2020年3月11日水曜日

紀平梨花「チャレンジカップ2020」~いきなりの「4回転なしで160点めざす」宣言~

2月20日から23日までの4日間、フィギュアスケートの国際B級大会「チャレンジカップ(Challenge Cup 2020)」がオランダで開催されました。紀平梨花選手は昨シーズンこの大会に出場して優勝。今シーズンもエントリーして連覇を達成いたしました。

オランダというと冬季オリンピックで金メダルを何個も獲得するスケート大国ですが、盛んなのはスピードスケートでしてフィギュアスケートは全く強くありません。フィギュアスケートのような演技系のスポーツは、オランダ人のような大柄の民族には向かないってことでしょうか。欧米でもフィギュアー選手は小柄な方が多いですからねぇ。

とは云っても、スケート大国なんですから、少しはフィギュアにも力を入れようとスポンサーが付いて始めたのが、この「チャレンジカップ」のようです。
チャレンジカップの面白いところは、オランダの国内選手権を兼ねていることです。フィギュアスケートのオランダ代表を決める大会に、外国選手も出場して一緒に盛り上げようってことのようですが、実質的には外国選手中心の国際大会になっています。
で、何故か日本は昔からこの大会に選手を送り込んでいて、歴代の優勝者にもたくさん名を連ねています。また、ジュニアの子たちも毎年参加しているようです。

日本のジュニア選手がこのような海外の大会に遠征できるのは、日本のスケート連盟がそれだけお金持ちだからです。で、そのお金は、浅田真央ちゃんとか、羽生結弦君がせっせと稼いでくれたものです。真央ヲタの中にはアンチ梨花ちゃんが結構いて何かと叩いてくる一方で、梨花ちゃんファンが真央ちゃんの悪口を絶対言わないのは、こういった事情があるからです。まあ、梨花ちゃんも最近は稼ぐ側になったようですけど。

「チャレンジカップ」の格付けは国際B級大会。フィギュアスケートの大会の格付けは、上から順に、
オリンピック≧世界選手権>欧州・四大陸選手権>GPシリーズ>チャレンジャーS>国際B級大会
だそうですから、若手にとっては経験を積む場・・・まあ、国際親善って意味合いもあろうかと思います。スピードスケートの強化のためにもオランダと仲良くするのは良いことですからね。

まずは、紀平梨花選手のショートプログラムから。

   
フィニッシュで反対側を向いてしまって、向き直しているところが何とも可愛いですね。

ジャンプの構成は次の通りです。

①3A ②3Lz ③3F-3T 

今回の特徴は、連続ジャンプを3番目にもってきたところです。でも、後ろに付けた3トーループで転倒してしまいました。2番目のルッツも詰まってましたから、連戦の疲れもあったのかもしれません。でも、そんな情況でも、ちゃんと3アクセルを跳べるのが、今シーズンの梨花ちゃんの成長の証です。

最も基礎点が高い連続ジャンプを、得点が1.1倍になる3番目に持ってくるのは、ロシアの女の子たちがよくやる構成です。ただ、3番目に跳ぶというのは、疲れも出てきますし、何より失敗して単独ジャンプになった場合、リカバリーができないというリスクがあります。

で、どのくらい基礎点が高くなるのかというと。

3Lzの基礎点は5.9点、3F-3Tは9.5点ですから、得点差は3.6。その0.1倍ですから0.36。

たったの0.36点なんですよね。出来映えGOE の+1の得点よりも少ないです。
まあ、こんなわずかな得点でも、貪欲に積み上げようとするロシア選手、恐るべしってことですけど、梨花ちゃんの強みはリカバリー力。それを捨ててまで取るリスクとは思えません。まあ、コケちゃったことでもありますし、ここは、是非とも、元の構成に戻して頂きたいものです。

次は、フリー演技です。

今回は、テレビ放送が無かったこともあって、初めてライスト(ライブ・ストリーミング)で観戦させて頂きました。

地上波放送の録画中継は、ネットニュースとかで結果が知らされちゃうんで、ドキドキ感ゼロだったんですが、これだと地球の裏側の試合をリアルタイムで観戦できます。ただ、解説もなくって簡単な実況だけで、それも英語ですから何を言ってるのか分かりません。でも会場音とかそのままなんで、リアルな感じで悪くなかったです。世界選手権も、地上波で生放送しないのなら、ライブストリーミングしてくれると良いんですけど。って云うか、大会そのものが無くなってしまいそうですね。


