NHK紅白歌合戦を(半分居眠りしながら)今年も見た。出演者とかノーチェックだったし、特別にお目当ての歌手がいるわけでは無いんだけど、YOASOBIが出てきた時は、おやっと思った。ラジオとかで歌は聴いたことがあったけど、歌っている姿を見るのは初めてだったからだ。そしたら、紅白がテレビ初出演だったらしい。一昨年の「米津玄師」さんもそうだったし、何だかんだ云ってもNHK紅白って凄いんだなって思う。
この曲、聴いた瞬間に「ボカロじゃん」って思った。で、調べてみたら楽曲制作(コンポーザーって云うらしい)を担当している「Ayase」君は、ボカロPでもあることが分かった。ピアノの腕前も凄いらしい。ボカロPっていうと、歌えない、演奏できない、容姿に自信が無い、だからコンピュータに頼るみたいなイメージがあったのだが、それは違っていたようだ。今ではボーカロイドは特別なものでは無く、数ある音楽ツールの1つで、そこにあるから使っているってことなんだろう。
ボカロPと云えば「米津玄師」さんもそうだ(そうだった)。彼はボカロP「ハチ」と、本名の「米津玄師」の時とでは、楽曲のイメージに違いを持たせている。だけど、「Ayase」君は、そのまんまって感じだ。
ボーカルの「幾田りら(ikura)」さんは、現役の大学生シンガーとのことだ。音楽一家に育って、子どもの頃から歌手になるための活動をしていたらしい。驚いたのは、彼女が「音楽チャンプ」に出演していたってこと。 2018年2月放送の第4回大会とあるから、丸山純奈さん(すーちゃん)が準レギュラーみたいに出ていた頃で、「琴音」さんがチャンピオンになった回である。「東京の24時間音楽漬け女子高生」というキャッチフレーズで挑戦したが、カラオケ92.219点+審査員72点で一回戦敗退とあった・・・覚えてない(見てないかも)。けど、その時の子が、3年後に紅白歌合戦に出演するなんて、誰が予想しただろう。
NHK紅白のハイライト動画である。
リンク。
中継地は「角川武蔵野ミュージアム」って場所らしい。米津氏が中継に使った「大塚国際美術館」ほどのインパクトは無いが、ここも聖地となって、たくさんの来館者が訪れるようになるのだろう。
YOASOBI「夜に駆ける」の Official Music Videoである。1億3千万回以上も再生されているんだけど、ボカロの歌ってみた動画とどこが違うのか、おじさんには全く分からない。聴けば聴くほどボカロである。3,4年前だったら、MMD艦これ動画とかが盛んに投稿されていたと思う。
「夜に駆ける」は、YouTubeで公開されて、TikTokによって拡散したらしい。その過程で、歌ってみた動画や、踊ってみた動画、演奏してみた動画が盛んに投稿されて・・・ってことなんだけど、これって、ボカロの世界では、十数年前からやってきたことじゃないか。違いがあるとすれば、ニコニコ動画がTikTokに変わったってことか。
ボカロがオワコン化(時代遅れのコンテンツって意味らしい)してしまった理由については、多くのネット民が分析している。それによるとニコニコ動画でわいわいコメント付けて盛り上がっていた同人的活動から、クオリティーの高いMVをYouTubeで視聴者として見るようになったのが、最大の要因とされている。だんだんと商業化、プロ化していくにつれて、作り手と聴き手が完全に分離してしまったことが原因らしい。
TikTokの活動の中心は中高生らしい。おじさんからすると「あれの何処が面白いんだ」ってところなんだが、誰でも遠慮無く、気軽に悪ふざけ・・・投稿できるってのが人気の秘密のようだ。見るよりも投稿するモノ。ニコ動が失ってしまった熱気と寛容さが、TikTokにはある。
