2018年12月8日土曜日

映画ボヘミアン・ラプソディの「エアー・クイーン」で感動する奴、しない奴

話題の映画「ボヘミアン・ラプソディ」を鑑賞してきました。

一応、「ネタバレ注意」です。まあ、公開から一ヶ月以上たってますし、クイーンが何をして、フレディーが最期どうなったかなんて、歴史上の事実ですから、今更って感じですけどね。
   
鑑賞日は、映画の日の割引デーで、しかも土曜日。座席も9割方埋まっていました。僕が観る映画って、観客5人みたいなのばかりでしたから、こんな賑やかな劇場で観るのは「千と千尋」以来です。
しかも、今日は応援上映とか、期待が膨らみます。

上映前にお姉さんが出てきて注意事項です。一緒に歌う、拍手、声援はOKですけど、立ち上がるのはNGだそうです。

で、映画が始まったのですが・・・至って普通なんですよね。ニュースでは、ペンライトを振って盛り上がる映画館の様子が流されてましたけど、地方の映画館では、そんなことは全然起きていない。
そもそも、映画「ボヘミアン・ラプソディ」は、フレディの伝記映画です。ですから、ライブシーンと云っても、楽曲をフルコーラスで流すことはなくって、どれもさわりだけです。本格的なライブシーンが映されるのは、ラストのライブ・エイドくらい。だから「Radio Ga Ga」で手拍子したり、「We Are the Champions」を一緒に歌う程度で、極めて温和しめな応援上映でしたよ。

その皆さんが最も感動したというライブ・エイドのシーンなんですけど、スタジオに再現したステージでエキストラを使って撮影したものに、CGを合成、それに本物のライブ・エイドの音源を重ねて制作したそうです。ピアノの上のペプシコーラの位置とか、極めて細かいところまで再現しています。

あれっ、本物の音源にモノマネ映像を重ねるって・・・・これって、「はるな愛」による松浦亜弥のモノマネ「エアーあやや」と同じじゃないですか!!!

映画はこんな感じ。トレイラー動画ですね。


先日も、この映画のおかげで、三年前に書いたクイーンのブログ記事にアクセスが来ていると云いましたけど、11月の総アクセス数は通常の2倍以上になってしまいました。Googleで「クイーン ライブエイド」と検索した場合、僕の記事が出てくるのは5,6ページ目くらいなのに、この状況なんですから、クイーン人気恐るべしです。
まあ、せっかく検索していただいても、引っかかるのが僕の記事では申し訳ないなぁと思っていたんですが、映画を観てから、改めて自分の記事を見てみると、イイ感じにまとめてるかも・・・なんて、ちょびっと自賛してしまいました。

僕がクイーンの記事を書いたのは、癌の手術を受けて入院していた時期にあたります。病室でもインターネットがつながると聞いたものですから、パソコンを持ち込んで、クイーンのネタを検索したり、YouTubeでライブ動画を漁ったりしてました。
クイーンの楽曲が癌で闘病している僕を励ましてくれたんです、って云えたら格好良いんですけどね。

ライブエイドの映像も何度も見ました。だから、セットリストとか、どこで何をしたのかとか全部知ってました。
クイーンの絶頂期は、1975年から1980年あたりかと思います。その頃にクイーンにハマっていた世代を「リアルタイム爺さん」と云うそうで、此処が違う、彼処が変だと、映画にケチをつけるそうですけど、僕もリアルタイム爺さん程では無いにしても、ある程度の予備知識を持って、映画を観ちゃったわけです。

だから、どうしても本物と比べてしまう。「エアークイーン」が本物の「クイーン」に敵うわけがない。だから、リアルタイム爺さんの「ラストシーンは、本物のライブ・エイドの映像をそのまま流した方が良かったんじゃねぇ」ってコメントに頷いてしまうんです。もちろん、映画としては、それをやっちゃぁオシマイですけど。

映画の中でも云ってましたけど、ライブエイドって朝の7時から始まってたんですね。そこから16時間ぶっ通し・・・、野外ライブというのは、暗くなるにつれて異様にテンションが上がっていくものですけど、クイーンが出てきたのは、まだ明るい午後の6時過ぎ。暑さと疲れで観衆はグズグズだったそうです。「ボヘミアン・ラプソディ」での、あのヤケクソ気味の大合唱の裏には、そんな事情もあったようです。
でも、そこから一気に7万5千人の観衆を惹き付けてしまうんですからね。クイーンの後に出てきたアーティストは、かなりやり難かったそうですよ。

