2015年11月30日月曜日

初音ミクと円周率

 「初音ミクが円周率10,000桁覚えたようです。」という動画があります。いわゆるネタ動画って云うんでしょうか。初音ミクが発売された直後に数多く投稿されていた類の動画です。
 特に明確な目的も無く、初音ミクを購入した者が、さて何に使おうかと考えたときに、とりあえず、身近にある曲をカバーさせることから始めますよね。初音ミクが歌っただけで喜んでいた段階と云えます。そして、次に、何か面白いことをと考えたのが、これらのネタ動画です。有名なところでは、初音ミクに般若心経を唱えさせたり、駅名で替え歌を歌わせたりしたのがあります。

 で、今回紹介させていただく円周率動画は、ネタ動画の中でも特に有名なやつで、視聴回数もとどまるところを知りません。10,000桁を全部聴くと1時間以上かかるという、とんでもない動画なんですが、だいたい10桁を越えた頃から、合っているかどうかなんてどうでも良くなっちゃいます。YouTubeに投稿されている動画も、視聴回数が100万回を越えているんですが、最後までちゃんと聴いた人は、恐らく100人もいないと思いますし、この入力が合っているかどうかを確かめた人は、恐らく皆無ではないでしょうか。


 コメントに、10,000桁を書き込んでくれた方がいるんですが、全表示するとパソコンの画面から溢れだしてしまいました。試しに、ごく一部を貼り付けさせていただきますね。

3.1415926535897932384626433832795028841971693993751058209749445923078164062862089986280348253421170679821480865132823066470938446095505822317253594081284811174502841027019385211055596446229489549303819644288109756659334461284756482337867831652712019091456485669234603486104543266482133936072602491412737245870066063155881748815209209628292540917153643678925903600113305305488204665213841469519415116094330572703657595919530921861173819326117931051185480744623799627495673518857527248912279381830119491298336733624406

 これで、だいたい500桁ぐらいですw

 動画は、10,239桁で終わっているんですが、恐らく、2の10乗×10=10,240 (小数点も含めて)から来ているのではないかと思います。

 この動画は、けっこう音楽的にも良くできていて、聴いてると、だんだん頭から離れなくなります。まあ、こういう遊びの段階を経て、本来のボーカロイドとしての使い方が始まっていったということなんですよね。

 ここからは、初音ミクを離れて、円周率のウンチク話です。

 円周率は、割り切れなくって、方程式の解としても表せないので、近似値でしか書き表せません。有名なのが「7分の22」です。これは、古代から使われていて、22÷7=3.14285・・・ですから、けっこう正確で、ピラミッドの建築などに使用する分には、問題なさそうですw

 以前、ゆとり教育で円周率を「3.14」から「3」にするって問題になりましたけど、あれって、筆算でやるときは、「3」を使う、正確に求めたければ、電卓で「3.14」を使うってことだったみたいで、別に「3.14」を教えないわけでは無かったんですよね。そもそも「3.14」だって「3」だって所詮、近似値ですから、どちらも不正確なことには、変わりありませんし、中学校になって数学が始まれば円周率は「π」ですから、長い人生で円周率を「3.14」として計算するのは、ほんの1年あまり。あんなに騒ぐ必要などなかったようです。まあ、マスコミのネガティブキャンペーンに踊らされたってことですねw
     
 円周率をどこまで計算できるか、という研究というか、競争があるんですけど、此の手の記録を目指しているのは、主にアマチュアの研究者が多いようです。
 有名なのは、長野県の会社員の近藤茂氏で、テレビで紹介されてたんですけど、彼は、1年間かけて10兆桁まで計算した記録を持っています。自作のPCを何台も並列につないで計算していて、一番怖いのは、停電だと云ってました。あと部屋の温度がパソコンからの放熱で、半端なく暑くなっていて、1年中エアコンをかけてました。
 近藤氏の手法は、小数点以下1桁目から順番に桁数を求めていく、いわゆる正統派の計算手法だそうで、他に、計算済みの桁は求めずに、表記も16進法でOKという計算方法ならば、アメリカの大学の研究グループが8,000兆桁という記録を持っているそうです。

 円周率に関するエピソードは、数多くあって、書籍もいろいろと出版されています。
 イギリスのシャンクスという人は、まだ手計算の時代だった1852年に小数第 530 位までの計算に成功します。その後20年かけて、小数第 707 位まで計算したのですが、実は、この計算は小数第 528 位で間違っていて、その先の20年間の労力が無駄になっていたとのことです。で、さらに凄いのは、その間違いに気づいたのが70年間後で、それまで、誰も気づかなかったそうです。もう、確かめようがないんで、信じるしかなかったて云うことですよね。おかげで、シャンクスは、間違いを指摘されることなく、この世を去っていますので、まあ幸せだったと云えます。

 語ればキリがありませんね。ここまで読んでくださった方々に感謝申し上げて、お終いに致します。

2015年11月29日日曜日

槇原敬之「遠く遠く」feat. 初音ミク、それから「北風 ~君にとどきますように~」

 「遠く遠く」は、1992年リリースのアルバム「君は僕の宝物」に収録されている楽曲で、シングルカットされてないのにもかかわらず、槇原氏の代表曲の1つとされるほどに、知名度、人気ともに高い曲です。NTT東日本のCMに使用されたことが大きかったかも知れません。
 松浦亜弥さんファンなら誰でも知っている「LOVE LETTER」のアンサーソング的な雰囲気のある曲ですよね。
 
 「君は僕の宝物」は、僕がちゃんとお金を払って買った槇原氏のアルバムで、今もちゃんと戸棚に並んでいます。「もう恋なんてしない」とか「冬がはじまるよ」なんか良くカラオケでも歌いました。あと「北風 〜君にとどきますように〜」もこの時期の楽曲ですよね。この頃が、槇原氏の充実期、絶頂期と云えるのではないでしょうか。 

 で、今回、紹介させていただくのは、「7900gen」さん作成のカバーになります。7900genさんは、初音ミクを使ったオリジナル曲やカバー曲を投稿されているボカロPさんですが、伴奏のギターは、全てご自分で弾いていらっしゃるそうです。


 カラオケが良い例ですけど、今までは、機械に伴奏させて、人間が歌うのが当たり前って云うか、それしかありませんでした。でも、こんな風に、機械に歌わせて、隣で人間がギターを弾くなんてのも良いですよね。
 歌うのは人間、伴奏は機械っていう固定観念を捨てて、立場を交換するのも素敵だなって思ったんです。「俺が一生懸命伴奏してやってんだから、もうちょとマシに歌ってくれよ」なんて云いながらねw

 相変わらず、初音ミクには魂が無いからどうとかこうとか、っていうコメントがありますけど、歌なんて云うのは、ただの音ですから、それに魂を感じるかどうかは、聴き手の感性の問題なんですよ。もちろん感じないのも感性。僕が言いたいのは、少なくとも送り手の問題では無いということです。


 では、御本家を。「君は僕の宝物」の方じゃなくって、CMで使用された「'06ヴァージョン 」でお届けいたしますね。理由ですか?もちろん、新垣結衣ちゃんが可愛いからです。



 この時、18才くらいでしょうか。リアルタイムでも、就職や進学で一人暮らしを始める年齢ですから、似合ってますね。このCMから10年。新垣結衣ちゃんも、最近は、お母さん役も演じているそうですから、時の経つのは、早いものです。

 僕が一人暮らしを始めた時は、携帯はもちろん、固定電話をひいている奴も皆無でした。電話があるときは、隣に住んでいる大家さんが「○○さ~ん、電話だよ~」って叫んでくれるか、階段にメモを置いてくれるかのどちらかでしたよ。で、近くの公衆電話に行ってました。まあ、電話そのものが、ほとんどかかってきませんでしたけど。「便りの無いのが、良い便り」って、メールやラインで繋がりっぱなしの、今の若者たちに理解できるでしょうかw
 
 最近では、固定電話をひかない家が増えてきていますよね。っていうか、若い家族では、無い方が普通に思います。かく云う我が家も、固定電話はあるんですが、先月の電話代って基本料金のみでした。CMから僅か10年足らずで、世の中ってこんなにも変わっていたんだって、驚いた次第です。

 この話題って、本来は、新生活を始める春のネタでしたね。最後に、冬が始まる今の季節にピッタリの曲を貼り付けさせていただいて、お終いにします。

2015年11月28日土曜日

松浦亜弥コンサートツアー「想いあふれて」のリクエストコーナーに思う

 今回、取り上げる「想いあふれて」は、楽曲の方でなくって、コンサートツアーの「想いあふれて」についてです。このツアーの特徴は、発表とほぼ同時に、この後しばらくツアーは行わないとの告知がされたことですよね。ツアーの規模については、全国6都市で8日間、のべ14公演とありました。全盛期の、のべ55公演などと比べると、かなり寂しい感じなのですが、空席があったとか、札幌公演と東京公演の観客の顔ぶれがほとんど変わらなかった、という話も出ていますので、事態はさらに深刻だったようです。
 
 で、今回注目したいのは、ライブの中で行われた「リクエストコーナー」についてです。

 ライブにおいて観客からリクエストを募るというのは、珍しいことではありません。しかし、多くは小規模なライブハウスでのことで、2000人規模のコンサートホールのライブで、リクエストを募るというのは、やはり珍しいことのようです。まあ、ベテラン演歌歌手のリサイタルなら有るかなという程度だと思います。

 リクエストと云えば、ラジオ番組を思い出しますが、聞くところによると、あれって、予め流す曲が何曲か用意されていて、その曲を当ててくれた時に、その人のリクエストとして流す場合が多いそうです。つまり、○○さんがリクエストしたから曲をかけたのではなくって、○○さんは、ラジオ局が用意していた曲をビンゴしたってことみたいです。まあ、リクエストしたことに変わりはありませんから、不正と云えるかどうかは、微妙ですけどw
 その場でのリクエストというのは、受ける側にとっては、それなりにリスクがあることのようです。

 で、このコーナーで演奏された楽曲なんですが、ネットで、ざっと調べただけなんですが、21曲ほど分かりました。

「ダブルレインボウ」「Blue bird」「灯台」「ダイアリー」「きずな」「元彼」「真珠」「Beautiful Day」「渡良瀬橋」「可能性の道」「風信子」「ね~え?」「Dearest.」「待ち合わせ」「気がつけばあなた」「そう言えば」「LOVE TRAIN」「ハピネス」「チョコレート魂」「THE LAST NIGHT」「女Day by Day」と云ったところです。
 一公演当たり、3曲ですから、40曲以上は、演奏されたはずですが、中には、セットリストに入っていないのが不自然な楽曲も含まれています。

 YouTubeには、DVD収録されたものの他に、会場でファンが録音したと思われるテイクもいくつかアップされています。
 と云うことで、1曲目は、「待ちあわせ」。MCも併せて収録されていますので、どのような感じでリクエストを募ったかが分かります。これでもDVD収録にあたって、結構カットされているようで、実際のMCは、もっと長かったようです。
  Amazonのレビューに、MCがカットされていたことへの不満のコメントがありましたけど、そんな意見を聞いていたら、松浦亜弥のライブは、コンサートなのか、トークショーなのか分からなくなってしまいますw。
 曲は、2分20秒からです。


