僕らの年代だと、自分たちも歌ってないし、子供も歌っているわけでもありませんから、ちょうど狭間の世代になるかと思います。学校という閉じた世界で歌われていたこの曲を広く世間に知らしめることになったのが、2007年に放送された「NTT東日本フレッツ光」のテレビCMでした。
このCM、SMAPのメンバーが「ひかり中学校」の先生になり、ほぼ1年間に渡って、メンバーそれぞれによるバージョンでCMが放送されました。ちなみに、国語:草彅君、理科:中居君、美術:吾郎ちゃん、体育:キムタク、そして用務員さん:慎吾でした。そして、集大成として作られたのが、この卒業式のシーンになります。っていうか、このシーンで、「白い光の中に」っていうフレーズを使うだけのために、1年間かけて放送を続けてきたって感じで、僕はそれだけで感動してしまいました。
では、ボーカロイドカバーです。数多くアップされている中から、こちらをセレクトさせていただきました。魂の無い物に魂を込める仕事って云うと、ちょっと大袈裟ですけど、よくできている調教だと思います。
「旅立ちの日に」は、1991年に埼玉県の中学校の教員によって作られた合唱曲です。作詞は校長先生、作曲は音楽の先生、先生たちから卒業生に贈ったサプライズソングだったそうです。その後、音楽教諭であり作曲家でもある松井孝夫氏によって混声三部合唱に編曲され、教育雑誌に掲載されたことで全国に広まりました。2000年代には、全国ほとんどの小中学校で歌われていたみたいです。
この曲の、誕生秘話みたいなのがあって、要は、荒れた中学校を合唱で立ち直らせたってことなんですけど、僕は、此の手の話は苦手なんですよ。不良たちが先生の熱意に改心して、最後は抱き合って、めでたしめでたしってことなんでしょうけど、おまいらはそれで良いかもしれないけど、さんざん虐められてきた俺たちの気持ちはどうしてくれるんだよって云う、気弱なオタクの叫びが聞こえてくるんです。彼らは、先生たちを取り巻く輪の中にも入れず、一番外側でウロウロするばかりの存在にすぎないわけで。
だけど、この歌は、そんな奴らの心も全部ひっくるめて包んでくれる、そんな力があるように思うんです。
では、もう1つ。ホントにこの曲って、たくさんの作品がアップされているんですが、歌が上手いという観点でみるとこれかなって思いました。合唱のパート練習なんかに使えそうな、お手本的歌唱だと思いますよ。
「猫村いろは」の歌声が良いなって思ったのは、初めてですw
で、全国津々浦々の学校で歌われていたこの曲なんですけど、最近はあまり歌われないみたいです。まあ、卒業ソングなんて毎年次から次へと新しいものが出てくるでしょうし、みんなが歌っていると、また「旅立ちの日に」かって、今更感が出てきますんで、別な曲をってことになるのかなって思います。
寂しい気もしますけど、卒業式の主役は、合唱曲じゃ無くって、合唱している卒業生です。卒業ソングが何であれ、旅立ちを祝福してあげられば良いだけのことですからね。
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