2022年1月4日火曜日

黒島結菜「明け方の若者たち」鑑賞記(ネタバレあります)

新鮮な気持ちで鑑賞させていただこうと、原作小説も買わずに公開を待っていたのですが、迂闊にもスピンオフ映画のあらすじを読んで、オチを知ってしまいました。ショックです。

ネット予約とかしてなかったのでチケット販売機に並んだら、「こちらにどうぞ」ってカウンターに案内されました。お姉さんに「何をご覧になりますか」って云われて、何だか気まずかったです。だって「R15+」ですよ。(エロ親爺に思われたらイヤだなぁ)なんて考えてたらパニクってしまって、「夜明けの若者たち」って云ってしまいました。「えっと、明け方の若者たちですね」って言われてチケットを渡されて、凄く恥かしかったです。

座席数100人ほどの劇場に、観客は十数人でしょうか。匠海君のファンらしき女性が多数派のようで、場違い感があります。


夏のシーンが多くって、画面からは、やたら蝉の鳴き声が聞えてきます。撮影の目撃情報が出ていたのが昨年の2月頃で、撮影期間は約二週間とありました。黒澤監督の名言に「夏のシーンは冬に撮る」ってのがありますけど、Tシャツ着てアイスクリーム持ってとか、本当は寒い中でやってるんだろうなぁ、なんて考えながら見ていました。寒い中、お疲れ様です。


物語は「沼のような5年間」を描写していて、時々「2013年12月」みたいな字幕が出てくるんですけど、見ている感覚としては「ひと夏の(禁断の)恋」って感じかな。

僕は、「マカロニえんぴつ」とか知らないし、RADWIMPSだって「前前前世」しか知りませんから、アルバムは3と4のどっち?って言われても分からないし、明大前や高円寺とも全く無縁です。世代的にも重なるところがないので、感情移入はしにくかったかなぁ。ただ、学生時代の知り合いからの急な電話は要注意ってのは、いつの時代も同じですね。

あと、結論から云うと、「何でR15+にしたんだ」ってところでしょうか。過激なベッドシーンがNGなことは分かっているし、双方のファンも、そこは期待していないと思うんですよね。だったら、その尺を使って、二人の普通に素敵な場面を撮ったほうが良かったんじゃないかなぁ。中途半端なHシーンなんて直接演じなくても、観客が勝手に想像しますよ。どうせ撮るんだったら、リアル感なくってもいから、もっと綺麗にってところかなぁ。

さて、登場人物では、「井上祐貴」君が演じた主人公「僕」の親友「尚人」が良かったですね。研修会でのリーダーシップとか、引っ越しを手伝ってあげたりとか、優秀だし優しいし、それでいて遊びもできる。メンタルやられて出社できなくなった「僕」のアパートを訪ねて、コーヒーを入れてやるなんて良い奴過ぎでしょ。コーヒーに角砂糖4つ入れるとか、励まし方にも洒落が効いてるし。僕的には、ここが一番泣けるシーンでした。彼のような優秀な人材に、数年で早期退社されるような会社じゃ、先は無いかと思いますよ。2、3年で見い出して、希望である企画部に抜擢すべきです。

兎に角、良い奴なんで、「僕」が気付かない間に、「親友」と「彼女」が付き合ってましたなんて展開にならないかと、ヒヤヒヤして見てました。

「北村匠海」君が演じた、主人公の「僕」は、自宅通学風俗ラブホ未経験設定感が、リアルに出ていました。ちょっと優柔不断で、主人公なんだから格好良くシャキッとしろって思いましたけど、そういう役柄だったんですね。

でも、理想と現実の狭間とか云っても、大企業の総務部で働いていて、ブラック企業でもないし、パワハラされているわけでもないし、給料もちゃんと貰っているんだから、フリーターや派遣社員からすれば、羨ましい限り。総務の退屈な仕事(研修会場の椅子並べとか)だって、誰かがやらなくちゃ会社は成り立たちませんよ。って云うか、この映画、総務部をネガティブに描きすぎでしょ。