 このライブ、意外と女性ファンが目立った、とありましたけど、たぶん、オタクが減った分、結果的に女性の比率が高まったと云うことでは無いかと思います。

 続けて「ダブルレインボウ」です。これがリクエストされるってことは、逆に言えば、セットリストに入って無いってことですよね。その一方で、セトリには、「DO YOU LOVE ME」なんてのも入っています。ここに至って、そんな曲を聴きたいファンがいたとも思えないんですけどw


 このリクエストコーナーについては、ミュージシャンの間でも話題になったようで、菊池真義氏のブログによると、何人かの仲間達から本当にガチなのか質問されたとありました。
 
 リクエストを募ると言っても、「それは無理」なんて云って却下する曲もあったり、その一方で、アカペラで歌った曲もあったみたいです。あと、やってみたものの、グダグダになったのもあったらしいです。こんな時、松浦亜弥さんは、ゴメンナサイで、済ませるつもりなんでしょうけど、プロならば、あってはならないことだと思いますよ。

 そもそも、プロというのは、綿密に準備をして、本番に備えるっていうか、当たり前のことを淡々とこなしていくのが格好いいわけで、一か八かの挑戦というのは、プロの仕事と言い難いですよね。フィギュアスケートだって、競技では転倒しても、アイスショーでは転倒しないでしょ。
 菊池真義氏にしたって、失敗しました御免なさいというのは、プロとして許せないことだと思います。それが、面白そうだからやってみよう、というノリになったのだとしたら、それは、ひとえに菊池氏の人柄によるもので、普通のミュージシャンだったら、こんな企画は通らないと思います。

 まあ、菊池氏あっての松浦亜弥ってことで、菊ちゃんがいなければ、後半の松浦亜弥さんは、歌っていたかどうかも分からないほどですから、菊池氏には、松浦さんに代わりまして、感謝申し上げたいと思います。

 では、「dearest.」です。これをセットリストに入れないというのも、理解しかねます。しかも、このテイクかなりの出来だと思いますよ。


 ピアノ伴奏が多いdearest.ですが、このギター伴奏のテイクもなかなかですよね。やはり、菊池氏あっての松浦亜弥だと確信した次第です。

 リクエストを募ることによって、ファンと直にやりとりを楽しみたいという、松浦さんの意図が伝わってきます。やはり、「想いあふれて」が最後のツアーだということで、前々からやってみたかったことに挑戦したのでしょう。
 アイドル時代の、何から何までがっちり決められ、リハーサルを重ねて、同じルーティンをこなしているだけだったステージに対する反発、その想いと云うか、ワガママを受け入れてくれる菊池氏の度量の深さというか、ノリの良さには、感心させられるばかりです。

 このリクエストコーナーが、後の、マニアックライブにつながったと言われています。しかし、それは、コンサートツアーがファンクラブイベント並みに落ちぶれていったことの表れであり、もう普通のコンサートツアーが、維持できなくなっていたことの表れと考えた場合、複雑な気持ちになります。
 
 とは云っても、korouさんのブログで紹介された、「真珠」のテイクなどもありますし、リクエストコーナーの楽曲だけでDVD1枚つくっても、良かったくらいですねw

2015年11月25日水曜日

「女帝の手記」「天上の虹」里中満智子 ~奈良旅行のお供に~

 今回も、松浦亜弥さんも初音ミクも全く関係の無い、僕の自己満足的な記事ですが、これをもって、とりあえずの一区切りとさせていただきますので、安心してください。

 仏像マニアでもある僕は、はっきり言って、奈良については詳しいですw。どのくらい詳しいかというと、今までに何回奈良へ出かけたか、自分でも分からなくなりました。僕は、松浦亜弥さんと出会わなければ、初音ミクと出会うことも無く、今頃は仏像関連のブログを立ち上げていたはずです。
 で、今回取り上げさせていただく少女漫画は、その奈良を舞台にした作品になります

 「天上の虹」は、言わずと知れた、持統天皇の一生を描いた「里中満智子」さんの長編漫画です。先頃ようやく完結したようですが、連載32年、単行本で全23巻、厚めの文庫本で全11巻という大作です。近年は、連載も滞りがちでしたので、完結しないのかもと心配しておりました。

 僕が持っているのは、第一期と呼ばれている、持統天皇が即位するまでの文庫本6巻分です。最も印象的な場面は、阿閇皇女が、自殺を図ったものの死にきれずにいた夫・草壁皇子を手にかけるところでしょうか。
 この続きも何冊かコミックを借りて読んだのですが、皇子と皇女が次から次へと出てきて、恋愛物語を繰り広げるものですから、読んでいて疲れてしまいましたw。残り5巻分も関心はあるんですけど、未だ購入はしていません。

 で、実は、僕がここで取り上げたいのは、孝謙・称徳天皇の生涯を描いた「女帝の手記」の方なんです。こちらは、文庫本で全4巻と程よい長さです。ところが、Amazonのコメントでは「天上の虹」が絶賛されているのに対して、こっちは、何故かボロクソなんですよ。
 でも、阿倍内親王(孝謙・称徳天皇)と安宿媛(光明皇后)、そして聖武天皇って、阿修羅像に代表されるような、素晴らしい天平仏をつくらせた人たちだし、何よりも、両親と一人娘の核家族なんで、どことなく親しみが沸くんですよw。


 物語は、聖武天皇の皇子・基親王が誕生した727年から始まって、称徳天皇が崩御した770年までの、奈良時代の後半部分、40年あまりのできごとが描かれています。この40年間は、「長屋王の変」「藤原広嗣の乱」「橘奈良麻呂の変」「恵美押勝の乱」「道鏡事件」などが次々に起きた波乱に満ちた時代なんですが、それが全4巻のなかでテンポ良く展開していきます。
 「女帝の手記」という題名の通り、作品の前半部分、特に阿倍内親王が子ども時代の記述については、大人になった阿倍が回想しているという手法で話が進んでいきます。これが、四角い枠の中で解説のように書かれていて、登場人物の台詞より多いかなって位の量ですから、ちょっと学習漫画っぽくなっています。僕としては、話の展開もさくさく進んで、好きなんですが、「天上の虹」ファンからは、こういったところが不評なのかも知れません。

 聖武天皇と光明皇后の記述は、奇をてらうことの無い正統派な、それでいて程よくデフォルメされた感じです。彼らの自筆と云われている書が伝わっていて、平城京資料館で写真を見ることができます。書は人を表すという考えからすると、ナルホドと思ってしまいます。
 
  聖武天皇の字です。几帳面で繊細といわれています。


 光明皇后の筆跡です。「藤三娘」とは、藤原家の三女という意味だそうです。お世辞にも上手いとは云えませんが、迫力がありますね。この2つを見ただけで、この夫婦の力関係が分かる気がしますw。でも、正倉院の宝物が伝えているように、夫婦仲は決して悪くなかったようです。

 さて、僕が、この作品の中で一番好きな登場人物は、何と云っても「吉備真備」です。遣唐使として2度も唐へわたり、下級貴族の出身ながら、聖武、称徳両天皇のブレーンとして右大臣にまで上りつめた人物です。古代、中世において、学者から立身出世して大臣にまでなったのは、吉備真備と菅原道真のみと云われています。
 物語の第4巻、恵美押勝の乱では、上皇軍を指揮して、素早く的確な戦略により仲麻呂軍を圧倒。それまで読者に溜まっていた鬱憤を一気に晴らしてくれます。軍事参謀としての真備の活躍は、彼が学識を実務に生かすことができる優れた人物であり、称徳天皇が崩御し、光仁天皇が即位した時も右大臣の職を慰留されていることは、彼が誠実で野心の無い優れたブレーンであったこと示していると思います。

 正統派な記述が多いこの作品なんですが、「道鏡」の描き方については、独特の立場をとっています。ただ、道鏡に関しては、近年、再評価が盛んで、ひところの「天皇をたぶらかし、自ら天皇になろうとしたエロ坊主」というイメージは、薄れつつあります。この作品では、称徳天皇と男女の関係はあったとしていますが、彼には野心が無く、重用したのは天皇の一方的な意思であるように描かれています。
 宇佐八幡宮の神託事件は、反道鏡派の罠という立場をとっています。この事件は、道鏡の陰謀なのか、反対派の罠なのか、何故、わざわざ和気清麻呂に確かめさせたのかなど、謎が多く、さまざまな推測が可能なのですが、この作品のように、罠を逆に利用しようとしたという説は説得力があります。
 和気清麻呂の発言については、神を利用しようとした全ての思惑を否定する、という彼の信念から出たものという立場のようです。従来、藤原氏との結託説が言われてきましたが、そんな人物を天皇が選任したというのもおかしなことです。一説には、吉備真備の意向というのもあって、だとすれば、真備は、国の混乱を避けるために、最後の最後に称徳天皇の意に反した行動を取ったことになります。
 ただ、称徳天皇も、その後は、あっさりと彼を天皇にすることを諦めていますので、単に、ご機嫌取りの神託に振り回されただけで、最初から陰謀など存在しなかったのかもしれません。第一、彼が皇位を簒奪しようとした大悪人であれば、下野の薬師寺別当職への左遷程度では済まなかったはずです。

 今まで孝謙・称徳天皇については、仲麻呂や道鏡に利用され、奈良時代を終焉させてしまった、暗愚な女帝、という扱いだったと思います。仲麻呂が皇帝になろうとしたことを追認したり、道鏡を天皇にしようとするなど、およそ常識では考えられません。しかし、その常識とは、何なのでしょうか。私たち日本人は、平成の世に至るまで、天皇は、万世一系、天皇家の血筋のものだけが継ぐということを、何の疑いも無く受け入れてきました。しかし、彼女は、天皇は実力のあるものならば血筋に関係なくなれる、という発想を持っていたことになります。そんな大それたことを実現しようとした彼女は、単なる飾り物の天皇で無かったことだけは確かです。
 
 この物語の主人公、称徳天皇が建立した「西大寺」は、奈良の寺院の中でも、僕の大好きな場所です。現在の西大寺は、鎌倉時代に叡尊によって再興された真言律宗の寺院なんですが、それでも、東塔跡の礎石や四王堂の邪鬼など、称徳天皇につながる史跡もあって、灯籠で荘厳された本堂にある仏像群など、素敵で落ち着いた雰囲気の寺院です。少し歩いたところには、称徳天皇の陵とされている古墳もあるんですよ。


