映画「明け方の若者たち」のスピンオフ映画「ある夜、彼女は明け方を想う」が、Amazonプライムにて配信されており、視聴させてただきました。映画やドラマのスピンオフを配信サイトで公開するというのは、最近よく行われている商法ですね。レビューの評価は星三つですけど、5と1ばかりで中を取っての3。これだけ評価の分かれる作品も珍しいかと思います。
結論から云うと、どうなのかなぁってところでしょうか。カツセマサヒコ氏も、いろいろな意見があることは嬉しいと仰ってましたので、遠慮無く書かせて頂きました。作品を愛するが故と捉えて下さると嬉しいです。
作品紹介は次の通りです。
「黒島結菜」演じる<彼女>の知られざる“秘密”を描いた、映画「明け方の若者たち」のアナザーストーリー。本編では描かれなかった<彼女>の物語について、原作者カツセマサヒコが原作発売時から書きためていた幻の作品を映像化。
あらすじです。
留学先のニューヨークで、出張に来ていた現在の夫(若葉竜也)と出会い、恋に落ちた<彼女>(黒島結菜)。3年間の交際を経て大学院在学中にプロポーズされ、幸せに溢れた結婚生活を送っていた。しかし、夫の海外転勤と<彼女>に届いた内定通知をきっかけに卒業後の生き方についてすれ違い、2人の人生の歯車は、ずれはじめる。そんな中、行けなくなった飲み会に代わりに参加してもらえないかと、友人(小野花梨)から頼まれる。仕方なく行ったその退屈な飲み会で、<彼女>は<僕>に出会ってしまう。
ここから先は、本編映画の通りであります。
本編では、<彼女>が<僕>に出会ったときは、既に結婚していましたが、この作品の前半部分では、結婚に至るまでの過程と、夫がニューヨークに単身赴任するまでが描かれています。
先日の舞台挨拶で、原作者のカツセマサヒコ氏は、作品は本編だけでも完結しているみたいなことを話してました。(是非見て欲しいとは云わなかった)確かに、スピンオフは、見ればなるほどと思いますけど、見なくても全然困りません。本編の<彼女>は、どことなくミステリアスな部分を持っていましたが、説明してしまうと理解が進む反面、つまらなくもなりますから難しいところであります。それから、<彼女>が浮気をしたことを同情的に描こうとすると、夫を悪者にしなくてはなりません。でも、やり過ぎると、だったら離婚すれば良いだろうってなりますからね。ここもサジ加減が難しいなぁと思いました。
さて、(若林竜也)さん演じる<夫>は、想像していたよりも年上の、大人の男性でした。で、コイツが兎に角、いけ好かない奴であります。(若林さんではありません。役のことです。)こういうタイプの男は、僕らヲタクからすると天敵であります。
まず。煙草を吸っている。大人を演出しているんでしょうけど、黒島さんに受動喫煙させるなんて許せません。結婚を機に禁煙すべきでしょう。
それから、まあ、これが最大の嫌悪感を抱くところなんですけど、コイツはDV男であります。ニューヨークに付いて行くと云っていた<彼女>が、内定をもらったとたんに行かないと言い出したんですから、怒りたくなる気持ちは分かります。でも、彼女の就職先をボロクソに貶すわ、暴力を使って威嚇するわは無いでしょう。これじゃあ、拘束癖モラハラDV夫であります。暴力に怯える<彼女>を演じる黒島さんのお芝居が、この作品最大の見所かと思いますけど、後味悪すぎです。
この場面以外では、ずっと優しい夫なんですけどね。でもDVをする奴ってのは、自分の思い通りになっているときは、凄く優しいものです。これダメでしょう。だったら、<彼女>を悪女にしたほうがずっとマシです。僕的には<夫>が空港で指輪を外すシーンだけで、十分に思いました。
で、この指輪のシーン。その直前に、セキュリティー・チェックの話をしているんですよね。そのために外したともいえるような描き方・・・<彼女>の一方的勘違いってこと?
そんな<彼女>が、夫が帰国したとたんに、<僕>との関係を捨ててしまうんですよね。ずっと指輪をしていたのは、<夫>への思いが変わらなかったことを表しているらしい。結局<彼女>とって<僕>ってのは、その程度の存在だったのかなぁ。北村君が「全部好き」って云ったところで、<夫>には全然敵わなかったってことでしょうか。本編で<親友>が云った「これを機会に良い男になろうぜ。」という台詞が心に響きます。
後半部分は、<僕>と別れた<彼女>のその後が描かれていました。どうやら不倫してたことを旦那に話したみたいですね。黒島さんのベッドシーンの表情のことで、ネットニュースが、あーだこーだと書いてましたけど、これって、泣きながら謝っていただけじゃないですか。まあ、旦那もニューヨークでは、結婚指輪外してヨロシクやっていたでしょうから、お互い様ってところでしょう。
で、この夫婦、幸せになる予感が全然しないのは、僕だけ?
ラストで、大学院時代の友人と明大前で飲んだ後、くじら公園を訪れる<彼女>。ベンチの上に置いてあるハイボールの空き缶を見て、マジックアワーを思い出す場面が、クライマックス。本編でも、<僕>が同じ事をしていましたよね。本編でも、両方のシーンを合わせたら面白かったように思います。明大前で別々に飲んでいた二人が、それぞれ、くじら公園を訪ねるようなエンディングがあると、黒島さんのファンとしても嬉しかったかな。
この作品が蛇足なのは確かです。駄作か名作かは、人それぞれでしょうけど、僕的には観て良かったという感覚にはなれませんでした。彼女のミステリアスな部分を残しつつ、本編でも旦那とのシーンを軽く流すくらいが良かったかなあ。ドンデン返しは、物語の前半でやってしまって、あとは沼に落ちていく二人を描いてくれれば、思いっきり感情移入できたかも。
とはいっても、女優「黒島結菜」の存在感を世に示すことができたのは、嬉しい限り。過去作品と比べても、取り上げられ方が違いますからね。朝ドラに向けての良い助走になったと思います。北村匠海君に感謝、映画の関係者さんたちにも感謝です。
チェンジアップのキレ具合は分かりましたから、次は、ど真ん中の速球で勝負して欲しいなぁ。
#明け方の若者たち #黒島結菜 #北村匠海 #ある夜、彼女は明け方を想う
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