2016年5月9日月曜日

冨田勲先生逝去 ~僕は、イサオ・トミタを忘れない~

 日本コロンビアへのリンクです。


 先日、生誕85周年記念公演「Dr.コッペリウス」についての記事を投稿したばかり、御本人も「11月まで死ねなくなった」などと周囲に話していたそうですが、突然の逝去報道。まさかこのタイミングでこんなことになるとは。

 逝去の報道をうけて、2ちゃんねるにも複数のスレッドが立ったようです。84歳の老音楽家の死にネットの住人がこれだけの反応をするというのも、先生の異色さ、偉大さの表れであると思います。

 先生は、1960年代、テレビドラマのテーマ曲やCMソングなどの制作を精力的におこないました。オファーがひっきりなしに来ると云う、かなりの売れっ子作曲家だったようです。ウイキペディアなどを見ると、大河ドラマのテーマ曲を5本、「ジャングル大帝」「リボンの騎士」などのアニメ主題歌、「マイティジャック」「キャプテンウルトラ」などの特撮番組の主題歌など、あれもこれもっていう感じで、僕らが冨田先生の楽曲を聴いて育った世代であることを改めて実感しました。
 
 冨田勲先生のテレビ作品として、紹介されるのは、NHK「新日本紀行」や「今日の料理」のテーマ曲だと思いますが、僕的には、こちら。NHK特集「70年代われらの世界」のテーマ曲「青い地球は誰のもの」です。


 再録音盤のようですね。オリジナルは、もう少し素朴で昭和的だったと思います。
 
 「70年代われらの世界」、子どもでしたけど必死になって見ていましたよ。高度成長社会が転換期を迎えていた時代、公害という言葉が使われ始めた頃です。「宇宙船地球号」っていう言葉も流行りました。地球資源は有限であること、環境問題は全地球的規模で対策を取らねばならないこと、子どもながらにも真剣に考えましたよ。僕は、何だかんだ云っても、日本という国は、世界に誇れる環境モラルの高い国だと思っていますが、あの時代に、こういう番組を作れたことが、大きかったのではないかと思います。
 その番組のテーマ曲が「青い地球は誰のもの」でした。将来について悲観的になってしまう話題が多い番組でしたが、この曲の持っている明るさや力強さが、未来への希望を持たせてくれました。児童合唱団に歌わせたのも良かったのかな。もちろん、その当時は、冨田先生の作品だなんて考えもしませんでしたけど。楽曲は、強烈な印象となって記憶に残っています。で、後になって、あれもこれもって分かる、それが先生の仕事の凄いところだと思います。それにしても、こんな曲にも作詞ってあるんですねw
     
 アニメ、特撮物だとやはり「ジャングル大帝」でしょうか。現在の日本のアニソンのレベルの高さって、アニメの創世期にレベルの高い楽曲を出していたからこそ、ですよね。ただ、僕的には、こちら。
 マイティジャックの発進とテーマ曲は、2分2秒からです。


 冨田先生の楽曲って、大衆的だけど低俗では無いし、荘厳だけど難解では無い。アニソンにしても大河ドラマにしても「子どもにも分かる格好良さ」が最大の特徴だと思うんです。

 冨田先生は、その後シンセサイザーにハマって、ドビュッシーの「月の光」やムソルグスキーの「展覧会の絵」などのシンセサイザーアレンジの作品を発表します。作品は、日本よりも米国で評価され、で、日本でも慌てて評価するといったぐあいでした。僕が聴き始めたのは、組曲「惑星」の頃からですが、理系オタクで音楽にも多少の興味があった者として、これにハマらないわけはありません。シンセサイザーとそれが奏でる音楽は、僕の憧れでした。

 先生はイサオ・トミタとして、世界的にも有名になりましたけど、シンセサイザーなんかにハマらないで、管弦楽の作曲家として続けていった方が良かったのではないかという意見があります。アニメオタクが、冨田先生をアニソンの神として崇めることを快く思わない人たちもいます。また、晩年に初音ミクなんかに関わったことを人生の汚点と評する人たちもいます。
 でも、その全てが冨田勲先生なんですよね。80歳を越えた音楽家が「初音ミクって面白いよね」なんて普通云いませんよ。ライブに出かけて、オタクと一緒にペンライト振りませんよ。

 
 でも、先生は、シンセサイザーにハマったからといって、管弦楽を捨てたわけではありませんし、初音ミクに興味を持ったからと云って、声楽を軽んじたわけではありません。必要だと思ったところに、既存の価値観にとらわれることなく、最適だと思ったものを当てはめているんだと思います。

 偉大な大衆作曲家であり、シンセサイザーの先駆者であり、アニソンの神であり、初音ミクの恩人、その全部が冨田勲先生でした。

 僕は、子どもの頃、冨田先生の楽曲を聴いて育ちました。そしてその楽曲は、大人になった今でも、忘れることはありませんでした。だから、これからもずっと、忘れることは無いはずです。

 11月の公演って、どうなるのかなあ。会場に行ったら、絶対泣くと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