 僕が、7年前に西大寺を訪れたときに書いたものがありました。

【 西大寺(まぼろしの大寺) 】


 道鏡と称徳女帝の縁の寺でもある。
 四王堂の増長天は、幾たびか作り替えられたが、踏んでいる邪鬼だけは天平時代のままなので、ここでは、邪鬼が主役である。灯明が美しい本堂には、灰谷健次郎の小説に出てくる善財童子がある。彼は、童子の目を「兎の眼」と表現したが、そう思って見ていると善財童子が兎に見えてきた。
 奈良時代は、国家が寺院を建立した時代だ。平城遷都1300年、その恩恵により、奈良には世界中から観光客が集まる。しかし、度重なる寺院の建立は、環境を破壊し、国家の財政を破綻させ、農民は疲弊し、律令制は崩壊、そしてわずか七十四年で奈良の都は捨てられてしまう。
 東塔の基壇跡に夕日が当たっていた。秘仏、愛染明王坐像は、今日が開扉最終日。薄暗くなった愛染堂の奥、厨子に納められた明王は、写真で見たような鮮やかな赤ではなく、限りなく黒に近かった。

 ちょっと、格好つけすぎでしたねw

2015年11月24日火曜日

モーニング娘「鞘師里保」さんの卒業に思う 

 モーニング娘の鞘師里保さんが、年末のカウントダウンライブをもって卒業するそうです。鞘師さんは、僕の3人しか知らないモーニング娘のメンバーの一人でしたので、卒業してしまったら、僕の知っているメンバーは、「小田さくら」さんと「ズッキ」だけになってしまいます。
 
 彼女の突然の卒業発表については、多くのファンが悲鳴にも似た記事をアップしておりますので、外野の僕が口を挟む必要など無いのですが、まあ、外野は外野なりに考えてみました。
 で、ざーっとですが、ネットに散乱しているコメントを読んでみました。そしたら、面白いことに気がついたんですけど、鞘師さんに近い人ほど、彼女の卒業について肯定的なんですよね。

 「鞘師里保」さんは、6才(?)でアクターズスクール広島に入学し、12才でモーニング娘第9期メンバーとしてデビュー。現在17才ですが、すでにデビュー5年目のアイドルです。デビュー時から、破格の特別扱いで、センター、そしてエースとして活動してきたそうです。

 17才と云えば、普通は、芸能界にデビューする年齢です。「松田聖子」さんだって、「きゃりーぱみゅぱみゅ」だって、メジャーデビューしたのは、高校卒業後なんですよ。今の鞘師さんより年上だったんですから。
 それが突然の卒業発表。しかもわずか2ヶ月前ということで、卒業ビジネスもほとんど行われないようですから、何かあったのでは、という憶測が飛び交っています。が、やはり何かあったのだと思います。激太りとか書かれていましたけど、女の子は、このくらいの年齢では、肉付きが良くなるものです。「あやや」だって、ポッチャリしていましたし、「辻ちゃん」は、もっとポッチャリでした。ただ、彼女が内向的で、精神的にそれほどタフな子では無かったということは、大いに関係がありそうです。 

 よく云われているのが、センターを務めていたことによるプレッシャーです。しかし、最近は、センターを外れることもあったようですから、どちらかというと、そっちの、つまり、センターを外されたことによって、自分自身に価値を見いだせなくなってしまったのが原因ではないのかとも云われています。簡単に言うと燃え尽きたということです。正確に言うと燃え尽きたような気になってしまったということです。
 そもそも、12才の女の子を、いきなりエースとか云って、デビューさせるのもどうかと思いますが、まあ、それは1つのビジネス戦略ですから良しとしましょう。問題は、ならば周りの大人がしっかりと彼女を守ってあげていたのか、過度な競争を煽っていなかったのかと云うところにあると思います。
 
 若年アイドルというのは、俳優で云えば子役みたいなもので、名子役必ずしも名優にならず、と言われるように、アイドルから大人のタレントへの移行ほど難しいことはありません。
 ならば、最初からデビューする年齢を引き上げていくのも1つの方法だと思います。せめて義務教育が終了するまでは、デビューさせるべきでは無いと思いますよ。学校なんて行ったって何の役にも立たないでしょうけど、でもやっぱり学校は行くものだと思います。

 よく、「伸びしろ」ということが云われます。松浦亜弥さんは、デビュー後も、どんどん歌が上手くなっていきましたけど、それは、彼女が14才でデビューする前までは、普通の女の子だったからです。彼女が幼いときからアクターズスクールとかで、英才教育を受けていたら、デビュー後に、どれだけの伸びしろが期待できたでしょうか。

 物心がつくか付かない頃から、アクターズスクールで英才教育、12才でアイドルデビュー、ひたすら競争させて、17才で燃え尽きて引退。ハロプロが始まったときの理念は、何だったのでしょうか。少なくとも、大人になったらそれでお終い、では無かったはずです。

 彼女のコメントによると、「卒業後は、アメリカに留学して、英語とダンスを学んできたい」そうです。「一人の人間として強く生きていくために経験しなければいけないことがある」とも述べていました。モーニング娘として走り続けていたために、これらができなかったと考えているとすれば、悲しいことです。モーニング娘はそれらを学べる場、人間として成長できる場では無いことを彼女は証言しているからです。
 ならば、一人の人間として強く生きていくための経験を積んでからデビューすべきです。アメリカで英語とダンスを学んでからデビューしても良かったんですよ。

 まあ、長い人生ですから、時には逆に進むのも悪く無いかもしれません。何より、彼女がこのことを自ら考え決断したということを評価したいと思います。並みの17才ではここまで考えることなどできないでしょうから。
 彼女に近い人物ほど、彼女の卒業に肯定的であった理由が、分かるような気がします。

 本当に留学するのかどうかは別として、帰ってきた彼女に芸能界での居場所があるとも思えません。まあ、そんなことは、百も承知の上のことでしょう。今は、人生を振り返った時に、モーニング娘で良かった、と思ってくれることを願うばかりです。 

 年寄りの小言だと思って、ご勘弁を。

2015年11月23日月曜日

「初音ミクJapanライブツアー2016」 運命の抽選が迫ってきました。

 初音ミクの2016年Japanツアーの先行予約が始まっています。何でわざわざJapanツアーって言うのかって云うと、この後に、北米ツアーがあるからだそうです。初音ミクも、日本で若干ブームが収まった分、海外に活路を求めている感がありますね。まあ、ニコニコ動画の投稿は減ってきているようですし、YouTubeにおいては、動画をアップするのも、コメントを書き込むのも、外国の方ばかりですから、当然の流れだとは思います。

 で、いよいよ運命の抽選会なんですが、「チケットぴあ」だと、当選しても振り込まなければ、(本当はいけないことでしょうけど)キャンセルになって、2次抽選に回される感じなんですが、e+って、当選した場合は、キャンセル不可だって云うんです。なので、6公演分とか申し込んじゃって、全部当選したら、どうしようって考え込んじゃいました。
 僕もいい歳なんで、あんな、スタンディングのライブに何回も参戦していたら、腰を悪くしそうですし、何よりも、お金が心配です。かといって、申し込み数を絞って、オール落選じゃあ目もあてられないですよね。

 そりゃあ、キャンセルがイケないことなのは分かりますけど、武道館の時だって、会場の近くで、ちょっと怖い感じのおじさんたちが、「お兄さ~ん、あまったチケット買うよ~。」なんて声をかけてきましたし、こういうやりかたって、結局、チケットの横流しを助長しているように思えるんですけど。
 なんて、考えたところで、宝くじ当たったらどうしよう、みたいな話ですから、いらぬ心配ですね。

 というわけで、今回のライブのテーマソング『Blue Star』feat. 初音ミク by 八王子P、貼り付けさせていただきますね。既に視聴回数が約6万回、高評価数3000です。視聴している人たちが全員抽選に参加したら、超高倍率になりますねw。


   しかし、何で、せっかく造ったコンピュータの声に、さらにエフェクターをかけちゃうんでしょうか。ヤマハのエンジニアが泣いてますよw

2015年11月22日日曜日

「風の墓標」湯口聖子  ~鎌倉北条氏へのレクイエム~

 「カマクラー」と呼ばれている方々をご存じでしょうか、歴史ファンの中でも、鎌倉北条氏をこよなく愛し、「巡礼」と称して鎌倉を訪れ、滅び去っていった北条一門に思いを馳せている歴女たちのことです。彼女たちは、小町通りのようなカップルだらけの観光スポットには出没せず、北条時房邸跡とか、北条高時腹切りやぐらなど、行楽期でもほとんど人影の無いような場所に佇んでいます。もし、鶴岡八幡宮でお参りもせずに、入り口の赤い橋で思いを馳せている女性がいましたら、間違いなく「カマクラー」です。きっと赤橋四郎範時のことでも考えているのでしょう。

 彼女たちのバイブルが「風の墓標」であり、彼女たちを導いたのが「湯口聖子」さんです。湯口さんは、漫画家としては、それほど有名でも無く、画風も何処にでもある少女漫画なんですが、鎌倉時代に特化した歴史漫画を発表している方です。漫画家が鎌倉時代を取り上げたというよりは、鎌倉ファンが漫画を描いていると言った方が正確だと思います。

 彼女の作品は、夢語りシリーズと呼ばれ、その全てが、鎌倉関連の作品です。「風の墓標」は、唯一の長編漫画で、シリーズの中核になるものです。僕が持っているのは、「風の墓標・全5巻」のみなんですが、このコミックは、現在絶版になっているようで、Amazonで5巻セットで25000円の値段が付いていました。一冊390円のコミックが5000円ですよ。本当に売れるのなら、売りたいですw


 物語の舞台は、後醍醐天皇の倒幕運動が始まる正中の変から、鎌倉幕府の滅亡までの約10年間です。主人公は、最後の執権となった北条(赤橋)守時の弟、「赤橋四郎範時」で、彼は架空の人物のようですが、他に、「足利直義」と最後の六波羅探題「北条仲時」という歴史好きには、なんともたまらないマニアックなキャラクターが主要人物として登場します。

 うやむやな感じで、なんとなく滅亡していった室町幕府や、滅亡と云いながら、その悲劇を会津藩などに押しつけた江戸幕府と違って、鎌倉幕府の滅亡は、正に滅亡という言葉通りの凄まじさでした。特に、北条一門の悲劇は、北条目線から全く語られることが無かっただけに、この作品のもつ意味は大きいと思います。

 物語は、典型的な少女漫画の、お目々キラキラな登場人物が、これまた典型的な少女漫画っぽい、若者の恋愛ストーリーを織り交ぜて進んでいきます。ただ、普通の少女漫画と決定的に違うところは、彼らと彼女たちが、いずれ北条氏滅亡とともに死んでしまうことが、読者に分かっていることです。戦の場面なんて、本当に稚拙で、ぎこちない描き方なんですが、このギャップが、この作品が持つ魅力なのかもしれません。まさか、計算してやっているわけでは無いと思いますけど。

 以前、僕は人生において、聖地巡りをしたことが無いと宣言しましたが、そう云えば、滋賀県湖北の観音巡りの帰りに、米原の蓮華寺に立ち寄ったことがありました。蓮華寺には、足利高氏に裏切られ、京から鎌倉へ落ち延びていく途中で進退窮まり、この地で自害した、六波羅探題「北条仲時」以下、主従432名の五輪塔や過去帳があります。これが証拠の写真です。僕が撮ったんですよ。