「夜に駆ける」が何故ヒットしたのかという分析も、ネットに溢れている。TikTokでバズった(注目されて盛り上がっていると云う意味らしい)のがきっかけだったようだが、面白かったのは、人工知能によってパーソナライズされたコンテンツフィードの表示が、要因の1つにあげられていたことだ。(こんな動画を喜んで見ている君にお似合いのコンテンツはこれかなって表示されるあれ)AIがお勧め動画を選ぶなんて大きなお世話だが、お勧めがお勧めを呼ぶかたちになって、再生数がドーピングされていったらしい。
YouTubeには、プロ・アマの歌ってみた動画が氾濫してる。どれも、さすがな歌唱ばかりだ。で、聴いているうちに、何だか自分でも歌いたくなってきた。これが、この曲の最大の魅力なんだろう。楽曲のレベルが、歌うのも、踊るのも、演奏するのも、簡単ではないけど、凄く頑張ればできそうって感じ、ピアノの心得があればあったで、弾いてみたくなるんだろう。
で、そんなタイミングで投稿されたのが、この一発録りの生歌動画だ。幾田りらさんが、可愛くって素敵なお嬢さんだったのでびっくりした。ここでは曲のテンポがゆっくりになっていて、ボカロ曲っぽさが薄められている。多分、このテンポが彼女の歌いたい速さなんだろう。
YouTubeには「幾田りら」さんが歌っている動画がたくさんある。彼女の歌唱の特徴は、声質に100%依存したストレートな歌声。抜群に凄い歌唱力ってわけではないけれど、シンガーソングライター「幾田りら」の方が、聴き手に寄り添う彼女の良さが、より出ていると思った。
「夜に駆ける」の歌ってみた動画の中では、本家の彼女の歌唱が一番素直で普通っぽく聞こえる。「夜に駆ける」のデモ音源は初音ミクで作られていたそうだ。YOASOBIでの歌唱はボーカロイドに寄せているって云うか、透けて見える感じがした。MVがボカロの歌ってみた動画っぽく思えたのは、歌い手の感情を聴き手に押しつけない、つまり透明な歌唱によるものだったのか。
そういう意味では、丸山純奈さん(すーちゃん)との共通点も感じる。すーちゃんの方が、もう少し質感があるんだけど、演歌っぽくなる発声なんかも似ているし、何だか3つ年上のお姉さんみたいに思えてきた。
楽曲に自分のカラーを塗りたくらない。こういう歌い方をする子って、絶対、素直で優しい性格だと思う。シンガーソングライター「幾田りら」さんの活躍が楽しみだ。もちろん、ボカロの歌い手さんとしても・・・違うか。
では、お終いにボーカロイドカバーを。初音ミクがikuraさんよりも上手く歌えるわけは無いが、僕的には、こっちが本家に思えたりして・・・w
2 件のコメント:
幾田りらさんの歌は
ボカロに寄せた歌い方にはなっているのでしょうが
少なくとも、私には、ボカロを連想することはありませんでした。
YOASOBIを聴く前にヨルシカをいくらか聴き込んでいたせいで
最近はこういう歌い方がトレンドなのだというくらいの感じでしょうか。
彼女の所属している「ぷらそにか」の人たちは
おおむね、こういう透明感の声質が多いですね。
ソニーは何をたくらんでいるのか(笑)
コメントありがとうございます。
この記事にコメントが付くとは思いもしなかったものですから、戸惑っておりますw
「夜に駆ける」については、ボカロソングをそのまま歌っているだけという印象でしょうか。
でも、大ヒットして話題になりましたから、(本職の?)シンガーソングライター「幾田りら」としての活動も順調にいけば良いなと思っております。(可愛いし、性格良さそうですし。)
あと「ぷらそにか」ですか・・・。
最近はこういう歌い方が、トレンドなんですね。
無理に個性的である必要はないと思いますけど、
皆がみんな透明感な歌声になってしまうと、
区別がつかなくなりそうで困ります。
まあ、そこから抜け出た子がチャンスを掴んでいくんでしょね。
しかし、昭和世代で「ヨルシカ」とか「ぷらそにか」とか話題にできるのも凄いことかと・・・・勉強になります。
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