彼女がいなければ、初音ミクは、ヲタクの遊び道具で終わっていたと思います。
ミクは、コンピューターソフトです。入力さえすればどんな歌でも、例えば卑猥な言葉、聴くに堪えないような言葉の歌詞だって歌わせることができます。もちろん、表現は自由ですから、やりたい奴はやればいいのですが、そういう遊びが主流にならなかったのは、OSTERさんに代表されるような初期のボカロPさんたちが、ミクの発売直後から、進むべき王道を高いレベルで示してくれたからに他なりません。
その初期のボカロPさんの中でも、さらにOSTERさんは特異な存在に思えます。他のボカロPさんは、ミクを楽曲の発表ツールとして扱っている。つまり、たまたまミクに出会ったから使っているのであって、人間が歌っても構わないし、できればそうあって欲しい、という思いが垣間見えるのに対して、彼女からは、大好きなミクのために楽曲を提供している、という想いが伝わってくるのです。
さて、前置きが長くなりましたが、貼り付けさせていただくのは、「ミラクル・ペイント」のライブバージョンです。ステージ上、ディラッドスクリーンの横でピアノを弾いていらっしゃるお嬢さんが、OSTERさんのようです。演奏の腕前もなかなかですね。インタビュー記事などを拝見させていただくと、典型的なヲタク系のお嬢さんのように思われます。(気分を害されましたら、申し訳ありませんw。)
ファンでない方も騙されたと思って是非。
楽曲が良ければ自分も歌ってみたいと思うのは、人間の当然の心理です。アレンジが巧みであれば、演奏してみたいと楽器の心得のある者ならば誰でも考えるでしょう。
こんな動画もありました。かなりの視聴回数ですね。曲は、55秒からです。
で、人間がカバーした場合、大抵は、人間の方がしっくりきます。何だかんだ云っても、コンピューターの歌唱は、人間には敵いません。それがボーカロイド技術の正直な現状です。ところが、OSTERさんの楽曲に限って云えば、人間がミク以上に歌っているテイクというのがほとんど見当たりません。これは、OSTERさんがミクの特性を考えて、ミクのために楽曲を制作しているという何よりの証拠ではないでしょうか。
さて、OSTERさんが最も才能を発揮していると思うのは、その編曲に関してです。ボーカロイドは、それ自体が楽器の特性を持っていますので、伴奏はシンプルな方がしっくりきます。人間用のカラオケ伴奏では、クドすぎて歌が伴奏に埋没してしまうことが多く、極端な話、ドラム、ベース、サブメロディーの3つあれば十分なくらいです。
ところがOSTERさんの伴奏は、かなりの音数を入れ込んでいるのにも関わらず、ミクの歌が埋没することはありません。そしてコーラスの付け方も巧みです。
現在、彼女は、プロの音楽家として、キャラクターソングやゲームミュージックなどに作品を提供していらっしゃるようです。
最後にフルコーラス版、MVを貼り付けさせていただいてお終いに致します。
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