2016年5月30日月曜日

「百億の昼と千億の夜」萩尾望都・光瀬龍 ~阿修羅のまなざしに~

  2009年、東京と福岡の国立博物館で、興福寺の阿修羅像が公開されました。入場者数は、両館合わせて165万人、阿修羅像をこよなく愛する「アシュラー」と呼ばれる女性たちも出現するなど、仏像ブームのピークを象徴する出来事でした。
 僕も、のこのこと、東博まで行きましたよ。阿修羅像は、既に興福寺で拝観済みだったんですけど、噂の展示会がどんなものか、覗いてみたくなったものですから。阿修羅像は、部屋の中心に展示されていました。係員のお兄さんが「立ち止まらないでくださーい」って言うものだから、像の周りを反時計回りの巨大な人間の渦ができていて、上から見るとメッカの巡礼みたいでした。

 その阿修羅を主人公にしたSF小説が、光瀬龍氏の「百億の昼と千億の夜」です。SFマガジンに連載されたのが1965年、単行本化が1969年。ただ、僕が出会ったのは、1977年に萩尾望都さんによって「週刊少年チャンピオン」に連載され、その後、コミック本になった作品が最初になりますので、1980年頃だと思います。
 
 友人からコミック版の「百億の昼と千億の夜」を借りたとき、手塚治虫の作品かと思いました。それから、作品を読んでいる間、萩尾望都は男だと思っていました。
 学生と云う、暇で多感な時期にこの作品に出会ったのは幸運でした。よく、壮大な世界観って言いますけど、これ以上の壮大な設定は、ありませんでしょう。

 現在手元にあるのは、新装版の光瀬龍氏の文庫本と、同じく新装版の文庫版コミック全1巻になります。
 原作がありますから、壮大なストーリー構成は、光瀬龍氏によるものです。文庫本463ページ、コミック本446ページですから、分量は、ほぼ同じ。「イスカリオテのユダ」の追加記述や、若干のストーリーの入れ替えがありますが、「ここぞ」という重要な台詞は、そのまま引用するなど、ほぼ原作に忠実になっています。
 


 萩尾望都さんは福岡出身、上京して間もなく練馬区大泉の長屋で、竹宮惠子さんと共同生活を始めます。これが、後に云う「大泉サロン」で、この長屋には、若き少女漫画家が多く集まり、彼女たちは、後に「花の24年組」と呼ばれるようになります。
 ただ、この共同生活は、わずか3年で終わります。それぞれが、売れるようになってきたこと、手狭になってきたことなどが理由のようですが、竹宮惠子さんが、今年になって出版した自伝「少年の名はジルベール」には、萩尾望都さんへの嫉妬に苦しんだ日々など、当時の複雑な感情が描かれているようです。

 竹宮惠子さんと萩尾望都さんは、少女漫画界では、ともに巨匠、神として並び称されていますが、先日、NHKの「漫勉」に出演した萩尾さんのインタビューを見たとき、そのオタクっぽさにビックリしました。明朗快活で美しい竹宮さんと、物静かで可愛い萩尾さん、その人物像は、見事なまでに好対照です。
 
 大泉サロンを出た後、お二人は、ほとんど交流を持たなかったと云います。それぞれが別の道を歩み、共に少女漫画界の「神」になられたわけですが、竹宮さんが京都精華大の教授になれば、萩尾さんは女子美術大学の客員教授になり、2012年に、萩尾さんが紫綬褒章を受章すれば、その2年後に竹宮さんも受章するといった具合で、神が2人いると、両方に気を使わなければなりませんから、周りも大変なようです。
 そう云う僕だって、萩尾さんの記事の前に、ちゃんと竹宮さんの記事を投稿しているわけですしw

 萩尾さんの魅力は、何と云っても、圧倒的な作画力です。当然アシスタントさんも使っていたと思いますが、それでもキャラクターの描き分け方は凄いです。普通のオジさんの描き方が凄いです。少女漫画家でここまで描き分けられる方を知りません。「えっ。萩尾望都って女なの」って本気でビックリしましたよ。背景も凄いです。光瀬氏の記述する世界を僕らにも解るように描いています。あまりにも、凄いんで、ゴーストライター疑惑なんかもあるんですけど、どうでも良いです。このような作品が存在することに価値を見いだしているのですからね。

 原作「百億の昼と千億の夜」は、優れたSF作品であることは、間違いありません。ただ、抽象的で時として冗長とも云える情景描写、理系の知識を散りばめ、こねくり回した文章構成など、「解る奴だけ付いて来い」的な作品に思えてしまいます。プロローグと、三葉虫の記述あたりで、飽きてしまうのではないかと。
 この作品が、名作と云われるようになったのは、やはり、コミック本の存在が大きいのではないでしょうか。でなければ、「百億の昼と千億の夜」は、ここまで広く、つまり凡人たちの間にまでクローズアップされることなく、光瀬氏の数ある名作の中の単なる1作品として、時間と共に埋もれていったように思えてならないんです。

