僕は、仏像鑑賞を趣味としていたので、いわゆるパワースポットにもよく行きました。ブームはまだ続いているようで、有名どころは、行列ができていることも珍しくありません。
昔は、神社のお参りなど、前に人が居ようがお構いなく、お賽銭が飛んできたものですが、最近は、皆さんキッチリ並んで、1人ずつお参りするものですから時間がかかってしょうがありません。まあ、僕は、仏像目当てですから、お参りはパスなんてことも多く、ほとんど影響ありませんけどねw。
で、若者たちは、入り口の一礼から始まって、お参りの仕方をよく心得ています。昭和の人間などは、そのへんが本当にいい加減なんですよね。では、何で若者の方がマナーを心得ているのかというと、それは彼らが、ネットで予習しているからです。
最近の若者は、神社のお参りの作法から、彼女へのサプライズプロポーズのやり方まで、何でも検索して予習してきます。だから、決して間違えないし、常に多数派です。マナーに限らず、自分が正しい多数派にいるというのは、この上ない安心感が得られますから、現代の社会人にとって検索予習は絶対必要なことのようです。
ところで、職場での挨拶の1つに「ご苦労様」と「お疲れ様」があります。僕は、この歳になるまで、「お疲れ様」を使ったことがありませんでした。ぜーーんぶ「ご苦労様」一本で通してきたんです。そしたら、「ご苦労様」は目上の人に使ってはいけないと云うではありませんか。
僕のイメージでは、「ご苦労様」は、かしこまった丁寧な言い方、「お疲れ様」は、馴れ馴れしくくだけた言い方という感じだったんです。だから、職場では、全部「ご苦労様」だったんですけど、僕は、何十年もの間、マナー知らずだったということでしょうか。
で、当然のことながら、若者たちは、僕に対しては、すべて「お疲れ様」を使ってきます。きっとYahoo質問箱とかで予習したのに違いありませんw。
きっと、どこかの誰かが、「ご苦労様」は、目上には使えないみたいなことを回答して、ベストアンサーとかになって、瞬く間に日本の常識になったんじゃないかって、僕は疑っているんです。
でも、僕は、この「お疲れ様」がイマイチ馴染めません。なんか、年寄りでもないのに、電車で席を譲られたような気分なんです。でも、せっかくねぎらってもらってるんで、文句はやめときます。既にこの日本では、彼らは正しい多数派なんですから。
そんなことより不満なのは、何故「ご苦労様」を目上に使ってはいけないのか、納得できる説明が得られないことにあるんです。
さらに、オジさんになると、年下の上司なども珍しくなくなります。この場合は、どっちを使えば良いんでしょうかね。質問箱に投稿しようかとも思ったんですけど、頭で理解したところで、とっさに出る言葉は「ご苦労様」でしょうから、知らない方が幸せだと思うのでやめときましたw。
で、最近は、それらの反動というか、「ご苦労様」と「お疲れ様」の使い分けについて、別の見解が見られるようになってきました。要は、どっちでも良くって、気持ちが大切だと云うんです。
でも、それって質問に答えてないし、所詮、職場の挨拶なんて形式的なものですから、いちいち気持ちを込めてきたら、する方も、される方も、疲れちゃいますよねw。
結局、検索して調べましたw。
もともと、「ねぎらう(労う)」というのは、上から目線の行為で、目上が目下にしていたことなんですって。だから、目下の者たちは、ねぎらうこと自体が、失礼というか、やる必要のなかったことなんですよ。だって、目上の人は、命令するだけで、何の苦労もしてませんでしょ。
で、お疲れ様だったら、「労」って字が入ってないから上から目線にならず、誰にでも使えて、問題ないだろうって云うことみたいです。でも、誰にでも使えるってことは、「お疲れ様」は、目上に相応しい、特別丁寧な言葉でもないということになります。そのへんが違和感の原因だったのでしょうか。
昔は、管理職になれば、全部部下にやらせて、ふんぞり返っていれば良かったんでしょうけど、今では部下が上司を労ってあげるほどに、管理職も楽ではありませんからね。「お疲れ様」は、そんな現代社会で必要とされ、多用されている言葉ということみたいです。
今日はこれでお終いです。お別れに「お疲れ様」代わりにテンションの上がる動画を一つ貼り付けさせていただきますね。
2 件のコメント:
すみません、初音さんのことやアイドル論には全く付いていけませんが、時折このような含蓄深い記事を起こされてはっとしています。
ご苦労さんは目下を労う言葉というのは私も少し意識がありますので、上司に対しては使いません。
でもそれも言葉のニュアンスによる使い分けで、ネットでこうだからやらないというのはちょっと違うと思いますね。
「ネットによって暗黙的に規範化された社会」になるのは御免蒙りたいものですね。
この記事をあげてから、気になってしかたありませんw
やはり、「ご苦労様」は、上から目線のイメージがあるようですね。
最近の上司は、部下に対しても腰が低い方もいますので、
上司でも「お疲れ様」を使ってくる場合があるようです。
「ご苦労様」を使う機会は、ますますなくなり、
まもなく死語になるかもしれません。
「一億総お疲れ時代」が近づいてるように思います。
本来、日本語には、時と場に応じた様々な挨拶言葉があったはずですが、
上から下まで使いやすく、何でもこれ1つで済ませられて、
ベストアンサーのお墨付きもある、
「お疲れ」「お疲れさん」「お疲れ様」にすべて駆逐されてしまった感があります。
形式的には、全く正しいのですが、中身がどれほどあるのか。
そういうものばかりが増えてきたように思います。
若者たちは、お参りの作法は完璧でしたけど、何を祈っていたのでしょうかね。
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