2019年9月21日土曜日

「紀平梨花」2019オータムクラシック ~初戦での快勝を何故か素直に喜べない話~

ISUチャレンジャーシリーズ第1戦「オータムクラシック」がカナダ・オークビルで開催され、SPとフリーの演技が、YouTubeにアップされてきました。

まずは、ショート・プログラム。得点は80点台には乗りませんでしたけど、昨シーズンの課題であったSPでの3アクセルで無事降りられて、ほっと一安心です。


今回のジャンプ構成は、次の通りでした。

①3A ②3F+3T ③3Lo(タノ)

昨シーズン、あんなに苦労していたショートプログラムでの3アクセルを、いとも簡単に決めてしまったのには驚きました。GOEも+3.0ですから、会心のジャンプですね。やはり、曲調を変えたことが良かったのでしょうか。

「バグダッドの朝飯」って曲なんだそうですが、リズムの取り方とか難しそうな、チャレンジングな楽曲です。でも、このプログラム、やっぱり馴染めそうにもありません。
青い衣装は、風の谷のナウシカみたい、と評判はまずまずのようですけど、だったら楽曲もナウシカでお願いしたいところです。

今回は、左足首に不安を抱えての演技だったそうで、3番目のジャンプを、いつものルッツから右足踏み切りのループに変えたのも、そのためだったようです。
そのループは、今までは何となく苦手そうなイメージでしたけど、両手を上げてタノにしたら、逆に安定感が出てきたように思いました。

まだ始まったばかりですから、これから流れを良くしていけば、演技構成点も伸びていって、コンスタントに80点台を出すことができそうです。


さて、フリーでは、痛めている左足で踏み切りする「4サルコウ」は封印したようです。


フリーのジャンプ構成は、次の通りです。

①3A+2T ②3A ③3F ④3S ⑤3F+3T ⑥3Lz+2T+2Lo ⑦3Lo

今までの構成と比べると、ルッツを1つ減らして、フリップに変えてます。ショートプログラムでもルッツを回避しましたし、このフリーで1回だけ跳んだルッツも回転不足をとられました。今回の左足の故障は、ルッツ・ジャンプの練習中におきたということですから、影響が出ているようです。

あとは、予定されていた「3F+1Eu+3S」の3連続ジャンプを昨シーズンまでの「3Lz+2T+2Lo」に戻したことでしょうか。

結局、この構成は、昨シーズンのとほぼ同じです。4サルコウを封印した場合は、ジャンプ構成が昨シーズンのものに戻ってしまう、ということのようです。


SPとフリーの両方とも大きなミスがありませんでしたし、優勝もしましたから良かったと思います。でも、構成的には、昨シーズンから何も進化していないわけですから、僕的には、不安と不満は有りまくりで、マスコミが報道しているような圧勝とか、完全優勝と云う気分には全然なれませんでした。

それから、2位になった「メドベージェワ」選手の演技構成点が高すぎるのでは、とネットで話題になっていました。確かに、ザギトワ選手とか、メドベージェフ選手とかロシア勢の演技に対して、ジャッジが演技構成点を盛ってくる印象はあります。けど、僕は、梨花ちゃんの演技構成点が、思いの外、低かったのが気になりました。そのため、さほどデキが良かったとは思えないメドベージェフ選手と、総合得点で7点しか差がつかなかったんですよね。

今のジャッジの傾向だと、難しいリズムの曲で滑ったからと云って、演技構成点が高くなるようには思えないんです。技術面では、チャレンジングな姿勢は評価されますけど、芸術面では、そうなっていない。難しい曲に挑戦して頑張った、って絶賛しているのはファンだけじゃないかと。
だとすれば、わざわざ滑りにくい楽曲を使う意味って何だろうって思ってしまいました。王道でシンプルで滑り易い楽曲で、優美なスピンやキレの或るステップ、正確なジャンプを披露した方が、結果として演技構成点も盛られてくるように思います。

とは、云っても、初戦で総合得点224.16は、なかなかのものですし、何よりも御本人が納得の演技だったようですから、問題なしですかね。
スポーツ紙で使ってもらうことを意識したサービスショット。この屈託の無い明るさが、梨花ちゃんの最大の武器であります。


次戦は、ジャパン・オープンです。テレビ中継もあるみたいだし、4回転サルコウを投入する可能性が高いと云われていますので、楽しみです。あと、3F+1Eu+3Sの3連続ジャンプを是非とも。

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