 蓮華寺に伝わる過去帳には、まだ十代半ばの若武者の名前もありました。僕が見たのはレプリカなんですけど、それでも涙を誘います。この場面は、第4巻に収録されているんですが、何度読み返しても、泣けてきます。いい歳をしたおじさんが、少女漫画を読んでいて泣いているところなど、絶対人に見られては、いけないことなんですが・・・w

 もう1つは、何と云っても、北条高時自害の場面ですね。遊興に耽り、政務を顧みず、北条氏を滅亡に追いやった張本人なのですが、それでも、最後の場面には、心打たれるものがあります。内管領「長崎円喜」をモデルにしたと思われる人物の「人には、決して譲れぬ一線というものがあります。」という台詞は、何度読み返しても泣けてきます。
 北条高時も長崎親子も、今まで典型的な悪役として描かれ続けてきましたし、この作品でも悪役であることに変わりは無いのですが、彼らでさえ、どことなく憎めないという感情を読者に持たせてくれるのが、作者の北条氏への想いであり、この作品が多くの歴女から指示される理由の1つだと思います。

 「太平記」によると、北条高時と共に自害した者は、北条一族283人、家臣870人とあります。この表記に関しては、その数があまりにも多いために誇張があるなどと言われてきましたが、仲時とともに自害した432名が事実ならば、1000人を超えるこの数字だって、信憑性がないとも言えません。いずれにしても、多くの一族、家臣達が、彼を最後まで見捨てなかったことは事実です。まあ、その団結力が諸国の武将達から嫌われた遠因なのかもしれませんが。

 鎌倉なんて、いつも混んでるし、若いカップルばかりだし、寺院は仏像拝観者に冷たいし、物価は高いし、お土産も鳩サブレぐらいってことで、もう行き尽くした感があるんですが、この作品を読み返してみたら、また行ってみたくなりました。

 いなり寿司でも買って、巨福呂坂を訪ねてみましょうか。何も無いことは分かっていますけど、最後の執権「北条守時」に想いを馳せるために。

2015年11月21日土曜日

「気がつけばあなた」 松浦亜弥と小田さくら 

 「気がつけばあなた」は、世間が認識している最後の松浦曲だと思います。でも、CMのおかげで楽曲は知っていても、この曲が松浦亜弥さんの持ち歌だということを忘れられている可能性もあります。

 ということで、松浦亜弥さんが確かに歌っていたという、証拠のVTRをお届けいたします。「ミュージックステーションスーパーライブ2005」とありますから、 幕張メッセでのテイクかと思います。貼り付け禁止のようですのでリンクになります。



 松浦亜弥さん19才のお姿です。テレビのライブ収録というのは、普通のライブより明るい中で行われるんで、独特の雰囲気がありますね。こういう会場って、かなり歌い難いらしくって、口パクも多いし、生歌だともっとガッカリというテイクが多いのですが、さすが我らが松浦亜弥さんです。

 何度も同じことを云ってしまいますが、この年齢に、この楽曲、このお姿、ぴったりだと思います。せめて、この路線を2・3曲続けていけば、全く違う展開になっていたのでは無いでしょうか。何故、次曲が「砂を噛むように」なのか、つんく♂氏と離れたといっても、別の選択肢もあったはずです。いろいろと叩かれていた時期ですから、著名な曲のカバーをするのは、かえってマイナスイメージになったかもしれませんが、それでも「砂を・・」は、この次に無いかと思います。
 まあ、上手くいかないときは、何をやってもダメなことが多いので、あれこれ云っても、結果は同じ、仕方ないかのも知れません。

 その後も、2009年のライブのリクエストコーナーで歌った程度なので、此の手の曲は、お好きでは無かったようです。しかし、プロの歌手なんですから、顧客の需要に応じて歌うのが、あるべき姿だと思うんですけどね。

 松浦亜弥さん応援ブログで愚痴をこぼしてばかりというのも、ファンとしての道義に反しますので、このくらいに致しましょうかw

 2つめは、「小田さくら」ちゃんのテイクです。デビューまもない頃のテイクですから、今は、もっとお姉ちゃんっぽくなっていて、きっと、お歌も上手になっていることでしょう。


 他の方はどう感じているかは、分かりませんが、松浦亜弥さんのテイクを視聴した後でも、視聴に堪えられるのは、僕的には、「小田さくら」ちゃんです。確かに、まだまだ未熟なところもあるのでしょうが、声が不安定になるところとかがあっても、不快に聞こえないっていうか、もっと聴きたいなって思わせるものがあるんですよね。
 彼女より可愛いアイドルは、たくさんいるでしょうし、歌の上手い女の子もたくさんいるでしょうけど、何とも良いんですよね。
 
 一日も早い、アイドル系演歌歌手としてのソロデビューをお願いしたものです。演歌系アイドル歌手って言った方が抵抗感がないですかね。何ならば、モーニング娘に在籍したままでも構いませんから。


 乗り換えようかなwww          あの。。。もちろん初音ミクから、っていうことで。

2015年11月19日木曜日

「日出処の天子」山岸凉子 ~漫画史に燦然と輝くボーイズ・ラブ~

 少女漫画の作品紹介をすると宣言したからには、この作品を取り上げないわけには、いきません。ただ、この作品の書評は、あまりにも数多く存在しておりますんで、僕が、今さら何を云っても、そんなのは、とっくの大昔に誰かが云っていることだと思います。

 「日出処の天子」は、1980年から1984年にかけて連載された、厩戸皇子(聖徳太子)を扱ったコミックです。ホントか嘘か、それまで「聖徳太子」と一般的によばれていた「厩戸王」を「厩戸皇子」と呼ぶように変わっていったのは、本作品の影響があるとされています。現在では、歴史の教科書でも、厩戸王(聖徳太子)となっていて、呼び方は完全に逆転しているようです。

 僕が、この作品に出会ったのは、連載も終わりに近づいた頃で、最後の2、3巻ぐらいをリアルタイムで求めた記憶があります。最後の11巻は、ビックリするくらい薄くって、結末に行き詰まった作者が、途中で放棄した感が伝わってきました。何か特別な事情があったような気がしましたけど・・・、忘れてしまいました。

(補足:最終巻には、続編である「馬屋古女王」を載せる予定だったのだが、間に合わなかったらしい。)

 で、コミックは、実家に置いてあったんですけど、家を建て替えるときに処分してしまって、今、手元にあるのは、改めて買い直した文庫版になります。


 あらすじは、ウイキペディアの記述が大変よくまとまっているので、そちらを参照いていただければと思います。作品の解釈や書評も、ネットで検索すると嫌と云うほど引っかかってきます。ですから、僕が今更書くことなど無いのですが、それでも語りたくなるのが、この作品なんですよね。

 この作品の特徴は、物語が「蘇我毛人」の視点で描かれているところにあります。前半部分では、読者は毛人と共に、厩戸皇子が持つ神秘性の正体を推察していきます。作品中に書かれている文字の大部分は心の声です。ほとんど、心理描写だけで、物語は進んでいくのです。
 歴史物というと、史実の解説に多くを費やしますが、この作品にとって、史実は単なる舞台の提供者に過ぎません。

 美貌の少年であり超能力者、同性愛者として描かれている厩戸皇子像について違和感を唱える人は、かなり多かったと思います。毎日新聞の捏造記事事件も、奈良支局の若い記者が「法隆寺は、こんな聖徳太子像に対しては、必ず抗議するだろう」という思い込みでストーリーを構築してしまったために起きた事件でした。

 漫画家の池田理代子さんは、この厩戸皇子像を批判して、「聖徳太子」を題材にした作品を1991年から1994年まで連載します。池田さんは、2007年の朝日新聞のインタビュー記事で、山岸さんの描く厩戸を違和感が多いとし、正す意味でこの作品を描いたと発言しました。僕も当時、この記事の切り抜きを見ましたが、かなりのインパクトがありまして、山岸ファンからの猛烈な反撃を受けることになります。

 まあ、その記事の影響で、僕も、池田理代子さんの「聖徳太子 文庫版全5巻」を持ってますんで、炎上セールスにまんまとのせられたってことなんですけどねw

 池田さんの作品が単独で存在していれば、十分にこれもアリなのですが、山岸さんの作品の対として捉えた場合、あまりにも影響を受けすぎている感があります。
 歴史物を描く場合、史実や定説に沿っただけでは、ただの学習漫画に過ぎませんから、当然、作者の解釈を加えるわけなんですけど、肝心なそこの部分で、自らが正すと宣言した相手に影響されて、引きずられてしまっているんですよね。山岸ファンからのパクり疑惑攻撃も一理あるっていう感じです。
 この騒ぎで、池田さんの作品も売れたかもしれませんが、彼女の勇み足とも云える発言のために、失ったものもあるように思います。

 さて、物語が進むにつれて、厩戸の人物像が明らかになっていきます。物語の最初では、読者にまで畏怖の念を抱かせた厩戸ですが、彼もまた、自らの能力に翻弄され苦悩する孤独な青年に過ぎなかったことが分かってきます。話が進むにつれて、厩戸の神秘性は薄れ、そして、秘めた想いの全てを声に出してしまった時の何とも云えない虚脱感で、この物語は終わっていきます。毛人に全てを拒否された厩戸にとっては、摂政となり国を動かすことでさえ、ただの気休めに過ぎませんでした。

 物語の幕引きというのは、難しいものです。山岸さんも終盤になって連載を一回パスしていますので、かなり結末に悩んでいたと予想されます。
 文庫本には、日出処の天子の続編としての「馬屋古女王」が併せて収録されています。薄っぺらい11巻で満たされなかった結末をフォローする意味でも、この続編の存在は重要です。多くのファンが語っているように、日出処の天子は、ここまで読んで完結なのだと思います。

2015年11月18日水曜日

DECO*27 「モザイクロール」他 ~最も成功した第2世代ボカロP ~

 DECO*27(デコ・ニーナ)氏は、1986年生まれの28才。ニコニコ動画に投稿した曲が、ことごとくミリオンを達成したという、最も有名なボカロPの一人です。

 ボカロPでは、2007年の初音ミクの発売と同時に楽曲を発表していた、「Livetune」「Super cell」「OSTER Project」らを第1世代とするのに対して、彼らの活動に刺激を受けてボーカロイドに取り組み、2008年頃から楽曲を発表した世代を第2世代とよんでいます。DECO*27氏は、最も成功した第2世代のボカロPといえます。

 一般的に作曲者が人間のアイドルやアーティストに楽曲を提供した場合、楽曲は、あくまでも歌っているタレントのもので、提供者は、裏方に過ぎません。
 一方、初音ミクのファンが楽曲を聴くときには、初音ミクの楽曲と云うよりは、○○Pの作品というように、誰が作ったのかを重要視します。つまり、ボカロPは、自らは歌っていないのにもかかわらず、シンガーソングライターに近い存在だといえます。

