で、今回注目したいのは、ライブの中で行われた「リクエストコーナー」についてです。
ライブにおいて観客からリクエストを募るというのは、珍しいことではありません。しかし、多くは小規模なライブハウスでのことで、2000人規模のコンサートホールのライブで、リクエストを募るというのは、やはり珍しいことのようです。まあ、ベテラン演歌歌手のリサイタルなら有るかなという程度だと思います。
リクエストと云えば、ラジオ番組を思い出しますが、聞くところによると、あれって、予め流す曲が何曲か用意されていて、その曲を当ててくれた時に、その人のリクエストとして流す場合が多いそうです。つまり、○○さんがリクエストしたから曲をかけたのではなくって、○○さんは、ラジオ局が用意していた曲をビンゴしたってことみたいです。まあ、リクエストしたことに変わりはありませんから、不正と云えるかどうかは、微妙ですけどw
その場でのリクエストというのは、受ける側にとっては、それなりにリスクがあることのようです。
で、このコーナーで演奏された楽曲なんですが、ネットで、ざっと調べただけなんですが、21曲ほど分かりました。
「ダブルレインボウ」「Blue bird」「灯台」「ダイアリー」「きずな」「元彼」「真珠」「Beautiful Day」「渡良瀬橋」「可能性の道」「風信子」「ね~え?」「Dearest.」「待ち合わせ」「気がつけばあなた」「そう言えば」「LOVE TRAIN」「ハピネス」「チョコレート魂」「THE LAST NIGHT」「女Day by Day」と云ったところです。
一公演当たり、3曲ですから、40曲以上は、演奏されたはずですが、中には、セットリストに入っていないのが不自然な楽曲も含まれています。
YouTubeには、DVD収録されたものの他に、会場でファンが録音したと思われるテイクもいくつかアップされています。
と云うことで、1曲目は、「待ちあわせ」。MCも併せて収録されていますので、どのような感じでリクエストを募ったかが分かります。これでもDVD収録にあたって、結構カットされているようで、実際のMCは、もっと長かったようです。
Amazonのレビューに、MCがカットされていたことへの不満のコメントがありましたけど、そんな意見を聞いていたら、松浦亜弥のライブは、コンサートなのか、トークショーなのか分からなくなってしまいますw。
曲は、2分20秒からです。
このライブ、意外と女性ファンが目立った、とありましたけど、たぶん、オタクが減った分、結果的に女性の比率が高まったと云うことでは無いかと思います。
続けて「ダブルレインボウ」です。これがリクエストされるってことは、逆に言えば、セットリストに入って無いってことですよね。その一方で、セトリには、「DO YOU LOVE ME」なんてのも入っています。ここに至って、そんな曲を聴きたいファンがいたとも思えないんですけどw
このリクエストコーナーについては、ミュージシャンの間でも話題になったようで、菊池真義氏のブログによると、何人かの仲間達から本当にガチなのか質問されたとありました。
リクエストを募ると言っても、「それは無理」なんて云って却下する曲もあったり、その一方で、アカペラで歌った曲もあったみたいです。あと、やってみたものの、グダグダになったのもあったらしいです。こんな時、松浦亜弥さんは、ゴメンナサイで、済ませるつもりなんでしょうけど、プロならば、あってはならないことだと思いますよ。
そもそも、プロというのは、綿密に準備をして、本番に備えるっていうか、当たり前のことを淡々とこなしていくのが格好いいわけで、一か八かの挑戦というのは、プロの仕事と言い難いですよね。フィギュアスケートだって、競技では転倒しても、アイスショーでは転倒しないでしょ。
菊池真義氏にしたって、失敗しました御免なさいというのは、プロとして許せないことだと思います。それが、面白そうだからやってみよう、というノリになったのだとしたら、それは、ひとえに菊池氏の人柄によるもので、普通のミュージシャンだったら、こんな企画は通らないと思います。
まあ、菊池氏あっての松浦亜弥ってことで、菊ちゃんがいなければ、後半の松浦亜弥さんは、歌っていたかどうかも分からないほどですから、菊池氏には、松浦さんに代わりまして、感謝申し上げたいと思います。
では、「dearest.」です。これをセットリストに入れないというのも、理解しかねます。しかも、このテイクかなりの出来だと思いますよ。
ピアノ伴奏が多いdearest.ですが、このギター伴奏のテイクもなかなかですよね。やはり、菊池氏あっての松浦亜弥だと確信した次第です。
リクエストを募ることによって、ファンと直にやりとりを楽しみたいという、松浦さんの意図が伝わってきます。やはり、「想いあふれて」が最後のツアーだということで、前々からやってみたかったことに挑戦したのでしょう。
アイドル時代の、何から何までがっちり決められ、リハーサルを重ねて、同じルーティンをこなしているだけだったステージに対する反発、その想いと云うか、ワガママを受け入れてくれる菊池氏の度量の深さというか、ノリの良さには、感心させられるばかりです。
このリクエストコーナーが、後の、マニアックライブにつながったと言われています。しかし、それは、コンサートツアーがファンクラブイベント並みに落ちぶれていったことの表れであり、もう普通のコンサートツアーが、維持できなくなっていたことの表れと考えた場合、複雑な気持ちになります。
とは云っても、korouさんのブログで紹介された、「真珠」のテイクなどもありますし、リクエストコーナーの楽曲だけでDVD1枚つくっても、良かったくらいですねw
2 件のコメント:
確かにリクエストコーナーとマニアックライブのスタイルは似ていますね。私もこのツアーの映像はほとんどここばかり見ています。
ファンからのリクエストがあったおかげで、例えば待ち合わせなど長く歌っていなかった曲も魅力的に歌い直すチャンスが出てきたわけで、そういう意味でも重要な局面の変化になりましたね。
このコーナーでの姿は、既にアーティスト的なものを感じます。
ちなみにコンサートツアーをしなくなったのは、体調のことが理由だと思います。
数年後に持病を公表したとき、本人も文章でそう説明しています。
しかし、この頃に多くのファンが離れてしまったことは確かなことで、彼女の場合、前半の山が高かったことが逆に災いしてしまったようですね。私はオタク的なファンのことは、別に否定はしませんし、それも一つの文化でもあると理解はしていますが、彼女の場合はそれが足かせになってしまったようで、その点が不憫でなりません。
今はイメージチェンジのためのいいインターバル、本人にとっては人生観にもっと厚みが増して、復帰かなったときに色々な面でそれが表現できるようになればと、そう思いたいですね。
「待ちあわせ」は、確かにそうですね。
リクエストを受けたときの、「えっ」という松浦さんの反応が印象的です。
ファンにとっても、或いは松浦さん自身にとっても、アイドル時代の、カップリング曲やアルバム収録曲を見直すきっかけになったと思います。
リクエストコーナーについては、観客は完全に着席して聴いていますし、
他の場面でも、立つ、座るの切り替えができています。
ここまでついてきているファンは、元ヲタクであっても、ただ騒いでいるだけのファンではないと思います。でも、ちゃんと騒ぐこともできるというw
ですから、お客の入りはともかくとしても、
「想いあふれて」は、松浦さんがやりたかったライブをかなりの部分で実現できたツアーだと思います。
ただ、新しい、松浦亜弥ライブのスタートとすべきこの「想いあふれて」を
ラストツアーと位置づけてしまったこと、位置づけなければならなかったことが、残念でなりません。
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