さんは、歌詞飛ばしや間違いがとても多くて、ライブの醍醐味として、ファンもそれを楽しみにしていた風があります。他にも、2003年春ライブで歌詞を完全に飛ばしちゃった「I Know」とか、2004年の代々木スペシャルで、歌が止まってしまった「ね~え!」などが知られています。一般的に、夜昼2公演などの場合は両方収録しておいて、良かった方を使うそうですが、一発撮りで差し替えができなかったり、可愛いからOKとかで、NGテイクをそのまま商品化しちゃったってことでしょうか。
結構、雑な商売をしていた割に、ダブルレインボウだけは修正していることが不思議に思えます。
ハズレ無しの「ダブルレインボウ」ですけど、僕が一番好きなテイクは、マニアックライブⅣでの歌唱です。ピアノ伴奏を基本に、最後にパーカッションが入って、一気に盛り上げるというアレンジです。ダブルレインボウって、歌詞の内容に比べて、アレンジが仰々しいのが特徴なんですけど、ML4のテイクは、程よく力が抜けていて、歌詞の世界観に一番合っている歌い方じゃないかと思います。
これは間違えてないと思いますけど、参考までに歌詞を付けておきます。
「ダブルレインボウ」
男友達よ 絵を描いて暮らしているわ 売れなかった絵は 大事に自分の部屋の壁
セルビアを一人きり旅して 青い絵の具一筆加えた
私にはとても わからないけれど ああ 「これで完成さ」とつぶやいた
私には心に 色を重ねてもまだ 描ききれない絵がある
彼の友達はギター弾き街から街へと 飲めばこうして素敵な曲をほら聞かせてくれるのよ
どんなに楽しそうにしてても 爪弾く音は なぜか切ない響き
私にはとても わからないけれど ああ 「昔の曲さ」ってさりげなく
私には心にふるえてるだけでまだ 鳴らない音がある
自信もなくて 誰もそばにいてくれない時 そんな時きまって声をかけてくれる
私にはとても わからないけれど ああ 「それでいいんだ」と言ってくれる
私には心にもうすぐ完成する 大切な絵がある
この歌のテーマは、停滞からの再出発。この歌をリリースした2007年が、松浦亜弥さんの負のスパイラルの始まりとなってしまったのは、残念極まりないことです。
で、今さらなんですが、この歌のタイトル、なぜ「ダブルレインボウ」にしたんだろう?