 文明は、その誕生の段階で既に滅亡への道を進んでいると云うこと。また、生命を滅亡させるために文明を育てたのだと云う設定には、もはや夢も希望もありません。宇宙の果てに想いを寄せ、この宇宙に自己が存在するということの意味を考えたときに陥る、何ともいえない虚脱感と喪失感。この作品を読むと、2.3日は、何もする気が起きなくなるというコメントがありましたが、上手いこと言っていると思います。
 

 この物語の主役である阿修羅王は、光瀬氏、萩尾さん共に、興福寺の阿修羅像をモチーフにしたことは確かです。戦いの鬼神である阿修羅を少女かと思えるような造形で表現する興福寺の阿修羅像は、あまりにも有名なので、この像容が一般的なものと思われがちですが、現在に伝わる阿修羅は、画像も彫像も、全て、戦いの鬼神に相応しい憤怒像で、興福寺の阿修羅像は、世界的に見ても例外中の例外なのです。
 愁いに満ちた表情は、仏に帰依したときの姿を表すとされています。教義に照らせばそう云うことなのでしょうが、少なくとも僕は、興福寺像に安らぎを見いだすことができません。

 「わたしの戦いは、いつ終わるのだ・・・・?」物語のラストの阿修羅王の言葉です。安らぎを求めようにもすでに還る道は無く、永遠に戦い続けるという宿命を負った阿修羅王の嘆きで物語は幕を降ろします。
 
「百億の昼と千億の夜」は、戦いの鬼神を憂いを帯びた少女像で表す感性を持ち、「神」に対して客観的なスタンスをとることのできる、日本人でしか描けない物語だと思います。
 そして、萩尾望都さんのコミックは、原作の魅力を余すところなく、僕らにも解るように提供してくれたんです。それは、才能ある歌手が、名曲をカバーしたときのように。

2016年5月26日木曜日

「地球へ・・・」竹宮惠子 ~古典となった、学長先生の代表作~

 2007年ですから、いつの間にか昔の話です。竹宮惠子先生の「地球へ・・・」がテレビアニメ化されるという話を聞きました。驚きました。だって「地球へ・・・」が連載されていたのは、1977年。今から、40年前。当時からしても30年前のことです。30年も前のコミックを今頃アニメ化するなんて、どういうことなんでしょうか。
 でも、期待度は高まります。懐かしくなって、本棚を探したのですが、見当たら無いんですよ。処分してしまったのか、改めて思い出してみても、買った記憶も定かではありませんから、友人から借りて読んでいただけだったのかもしれません。
 結局、本屋さんで買ってきました。ということで、手元にあるのは、アニメ化記念で発売された、新装版の全3巻になります。


 テレビアニメは、最初の数回程、見ていたように記憶していますが、途中で飽きてしまいました。不幸なことに、原作を知っている者としては、期待のアニメも、単なる答え合わせのような感覚でしか見ることができなくって。しかも、一回の放送で話が進むのは、微々たるもので、その続きが、また一週間後では、テンションを維持することができませんでした。

 連載が終了した1980年には、劇場版が発表されました。こちらも見たような記憶がありますが、あやふやなんですよね。映画館には行ってませんから、見たとすればテレビ放送された時ですが、もしかしたら、テレビアニメ版とごちゃ混ぜに記憶しているのかもしれません。

 劇場版の主題歌になります。歌っているのは、「ダ・カーポ」さんですね。懐かしい。やっぱり昔のことなんだなと思います。


 この楽曲は、当時の歌番組等でも、歌われていましたから、映画も、この主題歌も、そこそこヒットしたのではないでしょうか。

 原作者の竹宮惠子先生は、現在66歳。少女漫画家で「花の24年組」と呼ばれた世代になります。同世代には、「トーマの心臓」の萩尾望都さんの他に、以前このブログで紹介させていただいた「エロイカより愛をこめて」の青池保子さんや、「日出ずる処の天子」の山岸凉子さんがいます。
 竹宮先生は、2000年に京都精華大学マンガ学部の教授に就任されています。客員教授じゃありませんよ。専任です。漫画家が大学の専任教員となったのは、先生が最初のようです。さらに、2008年には同学部の学部長、2014年には、大学の学長に就任されました。利発で積極的、学生運動にも参加していたという行動力が、漫画家としてだけでは無く、社会的な出世をも可能にしたのでしょう。

 「地球へ・・・」は、月刊マンガ少年という少年誌に連載されていたこともあって、ファンには男性も多いのが最大の特徴です。女性ファンが「キース」や「ソルジャー・ブルー」などのキャラクターに関心を持っているのに対して、男性ファンは、ストーリー構成に魅了されているようで、この辺りは、青池さんの「エロイカ」とも共通しているところだと思います。

 コンピューターに完全に管理された社会、人類の存在が地球を衰退させていること、ワープ航法を使っての宇宙進出、超能力を持った新人類の出現など1つ1つのネタは、必ずしも斬新とは云えませんが、1970年代後半という当時の社会風潮を良く表していると思います。
 
