2021年3月24日水曜日

黒島結菜とNHK・BSドラマ「流れ星」

 「流れ星」は、2006年に初演、2009年に再演した、劇団「東京セレソンデラックス」の代表作。2019年には、「田中美佐子」さん、「飯豊まりえ」さんの共演によって、10年ぶりに再演されたとありました。

その「流れ星」が、3月22日にNHKのBSにて、主演「松坂慶子」さん、「黒島結菜」さん共演で放送されました。再放送の予定は今のところ無いようですが、NHKオンデマンドで配信されております。

番組紹介からの引用です。

主人公は、冷えた夫婦関係が長年続き、夫との会話もめっきり少なくなった夏子(松坂慶子)。ある日、夫・謙作(船越英一郎)は外出先で命を落とす。ひとりきりになった夏子の前に魔法使い・マリー(黒島結菜)があらわれ、願いを4つまでかなえると言う。夏子は「夫と出会う前の過去にタイムスリップしたい」とリクエスト。夏子とマリーは50年前に時をさかのぼる。夏子がそこで出会うのは、若き日の謙作(桐山照史)、夏子は自分の正体を偽って過去の日々をふたたび生き、自分が知らなかった夫の隠された真実を知ることになる。

ドラマは90分のスペシャル版。僕は、舞台のことは知りませんが、あらすじを比べますと、ドラマの方が、あっさりした印象を受けます。役者さんのテンションも舞台の方が高いでしょうから、舞台を見た方だと、ドラマは少し物足りなかったかもしれません。ただ、主演の松坂さんのホンワカしたお芝居は、それはそれで魅力的であります。

物語の舞台は、現在と、1970年の大阪万博が開催されていた頃の日本であります。50年の隔たりがありますから、タイムスリップも50年前ということになります。初演は、2006年だそうですから、その時は、35年前という設定だったのでしょう。

今回の50年前という設定には、若干無理があります。戦災孤児である謙作は、80才くらいだと思われますが、船越英一郎さんは、どう見ても80才には見えません。それに、80才の爺さんが外出先で亡くなるのは、突然というよりも普通のことですし、そもそも、70才と80才の老夫婦では、冷え切った夫婦関係も悟りの境地に入っているのではないでしょうか。次に再演するときは、年代設定を変えることになるかもしれませんね。

若い時の謙作を演じられたのが「桐山照史」さん。ジャニーズWESTの方だそうですけど、良い意味でジャニーズっぽく無くって面白い役者さんでした。個性的だし需要もありそうですから、これからどんどん活躍されるのではないでしょうか。朝ドラにも出てきそうに思います。

ジャニヲタさんからは「また黒島と共演かよ」みたいな書き込みがありましたが、こちらからすると、「またWESTと共演かよ」ってことですから、そこはお互いサマ。仲良くしたいものです。

黒島結菜さんが演じたのが、魔法使いのマリーでした。で、何でしょうか。このへんちくりんなビジュアル。人間の女の子ではないので、普通で無いのは理解できますけど・・・。

そういえば、「スカーレット」の松永三津も、へんてこりんな格好でした。昨年の「スカーレット」も、今回の「流れ星」も、来年の「ちむどんどん」も、年代設定はほぼ同じ。もしかして全部このイメージでいくんでしょうか。悪い予感がします。

このドラマは、黒島さんの何作目かのタイムスリップもの。となれば、考察しないわけにはいきません。ここからは、ネタバレ有り。感動の物語も、解説してしまうと陳腐になってしまいますから、これから視聴を考えられている方は、ご注意下さい。

さて、魔法使いマリーは、依頼人の願いを何でも叶えてくれますが、人を殺すことと、死んだ人を生き返らせることの2つはNG。その魔法を使ったら、流れ星になってしまうと云う設定です。

夫を亡くした夏子の前に現れたマリーは、4つの願いを叶えてあげると云いました。夏子は、謙作に出会った50年前に戻りたいと願います。そして、歴史を変えられるものならば、人生をやり直したいとも。ところが、夏子には、昔、不思議な親子に出会ったという記憶がありました。つまり、夏子が昭和を生きている時に、令和から来たマリーたちに会っていたことになります。これは時空が令和と昭和でループしていることを表し、マリーたちが昭和で行うことは、既に歴史に刻まれていることになる。つまり、歴史は変えられない。何故なら、変えようとする行為も全て歴史に含まれているからです。

昭和にタイムスリップしたマリーは、若き謙作に話をします。地上には、砕け散った流れ星(魔法使い)の欠片が落ちていて、それを88個集めると魔法使いが現れ、願いを1つ叶えてくれるというのです。

謙作は、休日に野山を歩き回り、50年かけて88個の星の欠片を集めます。そして、謙作の前にマリーが現れました。謙作がマリーに会うのは2度目ですが、マリーにとっては初めて。謙作の願いは、自分が死んで四十九日(舞台では初七日)の日に、夏子の前に現れて、願いを4つ叶えてやって欲しいというものでした。願いを承ったマリーは姿を消します。ループした時空がハウリングを起こしていますが、ドラマですから良しとしましょう。

3つめの魔法でこの事実を知った夏子は、マリーに最後の願いを伝えます。それは、夫の最期の日に戻り、想いを伝えることでした。歴史は変えられないけれど、想いは変えられるのではないかと。

出かける謙作と、見送る夏子。「必ず帰ってきて」という夏子の言葉。夜空に流れ星が飛んで物語は終わります。最後の流れ星の意味は何でしょうか。マリーが自らの意思で、謙作を生き返らせたという解釈もできますが、マリーが夏子の前に現れるのは謙作の死後。謙作が死なない限りマリーは現れず、夏子が謙作の想いを知ることはありません。夏子と謙作は互いのために魔法を使いますが、それは、謙作の死によって発動するものだったのです。

昭和の日本を舞台にしたホームドラマですから、朝ドラを見ているような気分になりました。地味ですけど、ほのぼのとした気分にさせてくれる話でしたよ。最近、そんな感じのドラマが多いですけどね。

教訓としては、互いを思いやる心をもっているのなら、関係が冷え切る前に、ちゃんとコミュニケーションを取りなさいってところかなぁ。50年かけて、星の欠片を88個集める気概なんてありませんからね。

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