2019年3月9日土曜日

欅坂46「黒い羊」~夢から醒めた「長濱ねる」と、珠玉のカバー作品~

先日、NHKの「うたコン」を見ていたら、欅坂46が新曲を披露していました。僕は、欅坂のファンと云うわけでは無いのですが、アイドルに口パクさせるには惜しい曲を持っていますから、気になる存在ではあります。
うたコンは生放送がウリの歌番組のはずですけど、何故か事前収録になっていました。それから「てち」は収録だけの出演、「ねる」はどちらにも出ていませんでしたけど、欅坂ですからね。そのくらいのことでは驚きません。

で、今回の新曲「黒い羊」ですけど、世界観は相変わらずで、「サイレント・マジョリティー」とか「不協和音」の系統のようです。この手の路線って食傷気味なんですけど、今回はなかなかの良曲に思いました。

そして、このブログでも何回か紹介させていただいている「RavanAxent」さんの一人バンドカバーが、格好良い事この上ありません。元々、男歌ですから雰囲気も合っているし、ベースを前面に押し出したアレンジも最高です。


楽曲そのものの良さが、ガンガン伝わってきます。彼には是非とも「欅坂・バンドアレンジカバーアルバム」を出してただきたいです。


で、肝心の御本家のMVなんですけど、これが酷すぎます。一度見て辛くなってしまいました。衝撃的な作品と云えますけど、視聴した後には嫌悪感しか残らない。

その原因は、MV全体が「死」と「暴力」で満たされているところにあります。飛び降り自殺の現場とか、浴室でのリストカットのシーンには不快感しか感じません。最初は、これはフリなんだと、最後はきっと救済されるオチがあるのだと、祈るような気持ちで見ていたんですけど、そのまま終わっちゃいました。

まるで、地下にある小劇場で、前衛的アングラ演劇を観させられている気分です。あるユーチューバーさんのコメントに「主演女優に灰皿投げつけながら作ったような作品(蜷川先生?)」ってありましたけど、言い得て妙です。

確かに、欅坂と云えば、アイドルらしからぬイメージがウリです。乃木坂の「白」と欅坂の「黒」で棲み分けをしているのかもしれません。でも、黒・黒・黒って路線を続けていけば、表現はエスカレートして、行き詰まるのは必至です。

だからこそ、陰陽織り交ぜていくことが大切じゃないかって思っていたら、「長濱ねる」さん卒業のニュースが飛び込んできました。前々から噂はありましたけど、いきなりの発表でビックリです。

「長濱ねる」さんと云えば、最終オーディションの当日に、芸能界入りを反対する両親によって、実家に連れ戻されてしまった話が有名です。で、その後の、彼女の欅坂加入までの経緯は、まるで江川卓選手の巨人軍入団みたいに、異例中の異例だったと云います。それほどまでになりたかったアイドルを、わずか3年で辞めたいと思わせた理由は何だったのでしょう。

彼女は自身のブログで、アイドルとして活動した3年あまりの年月を「醒めない夢」と表現しました。そして、「何もない私に色付けしてくださった、関わってくださった全ての皆様に感謝申し上げます。アイドルとして誰かの心に存在できていたのならこの上なく幸せです。」と結びました。聡明な女の子だと聞いていましたが、アイドルとは何かという問いに対する明確な回答に思います。だからこそ、今回の決断は悲しい。

対照的な存在の「てち」と「ねる」のツートップ体制で、陰陽織り交ぜ、ヲタを巻き込みながら盛り上げていく。なんて期待は「長濱ねる」さんが長い夢から醒めてしまったことで、完全に夢物語になってしまいました。


このストーリーを読み解く試みが、いろいろと成されているようですけど、意味深長な伏線は、ミスリードによって意味不明となり、結局のところ、何も伝えることが出来ていない。
YouTubeでの公開が遅れたのは、MVの内容に問題有りとされたからと云われています。だとすれば、誤解を招いた時点で既にアウトです。楽曲のデキは最高だし、演じているのも選りすぐりのアイドルたちなのに、勿体ない話です。


高評価を得ているカバー作品をもう1つ紹介させていただきます。

こちらは、ピアノの弾き語りです。歌っている「茜雫凛」さんは、高校生シンガーだそうです。絞り出すような歌唱で、「RavanAxent」さんと表現方法は180度違うのですが、1つの作品として完璧に成立しています。このカバーを聴きながら、長濱ねるさんの卒業コメントを読んでいたら、泣きそうになってしまいましたよ。

2 件のコメント:

korou さんのコメント...

最後の「茜雫凛」さんに興味が湧いて
いろいろ聴いてみました。

・・・いやあ、この方は天才ですね。
アコースティックは上手いし、声質も歌唱も素晴らしい。
いいものを教えて頂き感謝です。

(欅坂は、まあ、その・・・あまり興味ないもんで
 ・・・すいません)

さんのコメント...

チェック、ありがとうございます。

korouさんが素晴らしいと仰るんですから、間違いないですね。
なかなかの歌唱力だと思います。

僕も「茜雫凛」さんのことは知らなかったんですけど、
動画の再生数も凄いですし、勢いがありますね。
世の中には、才能ある子がいるものだと思いました。

そういう子たちが、セルフプロデュースしてネット発信しているわけで、
凄い世の中になったものだと思います。