 ただし、これは、少女漫画家全般に云えることなんですが、戦闘シーンの描き方は、どうしても物足りなさを感じます。描かれているページ数も多くはありません。ミサイルの飛ばし方1つとっても、イマイチです。戦闘艦のどこからミサイルが発射されているのか分かりません。少年漫画家だったら、新人類(ミュー)と現人類の宇宙戦争に多くのページを割くのでしょうが、冥王星基地を巡る攻防戦などは、一大決戦のはずなのに数ページで終了です。

 とは云っても、メカニックデザインは、まずまずですし、コマ割りや作画は、あくまでも少女漫画的ですが、それがかえって、SF漫画として何とも斬新な印象を与えていたように思います。
 さすがに心理描写は、丁寧に描かれています。この心理描写こそが、登場人物への思い入れを喚起し、多くのファンを惹きつけたのだと思います。

 ラストシーンで、キースは、「地球の存続」と「人間の尊厳」のどちらかを選ぶという究極の選択を迫られますが、彼に迷いはありませんでした。まあ、結果として、登場人物は、ほとんど死んでしまうし、地球は再生されないんですよね。宇宙に散らばっていった人類は、それぞれの星で異星人として進化していくわけですし。
 キーズが、コンピューター「テラ」を停止させるシーンを読んだ僕の想いは、「勿体ない」でしたよw

 ストーリーが難解だとか云われますが、大人になって読み返す限りにおいては、そのような印象は受けません。ただ、最後のエピローグの扱いは、どうかと思います。読み手がどう考えるか、ということより、自分が描きたいからという感じでしょうか、まあ、それくらいの自己顕示欲がなければ、学長先生まで上りつめることなどできないでしょうけど。

 余計なお世話かと思いますが念のため。
 「地球」と書いて「テラ」と読みます。ラテン語語源のイタリア語だそうです。

2016年5月25日水曜日

「うたコン」見ていたら、いきなりズッキが出てきて焦った話。

 NHKの生放送・生伴奏の歌番組「うたコン」、ニュースの後にいきなり始まるという戦略に嵌められて、ついつい見てしまいます。で、見始めると、それなりに面白いので、惰性で最後まで見てしまいます。山内恵介とか出てくると喜んでしまいます。演歌に心打たれる年齢になったんでしょうかw

 今回の放送で面白かったのは、鈴木雅之氏が「ランナウェイ」をゴスペラーズと共に歌ったことです。ちょっと格調高いランナウェイですけど良かったですよ。シャネルズのベースパートを担当していた佐藤善雄氏が、ゴスペラーズのプロデューサーだったんですね。

 そしたら、モーニング娘16が、いきなり出てきて「ラブマシーン」を歌ったんですよ。えっ、出るの?って感じで、びっくりしてしまいました。新聞のテレビ欄を見たら、夏川りみ・鈴木雅之・ゴスペラーズ・・・・その他、って書いてあるんですけど、モー娘って「その他」の扱いだったんですね。いつになっても「ラブマシーン」を歌わされるモー娘にちょっと同情してたんですけど、次に新曲の「泡沫(うたかた)サタデーナイト」も歌ったんですよ。
 

 NHKのHPによると、「泡沫サタデーナイト」のアレンジを担当した「クラッシャー木村」さんと、彼が率いるストリングチームが、うたコンのバンドにも参加しているそうです。だからといって、出演が決まったわけでないと思いますが。ここに来て、ミュージック・ステーションに出演するなど、積極的に売り出し始めているようですね。
 もう1つは、この曲がつんく♂曲でなく、「津野米咲」さんの作品であるということです。コンペで決まったそうですが、世の中には、モー娘に楽曲提供したいミュージシャンは、たくさんいると云うことでしょう。つんく♂氏の過去の偉業は十分認めさせていただきますが、だからと云って、才能が涸れつつあるミュージシャンに永遠に全面依存する必要はないですからね。

 「小田さくら」ちゃんも、それなりに歌パートが多くなっているようですけど、いつまでも、この程度の扱いでは、勿体ないですね。モーヲタに「全然可愛くない」なんて書き込みされるくらいなら、一刻も早い「アイドル系演歌歌手」といてのソロデビューを願います。絶対みんなに可愛いがられると思うし、うたコンにレギュラー出演して、演歌からPOPSまで、幅広く歌って欲しいですw

 それからズッキこと「鈴木香音」さん。いよいよ今月で卒業ですね。間奏での台詞と、最後にちょっとだけセンターでのダンス。卒業に向けてのご褒美でしょうか。それにしても、素晴らしいキャラクター度です。12人もメンバーがいて、これだけの存在感ですよ。こういうメンバーを大切にできるグループであり、ファンであって欲しかったんですけど、って別に追い出される訳では、ありませんでしたね。失礼しました。

