2021年5月9日日曜日

黒島結菜「LIFE!春」 ~コント「雑音」の雑感~

何年前のことだろうか。深夜にテレビをつけていたら、NHKでいきなりコント番組が始まった。NHKのニュース番組風なオープニングだったので、最初は、臨時ニュースでも始まったのかと思った。それが、「サラリーマンNEO」との出会いだった。サラリーマン体操とか、沢村一樹氏のセクシー部長とかが面白かったけど、この番組、めちゃくちゃ面白い時と、全然面白くない時があった。(どちらかと云うと面白くない時が多かったような・・・)

それは、内村さんの「LIFE!~人生に捧げるコント~」に受け継がれても同じだった。おおよその傾向として、キャラクターものは、面白いんだけど、シナリオに頼ったコントは面白くなかった。

コントって、そんなものかもしれない。ドリフの「8時だよ全員集合」だって、吉本新喜劇だって、ストーリーで笑わせているというよりも、お約束のギャグや、お馴染みのキャラクターがあればこそだ。馬鹿笑いすることだけが、コントの楽しみ方ではないのは分かっているつもりだけど、シナリオに頼ったコントはつまらなくて、キャラクターものは笑えた。ウッチャンが頑張りすぎると面白くなくなる傾向はあったけど、パロディーのクオリティーは高かった。まあ、国民から徴収した受信料を使って、視聴率を気にせずに遊んでいるんだから、こんな楽しい仕事はないだろう。


そのLIFE!が、季節番組としてリニューアル。5月5日に「春」版が放送された。ゲストに「黒島結菜」さんが登場するのことが告知されていたので、視聴させていただいた。(っていうか、いつも見ている。)4月に放送したLIFE!が、キャラクターもので面白かったから、それと比較してしまうと、シナリオ系(ストーリー系)の「春」はイマイチだったと思う。もちろん、黒島さんのせいではない。


黒島さんの登場したコントは3本。トークコーナーでの仲野君によると、6本を2日間で収録したそうだから、この3本は1日で収録したんだろう。社長秘書のコントは、ちょい役だったし、マジックのコントは座っているだけだった。「マジック」が面白かったのは、ココリコ田中さんの「石原良純」感が凄かったからで、これはキャラクター依存とも云えるだろう。続いて、ウエイトレス役で出演した「雑音」は、黒島さんがメインで、ツッコミ役も不在な1人コントだった。(新感覚コントって云うらしい)すごく面白かったかと云われると、まあ、そこは、シナリオ系なんだから致し方ない。

1本のコントを丸ごと任されるんだから、黒島さんへの信頼度は、かなりのようだ。彼女は「アシガール」や「らーめん才遊記」みたいなコメディードラマに多く出演していて、コメディエンヌとして一定の評価も受けているから、あえてコント初体験と云うこともないだろう。それにしても、黒島さんは、ヒロインの芝居が板に付いてきたように思う。驚いても、怒っても、ちゃんと可愛く見せようとしていた。

そもそも、コントとコメディーの違いって何だろう。ググってみたら、芸人がやるのがコントで、俳優がやるとコメディー。脚本があるのがコメディーで、脚本の存在を感じさせないのがコント。長いのがコメディーで、短いのがコント。などとあった。だとすると、脚本有り有りの「雑音」は、ショート・コメディーってことか。

コント(ショート・コメディー)で一番難しいなぁと思うのは、オチをつけた後の終わり方だ。漫才だったら、「もうええわ」とか「いい加減にしろ」って云って、打ち切ってしまえば良いし、落語は洒落た一言で終われるんだけど、コントはどうだろう。

LIFE!の場合、たいていのコントは、内村さんのボケで終わることが多い。「雑音」もそうだった。「雑音」のオチは、いきなり「お父さん」って云っちゃったことだったけど、それを受けて、うっちゃんが、コップを持つ手を震わせるというボケと、笑いを堪えきれない黒島さんで終わっていた。これが昭和の「志村けん」と「髙田みづえ」のコントだったら、口に含んだ水をぶっかけているはずだ。LIFE!のストーリー系のコントが物足りなく思えてしまうのは、僕らが、子どもの頃に、タライが頭の上に落ちてくるコントばかりを見て育ったからかもしれない。

LIFE!は見てるけど、黒島結菜は知らない、っていう視聴者層(居るのかなぁ)に、彼女を知ってもらえたってのが、良かったところかな。

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