  彼の影響力を物語るエピソードがあります。2009年、インターネット社からボーカロイド「Megpoid(メグッポイド)」が発売されましたが、当初は、ほとんど売れなかったそうです。ところがDECO*27氏が2010年にMegpoidを用いてボカロ曲「モザイクロール」を発表したところ、これがヒット、Megpoid自体の売り上げが急激に伸びたといわれています。

 では、1曲目、貼り付けさせていただきます。2010年のZepp東京でのライブテイクから、「愛言葉」です。
 ステージ向かって左で、飛び跳ねながらギターを弾いているのがDECO*27氏です。氏の楽曲の特徴は、独特の言い回しによる、青春あるある的な、草食男子の恋愛物語的歌詞にあります。って聴いてもらった方が速いですねw


 氏の楽曲は、ほとんど全て一人称が「僕」です。つまり歌詞に登場するのは、DECO*27氏自身と考えて良いと思います。こういう煮え切らない男の恋愛を「もだもだ」な恋って言うそうで、そんな日本語があるなんて、この歳になるまで知りませんでした。では、もう1曲。もだもだソング「おじゃま虫」です。


 DECO*27氏の活動の中で、話題になったのが、「柴咲コウ」さんとのコラボ活動です。氏は、柴咲コウの20枚目のシングル「無形スピリット」の作曲を手がけ、彼女と共に多数のTV番組にも出演しました。また、柴咲コウの全国ツアーにはDECO*27がバンドメンバーとして同伴したそうです。

 氏は、2013年頃になると、ボーカロイド関連の活動をあまり行わなくなります。「DECO*27としてもうやりたいことを全部やりきった」との思いから活動の停止を考えていたといいます。そりゃあ、CGの初音ミクなんかより、本物の柴咲コウの方が絶対魅力的ですから、無理もないことかと・・・w。
 しかし、横浜で開かれた初音ミクのライブ「マジカルミライ2013」で、会場の自身の曲での盛り上りを見たことで、再びボカロ関連の活動を考えるようになった、とありました。

 というわけで、氏が思い直したテイク、マジカルミライ2013から「ゆめゆめ」貼り付けさせていただきます。


 もだもだソングばかりでは、何ですから、氏の代表曲の1つMegpoidによる「モザイクロール」でお終いにします。こういう歌詞の世界を、当時のボカロ好きの若者は、格好いいと言っていたんでしょうね。


 この楽曲が発表されてから既に5年、ボカロを取り巻く環境も随分変わりました。ボカロブームは、遠い過去のこととなりつつあります。DECO*27氏の音楽家としての活動もこれからが正念場になると思います。彼でさえ、ボカロPとして音楽家を一生の職業にするのは困難なことになると思います。
 ボカロに関わり続けるのか、或いは捨て去るのか、どちらにせよ、氏の活躍を願うことに変わりはありません。

 人生なんて、もだもだな決断の繰り返しなんですから。・・・この使い方、たぶん間違ってますよねw

2015年11月16日月曜日

「エロイカより愛を込めて」青池保子 ~少女漫画の概念を打ち砕く傑作~

 度々、申し訳ありませんが、今回は、松浦亜弥さんも初音ミクも全く関係の無い、僕の自己満足的な記事ですので、適当にスルーしていただくことを推奨致します。

 「エロイカより愛を込めて」は来年で連載40周年という、信じられない少女コミックです。といっても、途中10年間くらい休載していた時期があったので、実質的には、30年ほどでしょうか。まあ、それにしても凄いことだと思います。かなりの有名作品ですので、ご存じの方も多いのでは無いでしょうか。
 で、僕が喜んで読んでいたのは、休載前までの約10年間分でして、再開後の話は知りません。従って、ここでの話題は、第1部とよばれている、全作品の前半部分になります。

 僕とエロイカとの出会いは、本当に偶然でした。学生だった頃、友人から「これ拾ったんだけど、お前にやるよ。」って、一冊の少女漫画を渡されたんです。まあ、処分に困って押しつけられたってことなんですけど。見たら「ベルばら」みたいな表紙絵の、もろに少女漫画じゃないですか。迷惑だなって感じで、とりあえず下宿に持って帰って、何の気なしにパラパラと読んだんですけど、その面白さに一気に虜になってしまいました。偶然渡された「エロイカ」のコミック第4巻、それが僕とこの作品との出会いでした。
 それから、本屋に行って、その前の、1巻から3巻までと、既に出版されていた分を買い求め、さらに新刊が出る度に買って、第一部の最終話「皇帝円舞曲」まで揃えていました。


 話の内容は、一言で云えば、怪盗&スパイ物です。美術品専門の怪盗で男色家のイギリス人「怪盗エロイカ」こと「ドリアン・レッド・グローリア伯爵」、ドイツ人でNATO軍の情報部将校「鉄のクラウス」こと「エーベルバッハ少佐」そして、会計士「ジェームズ君」やKGBの幹部「仔熊のミーシャ」などの強烈な個性を持った登場人物が出てきて、ハチャメチャなパロディーストーリーと、妙なところでの現実感が何とも云えない面白さを醸し出しています。第7話「ハレルヤ・エクスプレス」での狙撃のシーンでは、笑いすぎて、息ができなくって、死ぬかと思いました。

 男女を問わず愛読者が多いというのが、この作品の特徴なんですが、女性ファンが登場人物の、特にエーベルバッハ少佐などの、キャラクターに興味を持っているのに対して、男性ファンは、緻密に書き込まれたメカや綿密な舞台背景などに関心を持っているようです。

 ウイキペディアによると、本作品のヒットで、1970年代後半から1980年代にかけて、大学でドイツ語を履修する学生が急増したとか、ドイツのエーベルバッハ市への日本人観光客が急増したとのエピソードが書かれていました。これらは、主に女性ファンのことだと思いますが、この作品が当時の若者に与えた影響力の凄さが分かると思います。

 その後、現実世界において東西冷戦が終結して、コミックの舞台設定が崩れたのを機に、休載になったんです。まあ、ここまででも、かなりの分量で、最後の方は、若干マンネリ気味でもありましたんで、丁度良い潮時だったのかも知れません。

 ところが、この作品、超有名なヒット作にもかかわらず、アニメ化、ドラマ化、映画化などが行われた形跡が無いんですよね。まあ、逆に言うと、映像化不可能なくらい、滅茶苦茶で面白いコミックだということなんでしょう。
 ファンによると、冷戦構造が崩れた第2部の方が、ストーリーに制約がなくなって、さらに面白くなったという話ですので、中古本でも求めてみようかなって思います。

 「エロイカより愛を込めて」は、僕がハマった最初の少女漫画であり、というか、少女漫画の概念を打ち砕いてくれた最初の作品でした。

 と云うわけで、これからも、いきなり少女漫画の作品紹介をするかも知れません。その際は、適当にスルー願いますね。

2015年11月15日日曜日

「中央改札」 松浦亜弥

 地下鉄のエスカレーターを上がったところの中央改札って聞いたとき、僕は、大手町駅から地下道を抜けて、エスカレーターを上がったところにある、東京駅の中央口を思い浮かべました。でも、よくよく考えたら有り得ないですよね。だって、あんな人だらけのところで、待ち合わせなんてできるわけがないし、2番で歌っているような、坂道があって海が見えるわけもないですから。
 普通、地下鉄の改札口って、エスカレーター下ったところにあると思うんですけど、中央改札って云うくらいですから、きっと何路線も乗り入れている大きな駅なんでしょうね。海が見える場所で、地下鉄が乗り入れてるところだそうです。どこがモデルなんでしょうか。

 では、たまにはCD音源からいきましょうか。


 静止画は地下鉄構内の写真ですが、わざわざこのために撮ってきたんですよね。頭が下がります。「ひよし」って駅名が出てましたから、横浜市営地下鉄でしょうか。なるほど、横浜なら海が見えそうです。

 この歌って、1度別れた二人が、焼け木杭に火が付いたっていうシチュエーションでいいんですよね。それとも離れてはいたけど、別れたわけではなかったのでしょうか。
 いずれにしても、珍しい設定だと思います。作詞を担当している「久保田洋司」氏は、松浦亜弥さんに何曲か提供しています。「ダブルレインボウ」とか「真珠」とか、名曲揃いですけど、どれも普通のラブソングでなくって、ひねりを効かせた独特の雰囲気がありますね。
 
 ライブテイクだとマニアックライブのⅡとⅤ、それから、コンサートツアー「想いあふれて」からのテイクがYouTube上にアップされていますが、どれか1つとなるとやっぱりこれでしょうね。


 いかにも、アルバムの中の一曲っていう感じで、名曲だとか、代表曲といえるものではありませんが、こんな地味めな楽曲を、気になる存在の1曲にしたのも、松浦亜弥さんの情感込めた歌唱あってのことなんでしょう。

2015年11月14日土曜日

「柏原よしえ」 ~殿下を虜にしたアイドル~

 突然ですが、今回取り上げさせていただくのは、昭和のアイドル「柏原よしえ」です。

 1970年代、花の中2トリオ(森昌子、桜田淳子、山口百恵)の成功によって、アイドル歌手のデビューは、一気に低年齢化していきました。しかし、その結果、聴くに堪えない歌唱力と、あまりにも幼稚なタレント性が世間から批判されることになります。1980年代になると、その反動から、アイドルのデビュー年齢が引き上げられていきました。中学校を卒業していることは最低条件であり、例えば、松田聖子さんも、メジャーデビューは、高校を卒業してからといった具合でした。そういう中にあって、柏原よしえの14才でのデビューは、やはり当時としては、異例のことだったと思います。
 デビュー時よりソコソコに売れてはいましたが、彼女を一躍有名にしたのは、何と云っても7枚目のシングル「ハロー・グッバイ」でしょう。

 では、最大ヒット曲「ハロー・グッバイ」貼り付けさせていただきます。


 低めの声とマズマズの声量、そして年齢の割には、大人っぽい容姿などが、彼女の14才でのデビューを可能にしたのかもしれません。

 特に、歌唱力は、当時のアイドルの中でも定評がありました。僕は、当時ファンだった「中森明菜」が、あまりにも声量に乏しく、すぐに喉を痛めたりしていたので、同じ歌番組に出てくる柏原よしえの声量をとっても羨ましく思っていたものですw。

 1983年にリリースした中島みゆき作品「春なのに」は、レコードセールスこそ「ハロー・グッバイ」に劣りますが、彼女にとって最も有名な持ち歌になりました。1980年代の前半から中頃にかけては、ヒット曲を連発して、彼女にとっては、よい時期だったと思います。
 また、アイドルでありながら、レコード大賞の最優秀歌唱賞部門に、1985年から1987年まで3年連続ノミネートされたのは、彼女の歌唱力が世間から認められていたことの証とも云えましょう。