 ズッキでさえ、武道館で卒業ライブするんですから、鞘師さんの卒業が、いかに異例のことであったのかが、改めて分かります。

 「うたコン」、見ようって決めてるわけでは無いのですが、なんとなく来週も見ちゃいそうです。

2016年5月20日金曜日

松浦亜弥コンサートツアー2008春「AYA The Witch」後編

 衣装替えの時間は、鏡ネタの録音(?)MCですが、しかし、MC明けに出てきて歌う曲が「きずな」、MCでオタクを焚き付けるのであれば、ここは順番を変えて、元気な「恋してごめんね」あたりから始めても良かったかなと思います。そうすると「きずな」をどこに持ってくるかなんですけど、むげにもできない曲でしょうから、困りましたね。


  前回も書きましたけど、「ダブルレインボウ」には外れが無いですね。どのライブテイクもそれぞれ心に響きます。


 続いて「恋してごめんね」なんですが、衣装からのイメージで、ここで「オリジナル人生」なんてのも面白いかなって思いました。
 で、早着替えからの 「奇跡の香りダンス」「バンド紹介」「The 美学」と続く流れが、このDVDでの最大の見所ですね。特に、会場の煽りから曲へ入るところ、バンド紹介から曲に戻るところ、とにかく格好いいです。自然な入りと云うよりも、一瞬でホールの空気を変えてしまう妙でしょうか。もちろん、完璧に対応できる年季の入った亜弥オタさんの存在あってのこのです。


 楽曲の途中でのバンド紹介って、お約束で決まっているものならともかく、お気に入りの曲でやられてしまうとテンション一気に下がっちゃいますから、それなりに冒険ではあります。
 ライブによっては、メンバー紹介を独立して行うことも多いと思います。初音ミクのライブでも、最近は、そっちの方が多いですね。ただ、そういう場合、中年オタクとしましては、座らせていただきまして、完全な給水タイムとなるわけです。

 アンコール1曲目は、「ラブ涙色」。ここで、「きずな」をもってくるやり方もあったと思いますが、今回は、格好良く始まって、賑やかに終わろうというコンセプトだったのでしょう。
 この「ラブ涙色」のテイクは、とても良いと思います。大人になった松浦亜弥さんが歌うアイドルソングテイク群の中では、前回のライブ「ダブルレインボウ」における「トロピカール恋してーる」に並ぶ、好テイクだと思います。まあ、難があるとすれば、休日の朝にゴミ出しに出てきたようなオバちゃんファッションでしょうか。


 ファンになり立てのころは、このテイクと紅白歌合戦のテイクを交互に視聴しては、そのギャップを楽しませていただいたものです。
 
 「AYA The Witch」は、評価の高いライブです。僕もファンになったばかりの頃、どのライブDVDを買おうかと調べたんですが、Amazonのレビューが絶賛の嵐でしたから、迷わず注文しました。ちょっと、考えてみれば、レビューなんて、ファンが書き込んでいるわけですから、悪く書くわけ無いんですけどね。

 ライブのラストソングは、前回の「ダブルレインボウ」の時と同じ「めっちゃホリデー」、この「AYA The Witch」によって、松浦亜弥という歌手は、こういうライブをしていくんだという形を示したと思います。ファンもこういうライブを、これからも続けていくんだと思ったはずです。
 その一方で、STBライブやマニアックライブが始まっていったのも、同じ2008年です。「めっちゃホリデー」を必ず歌うライブと、絶対歌わないライブ。1つの形が完成する一方で、新しい形が始まろうとしていました。
 
 ちなみに、動画で見る限り、ファンの振りは、鏡で無くって、振りコピが多数派のようです。
 
 あっ、どっちでも良いことでしたね。

2016年5月15日日曜日

松浦亜弥コンサートツアー2008春「AYA The Witch」前編

 「Witch」は、魔女という意味ですね。転じて「醜い女性、魅惑的な女性」という2つの相反する意味も併せ持つようです。何と云っても魔法使いですから。

 2008年春のコンサートツアーは、5月24日の「ハーモニーホール座間」からスタートして、8日間、6会場で全15公演行われました。ファイナルは、姫路での凱旋公演。DVD収録は、6月8日の「中野サンプラザ」。特典映像として6月25日に行われた「東京厚生年金会館」のバースデーライブのアンコール映像が収録されています。この日は、平日であったためか、1公演のみとなっています。
 公演は、首都圏と名古屋、大阪、姫路となっていて、地方での公演は無くなっています。座間と中野では、土日の2日間に4公演行われましたが、4連続参戦などというファンもいたみたいです。他のアーティストでもそうなのかもしれませんけど、一日2公演って、たくさんの人に来てもらうためじゃ無くって、1人から2回分の料金をいただくためなんですよね。しかし、これで、ホールの座席は埋まるかも知れませんけど、グッズの売り上げは厳しかったと思います。高額お買い上げのファンには、何かしらのサービスがあったかもしれませんね。

 DVDは、録画時間の制約がありますから、MC部分は、カットされていることが多いんですけど、ライブのMCについては、当時のファンの方々が詳細なレポートをアップしてくれています。リンクを貼らせていただきますので、研究されたい方はどうぞです。


