静岡県を代表するB級グルメと云えば「富士宮やきそば」だろう。この富士宮市周辺で食されてきた焼きそばは、輪ゴムのように弾力性の強い細麺に、背脂を搾り取った後の「肉かす」やキャベツを具材とし、仕上げに「だし粉(サバやイワシの削り粉)」をかけて食べるという、高級食材不使用なB級グルメの王道である。
静岡県には、他にもいくつかのB級グルメが知られているが、その中の1つに、日曜劇場「ごめんね青春!」で登場した「みしまコロッケ」がある。みしまコロッケの最大の特徴は、ポッと出てきた企画物と云うところである。みしまコロッケが誕生したのは2008年で、昔から食べられてきたわけでも、三島市民のコロッケ消費量が特別多かったわけでもない。
三島市の東部、箱根山へと続く南斜面では、昔から野菜の栽培が盛んだった。中でも有名だったのは大根で、富士山をバックに収穫した大根を干す風景は、コンクール写真の定番だ。
ジャガイモも「三島馬鈴薯」の名前で作られてきた。品種はメークイン。みしまコロッケは、その三島馬鈴薯を使うことが絶対条件のB級グルメである。もし貴方が、みしまコロッケを食べて「何これ、普通のコロッケじゃん」という感想を持ったら、それは正しい。みしまコロッケは、三島馬鈴薯を使っていれば他は自由という、レシピ指定ではなく、産地指定のグルメだからだ。
近所のスーパーでも売っているが、値段は若干お高め。北海道男爵コロッケが100円だとすると、みしまコロッケは、ちょっと小さめで120円くらいする。と云うのも、三島馬鈴薯は「手掘り」「天日干し」「風乾」という高級品で、市場価格は日本一。贈答にも使われるブランド品だからだ。で、その規格外になったやつをコロッケに使おうってわけだが、それでも安い品では無い。
箱根西麓三島野菜は、露地栽培なので出荷時期が決まっている。収穫を終えた三島馬鈴薯の出荷が始まるのは、6月下旬。正にこれからが旬だ。地元のコンビニでは、期間限定「みしまコロッケパン」が今年も販売されるであろう。みしまコロッケパンは、もっちりしていて美味しい。このパン、普通のコロッケサンドと差別化するために、米粉入りのパンに挟んだりしている。でも、もっちり感は、あくまでも三島メークインによるもの、と信じて食べることを推奨したい。
みしまコロッケは美味しい。それは確かだ。でも、それは、コロッケという食べ物が美味しいからに他ならない。そして、僕が20円高いみしまコロッケを買うときは、自分へのご褒美としてなのだ。
「コロッケ賛歌」をはりつけさせていただいて、お終いにしようと思う。
おかずに悩んだときは、コロッケを買う。
お金に困ったときも、コロッケを買う。コロッケは、安い。
コロッケは、ご飯に乗せても、パンに挟んでもいい。
コロッケは、食べ歩きもできる。
コロッケは、揚げたてはもちろんだが、冷めても美味しい。
コロッケは、気合いを込めなくても食べられる。
コロッケには、ソース派と醤油派がいるが、何もなくても美味しい。
コロッケは、差し入れに最適である。
気取らず、大人数にも対応できるし、
「近所でも評判なんです。」とか云っておけば、体裁も保てる。
コロッケには、無限のバリエーションがある。
コロッケは、ナイフとフォークで洋食っぽく食べてもいい。
でも、一番幸せなのは、手で摘まんで食べるときである。学生の頃、コロッケ弁当ばかり食べていた。
ちょっと贅沢したいときは、唐揚げ弁当だが、
基本は、コロッケ弁当だった。
奮発して、とんかつ弁当にしたときは、後悔した。
安いとんかつは、不味い。でも、コロッケは、当たり外れが無い。
資生堂パーラーの3,000円の「クラブクロケット」も
イオン火曜特売の50円コロッケも。
工場で大量生産される冷凍食品のコロッケも、
駅前商店街の肉屋のこだわりコロッケも、
コロッケは、基本、全部美味しい。
(資生堂パーラーは食べたこと無いので、あくまでも予想)コロッケ・ランキングは意味が無い。
何故ならば、コロッケは、全てが等しく美味しいからだ。
先日、三嶋大社の夏祭りが、コロナ禍により2年連続で中止とすることが発表された。三島の大祭りは、ドラマの第3話にもちょっとだけ出てきた静岡県東部最大のイベントである。
#ごめんね青春 #みしまコロッケ #黒島結菜
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