日曜日の朝、突然6年前の投稿記事にアクセスがあった。山岸凉子先生の「日出処の天子」に関する記事である。理由は直ぐに想像できた。今年は、聖徳太子没後1400年ということで、東京と奈良の国立博物館で聖徳太子1400年遠忌記念特別展が開催される。で、NHK日曜美術館で取り上げていたからだ。
それにしても「日出処の天子」の記事なんてネットには星の数ほどもあるだろうに、何故、僕の記事なんかにアクセスしてきたんだろう・・・って、その謎は録画した放送を見て分かった。ゲストに「池田理代子」先生が出ていたからだ。僕のブログ記事は、池田先生の「聖徳太子」も取り上げている。池田作品を取り上げているブログ記事は、そう多くないはずだから、こんな小さな記事でもヒットしたんだろう。
池田理代子先生の「聖徳太子」は、山岸ファンからは頗る評判が悪い。さらに、池田先生は、朝日新聞のインタビューで「日出処の天子」をボロクソに批判したので、御本人同士も、絶対、仲が悪いはずだ。
今回、NHKが、聖徳太子漫画の第一人者として、山岸先生でなく池田先生を呼んだのは、政治力とかNHKへの貢献度とか、所謂、大人の事情ってヤツだろう。NHKとしても、山岸先生を招くことで池田先生の不興を買うことは避けたかったのかもしれない。って、だったら、どちらも呼ばなければ良かったのだ。呼ばなければネットがザワつくこともなかっただろう。今回の放送で、NHKが山岸ファンを敵に回してしまったのは確かだ。今頃、NHKには、山岸ファンからの抗議のメールが届いているに違いない。
池田版「聖徳太子」は、連載当時から、山岸ファンからパクり作品であると批判されてきた。池田先生は「日出処の天子」を違和感があるとし、正しい聖徳太子を描くことを目指して連載を始めたはずなのに、何故、山岸版に作風が寄ってしまったのか、何故、同じような創作エピソードを入れたのか。偶然とは思えない類似性が、この2作品にはある。
池田先生は、ご自分の作品が批判されていることが、お気に召さなかったのだろう。で、2007年の朝日新聞のインタビューになったんだと思う。でも、(四天王寺からの依頼もあって)聖徳太子を描きたかったから描いた。それだけの話で良かったのだ。朝日新聞も、喋ったことを全部記事にするんじゃ無くって、適当にカットしておけば、あそこまでの炎上騒ぎにはならなかったように思う。発言の切り取りなんてお手の物だろうに。
「法隆寺が『日出処の天子』に激怒して、裁判沙汰になっている」っていうトンデモナイ捏造記事を大々的に報じた毎日新聞よりはマシではあるけど。(この時、法隆寺は、山岸作品に対して好意的なメッセージを出し、聖徳太子の「和を以て貴しと為す」という教えを実践している。)
同業他者の作品を批判することって、まあ、あるかもしれないし、同一人物を主人公にしているのだから、作風が似ることもあるかもしれない。手塚治虫の「ジャングル大帝」とディズニーの「ライオン・キング」に例えた記事があって、面白く読ませて頂いた。でも、ディズニーは、手塚作品のデキが悪いからライオンキングを作ったとは云っていない。山岸ファンが、ここまで憤ってるのは、池田先生が先行作品に明らかに影響されているのに、他方をあからさまに卑下したからだ。連載から三十数年、朝日新聞のインタビューからも十数年が経っているのに、山岸ファンの怒りは未だに治まっていない。
国立博物館に漫画が展示されるわけではないので、どうでもいい話なんだけど。
仏像ファンにとって、今年は法隆寺展の他にも、聖林寺の十一面観音像などの大御輪寺関連の仏像が東博に来るとか当たり年である。多くは寺院で拝観済みの仏様ではあるんだけど、博物館でのテーマに沿った展示は新しい発見もあって楽しい。なのに、奈良にも、東京にも、1年以上行けてない。悲しい。
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