 では、代表曲「春なのに」です。この曲が紅白初出場曲だったんですね。意外です。


 彼女は、隠れファンが多いことでも知られていました。特に、当時の徳仁親王(現・皇太子殿下)が、彼女のファンであったことは有名な話です。殿下は、1986年にはリサイタルに参戦し、バラの花を贈っています。

 そんな彼女でしたが、1990年代になると、タレント活動の方向性を大転換してしまいます。
 もとより、彼女は豊満な体型が特徴でしたが、そのギリギリなショットの写真集やビデオは、かなりの話題になりました。というか、ショックでした。そりゃあ、僕も男ですし、しかも当時は若かったですから、現役アイドルのセクシーショットには、興味がありましたよ。それに、売れなくなった元アイドルがグラビア女優になるなんて、芸能界では普通の事です。
 でも、アイドルとは云え、歌唱力をそれなりに評価され、何より、未来の天皇陛下が、自らライブに足を運び、バラまで贈られたというタレントが、ここまで落ちぶれたのかという驚きでいっぱいでした。
 
 彼女には、それに先だって、「空港こけし事件」という、まあ、悪質なデマが飛び交っていました。松浦亜弥さんの年齢詐称疑惑からも分かるように、清純派アイドルのイメージなど、たった1つのデマで、あっけなく崩れ去るものです。それが理由の全てでは無いでしょうが、いずれにせよ、清純派で正統派のアイドル歌手「柏原よしえ」は、消えてしまったのです。

 そんな「柏原芳恵」さんですが、最近は、歌手活動を精力的に行っているという話を聞きました。懐かしのアイドルブームに乗っかって、合同リサイタルなども開催されているようです。関連の動画がYouTubeなどに投稿されていました。まあ、キーも下がっていますし、全然衰えていない歌唱力・・・とはお世辞にも云えませんが、元アイドルが、懐メロファンの前で披露する分には、十分通用するステージだと思います。

 えっ、貼り付けませんよ。僕だって、何でもかんでも貼り付けているわけじゃあありませんからw

 ただ、彼女が、歌手として最も充実していたであろう、20代後半から30代にかけてを、全く無駄に過ごしていたことは、あまりにも空しく残念としか言いようがありません。もっともっと、ヒット曲を飛ばし、昭和、そして平成の歌謡史を書き換えたかもしれない才能は、世間に披露されることも無く、年月だけが過ぎていたのです。
 僕が、50才になった彼女のライブテイクをどうしても褒める気になれない理由を、みなさんならお分かりいただけると思います。

 では、お終いに「最愛」。貼り付けさせていただきます。


 僕も隠れファンだったんです。ってもうバレバレですよねww

2015年11月12日木曜日

Mitchie M「FREELY TOMORROW」feat. 初音ミク  ~無敵のアイドルライブテイク~

 思い出したんですけど、このブログって「松浦亜弥」と「初音ミク」のライブの魅力を紹介しているんでした。で、松浦亜弥さんはともかくとして、初音ミクのライブ動画の紹介をここのところ全然していないことに気づきました。で、今更なんですけど、ちょっと初心に帰ろうかなって考えた次第です。

 「FREELY TOMORROW」は 2011年に投稿された「Mitchie M」氏 の2本目の作品になります。キャッチフレーズは「調教すげぇ」。氏は、ゲーム音楽を手掛けるプロのアレンジャーで、いわば音作りのプロです。その調教は、「神」と呼ばれ、いったいパラメーターの何をどう設定すれば、ミクをあんなに滑舌良く歌わせることができるのか、マジックとしか云いようがありません。
 FREELY TOMORROWは、ニコニコ動画において、投稿から僅か20日間で再生回数100万回を越えましたが、この記録は、ボカロオリジナル曲では最短とされています。

 では、早速、貼り付けさせていただきます。2013年、横浜アリーナで行われた「マジカルミライ2013」からのライブテイクです。歌は22秒後からです。


 振り付けも、奇抜な動きなどなくって、アイドルっぽさを出しています。ノリやすい曲なんで、会場のオタクの一体感も良く出ていますね。若干CGがアニメっぽいところが気になりますが、アイドルライブとしては、なかなかの出来だと思います。
 もっとも、この平成の時代に、こんな風にちゃんとライブができる人間の女の子って、果たして何人いるのか分かりませんが。

 この楽曲は、2014年の東京体育館のライブでも演奏されたんですが、楽曲が始まった瞬間「ああ。これがFREELY TOMORROWか」と感動で泣きそうになりましたよw

 折角ですので、もう1つ、ゲーム版です。


 何処が違うのかと聞かれると、困ってしまうのですが、伴奏が生バンドからDTMになったことと、会場のサイリュームを振っている観衆がオタクと呼ばれる人間から、CGに変わっているところでしょうか。

 氏の作品は、今までもこのブログで取り上げさせていただきましたが、若干意味不明な歌詞を聞き流せば、これほどライブに向いている楽曲群は、他に無いと云えましょう。
  
 ボーカロイドによるアイドルライブをどう捉えるのかっていうのは、人それぞれで、人間の女の子の代用品とする意識も否定できません。しかし、キモいオタクの集まりとして、のっけから否定的に扱われたり、興味本位で極端な一面だけを報道されたりしている現状を考えると、ライブ会場に集まった老若男女の多彩なファンを見て、ライブを支える技術と音楽に対する情熱を直に感じた者として、世間の誤解を少しでも解消していこうとした、このブログの初心を思い出し、改めて決意を強くした次第ですww

2015年11月11日水曜日

平井堅「君のすきなとこ」 feat. 松浦亜弥

 「君の好きなとこ」は、平井堅氏作詞曲の楽曲で、2007年に26枚目のシングルとしてリリースされました。日本テレビの土曜ドラマ「演歌の女王」の主題歌だったそうです。

 平井堅氏は、デビューして今年で20年。今では、日本を代表するシンガー、ヒットメーカーになりましたが、意外と苦労人だったようで、世間に知られるようになったのは、デビューしてから、5年ほど経って「楽園」が発表された頃とありました。

 では、あまりにもベタで、今更と云われそうですが、貼り付けさせていただくのは、大ヒット曲「瞳をとじて」です。映画「世界の中心で愛を叫ぶ」も大ヒットしましたよね。映画について語り出すと話が前に進みませんから、今回は歌だけですw


 ちょっと、前半部分の息継ぎが気になりますかね。僕は、男なので、男声の息継ぎに全然魅力は感じませんが、女性の方ならこれもイイと云うことになるんでしょうか。
 そう云えば、松浦亜弥さんって、絶対ってほど息継ぎを聞かせてくれません。僕は、松浦亜弥ファンだからというわけではありませんが、息継ぎは、聞きたくない派でありますw

 では、「君の好きなとこ」の聴き比べといきましょうか。もちろん、この曲そのものが平井氏の作詞曲になるものですから、単純に比べられるものでは無いのは承知の上ですよ。


 続けて、松浦亜弥さんのカバーです。マニアックライブⅢからのテイクです。


 平井氏の歌唱の最大の特徴って、聴いている側に歌が上手いって思わせるところにあるような気がします。例えばアイドル時代の松浦亜弥さんは、こういう部分が欠落しておりまして、かなり難曲なアイドルソングも簡単にさらっと歌ってしまうんで、ふ~んって感じで終わっちゃうでしょ。やっぱり、難しい曲を難しそうに歌うっていうのも大切なことなのかなって、平井氏のテイクを聴いて思いましたw

2015年11月9日月曜日

今井美樹「彼女とTIP ON DUO」feat.巡音ルカ ~2つの素敵なカバーテイク~

 いきなりですが、まずは、1988年秋の資生堂のCMです。
 「やっぱりアイシャドーだったんだー」ってやつですw


 キャッチコピーが印象的でしたよね。今井美樹さんがブレイクするきっかけになったCMです。それまでも女優・歌手として、そこそこ活動していた今井美樹さんですが、このCMで完全に全国区になりました。

 この後は、楽曲にも恵まれて、女優よりも、歌手として活躍される場が増えていったように思います。僕もちゃんとCDを持っていて、ポスト飯島真理って感じで良く聴いていました。
 で、CDを捜してみたんですけど見当たらなくって・・・、もしかしたらレンタルしたやつをカセットテープにダビングして聴いていたのかもしれませんw。

 で、また、いきなりなんですが、「彼女とTIP ON DUO」のボーカロイドカバーです。歌っているのは、「巡音ルカ」になります。


 今井美樹さんといえば最大ヒット曲は、「PRIDE」なんですが、今回、敢えて「彼女とTIP ON DUO」を取り上げさせていただいたのは、このMMD-PVを見つけたからなんです。ルカのCGがちょっと可愛すぎる感がありますがw、今井美樹さんのオリジナルとは異なる魅力に溢れたカバー作品だと思います。
 制作者は、「The LSC Band」さんで、先日「Close To You」の記事で紹介させていただいたMMD動画の製作者さんです。主に「猫村いろは」や「巡音ルカ」を使用したカバー作品を中心に投稿されている方のようです。
 僕は、巡音ルカは声質や滑舌の点から、今まであまり好きではなかったのですが、彼の作品からルカの魅力を教えていただきました。
 あと、The LSC Bandさんの凄いところはオケ作りにあります。説明によると、MIDIの打ち込みができないので全て自力で演奏している、とのことですが、普通は、演奏できないから打ち込みをするわけでして、羨ましい限りです。
 でも、このオケを自作するというのが、ボーカロイドカバーでは、重要なことだと思います。人間用の伴奏を流用するのも悪くはありませんが、ボーカロイドは、楽器の特性も併せ持っていますので、人間用の伴奏だと、音数が多すぎて、歌声が埋没してしまいます。やっぱり、ボーカロイドには、このようなシンプルでメリハリのある伴奏をつけてあげるのがベストなんだと思いました。

 では、御本家に登場していただきましょう。今井美樹さんのライブテイクになります。このテイク、わりと最近のライブのようですが、ピアノ伴奏で、ちょっとジャズっぽく歌っているんですけど、ものすごーーーく、オシャレで良い感じなんですよ。


 ね、素敵なライブテイクでしょ。大人の魅力も、可愛さも、格好良さもあって、本当に歌うことが楽しそうだし、こんなライブに出会えたら、きっと一生の思い出になると思います。

 で、やっぱり松浦亜弥さんのことを思い浮かべたんですよ。松浦さんもこんな大人の女性になって帰ってきて欲しいなって。こんなライブを開いて欲しいなって。
 もちろん、マニアックライブとか、コットンクラブとか、松浦さんは、既にこれに近いライブを開いていますけど、ちょっと背伸びしてる感が伝わってくるんですよね。歌っているときは良いんですけど、合間のMCなんか、ああやっぱり二十代の女の子なんだなって、・・・別に悪く云ってるんじゃないんですよ。本当に二十代の女の子なんですからww

 今回は、「彼女とTIP ON DUO」について、ボーカロイドカバーとセルフカバーの2つのテイクを紹介させていただきましたけど、全く正反対のアプローチながら、共に楽曲の魅力を伝えていたと思います。特にセルフカバーって、意外と難しくって、なかなか良いテイクにお目にかかれることって無いんですけど、さすが今井美樹さんですね。
 
