2015年8月20日木曜日

「ほんとはね。」より子&松浦亜弥  ~アイドルが演じたシンガーソングライター~ 

 「より子。天使の歌声 小児病棟の奇跡」は、2002年8月に放映された、シンガーソングライター「より子」さんの少女時代を描いたスペシャルドラマです。そこで、主人公の「小笠原より子」を演じたのが、「あやや」こと松浦亜弥でした。あややは、当時16歳、「Yeah! めっちゃホリディ」をリリースした直後、アイドル歌手として人気絶頂期でした。
 このドラマは、小説や事実とは異なる部分も多いとされていますが、ドラマ自体のできは、良かったようです。「あやや」にとっては、「アイドル」を演じるのも「より子」を演じるのも同じ様なものだったのかもしれません。

 自伝本の出版、ドラマ化、CDのリリースという一連の流れは全てフジテレビ系列の事業体によって行われていますので、「より子」さんの歌手デビューにあたっては、かなり力を入れ込んでいたようです。
 
 「ほんとはね。」は劇中で歌われました。より子さんが16歳の時の作品で、それまでゲーム音楽を中心に作曲していた彼女が、初めて作った歌詞付きの楽曲とされています。
 動画は、ドラマのラストシーンです。前半が「あやや」後半が「より子」さんが歌うという演出になっています。


 僕は、このテイクを初めて聴いたときは、後半の「より子」さんの方が圧倒的に訴えるものがあると感じました。まあ、当然と云えば当然のことですよね。
 ただ、最後でご当人が登場という演出は珍しくありませんが、歌で繋いだというのは、あまり記憶にありません。で、何でこんなことが違和感なくできたのかって考えたんですけど、それって、「あやや」が歌の場面であっても「より子」を演じきったからだと思うんです。
 演じるというのは、モノマネとは異なります。もし、あややがこの場面でモノマネをしたら、もっとわざとらしくなったはずです。「あやや」は演じるにあたって、「より子」さんの歌を聴いたことは間違いないと思います。演じている限り本物に敵うはずはありません。しかし、ご当人に歌で違和感なく繋ぐことができるという「あやや」の才能を考えたときに、もしかしたらこれは凄いことなんじゃないかって、改めて考えさせられた次第です。

 さて、演じられた側の「より子」さんは、どうだったでしょうか。2人が十も二十も歳が離れていれば、どうということはないと思いますが、彼女たちは僅か2才違いの同世代なんですよね。このドラマが放送されたとき、より子さんは、まだ18才です。病気であること、荒んだ生活をしていたこと、ほとんど学校へも行けず引きこもりの生活をしていたこと、自分の前半生がドラマ化され、その自分を、たいして年齢の違わないアイドルが演じる。どんな心境だったのでしょうか。大きなお世話とは分かっていますが興味のあるところです。

  現在「より子」さんは、31才。療養生活を挟みながらも、根強いファンを持ち、精力的に活動を続けていらっしゃいます。貼り付けさせていいただくテイクは、「ほんとはね。2014version」です。失礼な例えですけど、どことなく宇多田ヒカルと倉木麻衣を合わせたような雰囲気を感じました。
 

こんな記事もありました。出張ライブなどにも取り組んでいらっしゃるようです。


 デビュー時の「奇跡の歌声」というキャッチフレーズから受けるイメージとは、また違った魅力を感じます。地に足を着けた活動を続けている「より子」さんですが、ホームページに体調不良によるライブツアー中止の告知が出ていました。

 9月2日発売のディズニーナンバーのカバーアルバムだそうです。2才の時、闘病生活で与えられた、ディズニーのカセットテープとおもちゃのピアノが彼女の音楽人生の始まりだったそうですから、原点に帰った取り組みとも云えます。


 「ライブの再開を心から願っています。」

 彼女のファンでもない僕が云うのもどうかと思ったんですが、彼女の復帰を待ち望んでいるファンの心情を思うと、やはりこの言葉で終わりたいと思います。待つ身の寂しさは、僕も分かりますんで。

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