ブログを始めてから5年半が経ちました。投稿記事もこれで567本目(コンセプトがブレブレで申し訳ありません)です。で、その記念すべき(?)最初の投稿記事は「風の谷のナウシカ」だったんですけど、先日、ドクター・キャピタル(Dr. Capital)の解説動画を見つけて懐かしく思ったものですから、再掲させていただくことにしました。
まずは、ドクターの楽曲解説から。後半で披露されるドクター自らの歌唱は、お好み次第で。
ドクターは、この楽曲をアニソンと云ってます。確かに「風の谷のナウシカ」というアニメ映画はありますが、この楽曲は、アニメの劇中にもエンディングにも使われてないし、その後発売されたサウンドトラックにも収録されていないんですよね。
以下は、5年前の記事の再掲載です。
安田成美さんのデビュー曲「風の谷のナウシカ」。アニメ映画「風の谷のナウシカ」は知っていても、この歌は知らない人も多いのではないでしょうか。松本隆、細野晴臣という当時の最強コンビの作品ながら、安田さんのあまりの歌の下手さに宮崎駿氏が激怒。映画には絶対関わらせない条件で、落ち着いたのがイメージソングという扱い。上映前の館内では流れていましたが、劇中に使われるわけでもなく、サントラにも未収録。その後、映画がどんなにヒットしても、ジブリが世界的ブランドになっても、この歌が世間に広まることはありませんでした。安田さんもその後は女優業に専念するようになり、二度と歌うことはありませんでした。
あれから30年、初音ミクが歌うナウシカを聴いた僕は、衝撃を受けました。テクノポップとボーカロイドの相性が良いのは当然のこととしても、細野晴臣氏が、初音ミクの登場を予測して作ったのではないかと思うほど似合っていて、僕の抱いていたナウシカのイメージを初音ミクが見事に再現しているのです。
電車の吊り広告を見て、何の予備知識もなく入った裏通りの映画館。どんな作品だろうと待っていたときに館内に流れていたこの曲。映画では描かれることのなかった、16歳の女の子のナウシカを表現したこの曲。宮崎駿氏が排除しようとした、16歳の可愛い女の子のイメージ・・・。
ああ、今頃わかりましたよ。宮崎先生が激怒したのは、安田成美の歌唱力なんかじゃなく、ナウシカにアイドル性を持たせようとしたこの曲そのものだったってことが。
ところが予告編では、安田成美さんの歌を使っていたんですね。ちゃんと「主題歌」って出ているし。だとすると、宮崎先生が激怒したのは、この後、土壇場になってからってことになります。
宮崎駿氏の思考って、凡人には付いていけないところがあります。僕、原作のコミックも持っていたんですけど、最後の方なんて、自分で作った世界観を、自分でぶち壊してしまいましたから・・・ドンデン返しを通り越して、もはや、ちゃぶ台返しです。
宮崎氏が激怒した理由については、安田成美さんの歌唱があまりにもあんまりだったってのが、当時の僕らの認識でしたけど、駿氏は、楽曲がアニメ作品のイメージと合っていないと仰ってたそうです。ナウシカは、ただの可愛い女の子では無いとも。
でも、コミックやアニメに描かれているナウシカは、可愛くって、優しくって、格好良くって、アニメオタクが憧れる王道のキャラクター設定なわけです。初恋の相手がナウシカだってヲタクも結構多かった。自分で可愛く描いておいて、アイドル扱いにしたからNGっていうのも可笑しな話。ちゃぶ台返し、ここに極まれりです。
松本隆、細野晴臣という名コンビに楽曲を作ってもらって、安田成美さんをオーデションで発掘して、コミックも映画も楽曲もタレントも、総合的に売りまくるという、当時流行っていた「角川商法」をやろうとした徳間書店に対して、自身のアニメ作品がアイドルの売り込みに利用されるのがイヤだったのでしょうか。
そんなこと云っても、大金を投じてCMとかも打っちゃってるわけです。当時の宮崎氏は「ルパン三世:カリオストロの城」の興行失敗で、かなりピンチな情況でした。「ナウシカ」のアニメージュへの掲載に関しても徳間書店さんから施されていたはず。ですから、やるべきことは恩返しであって、ちゃぶ台返しではなかったはずです。
でも、こういったマウントの取り合いってのは、大人げない方が勝ちますからね。結局、楽曲は(主題歌だったのに)アニメから排除されてしまいました。
(普通は、これだけ楯突けば「次からは仕事なんて無えぞ」って倍返しされるはずなんですけど、この後にスタジオジブリを立ち上げて、ボス猿になっちゃうんですから、ホントに凄い方だと思います。)
そういうことで、抹殺される運命にあった楽曲「風の谷のナウシカ」ですが、デキの良さで辛うじて生き残り、ドクターの目にもとまったというわけです。
YouTubeには、歌自慢の方々の、歌ってみた動画が数多く投稿されています。でも、この曲って、感情込めて上手に歌えば歌うほど、違和感が出てきちゃうんですよね。安田成美さんの歌に慣らされちゃったってこともあるかもしれませんけど、淡々と歌ったほうが、テクノポップには合ってるんじゃないかって思います。
感情を抑えて、でも、安田さんより安心して聴ける歌唱となると・・・これはもうボーカロイドの出番ですよね。
いかがでしょうか、ボカロカバーで大事なのって、伴奏だと思います。良い打ち込み伴奏ができれば、ボカロカバーは8割方成功。この作品は、ドクターの講義にあった「マイナー/メジャーのモード変更とクロマチック・メディアント進行」が、上手く再現できていると思います・・・かな?
アニメ映画「風の谷のナウシカ」も、「風の谷のナウシカ」という楽曲も、両方大好きな僕としては、この2つがコラボできなかったというのは、大変残念なことだったんですけど、互いが互いを必要とせずに生き残ってこれたというのは、それはそれで嬉しいことではあります。
では、参考までに、安田成美さんの「ザ・ベストテン」での伝説のテイクを、貼り付けさせていただいて、お終いにします。こちらの視聴は自己責任で。
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