松浦亜弥コンサートツアー2008春「AYA The Witch」ライブレポート


 このコンサートツアーは、ニューアルバムのリリースが無い状況で開催されましたので、セットリストは、前回のツアー「ダブルレインボウ」をフォローする形での選曲になっています。
 アンコールを含めて全19曲、そのうち「ダブルレインボウ」からは、5曲でしょうか。他は、昔の3枚のアルバムからバランス良く選曲していますね。サプライズは、「トロピカール恋してーる」のカップリング曲「夕暮れ」が演奏されたことでしょうか。

 それから、一番肝心なことを忘れてました。このライブから、全曲生バンド伴奏になってましたね。松浦亜弥さんとバンドメンバーとの距離も前回より近くなっています。これから、どんどん近くなって行くのですけど。

 で、オープニングは「From That Sky~替え玉は硬メンで~」、生バンドを最大限生かした演出ですね。セカンドアルバムの収録曲ですが、歌詞の内容も含めて、楽曲に負けない雰囲気を身につけるには、このくらいの貫禄が必要なんだと思いました。よく云うところの、彼女が曲に追いついたってことですね。


 なかなか格好いいです。で、「絶対解ける問題」と続けた後が、「ソウルメイト」。僕がこのDVDの中で一番好きなテイクです。


 どこかで聴いたことがあるような曲なんですけど、何だか好きなんですよ。バンドアレンジもCDより良いんじゃないかって思います。
 それから、「オシャレ!」「女Day by Day」って続いて行きます。「オシャレ!」については、僕は「あやや」のころのテイクが好みで、歌唱としては、15・6歳の頃に完成しているんではないかと思っているんですけど、このライブで、サビ前に手を出して、観衆に振りをアピールする姿などは、ベテランの域に達していることの表れですね。


 ステージに座っての「ひとり」ですね。前回あたりから、座り込んでバラードを歌う演出を始めたようです。僕は、「歌は立って歌って欲しい派」ですけど、まあ、ライブの中の1曲ならばOKです。声も良く出ているテイクだと思います。


 DVDでは、このあとのMCがフリマネについての話題になってます。僕は、フリマネはしたことがないのですが、聞くところによるとステージ上のアイドルとフリがピッタリ合ったときの一体感は、とても気持ちの良いものだそうです。
 ここでの話題は、フリマネは、ミラー(鏡)が正しいのか、コピー(振りコピ)が正しいのかということのようですけど、ここは、きっぱりと決着を付けて欲しかったところですね。手と手がぶつかって痛い思いをするオタクもいるでしょうし、喧嘩の元になっているのかもしれませんから。
 ネットで調べたところによると、声優ライブなどは鏡、ハロプロライブはコピーになっているというのが、定説のようですが、実態は様々だったということでしょうか。アイドルが左手でマイクを持っているように、オタクは右手にペンライトを持っていますから、空いているのは左手。本来ならば、真似るのであれば鏡の方が楽なはずです。そこを左右逆にしないというところが、ハロオタのこだわりだったのかもしれません。
 フリマネとは、ちょっと違いますけど、先ほどの「オシャレ!」のテイクで、手を左右に振っているところを見ても、完全に半々ですね。サイリュームがぶつかって割れたら大変ですw

 松浦亜弥さんのライブでさえこうなんですから、初音ミクのライブなんてもっとバラバラです。でも、ちゃんと上手いことできていて、アリーナ席の前に陣取った集団が自信を持ってリードしてくれると、後ろのみんなが合わせるんですよ。アリーナ席を引き当てるというのは、それだけ責任があると云うことだと思います。ですから、今年のライブも、合ってるとか間違っているとか関係ないんで、縦に振るのか、横に振るのかとか、自信を持って、ハッキリとリードして欲しいですね。って、何の話でしたっけ。
 
 ここからは、「ドッキドキ!LOVEメール」「初めて唇を重ねた夜」「夕暮れ」と初期の曲を4曲続けます。どのテイクもそれぞれ面白いところがあるのですが、まずは「デート日和」から。


 この楽曲も、生バンドが似合いますね。で、間奏で懲りずにピアノを弾いてましたけど、もはや罰ゲームとしか思えません。

 前半、最後の曲が「夕暮れ」です。この楽曲もまた、生バンドが似合います。僕が、このライブのDVDを買ったのは、ファンになりたての頃でしたので、この曲が、あの「トロ恋」のカップリングだなんて知りませんでした。こん曲あったっけかあ、みたいな感じで、誰かのカバー曲かって思っていたんですよね。


ファーストライブで歌っていたら、どんなテイクになったでしょうかね。

2016年5月13日金曜日

冨田勲×初音ミク「ドクター・コッペリウス」が追悼特別公演に変わるそうです。

 演出家の蜷川幸雄氏がご逝去されたそうです。お年寄りが死ぬのは、世の常とは云え、このところ有名人逝去のニュースが続きますね。僕は、自分の思い通りにならないからといって、怒鳴り散らすタイプの人間は苦手なんで、この話題は、ここまでです。

