2020年10月17日土曜日

黒島結菜「時をかける少女2016」 その4 ~最終話は黒島結菜10代の集大成だった~

ついに「時をかける少女2016」最終話のTVer無料配信が終わる。

「時をかける少女2016」は、10代の黒島結菜の集大成だった。代表作「アシガール」の彼女は、その延長線上にある。もし2つのドラマに評価の違いがあるとしたら、それは共演者によるものだろう。

まずは「恋を知らない君へ」。このドラマのエンディング・テーマだ。どや顔で歌う「手越」が癪に障るが、上手いのは認めざるを得ない。

最終話は、たくさんの別れを詰め込んでいたので、慌ただく感じた。せめて、放送枠があと10分あればと思った。もしかしたら、拡大版で放送する予定で作っていたけど、(視聴率が悪くって)通常枠になったのかもしれない。(完全な妄想だけど)


全5話の中で良かったのは、エピソード編の第2話。通常の連ドラみたいに8話とか、10話の構成だったら、このような一話完結のエピソードをいろいろとやったんだろうなって思う。


一番面白かったのは第3話だ。これぞ黒島結菜って感じだった。視聴率が大爆死した第3話が一番面白いってのも皮肉な話だが、調べてみたらこの回だけ演出が違ってたから、僕と演出との相性の問題なのかもしれない。

最終話は、感動の場面での台詞が多すぎたように思う。説明しなくても視聴者はちゃんと分かって感動しているのだから、もっと、視聴者を信じて欲しかった。

「大切な人のために、初恋なんて喜んで捨ててやろう」の前後の台詞は不要だし、「ずっと一緒に居たいに決まってんじゃん、そんなの」の後は、視聴者と一緒に泣いているだけで十分だ。ラストシーンも、せっかく良い顔で終わってるんだから、最後の3人の変顔ショットは邪魔でしかない。

深町と母親との別れのシーンは良かったけど、肝心な芳山とのシーンの演技は・・・と思った。まあ、これは、菊池風磨君がどうと云うよりも、場面の相方を務めている、女優「高畑淳子」と「黒島結菜」の格の違いによるものだろう。

それから、初恋という言葉にこだわり過ぎていたように思う。旧作の芳山の設定は高校1年生で、主演の原田知世さんの実年齢は15才だったから、少女の淡く儚い恋のイメージに合っていたけど、2016の芳山は受験生の高校3年生である。第1話での吾朗の告白だって、プロポーズに近いものだった。もう、笑い飛ばせるような、たわいない恋ではなかったはずだ。大人の恋の始まりという設定でも十分だったように思う。

ただ、これらは番組を愛するが故の批判であって、逆に云えば、これ以外は良くできていたと思うし、さすがに僕は号泣しなかったけど、楽しく視聴することができた。

旧作の芳山は、記憶を消されてしまうという立場だった。深町が未来に帰った後も、心の底でずっと失恋を引きずっている切ない終わり方だったのに対して、2016の芳山は、自らの意思で深町を未来に帰し、前向きな気持ちで夏をやり直そうとしていた。ハッピーエンドでは無いにしても、深町と出会ったことを幸せと思える終わり方になっている。旧作の落ち着いた尾道の町並と、2016の開放的な伊豆の夏の景色が、二つの作品をさらに対照的なものに演出していたように思う。

「時かけ」は、若い3人の俳優で話を回していく物語だ。ベテラン俳優に頼ることができないから、若き主演女優「黒島結菜」のプレッシャーは、かなりのものだったはずだ。そんな中で、ストライクゾーンにキレの良いストレートをがんがん投げ込んでくるような、彼女の魅力は十分に引き出されていたと思う。

原作が同じで「時かけ」を名乗るからには、2つの作品の優劣が語られることは致し方ないけど、黒島が脆くて壊れそうな少女の恋心を表現できないように、知世ちゃんだって溌剌とした天真爛漫さは演じられなかっただろう。両方を好きだと云える自分は幸せな奴だと思うし、僕の住んでいるところが、あの有名な尾道と同じくらい素敵な街なんだって再発見できたことも嬉しかった。

最終話で、一番良かったのは、ラストで芳山と吾朗が進路について話しているシーンだ。二人とも本当に良い顔をしていた。結局、この二人ってどうなるのだろう。兎に角、吾朗が良い奴過ぎて、何のフォローも無しに終わるのは残念すぎる。説明過多な最終話に於いて、最後の最後に視聴者を突き放したような終わり方にモヤモヤしてしまった。吾朗のためにも、いつか、竹内涼真と黒島結菜で、最後はちゃんと結ばれる、本気の大人の恋の物語を作ってやって欲しい。

お終いは、やはりこれ。この手の動画では異例の再生数2,114,914 回、高評価23,953、低評価237、イイね率99%。「時をかける少女 2016」とアニメ版主題歌「変わらないもの」のコラボ動画だ。良くできていると思う。

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