 でも、何で今井美樹さんの旦那さんが布袋寅泰氏なんですかね。いくら才能に惚れたっていっても・・・。まあ、夫婦ほど不思議なものはありませんね。

2015年11月8日日曜日

さだまさし「道化師のソネット」feat. 松浦亜弥

 「さだまさし」(本名・佐田雅志)さんは、長崎市出身のシンガーソングライター。日本で最も多くのソロ・コンサートを行っている歌手と云われています。昭和から平成まで、コンスタントに活動を続け、人気を保ち続けていることは、驚異的で奇跡に近いと思います。また、叙情的で文学的な歌詩の世界は独自のものとされ、さださんの場合、作詞ではなく作詩と表記するそうです。

 ヒット曲も、「精霊流し」「雨やどり」「関白宣言」と数え切れないほどありますが、まずは、独断で「無縁坂」を貼り付けさせていただきます。シングルチャート12位と若干地味ではありますが、僕が、最も「グレープ」らしいと感じている曲です。


     運がいいとか  悪いとか
    人は時々  口にするけど
    そう云うことって確かにあると 
    あなたをみててそう思う

 特にたいしたことを云っているわけではないんですけど、これぞ「さだまさし」っていう詩だと思います。それにしても、暗い曲ですね。さださんがグレープを解散した理由の1つに、暗いイメージからの脱却をあげていたそうですけど、まあ、この暗さがグレープなんだと思います。

 さて、「道化師のソネット」は、1980年、さだまさしさん自身が主演・音楽監督を務めた映画「翔べイカロスの翼」の主題歌だったそうです。「翔べイカロスの翼」はインディーズ作品だったために広く世間に知れることはありませんでしたが、この主題歌は、オリコン2位、40万枚を超えるヒット曲になりました。
 映画は、誰も知らないのに、主題歌は、みんな知っているというパターンですね。
 
 貼り付けさせていただくのは、みなさんご存じ松浦亜弥さんによるカバーです。NHKで2009年にオンエアされた「さだまさし!音楽を愛する心のビッグショー」からのテイクです。


 さだまさしさんの楽曲は、比較的情感を込めやすい曲が多いので、松浦さんには向いているのかも知れません。ただ、彼女の素直で透明感のある高音というのは、男女の違いこそあれ、さださんと被るところです。共通点が有り過ぎるというのも、カバーする際に悩ましくなるところであります。

 では、さだまさしさんのテイクを貼り付けさせていただきます。最近のライブテイクもあるのですが、やはり、脂がのりきったこの頃のテイクが優れているかと。


 さだまさしさんがソロになって精力的に楽曲を発表していた頃は、僕が一人暮らしをしていた時期と重なります。「案山子」「主人公」「つゆのあとさき」そしてこの「道化師のソネット」など、数多くの名曲が発表されました。夜中に下宿に向かう帰り道、独り大声で「さだまさし」を歌いながら歩いていたことを思い出しました(田舎だったんでw)。「森田童子」なんて聴いてる奴もいましたけど、僕の独り暮らしの淋しい心には、「さだまさし」くらいが丁度良かったのかもしれません。

 さだまさしさんが元スチュワーデスの奥様と結婚されたのも、確かその頃だったはずでしたが、先日、娘さんでピアニストの佐田詠夢さんが、ゴスペラーズの北山陽一氏と結婚されたと云うことを知って、時の流れを感じた次第です。

 では、折角ですから、もう1つ貼り付けさせていただいて、お終いにいたします。当時、僕が一番好きだった曲「檸檬」です。

2015年11月7日土曜日

竹内まりや「元気を出して」 ~薬師丸ひろ子VS松浦亜弥VS初音ミク~

 「元気を出して」は、「竹内まりや」さんが作詞作曲した作品で、1984年にリリースされた「薬師丸ひろ子」さんのファーストアルバム「古今集」に収録されました。1987年には、竹内まりやさんがセルフカバーして、シングルCDを出しています。
 失恋した友だちを励ます曲ですね。竹内さんも、女性が女性におくる応援歌って意外とないので作りましたってコメントしていました。
 この曲、ホントに多くの歌手がカバーしています。僕は、てっきり竹内まりやさんが最初だと思っていました。もはや薬師丸ひろ子さんがオリジナルだということを、何人の人が認識しているでしょうか。

 というわけで、オリジナルをリスペクトしまして、薬師丸ひろ子さんのテイクを貼り付けさせていただきます。薬師丸さん20才頃のテイクですよね。30年前ですか・・・。


  え~っ、これ凄くイイと思うんですけど、薬師丸さんの声質が歌に合っているし。

 薬師丸さんは、この曲をシングルカットすることはありませんでしたが、やっぱり代表曲の1つに間違いはないようですね。「元気を出して」=「薬師丸ひろ子」としっかり覚えておきましょう。

 続いて、松浦亜弥さんのテイクです。


うわ~、ぶっつけ本番感丸出しですねw

 歌詞カード見てるのに、もろに間違えてます。歌詞間違いにもいろいろありますが、これは、かなり酷い方です。こう云うのって、一度気になると、気になって仕方ないですよね。この曲、僕、大好きなんですけど、再生リスト「歌上手いベスト・カバー曲集」に入れなかったのは、これがあったからなんですよ。

 松浦亜弥さんの竹内まりやカバーといえば、「純愛ラプソディー」が評価も高くって、多くのライブで歌っていますけど、「元気を出して」は、随分扱いが違くなっちゃった印象があります。まさか、このテイクがトラウマになっているなんてことは無いと思いますけど。
 でも、ちゃんと歌い込めば、もっともっと良くなるだろうし、波瀾万丈な人生(?)を歩んで幸せを摑んだ松浦亜弥さんが歌うに相応しい楽曲だと思うんですけどね。

 そういえば、「本気でオンリーユー」って竹内まりやのヒット曲をつなぎ合わせた、ジュークボックス・ミュージカルだったんですよね。この曲も、歌ったんでしょうか。あのミュージカルは、DVDとかも無いみたいで、様子が全然分からないんですけど。せめて、「松浦亜弥、竹内まりやの世界を歌う」みたいなカバーアルバムがあったら良いなって思います。

 お終いに初音ミクのテイクです。スルーしないで聴いてあげてくださいね。


 まあ、少なくとも音痴じゃないし、誰かみたいに歌詞間違えてないし、安心して聴けるんで、BGMにいかがでしょうか。
 人みたいに歌っているって思うから違和感あるんですよ。言葉を奏でる楽器だと思ってくださいね。これは、あくまでもインストロメンタルですからw

 ウィキペディアで調べると、カバーした歌手の一覧表なんかがありますけど、当然のことながら、初音ミクも松浦亜弥さんも入ってません。でも、数あるカバーの中には、絶対これよりも酷いテイクがあると思いますよ。

 ということで、今回の収穫は、薬師丸ひろ子さんの素敵なテイクを発見したことかなw

2015年11月6日金曜日

 結婚記念日 ~その2~

 結婚式シーズンでしょうか、僕の家の近くにある、1日1カップル限定とかいう、最近流行の結婚式場にも人が集まっているのをよく見かけます。

 以前、松浦亜弥さんの結婚記念日について、記事を投稿させていただきましたが、最近は、入籍日と結婚式が同じ日でないことが多いようです。
 で、実際あったんですけど、ご祝儀ってどちらのタイミングで渡せばいいのか悩んでしまいます。披露宴に呼ばれていれば、入籍祝い+ご祝儀でしょうけど、呼ばれていないときも、やっぱり入籍祝い+結婚祝いなんでしょうかね。
 っていうか、こんなややこしいことになっているのも、それぞれを別な日に設定しているからなんですよ。

 結婚に関連する項目をざっと思い浮かべてみると、「入籍」「結婚式」「結婚披露宴」「新婚旅行」「同居」それと「子作り」と・・・、まあこんな感じでしょうか。

 松浦亜弥さんで考えさせていただくと、たしか、8月4日が入籍された日ですよね。式は、10月の上旬にハワイで挙げられたようですけど、披露宴ってあったんでしょうか。式の参列者だけで済ませたのであれば、いわゆる披露宴はやってないことになりますよね。同居は、確かその年の初めには、既に始めていたと思います。
 こういうことは、今では珍しくないというか、こっちの方が一般的になっているように思います。

 僕らみたいな昭和の人間は、全てを一度に済ませるのが普通でした。一番自由にならないのが、披露宴の日程ですから、まずそれが決まって、それに合わせて、全てが設定されていきました。
 役所に行って届けを出して、神社に行って式を挙げて、ホテルに戻って披露宴。終わったら旅行に出発。で、新居に帰るって具合です。それを今の若者に話すとビックリされるんですよ。信じられないって。いつ頃から、こんなに意識が変わったんでしょうか。

 つまり、なぜ入籍だけを何ヶ月も前に済ませるのか、言い換えれば、なぜすぐに結婚式をやらないのか、逆に言うと、なぜ遅らせてでも結婚式をやるのかってことです。

 で、調べてみましたら、結婚式が遅れる理由としては、仕事の関係をあげている人が多いですね。式を挙げられないほどの仕事を抱えている人間が、そんなにいるとも思えないんですが、まあ、雇用の不安定さがこういうところにも影を落としているのかもしれません。
 披露宴は、生活が落ち着いてから、という考えが多いようです。人生で一番落ち着いていられるのが独身時代だと思うんですけど・・・。で、本音としては、面倒なことは後回し、あわよくばやらずに済めば、という感覚もあるようです。結婚は、昔はムラの行事でしたけど、今は個人的なもので、親戚一同や友人はともかく、会社の上司・同僚、さらに隣組まで集める披露宴というのは、現代の感覚に馴染まなくなっているのかも知れません。
 入籍日については、やはり何かの記念日に合わせたと云うのが多いようです。そう言えば、松浦亜弥さんも、8月4日は2人しか知らない秘密の記念日だとか云ってましたっけ。

 昭和の時代は、入籍日は式場の予約次第で、同じ日にするのか普通ですから、理由なんてありゃしませんでした。でも、記念日って、そもそも、何かが起きるまでは、だたの日ですよね。何でもない普通の日が、記念日に変わるからイイんだと思うんですけど。何もわざわざ11月22日とかに入籍したりして、せっかくの記念日を意図的に操作するほうが、味気ないと僕は思うんですけど。

 で、結論には至りませんでしたけど、入籍だけは済まして、一緒に住むけど、結婚式はもう少し先で、という、結婚したいけど簡単にはできない若者の置かれている現実があったようです。
 戦後のもっと貧しい時代であったのなら、結婚式なんてろくに挙げられない夫婦もたくさんいましたけど、今は、そこまで貧しくはないんですよね。だけど昭和の気楽な若者のようにもいかないといったところでしょうか。彼らの親の世代も、自分たちのことで精一杯ですし。