 で、11月に予定されていた冨田勲先生・生誕85周年記念公演が冨田勲先生の逝去により、追悼特別公演に企画変更されました。御本人が亡くなられても、生誕85周年には、変わりないと思うのですが、そういうことのようです。15年後には、生誕100周年と云うことですよね。

 先生は、倒れる一時間前も、公演の打ち合わせをしていたということですので、楽曲は完成していたとしても、演出とかは、これからだったのでしょうか。まあ、そのへんは、先生の意思を継いだ方たちが、ということになるのでしょうか。案外、そのほうが話が早く進んだりして・・・。
 先生に一目で良いのでお会いしたかったのですが、とにかく、チケットがそのまま使えるようで良かったです。

 そのうち、「イーハトーヴ交響曲」の公演なんてのも、あるかもしれませんね。

 死んでも、残るものがあるって、イイなあ。

2016年5月9日月曜日

冨田勲先生逝去 ~僕は、イサオ・トミタを忘れない~

 日本コロンビアへのリンクです。


 先日、生誕85周年記念公演「Dr.コッペリウス」についての記事を投稿したばかり、御本人も「11月まで死ねなくなった」などと周囲に話していたそうですが、突然の逝去報道。まさかこのタイミングでこんなことになるとは。

 逝去の報道をうけて、2ちゃんねるにも複数のスレッドが立ったようです。84歳の老音楽家の死にネットの住人がこれだけの反応をするというのも、先生の異色さ、偉大さの表れであると思います。

 先生は、1960年代、テレビドラマのテーマ曲やCMソングなどの制作を精力的におこないました。オファーがひっきりなしに来ると云う、かなりの売れっ子作曲家だったようです。ウイキペディアなどを見ると、大河ドラマのテーマ曲を5本、「ジャングル大帝」「リボンの騎士」などのアニメ主題歌、「マイティジャック」「キャプテンウルトラ」などの特撮番組の主題歌など、あれもこれもっていう感じで、僕らが冨田先生の楽曲を聴いて育った世代であることを改めて実感しました。
 
 冨田勲先生のテレビ作品として、紹介されるのは、NHK「新日本紀行」や「今日の料理」のテーマ曲だと思いますが、僕的には、こちら。NHK特集「70年代われらの世界」のテーマ曲「青い地球は誰のもの」です。


 再録音盤のようですね。オリジナルは、もう少し素朴で昭和的だったと思います。
 
 「70年代われらの世界」、子どもでしたけど必死になって見ていましたよ。高度成長社会が転換期を迎えていた時代、公害という言葉が使われ始めた頃です。「宇宙船地球号」っていう言葉も流行りました。地球資源は有限であること、環境問題は全地球的規模で対策を取らねばならないこと、子どもながらにも真剣に考えましたよ。僕は、何だかんだ云っても、日本という国は、世界に誇れる環境モラルの高い国だと思っていますが、あの時代に、こういう番組を作れたことが、大きかったのではないかと思います。
 その番組のテーマ曲が「青い地球は誰のもの」でした。将来について悲観的になってしまう話題が多い番組でしたが、この曲の持っている明るさや力強さが、未来への希望を持たせてくれました。児童合唱団に歌わせたのも良かったのかな。もちろん、その当時は、冨田先生の作品だなんて考えもしませんでしたけど。楽曲は、強烈な印象となって記憶に残っています。で、後になって、あれもこれもって分かる、それが先生の仕事の凄いところだと思います。それにしても、こんな曲にも作詞ってあるんですねw
     
 アニメ、特撮物だとやはり「ジャングル大帝」でしょうか。現在の日本のアニソンのレベルの高さって、アニメの創世期にレベルの高い楽曲を出していたからこそ、ですよね。ただ、僕的には、こちら。
 マイティジャックの発進とテーマ曲は、2分2秒からです。


 冨田先生の楽曲って、大衆的だけど低俗では無いし、荘厳だけど難解では無い。アニソンにしても大河ドラマにしても「子どもにも分かる格好良さ」が最大の特徴だと思うんです。

 冨田先生は、その後シンセサイザーにハマって、ドビュッシーの「月の光」やムソルグスキーの「展覧会の絵」などのシンセサイザーアレンジの作品を発表します。作品は、日本よりも米国で評価され、で、日本でも慌てて評価するといったぐあいでした。僕が聴き始めたのは、組曲「惑星」の頃からですが、理系オタクで音楽にも多少の興味があった者として、これにハマらないわけはありません。シンセサイザーとそれが奏でる音楽は、僕の憧れでした。

 先生はイサオ・トミタとして、世界的にも有名になりましたけど、シンセサイザーなんかにハマらないで、管弦楽の作曲家として続けていった方が良かったのではないかという意見があります。アニメオタクが、冨田先生をアニソンの神として崇めることを快く思わない人たちもいます。また、晩年に初音ミクなんかに関わったことを人生の汚点と評する人たちもいます。
 でも、その全てが冨田勲先生なんですよね。80歳を越えた音楽家が「初音ミクって面白いよね」なんて普通云いませんよ。ライブに出かけて、オタクと一緒にペンライト振りませんよ。