僕がライブエイドのステージで一番好きなところは、「Radio Ga Ga」から観衆との掛け合いを経て「Hammer to Fall」を演奏するところです。


口髭、短髪、筋肉、・・・どう見てもゲイですね。

映画でも「エアークイーン」による「Hammer to Fall」の前奏で泣きそうになってしまいました。「Bohemian Rhapsody」も「We Are the Champions」も良いんですけど、ライブエイドに限って云うと「Hammer to Fall」が最高です。4人のメンバーがそれぞれの役割を完璧にこなしていて、ロックバンドとしてのクイーンの格好良さが、存分に発揮されているテイクだと思います。


俳優さんでは、フレディ役の俳優さんがちょっと華奢で小柄でしたから、違和感がありましたね。ゲイには筋肉が必要です。あと、フレディは歯並びが独特なんで、役者さんが入れ歯をしてるんですけど、ちょっとやり過ぎで、「小森のおばちゃま」か「明石家さんま」さんのモノマネみたいに見えてしまいました。

フレディは、過剰歯だったと云われてて、ウサギさんの口みたいなんですけど、初期の頃は、コンプレックスもあったようで、話をするときに意識的に口をつぐむ場面が見られます。でも、彼には、出っ歯のおかげで口腔が大きいから音域が広いんだ、みたいな信念もあって、最期まで矯正をしなかったそうです。出っ歯って歌手向きなんですかね。

ブライアン・メイはソックリでした。まあ、ヘアースタイルを真似すれば、誰でも似るのかもしれませんけど。そのブライアン・メイ・・・良かったです。人格者であるとは聞いてましたけど、ホントに知的で良い人だったんだなって思いました。フレディが滅茶苦茶なことをしでかしても、クイーンにはブライアン・メイがいるからってことで、辛うじて社会的信用をキープしてたと云われてますしね。

他のメンバーもみんな良い奴でした。家族も友人も、出てくる人、みんな良い人たちでしたよ。

そんな中で、唯一、悪役として描かれていたのが、フレディの付き人だった「ポール・プレンター」氏です。彼は、解雇後にフレディのスキャンダルを暴露したので、ファンから凄ーく嫌われてますけど、実際のところは、彼がドラッグを調達したのも、ゲイ・パーティーを開催したのもフレディの要望によるものと云われますので、「彼さえ居なければ、フレディは、あんなことにならなかった」みたいな描き方は、ポールにとっては、ちょっと酷かもしれません。

映画では、あっという間にバンドが結成されて、瞬く間に人気者になっていきます。実際には、クイーンのベーシストはなかなか決まらなくって、ジョン・ディーコンがメンバー入りするのは、フレディの加入の一年後です。ジョン・ディーコンが気になる僕としては、この辺りのエピソードを丁寧に描いて欲しかったところですが、まあ、2時間で全てを終わらせなくてはいけませんから、致し方ないですね。

で、僕が、この映画で最も気に入った場面は、最初のライブのシーンです。
新しいボーカルのフレディですってステージに立って、観客の、誰だオマエ?って冷たい視線を浴びながら「Keep Yourself Alive」を歌うんですけど、前奏が始まったのに、マイクスタンドの高さが合わなくって、ガチャガチャやってたら、すっぽ抜けちゃって、何だコリャって感じで、上半分だけ持って歌い出すんです。
で、歌詞をちゃんと覚えてないんで、もうメチャクチャなんですけど、圧倒的なパフォーマンスで、一気に観客を虜にしちゃうんですよね。もう、最高でした。


実際のフレディのマイクパフォーマンスも、こんなアクシデントから始まったそうです。で、こういう場面って、YouTube動画に在るわけない。映画でしかできないんですよ。僕的には、ライブエイドを完璧にモノマネすることより、こういった映画でしかできないことを、もっともっとやって欲しかったです。

もう一度、観に行くかと云われると・・・うーん・・・行くとしても、応援上映はヤメときます。映画「ボヘミアン・ラプソディ」は、フレディの生き様を描いた伝記映画として楽しむものだと思いました。多分、若者にウケているのもこの部分であって、だから、本物のライブを寸分違わず再現する必要なんて、全く無かったように思えてきたんです。

あっ、フィルムコンサートなら行きたいです!
その時は、机の引き出しに入れっぱなしの「カラフルサンダー」持って。

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