2015年4月15日水曜日

初音ミクとマニピュレーター 「The Secret Garden」

 可愛く歌うって、具体的には、どういうことなんでしょうか。「あやや」なら、ライブでいとも簡単に演じてみせるでしょうが、「ミク」は、そうはいきません。コンピュータにさせるためには、1つ1つ突き詰めていく必要があります。
 ブレスの量、音程の揺れ、発声のタイミング・・・気の遠くなるような作業ですが、ミクに魅せられたヲタクさんたちは、そういうことを趣味としてやってるわけです。

 で、今回貼り付けさせていただいた動画は、「The Secret Garden」です。聴いていただきたいポイントは、その歌い方です。典型的なアイドルの歌い方だと思います。細かいところまでとても良くできています。


 いかがでしたか、アレンジも振り付けも典型的なアイドルソングって云う感じで、おかしな話ですが、人間以上にアイドルだと思いませんかww
 この楽曲のマニピュレーターは、Otomaniaさんという方です。氏は「初音ミクに「Ievan Polkka」を歌わせてみた」の作者で、ボカロファンの間では神様みたいな方です。
 

 ボーカロイド(Vocaloid)は歌詞と音階を入力するだけで、それなりに歌います。これをベタ打ちといいます。通常ならば、これで十分かもしれませんが、より人間らしく歌わせるためには、各種のパラメータを細かく調整する必要があります。マニピュレーターとは、この操作を担当する人のことです。普通は、楽曲の制作者が行いますが、最近は分業も盛んで、作曲者が初音ミクの操作に詳しくない場合などに、このマニピュレーターが活躍します。

 この操作を「調教」と云います。この言葉は、元々アダルトゲームが語源で、ボーカロイドがヲタクさんだけのものだった時代は、問題なかったのですが、一般に広まっていくにつれ、この言葉を避けようと考えるようになりました。でも、「調整」とかだとイマイチ雰囲気が伝わらないので、今でも「調教」を使うことがあります。

 にわか勉強ですが、人の歌の特徴を少しだけ紹介したいと思います。

 まず、人の歌では、低い音から高い音に移る際にはパワーが必要になるので、若干発音が遅れ、高い音から低い音に移る際は、無意識に「楽」になりたいがため、早めに音程を下げてしまうそうです。
 あと、高音に上がるときには、ジャンプをする時のように、ちょっと音程が下がって、それから一気に持ち上げ、今度は、少しだけ高めに上げておいてから、落ち着いていくそうで、他に、ロングトーンの終わりには音程が少しだけ下がる傾向などもあるそうです。

 つまり、人は、楽譜通りに歌っているつもりでも、独特の癖があります。コンピューターは、本当の楽譜通りに歌うのですが、これが人の耳には、逆に違和感として聞こえてしまいます。おかしな話ですよね。

 初音ミクを批判する言葉に「しょせん機械の歌だ、感動できるものではない」というものがあります。確かにその通りなのかもしれません。しかし、だからこそ彼らは「人が歌うというのは、どういうことか?」という問題に真剣に取り組んでいるのです。 


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