 
 でも、先生は、シンセサイザーにハマったからといって、管弦楽を捨てたわけではありませんし、初音ミクに興味を持ったからと云って、声楽を軽んじたわけではありません。必要だと思ったところに、既存の価値観にとらわれることなく、最適だと思ったものを当てはめているんだと思います。

 偉大な大衆作曲家であり、シンセサイザーの先駆者であり、アニソンの神であり、初音ミクの恩人、その全部が冨田勲先生でした。

 僕は、子どもの頃、冨田先生の楽曲を聴いて育ちました。そしてその楽曲は、大人になった今でも、忘れることはありませんでした。だから、これからもずっと、忘れることは無いはずです。

 11月の公演って、どうなるのかなあ。会場に行ったら、絶対泣くと思います。

2016年5月8日日曜日

放送中止になったはずのCMがYouTubeで見られると云う話

 世界の食文化を変えたといわれている日清食品さんが、4月に放送していたCMです。


 食品メーカーにしては珍しく、食べ物が出てこないタイプのCMですね。イメージ戦略型って云うんでしょうか。それにしてもよく分からないCMです。「CRAZY MAKES The FUTURE」っていうコピーがカップヌードルとどのように関係あるのか全く分かりませんし、このCMを見た人がカップヌードルを食べたくなるとも思えません。でも、面白いですね。こういうCM、嫌いではありません。

 ご存じの方も多いと思いますが、このCMは、視聴者の皆様からのクレームが殺到いたしまして、わずか十日足らずで放送中止となりました。どこの部分が反感をかったのかと云うと、「矢口真里」さんが自ら犯した不倫に対して、開き直っているかのような場面がマズかったようです。
 矢口さんバージョンのCMで改めて確認してみましょう。


 食品メーカーは、視聴者と直に繋がっています。クレーム対応を間違えると社運に関わりますから、神経質にならざるを得ないですね。っていうか、だったら最初からこんな冒険的なCMを流さなければいいのにって思いますが。
 ただ、世間を裏切ったという点で考えると、新垣隆氏だって問題があると思います。新垣氏と佐村河内氏(のそっくりさん)の連弾の場面は、明らかにふざけ過ぎかと・・・w
 でも、クレームの大部分は、あくまでも矢口さんに対してだったようです。
 日清食品さんは、ホームページ上で、「皆様に不快な思いをさせ・・・」と謝罪しましたけど、不快な思いをした皆様ってどういう人たちなんでしょうか。

 矢口さんの不倫騒動では、CMが中止になったりして、違約金等で事務所にかなりの損害を与えたと云われていますが、それは、あくまでもあちらの世界の話です。矢口さんは、ほぼ1年間謹慎して、それから1年間かけて少しずつ慎重に仕事を増やしてきました。にもかかわらず、矢口さんに対する風当たりが、3年経った今でも相変わらず強いのは、何故なんでしょう。
 これは今もって、矢口さんを許せない奴らがいると云うことだと思います。

 で、勝手に妄想してみました。

 当時、モーニング娘は、プロモーションを大手広告代理店に委託して、盛んに売り出していました。「今、モー娘がキテる」みたいな感じで、ワイドショーに取り上げてもらったり、積極的に歌番組やバラエティーに出演したり、CDの販売にもかなり力が入っていました。で、何年ぶりかの紅白出場も間違いなしっていう雰囲気だったんです。
 ところが、この年の紅白に、モー娘は、選ばれませんでした。で、その原因とされたのが、同じ年に起きた、矢口さんの不倫騒動による、モーニング娘のイメージダウンです。

 本当の理由など分かりませんけど、ファンの間では、そう信じられていたみたいです。で、矢口さんが、「私のせいにされても迷惑」みたいな発言をして、さらにファンの怒りをかったりしたりして。
 つまり、いつまでも矢口さんを許せない奴らって、身内にいるんじゃないかって思うんです。

 最近のモー娘は、中心メンバーの卒業もあって、心配な感じです。CM出演も、テレビ出演もないようですし、そんな状況で、矢口さんの不倫ネタでのCM出演は、モー娘ファンにとっては、複雑な思いだったはずです。CMの制作サイドが、矢口さんに対して渦巻く怨念を甘く見ていたと云えるかもしれません。

 結局、CMは放送中止、公式サイトからも削除されましたが、YouTube上の動画群は、スルーされたままになっています。全部合わせた視聴回数は、100万回を優に越えていると思われます。まあ、せっかくアップしてもらった動画を削除することもないですしね。何か言われたら、勝手に投稿しているだけで当社とは関係の無いことですって云えばいいのですから。大金かけて制作したCMですから、気持ちも分からないでもありません。 