 それと妙に真面目で知恵があり、失敗を恐れるという現在の若者の傾向が、結婚に関して自分たちでハードルを上げちゃってるという一面も感じました。相性を確認するために、入籍前に同棲してみるなんていうのは、その典型だと思います。

 そんな中で、懸命に新しい人生をスタートしようって頑張ってるんですから、入籍祝いだろうが、結婚祝いだろうが、ケチ臭いこと言わずに、何度でもお祝いしてあげなきゃって思った次第ですw。 

 ということで、ベタですけど「dearest.」を貼り付けさせていただきます。今回は、数あるテイクの中からこれにしました。

2015年11月4日水曜日

映画「明日に向かって撃て!」から「雨にぬれても」 B・J・トーマス&初音ミク

 特にリクエストをいただいたわけではないのですが、先日のバート・バカラックつながりで「雨にぬれても」を取り上げさせていただきました。

  「明日に向って撃て!」は、 1969年に制作されたアメリカ映画です。原題は、「Butch Cassidy and the Sundance Kid」で、主人公の名前そのまんまですね。彼らは実在の人物で、アメリカでは有名な列車強盗・銀行強盗ですから、人物名でも映画の題名として通用するのでしょうけど、日本では、そういうわけにはいきませんから、アメリカ映画っぽい格好いい邦題を考え出したんでしょう。出演者は、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス。そして主題歌は、僕の尊敬するバート・バカラック先生作曲の「雨にぬれても」です。こちらの原題は「Raindrops Keep Fallin' On My Head」で、直訳すると「雨粒が、私の頭に降り続けている」ですから、なかなかの名訳だと思います。

 では、「雨にぬれても」。映画の名シーンと共に貼り付けさせていただきます。このシーンは、ほとんど2人のアドリブ演技で、実際に音楽を流しながら撮影したとのことです。名シーンと云っても、自転車で二人乗りしているだけなんですけどw






 名シーンに名曲有りっていうか、これに関しては、名曲あってこその名シーンという感じですね。

 僕は、当然のことながら、この映画については、全くといって良いくらい知らなくって、断片的に紹介されている映像と、あらすじ程度の知識しか有りません。でも、こんな映画をリアルタイムで映画館で見ることができた世代が羨ましいです。初音ミクファンの僕が云うのも変ですけど、今のアメリカの娯楽映画ってCGだとか、SFXだとか、そんなのばっかりじゃないですか。
 
 バート・バカラック先生ご自身が歌っているライブテイクがありました。


 続いて、初音ミクのカバーになります。映画ファンの方々から、原作を冒涜している、などと云われかねませんが、「雨にぬれても」は、すでに映画から独立した偉大なスタンダードナンバーですので、こういうカバーも許されるのではないかと思った次第です。
 あとは好みの問題で。といっても、好きな人は圧倒的に少数派なことは分かっていますw。


 世界広しといえども、この2テイクを並べて貼り付けてるブログは、ここだけでしょうね。

 初音ミクは、日本語の音声データからつくられたボーカロイドですから、通常版で英語の歌を歌わせるとカタカナ英語になっちゃうんですよね。これは、英語音声ライブラリーを使用している作品なんで、発音はバッチリですww。

 参考までに、同じボカロPさんによる、通常版でのテイクです。


 中学生に英語の歌を無理やり歌わせたみたいですね。これぞ日本人のカタカナ英語ですよ。僕が中学生だった頃の英語の先生も、こんな発音でした。
 僕も、スタンダード版と英語版を全く同じ曲で、聴き比べるのは、初めてなんで、とっても勉強になりました。

 で、日本語で歌ったらどうなるのかなって考えてみたんですけど、日本語のカバーって驚くほどなくって、皆さん、英語で歌っているんですよね。

 始めの2小節で、英語だと「Raindrops Keep Fallin' On My Head」まで歌っているんですけど、日本語だと、「あーめがふってきたー」くらいしか歌えません。
 日本語で歌うと、一音で音符1つ使っちゃうんで、全然言葉がのらないんですよね。だから直訳文で歌おうとすると、音符を刻んで、もの凄い早口で歌わなければならないんです。
 岩谷時子さんの訳詞がありましたけど、意訳を重ねて、ご苦労が伺えます。でも、伝えきれてなくって、やっぱりイマイチなんですよw

 今度、カラオケに行く機会があったら、思い切って英語で歌ってみましょうか。まあ、通常版初音ミクには負けたくないですw


2015年11月3日火曜日

「ダブルレインボウ」 松浦亜弥

  一言で云えば、必要以上に仰々しい曲だと思います。壮大なアレンジの楽曲ですが、要は、売れない絵描きと、しがないミュージシャンが出てくるだけのことです。
 あと、歌詞の内容から考えると、この曲のタイトルをダブルレインボウと名付けた意図がイマイチ分かりません。
 それとアルバムジャケットの写真。どうにかなりませんでしたかね、っていう感想は、当時のファンも同じだったようですが、ご本人は、かなりのお気に入りだったとのこと。やはり彼女の美的感覚は、庶民には、理解し難いようです。

 ダブルレインボウは、二重の虹が現れる現象で、最近は、皆さんスマホをお持ちで、見つけるとバンバン写真撮ってアップしますんで、ネットで検索すれば、わんさかと出てきます。で、なるほどって思ったんでけど、外側の副虹って、色の順番が逆になっているんですね。

 問題の、レコードジャケットですw。


  亜弥さんの後ろに、虹がうっすら見えますけど、これはダブルレインボウじゃないですよね?

 散々こき下ろしておいて、こんなこと云うのもなんですけど、こういう壮大っぽい曲って、松浦亜弥さんの持ち歌には、意外と有りそうで無いんで、貴重な楽曲ではあります。
   
 というわけで、貼り付けさせていただくのは、2007年秋のコンサートツアー「ダブルレインボウ」からのテイクです。


 アンコールの1曲目ですよね。この1曲前の「めっちゃホリデー」で完璧にコールを合わせてくれた亜弥オタさんたちを黙らせての、この歌唱。歌った後の、拍手喝采が印象的です。しつこいようですけど、「めっちゃホリデー」→「ダブルレインボウ」ってセットリストですよ。こんなライブができる歌手って、後にも先にも松浦亜弥さんしかいませんですよ。こんなに声が出れば、歌ってても気持ち良いでしょうね。
 あと、ビジュアル的にもバッチリですよ。今度、CDを再販する時は、この映像をジャケットに使って欲しいです。あと、背中に羽根が出てきますけど、これって、初音ミクのライブでも良く使う演出なんですよww

 もし、時間が戻って、松浦亜弥さんのライブに、1つだけ参戦できるとしたら、この「ダブルレインボウ」がイイです。コテコテのアイドルソングから、こんな仰々しい曲まで、分け隔て無く披露してくれた、唯一のライブなんですから。・・・あっ、やっぱりファーストコン・・

 もう1つ、マニアックライブⅣからのテイクです。

 歌詞の内容は、前半は静かに過去を振り返っているかのようですが、後半部分は、明日への力強い希望を歌っているように思えます。たして2で割れば、このくらいの歌い方の方が合っているように思います。


 で、今頃気づいたんですけど。このテイクって、最後のサビのところ以外は、ずっとピアノだけの伴奏だったんですね。ますます、気に入ってしまいました。

2015年11月1日日曜日

「遙かなる影(Close To You)」 カーペンターズ&巡音ルカ

  「遙かなる影」は、バート・バカラックとハル・デイヴィッドによる1963年頃の作品で、1970年にカーペンターズがカバーして、世界的大ヒット曲になりました。どのくらいヒットしたかって云うと、子どもだった僕だって知っていたくらいです。僕は当時、文集の尊敬する人の欄に「バート・バカラック」って書きました。嘘じゃありません。ホントの話ですw

 「(They Long To Be)Close To You」は、直訳すると「みんな(私も)あなたのそばにいたい。」だと思いますが、それを「遙かなる影」と訳すセンスってどう評価すればいいんでしょうかね。今だったら、原題のままでリリースするでしょうけど、昔は、庶民が英語を知らないのをいいことに、何となく曲のイメージに合った、売れそうな邦題を勝手に付けてたということでしょうかw。

 「カーペンターズ」「ビートルズ」「サイモン&ガーファンクル」。アニメ主題歌と昭和歌謡と文部省唱歌しか知らなかった僕にとって、彼らたちとの出会いは衝撃でした。特に万人受けという点では、カーペンターズに優るアーティストはいなかったと思います。
 カーペンターズの代表曲は、「イエスタデイ・ワンス・モア」「トップ・オブ・ザ・ワールド」となるでしょうが、この「遙かなる影」も、彼らによって更なる魅力を与えられた楽曲です。バート・バカラックの名曲を、子どもだった僕にも分かりやすいようにアレンジしてくれたのが彼らでしたから。

 では、貼り付けさせていただきます。日曜日の午後に聴くと泣きそうになりますよ。


 この曲が大ヒットしたのは、カレンの魅力ある低音とリチャードの編曲によるところが大きいですよね。低音で勝負できる女声がいかに最強か分かります。あと、やっぱりドラムを叩いてこそのカレンですねww

 次は一転して、ボーカロイド巡音ルカEngによる「Close To You」MMD動画です。オタクによるボカロ技術もここまできたかって感じです。コーラスの付け方が秀逸です。ボカロ嫌いの方も、騙されたと思って是非ww


 製作者さんのカーペンターズ愛があふれた作品だと思います。原曲をリスペクトしつつ、ルカの魅力も伝わってきます。この曲、本当にたくさんの人間のアーティストにカバーされていますけど、決してそれらに劣ることのないテイクだと思いますよ。

  もう1つ、ボーカロイド「AVANNA」によるテイクです。AVANNAは、英語版VOCALOID3のライブラリで、ポップ・ミュージックとケルト・ミュージックが得意ジャンルとありました。ケルト音楽ってかなりマニアックかと思いましたら、結構ファンもいるみたいです。そういえば、日本を席巻したハロウィンだって、元々は、ケルト人のお祭りでしたね。

 今回は、残念ながら初音ミクのテイクは見つけられませんでしたが、ミクは声がかなり幼いので、原曲の雰囲気とは、かけ離れたカバーになってしまうでしょうね。それはそれで、面白そうですけど。


 1980年代になると、彼らの音楽性も行き詰まりを見せはじめ、兄は睡眠薬依存症、妹は摂食障害に苦しむことになります。彼らが、兄妹という微妙な人間関係だったことも、問題を複雑にしていたと思います。
 カレンが32歳の若さで亡くなった頃には、僕はもうカーペンターズから卒業していました。っていうか、卒業した気になっていました。
 当時は、摂食障害なんてあまり知られていませんでしたから、「そんなことで人間って死ぬんだ」って云うのが正直な感想でした。「そんなことで死ぬなんてバカな奴」とも思いました。

 けれど、久しぶりに聴いていたら、いろいろな想いが巡ってきて、泣きそうになりました。何を今更・・・ですよね。