ジャンプ構成です。

 ①3S ②3A-2T ③3Lz ④3A ⑤3F-3T ⑥3Lz-2T-2Lo ⑦3Lo

やはり4サルコウは跳びませんでした。でも、3アクセル2本、3ルッツ2本という、6種類8トリプルの高難度構成。昨シーズンだったらぶっちぎりの優勝なんですけどね。

最後は右手・左手での時間差ガッツポーズ。ノーミスで本人は大満足のようですが、ファンからすると4回転にチャレンジしなかったことが、ナンとも歯痒かったようです。

で、インタビューでは、
160点を目指していた。(4回転)サルコーなしでも、160点に乗せられる選手になりたい。昨季は4回転がないと、私もやっていけないかなと思っていた。でも(アリョーナは)アクセル2本という(自分と)同じ構成で4回転を何本も跳んでいる選手(サーシャちゃん)より点数が高い。他のジャンプの自信が100%ぐらいあれば(自分も)動揺せずに挑戦できる。
と答えていたそうです。これはちょっとサプライズでした。だいたい、4回転無しで160点取るって、4サルコウを成功させるよりも遥かに難しいことじゃないですか。

完全にコストルナヤを意識した発言です。今シーズン無敵のロシア3人娘、中でも最強なのが「アリョーナ・コストルナヤ」選手です。彼女のジャンプ構成は紀平選手とほぼ同じで、4回転ジャンプがありません。

しかし、コストルナヤ選手の強みは、スケーティングの全ての要素で高評価を得ているところです。技術面でも演技構成でも、ほとんど全てに於いて梨花ちゃんより評価が高い。まあ、高いと云っても、1つ1つの要素の差は0.3点とかだけど、演技全体として積み重なると3点5点という決定的な差になるわけです。だから、今シーズンは、互いにノーミスだったら、梨花ちゃんはコストルナヤには絶対敵わない。それを挽回するには、ヘンテコリンな楽曲を変えて、4Sや4Tといったクワドジャンプを成功させるしかないわけです。

まあ、「量より質」って云いたいのかもしれませんけど、勝ち抜くためには、「量も質も」じゃなきゃダメなんです。

コストルナヤだって、4回転に取り組んでいないわけではありません。そのうちに実戦で投入してくるでしょう。さらに、アメリカや韓国、ロシアのジュニア選手がシニアに上がってくると4回転はもはや必至の技になる。

梨花ちゃんがクワドジャンプ(4回転)ができそうもない子ならば致し方ありませんが、実戦投入までもう一歩という段階まできてるのに、何でこんなことを云い出したんでしょう。4回転4回転と五月蠅いマスコミにウンザリした果ての発言とも思えないんですよね。

ジュニア時代の梨花ちゃんは、失敗しても失敗しても3Aを跳び続けて、今シーズンようやくモノにすることができました。でも、一方では、100%できる確信が持てるまで実戦に投入しないという方針もあったわけです。コストルナヤがそうでした。彼女はジュニア時代から3Aを練習していたんだろうけど、試合では全く跳んでなかった。
同じ「エテリ」コーチのチームでも、トルソワ選手は、3Aとか未完成でもどんどん試合で使ってくる。恐らく、選手の性格を見極めてのことだろう。

だとすると、かなりな「きにしい」である梨花ちゃんに合わせた方針は、自ずから決まってくるはず。今まではやるやると言ってやらなかったけど、今回はやらないと断言したようなものだから、世界選手権では4回転サルコウは100%やらないだろう。

梨花ちゃんは、もう試合で失敗するのが単純にイヤなんだと思う。

だからと云って、放棄したわけでも無いはず。160点発言だって、梨花ちゃんの負けず嫌いなところから出てきた言葉だと思うし、何てったって、言行不一致、有言不実行な梨花ちゃんですからね。この先、何が起きるか分かりません。

って云うか、世界選手権って開催するのかなぁ。観戦チケットとホテルと航空券をゲットしてた羽生ファンには、申し訳ないけど、僕的には、ライストさえあれば無観客でもOKなんですけどね。羽生選手以外のフィギュアの選手って、ガラガラの観客席には慣れてそうだし・・・。

0 件のコメント: