ここでの四大陸というのは、ヨーロッパを除いた残り全部という意味です。アメリカは南北2つだろうとか、南極はどうしたとか、そもそもユーラシア大陸なんだから、アジアとヨーロッパは1つだ、と云う意見もありましょうが、大航海時代のヨーロッパの世界観に基づいているのでしかたありません。フィギュア界を二つに分けた場合、「ヨーロッパ選手権」と「その他の国々選手権」となるのは、フィギュアスケートはヨーロッパが本場なのだという、彼らのプライドが感じられる編成であります。
冬季オリンピックを除くと、選手にとって最も大切な大会は、3月に開催される世界選手権で、ここで優勝した選手が、そのシーズンの世界チャンピオンとして認識されます。ヨーロッパ選手権や四大陸は、その1ランク下の前哨戦という扱いですから、ベテランになると世界選手権に集中するために出場しないという選手も多いですし、オリンピック・イヤーだと補欠組の大会みたいになってしまいます。でも、ちゃんとした国際大会であることには違いありません。
紀平選手は今シーズンがシニア参戦1年目ですので、この大会は初出場ということになります。実は、ジュニア時代の彼女は、高いポテンシャルを持ちながら、肝心なところでコケてましたから、此手の世界大会のタイトルって一度も取ったことがなかったんですよね。
1月のコロラド合宿では、フリーの振り付けを手直しするなど、充実した練習ができていたと伝えられていました。新調した靴が、わずか一ヶ月で痛んでしまったそうですから、スゴイ練習量だったのだと思います。
ところが、火曜日、練習中に左手の薬指を負傷(亜脱臼)したとのニュースが飛び込んできてきました。7時のNHKニュースでもやってました。これは、昨年のジュニア選手権の前と同じパターンです。(あの時は指の骨折で、結果8位と惨敗)手の指ならばスケートとは関係ないだろうなんて思ってはいけません。梨花ちゃんは繊細で、アクシデントには弱いんです。
心配されたショートプログラムでは、冒頭の3アクセルの回転が抜けてしまって、1アクセルとなりました。SPの規定では、2アクセルか3アクセルを跳ぶことに決まってますから、規定違反で0点となります。フリーだと1アクセルの基礎点として、1点チョットもらえるんですけどね。
でも、今回は、この後で崩れなかったんですよね。3本のジャンプのうち1本が0点になったのにも関わらず、首位と5点差に留まったのが、彼女の成長と言えます。
それにしても、絶好調でありながら、試合直前に怪我をして一転大ピンチ。SPでは、5位となってしまったものの、フリーでは、圧巻の演技で逆転優勝。って完全にスポーツ漫画の世界ですね。
今回も「歩くだけで(指が)痛い」とか云って周囲を心配させてましたし、他にも、靴紐が思うように結べないとか、リンクの形状がどうとか、氷の質がどうとか、試合時間がどうとか、指が曲げられないから空気抵抗が大きくなるとか、あーだ、こーだと「梨花ちゃん節」全開だったようです。
それでいて、試合後のインタビューでは、「演技に集中できました」って云うんですから、不思議な子です。
人間ってのは、処理できないくらいの不安要素を抱えこんでしまうと自己崩壊してしまうので、一般的には「大丈夫だ。きっとできる。」みたいな成功体験をイメージさせて、メンタル面をケアすることが重要だとされています。(大坂なおみ選手の例が有名ですね)
ところが彼女の場合は、不安要素に対する解決策を(自らが)追求することによって、精神面の安定を図っているように思います。ですから、解決策が必ずしも当を得ている必要は無くって、本人が納得できれば、それでOKなわけです。インタビュー記事などを読んでいると、あーだ、こーだ言い訳ばかりしてないで練習しろっ、って感じになるんですけど、どうやら、これが彼女のやり方のようです。
今回の会場は、アメリカ・アナハイムのアイスホッケー場だそうです。天井からつるされている電光掲示板がいかにもNHLですね。試合は、現地時間の夜10時に行われていたんですけど、日本時間では、午後3時。で、テレビ放送は午後7時です。テレビ放送前にネタバレにならないように、7時まで一切の情報を遮断していました。午後5時のニュースで、フィギュアスケート取り上げた時には、慌ててテレビを消しました。ところが、6時頃になって、うかつにも、パソコンでYahooニュースを開いちゃったんです。(悲)
休日なんですから、フジテレビさんも午後3時から生放送してくれれば良かったのにって思います。
でも、フジテレビさん。今回は、ちゃんと公式動画を配信してくれてます。フジテレビというとYouTubeを敵視していた感がありましたけど、時代は変ったんですね。1日で視聴回数20万を越えてしまいましたよ。
ジャンプの構成です。
①3A ②2A+3T ③3Lo ④3Lz+3T ⑤3F ⑥3Lz+2T+2Lo ⑦3S冒頭の3アクセルで、SPのビハインドを埋めてしまえば、後は普通にやるだけで勝てるだろう、という構成ですね。
実は、アクセルジャンプの練習のし過ぎで、左足の靴が壊れてしまって、サブシューズを履いているんだそうです。ですから、よーく見ると左右のブレードの色が、金と銀で違ってるんですよね。でも、これはこれで格好良いかもです。
あと、熊の縫いぐるみ、デカ過ぎです。投げ込んだ人の腕力も凄いけど、どうやって会場まで持ってきたんでしょうか、って云うか、よくセキュリティチェックに引っかからなかったものです。男子の田中刑事君にも色違いの熊が投げ込まれたそうで、ファンの意図が分かりません。
結果だけを見れば、この大会でライバルと言えたのは、坂本花織選手くらいなもの。普通にやれば圧勝のパターンだったわけです。梨花ちゃんの後に演技した上位陣が総崩れになってしまう、という気の毒な事態が起きたのも、残りの3人は、シーズンベストを大きく越えなければ優勝できなかったわけで、気にするなと云う方が無理な話です。
今回は、トリプル・アクセルを1回しか跳べなかったのにも関わらず、この得点ですからね。SPなんて、最初っから2アクセルにすれば良いわけだし、勝つことだけを考えれば、フリーでも封印した方が良いくらいです。でも、そういうことには、ならないんでしょう。
次は、今月末にオランダで開かれるチャレンジ・カップですけど、世界選手権を控えていますから、怪我の状況によっては、不参加になる可能性もあります。
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