2019年12月27日金曜日

「紀平梨花」全日本フィギュア選手権2019 ~3A+3Tという選択~

今年の全日本フィギュア選手権は波乱だらけの大会だったが、女子は梨花ちゃんのぶっちぎり優勝で終わった。

NHK杯から全日本まで、5週間で3つの大会。そのうちの1つはイタリアまで出かけているのだから、連戦の緊張と時差ボケで、精神的にも体力的にも厳しかったことと思う。

だから、4回転サルコウを回避したことも致し方ない。・・・だったら、4回転絶対入れますなんて、云わなければいいのにと思う。どうせ、空気を読んで云わされちゃってるんだろうけど、翌日の見出しが「4回転回避するも優勝」みたいになって、せっかくの初優勝の演技がイマイチだったような印象を与えてしまうからだ。


今シーズンは、ロシアの女の子たちのインパクトが凄いし、実際、国際大会で優勝できていないけど、梨花ちゃんの演技のデキは決して悪くない。


リアルタイムでのテレビ観戦というのは、転倒しちゃったらどうしようなんてハラハラドキドキできて楽しいものである。

で、ジャンプの構成は次の通り。

 ①3S ②3A+3T ③3F ④3A ⑤3F+2T ⑥2A+2T+2Lo ⑦3Lo

2つのトリプルアクセルを含む7トリプルで、減点無し。ルッツを封印しての155点台なんだから、昨シーズンだったら大絶賛である。


全日本フィギュアは、3月の世界選手権の出場権がかかっている大切な大会だ。梨花ちゃんはSPで首位に立っているとは云え、ミスもあって得点は73点。2位との差はわずか3点の混戦である。まあ、フリーで大コケしたとしても、今までの実績があるから、代表には選ばれるだろうけど、それでは後味が悪い。何よりも、彼女は未だこのタイトルを取ったことが無いから、絶対優勝したいと思っていたはずだ。

梨花ちゃんは、演技後のインタビューで、4サルコウを回避することを決めたときに、代わりに3アクセル+3トーループを跳ぼうと思ったと答えた。

だけど、この構成で、2番目に3A+3Tは有り得ない。リスクが大きいからだ。実際、3Tで回転不足を取られた。回転不足だけならまだしも、転倒してしまったら4回転サルコウを回避した意味そのものがなくなってしまう。

しかも、2番目に3Tを跳んでしまったから、5番目の連続ジャンプを3Tから2Tに変えなくてはならない。これだと得点が1.1倍になる5番目に、3Tよりも得点の低い2Tを跳ぶことになって、基礎点が下がってしまう。難易度を上げたのに得点は下がるなんていう構成を、コーチが指示するとは思えないから、これは梨花ちゃん自身の判断なんだと思う。

でも、僕は、このインタビューを聞いて嬉しくなった。これこそ、梨花ちゃんが梨花ちゃんである所以だからだ。梨花ちゃんの無意味なチャレンジャー精神は健在だったのだ。
今回は、全日本チャンピオンのタイトルを取ることを優先して安全策に出たけど、彼女は本当に4回転サルコウを跳びたかったんだと思う。梨花ちゃんは、逃げてなんかいなかったのだ。


そういえば、今シーズンは靴のことをあーだこーだと云わなくなった。きっと靴の締め方にこだわることに飽きたんだと思う。その代わりに、お昼寝の話ばかりしている。寝られなかったからダメだったとか、寝られなかったけど良かったとか・・・それって、お昼寝関係ないってことだろっ!

まあ、それで、メンタルコントロールしているのだろうけど・・・。

それにしても、ルッツの封印期間が長すぎる。本当に足首の状態が原因なのだろうか。もし、足首を故障しているのであれば、他のジャンプにも影響が出そうなのに、そんな様子は全然見られないんだから、逆に心配になってしまう。

次の試合は、2月の四大陸選手権。韓国で開催されるから、リアルタイムでテレビ放送されるだろう。梨花ちゃんならではのハラハラドキドキ、つっこみどころ満載の演技が楽しみである。

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