それに理想は、仕事以外でも追求できるわけで、この辺が、イマイチ感情移入できないところかなぁ。あと、印鑑の押し方、知りませんでした。勉強になります。

それにしても、就職した後でも、こんな良い親友と可愛い彼女と3人で飲めるなんて羨まし過ぎ。なんて贅沢なマジックアワーなんだ。

「黒島結菜」さんが演じた「彼女」は、想定通りの雰囲気。今までも、いろんなドラマや映画で彼女役を演じてきましたけど、やっぱりハマります。彼女役をやらせたらピカイチですね。濃厚なキスシーンもあって、大人の雰囲気を出しているんですけど、細かい仕草などは可愛い「芳山未羽」のままなのでギャップがありました。まあ、そこが彼女らしさであり、大学院生で人妻という設定にも合っていたように思います。あとは、どんな格好をしても似合いますね。可愛い。最近は、モデルさんみたいな仕事も多いようですけど分かります。パンフレット買えば良かった。

主演は、あくまでも北村君なので、別れた後の残り30分は全然出てきません。最後くらいは出るのかと期待してましたけど、ダメでした。スピンオフ映画(Amazonプライム)では、そんな彼女のことを描いているようです。それと合わせて1本の作品にしてくれると嬉しかったのですが、恐らく、映画で釣って、Amazonに加入させようという戦略なんでしょう。(引っ掛かりそう)


「彼女」は、一言で云うと悪い女ですけど、そこに嫌悪感を抱かせないのが、黒島さんの魅力・・・っていうか、そんな綱渡りみたいな役柄ばかりオファーされているような気がします。でも、「八郎沼」の時みたいに、北村君のファンから叩かれることは無いかと思いますよ。今回は、彼も同罪ですから。
あと、別れるときの台詞「ごめんね。ちゃんと、すごく好きだったよ。」が良かったです。・・・言われた匠海君は、やるせないだろうけど。


僕は、見る前にオチを知ってしまいましたが、観る側に知らせずに、終盤で種明かしをするという演出は面白いと思いました。「僕」が何であんなに遠慮がちだったのかが、ここで納得できましたしね。

不倫はイケないことですけど、それを承知でしてしまうのは、本当に好きだからってことなのかなぁ。誘ったのは「彼女」の方だけど、隠してたわけじゃありませんし、(騙されてたのは観客だけ)全て承知の上での事だから、「僕」に同情の余地はないし、純粋なラブストーリーだと思って見ていた人だったら、裏切った二人に嫌悪感を抱くかもしれませんけど、映画の世界ですからね。

でも、この映画、オチを知っていたとしても、別な視点で面白く見れると思いますよ。結局は、禁断の恋の沼でもがく男女っていう話だと思うんですけど、人気の「北村匠海」と、次期朝ドラ女優の「黒島結菜」を使っているんですから、もっとストレートに描いても良かったんじゃないかなぁ。160kmのフォーシームを投げられるピッチャーが、チェンジアップで勝負してきたって感じ、意表を突いてるんだけど、それじゃない感があるんですよね。

そんなモヤモヤなストーリーを救ってくれたのが、二人を見守り、「僕」の心も救ってくれた「親友」の存在でした。「これを機会に良い男になろうぜ。」って泣ける台詞。おかげで、「僕」も最後の最後で、仕事にも前向きになれたみたいだし、いろいろあったけど、これもハッピーエンドなのかなぁ。

「明け方の若者たち」は、恋愛に感動する物語でも、挫折に悲しむ物語でもありませんでした。「良い友は一生の宝物」・・・ありきたりな言葉だけど、これが、映画を観た僕の感想です。

くじら公園のベンチに、ハイボールの空き缶並べてる奴、絶対いると思う。


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