 第二弾が楽しみなんですけど・・・無いですよね。                      

 不倫騒動からまもなく3年、矢口さんは、このCMのオファーが来たとき、泣いて喜んだそうです。タレントさんにとって、CMに出演するというのは、それだけ嬉しく、大変なことなんだなと思いました。しかし、この騒動で、他のメーカーさんも矢口さんを使いにくくなったことは確かですから、矢口さんのCM復帰は、当分先のことになりそうです。

 以上が僕の勝手な妄想です。放送中止と云いながら、YouTube動画は黙認するという姿勢に、何か松浦亜弥さんとの共通点を感じたものですから・・・w

2016年5月3日火曜日

「冨田勲」御年85にして新作交響曲初演決定だそうです。あと「糸川英夫」についても

 冨田勲先生の生誕85周年を記念した、交響曲「ドクター・コッペリウス」の公演が発表されています。

 85歳で新作交響曲の発表だそうです。恐れ入ります。音楽家活動の集大成とのことですが、だからと云って、これで引退というわけでもなさそうです。芸術家は、亡くなるまで生涯現役なんですね。自分の現状を考えると、羨ましくも尊敬すべきことだと思います。
 で、今回も初音ミクとのコラボとのことです。相変わらずの好奇心、新しい物好きなところも、大先生となられた今も一向に変わるのことがないようです。
 前回、4年前に発表された「イーハトーヴ交響曲」はオペラだったんですが、今回は、バレエがテーマだそうです。
             
 やはり、60歳でバレエを始めるなど、好奇心旺盛だった故「糸川英夫」大先生の「いつかフォログラフィーとバレエを踊りたい。」というむちゃ振りが、この作品が生まれるきっかけになったそうです。「初音ミクを指揮者に合わせて歌わせろ」と云った冨田先生といい、大先生方のむちゃ振りには驚かされますが、こう云う発想が技術を進歩させるのでしょう。
 「音楽・バレエ・映像が渾然一体となった音楽・舞台作品」ということは、今回は、ディラッドボードに投影される初音ミクとバレエダンサーの共演という演出になると思います。クリプトン社のお手並み拝見といきましょうか。 

 11月11日(金)・12日(土)の2日間、東京・渋谷 Bunkamuraオーチャードホールで、S席10,000円。通常のクラッシックコンサートとも、初音ミクのライブとも違いますから、慌てなくともチケットは手に入るでしょう。クラシックコンサートなら、知っている曲をやってくれるし、予習もできるんですけど、交響曲の初演公演なんて始めなので戸惑ってしまいます。だけど、ライブみたいに、昼夜2回参戦なんてしませんから、東京見物を兼ねて、行ってみたい気持ちもあります。
 あと、ペンライトとか長ネギの持ち込みは、どうなるんでしょうかww

 そうそう、糸川英夫先生と云うと、むかーーし講演を聴いたことがあります。


 糸川先生は東大で航空工学を専攻、戦争中は中島飛行機に入社し、帝国陸軍の戦闘機「隼」などの設計に、空力担当技師として関わりました。「隼」は、海軍の「零戦」とともに、太平洋戦争の主力戦闘機になりました。
 戦後は、ロケット開発に熱中し、日本の宇宙開発の父と呼ばれています。


「隼」というと、小惑星探査機の「はやぶさ」くんが有名ですが、この探査機が向かった小惑星の名前が「イトカワ」だったんですよね。これらの命名は、偶然ではなく、意図的なもののようですから、それだけ糸川先生の業績が偉大だと云うことなんでしょう。

 先日、X線観測衛星の「ひとみ」ちゃんが、運用中止に追い込まれ、310億円の宇宙ゴミと化してしまいました。衛星の姿勢制御のプログラムミスなどと云うのは、有り得ないことなんですけどね。まあ、テストで云えば、難しい応用問題にばかり気を取られて、始めの方の簡単な計算問題をミスったってことなんでしょう。糸川先生がご存命でしたら、そのお怒りはいかがなものかと・・・w
 
 で、肝心の講演会なんですけど、内容は全然覚えてません。当時は、僕もまだ理系オタクを引きずっていた頃なんで、開発の裏話など期待して聴いていたんですけど、権力を手にした後の自慢話をノープランで取り留めなく話していただけでした。

 糸川先生に関連する現代語・造語には、「逆転の発想」「不具合」という言葉があるそうです。

 そうでした、ロケット開発に「不具合」は付きものでしたね。糸川先生も大量のゴミを出し続けていたことでしょう。ロケット開発など無駄なものと云う、当時の政治・官僚の思想の中で、糸川先生が夢を達成するためには、科学技術者だけでなく、自らも政治家という側面を持たざるを得なかったのでしょう。今だったら、糸川先生の講演会も、興味を持って聴くことができるような気がします。

 「ドクター・コッペリウス」の公式ホームページのデザインは宇宙をイメージしたものになっています。1人の天才科学者の夢を音楽とバーチャルリアリティ技術で表現しようとする試みなんでしょう。

ドクター・コッペリウス

 制御不能になった「ひとみ」ちゃんは、高度を徐々に落とし、数十年後には、綺麗な流れ星になるそうです。