で、先日、初音ミクの最新ヴァージョンによる「天使の絵の具」のカバー作品を見つけて再びハマってしまいました。ということで、再脱線を承知で投稿させていただきます。
飯島真理さんの「天使の絵の具」は、伝説のロボットアニメ「超時空要塞マクロス」の劇場版においてエンディングテーマに使われた曲です。1984年リリースですから、32年前のことになります。
アニメに登場するアイドル「リン・ミンメイ」役の声優として起用された「飯島真理」さんは、当時、国立音楽大学音楽学部ピアノ科に在学中の本物のシンガーソングライターで、「天使の絵の具」は、自身の作詞・作曲になるものです。
その後、飯島さんが、いつまでも自分につきまとう「リン・ミンメイ」のイメージやアイドル歌手、声優歌手としてしか扱ってもらえないことに苦しみ、逃げるようにアメリカへ移住してしまったのは有名な話で、そのあたりのことは、以前、ブログの記事として書かせていただきました。それから、22年の時を経て、飯島さんは再びマクロス関連のオファーを受けるようになるのですが、ブログ最後の「飯島真理は、リン・ミンメイではありませんが、リン・ミンメイは、飯島真理だったんです。」って上手いこと書いたなって自分でも気に入ってるんですよw
マクロスにおいて飯島真理さんの貢献度は、計り知れないものがあります。もし、リン・ミンメイの担当が既存の声優さんであったら、ここまでの、社会現象ともいえる事態にはならなかったはずです。楽曲群は、アニソンの革命とも云えるものだったと思いますし、アイドル系シンガーソングライターとしての現実世界での彼女の活躍がなければ、現在の声優ライブなど存在しなかったと思います。
皮肉なものですね。
で、1つめは、飯島真理さんのライブ動画になります。僕は、彼女がテレビの歌番組に出ていたのを見たことはあったのですが、ライブ動画を見たことは無かったので、大変興味深く視聴させていただきました。当時、飯島真理さんは、21才くらいでしょうか。
アイドルが否定されていて、いわゆるアーティストたちがアイドル的な役割を兼ねていた時代です。松浦亜弥さんのライブ動画を見慣れている者からすると、何ともお粗末なところもあるんですが、アイドル系シンガーソングライターの渾身のライブということで評価させていただきます。
紙テープが飛んでくるのが昭和ですよね。怪我をさせないように、テープの芯は抜いておくのがマナーだったんですよ。
2つめは、初音ミクの初期のカバー作品になります。動画の制作者さんと歌の制作者さんは別のようです。MMD動画が妙にぎこちなく見えるのは、恐らくアニメの再現を意識しているからだと思います。当時のアニメにおける歌の振り付けってこの程度のものだったんですね。
飯島真理さんは、ご自身の楽曲がアニソンとして扱われるのは不本意だったと思いますけど、ボーカロイドとこれほど相性が良いことを考えると、「天使の絵の具」は、やっぱりアニソンだったのかなあ、って思ってしまいます。
3つめは、ちょっとお姉さんっぽい歌わせかたの作品です。ボーカロイドカバーは、かくあるべしって感じの作品だと思っているんですよ。
伴奏のアレンジが素晴らしいですね。ギターアレンジが格好良いし、初音ミクのセルフコーラスも可愛いです。基本的なスコアーは、人間用の伴奏の流用だと思いますけど、音の選び方がボーカロイドの特性にバッチリ合っているように思います。
4つめは、初音ミクV4Xによる歌唱です。打ち込み伴奏ですけど、パーカッションは、ボカロPさんが自ら演奏しているとのことです。
初音ミクV4Xには、2つの音声ライブラリーを混合して新しい歌声を作る「クロスシンセシス」という機能があるのですが、この声の場合は、「SOLID」と「DARK」をクロスシンセシスして、落ち着きのある歌声を表現しているようです。
どうですか、少しは、大人っぽくなりましたかね。初音ミクも来年で発売10周年、16才でデビューしていますから、人間だったら現在25才ですからね。いつまでも可愛いだけでは困ります。
ロボットに変形する可変戦闘機「バルキリー」と飛び交う自動追尾型のロケット弾、三角関係においてヒロインが失恋すると云うまさかの結末と云ったところがマクロスの特徴とされていますが、中でも特筆すべきは、劇中で「リン・ミンメイ」が歌う挿入歌のレベルの高さだったと思います。劇中のアイドルライブは、やがて現実のものとなります。アニメという虚構の世界と現実の音楽市場がリンクするという現象は、後のヴァーチャルアイドルの先駆けと云えるものでした。
しかし、その結果、飯島真理さんは、アニメの世界だけで無く、現実世界でも、虚構の姿を演じつづけることを求められました。
お終いは、「セシールの雨傘」。脱マクロスと云えるような作品です。これは、ボーカロイドでは歌えないですね。
マクロスの偉大さは、飯島真理という若きシンガーソングライターの才能をも飲み込んでしまったのでしょうか。
でも、純粋に彼女の歌が好きだってファンは、少なくなかったんですよ。彼女がマクロスを封印しようとしまいと、純粋に彼女を応援していたファンは、少なくなかったはずです。
今も残る数多くのボーカロイドカバーは、マクロスへのリスペクトだけでなく、作曲家飯島真理へのリスペクトの表れでもあるはずなんです。
才能がプライドを生み、そのプライドがファンとの決別を決意させたのならば、これほど寂しいことはありません。飯島真理さんは、リン・ミンメイを「あの人」と表現したといいます。
何だか、どこかの元アイドル歌手さんとカブっているように思えてきました。
ってことは、脱線なんてしてなかったのかも。
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