では、さっそく、「The LSC Band」さんによる巡音ルカのカバーです。
え~と、僕には、フィリピーナのように聞こえますが・・・。
どうしても「ふ」が「つ」に聞こえてしまいます。相変わらずの、片言の日本語で歌っているかのような雰囲気なんですが、この癖を逆手にとって、と云うか、バイリンガルシンガー巡音ルカの特性を面白く生かしていると思います。
あと、伴奏が素晴らしいですね。とっても聴きやすいし、オルゴールから入るなんて格好良すぎです。オリジナル版の方は、もっと大袈裟な感じで、大きなコンサートホールで中島美嘉さんが歌うのならば、向いてるかも知れませんけど、あの伴奏でボーカロイドに歌わせると埋没しちゃいそうなんで。
2つめは、「melodylights」さんによる初音ミクのカバーです。
このテイクを取り上げさせていただくのは、2度目なんですけど、初音ミクを可愛らしく歌わせることに関しては、最高の技術をお持ちだと思います。
こちらは、ピアノを中心にしたアレンジですが、ささやくような初音ミクの歌唱に合っていると思います。
3つめは、ボーカロイド「結月ゆかり」のカバー作品です。
ピアノの伴奏の気合いの入り方が尋常でないですね。打ち込みでなくって、実際に演奏されているんでしょうか。ボーカロイドに歌わせておいて、ピアノで伴奏されているんでしたら、格好いいですよね。僕も「趣味はピアノでの伴奏です」なんて言ってみたいです。
歌い方がぶっきらぼうに聞こえるのは、ボーカロイドの個性からきているように思います。エコーを効かせていないので、素人っぽい歌唱になっていますが、これはこれで、僕は好きなんですよ。どう頑張っても、中島美嘉さんの歌唱に似せるのは難しいわけですから、ボーカロイドの特性を前面に出して、シンプルに歌わせるというのも方法の1つだと思います。人間の歌でも、素直に歌うことが心を打つってこと、良くありますよね。
以上3つのボーカロイドによる聴き比べ、いかがだったでしょうか。YouTubeには、他にも「GUMI」や「MIZKI」などによるカバー作品を視聴することができます。
伴奏も、それぞれ特徴があったと思います。人間用のカラオケ伴奏をそのまま流用するという方法も広く使われているのですが、レコード会社によっては、著作権侵害を訴えるところもあるみたいです。たかか、ボーカロイドなんで、伴奏をちょっとお借りしただけで歌唱ごとミュートにしなくても、って思うのですが、まあ、音楽教室の子どもたちの演奏からも著作権料を取ろうっていうご時世ですからね。
だからと云うわけではありませんが、ボーカロイドには、やっぱり彼女たちに合った伴奏をつけてあげた方が良いと思います。
音楽って、聴くことも、もちろん楽しいんですけど、作ったり、演奏したりすれば、さらに楽しいことですし、そういうことが誰でも出来る環境と可能性を提供する、というのがDTMやボーカロイドの役割ですから。
では、「ラスボス」に登場していただきましょう。ボーカロイド「SACHIKO」によるカバーです。中の人が誰かは、もうお分かりですね。
凄い唸りと、コブシ回しですね。この歌唱なら人間用のオリジナル伴奏にも負けること無く歌いきれると思いますw。
「SACHIKO」には、「Sachikobushi」というプラグインが搭載されているそうですけど、だからと云って、最初からこう云う風に歌ってくれる訳ではなくって、溜をつくるなどの調教が行われていると思います。若干やり過ぎ感がありますけど、まあ、中の人もやり過ぎちゃうタイプの方ですから。
最初聴いたときは、何だコレって感じだったんですけど、聴いていくうちにファンになってしまいました。
中の人であるラスボスこと「小林幸子」さんは、2012年、事務所のお家騒動で、芸能界引追放の危機を経験します。しかし、「おもいで酒」のヒットまで苦節15年という長く苦しい時代を乗り越えてきたラスボスは、不死身でした。小林さんは、ネットの世界に活路を求め、ネットの住人たちの指示を得ることに成功したのです。元々彼らは、大手広告代理店や大手芸能プロダクション、そして著作権協会に対してはアンチな姿勢を示していましたが、それだけが理由ではないと思います。彼らがラスボスを支持したのは、小林幸子さんの本気の遊び心を感じ取ったからではないでしょうか。
ラスボス幸子さんは、NHKのFamily Historyに出演していましたが、演歌界の大御所であるのにも関わらず、彼女の飾らない人柄と、旺盛な好奇心、楽天的とも云える明るさに感動してしまいました。「逞しい」というのは、こういう人を云うのだと思います。
カバー作品を作ってくれるボカロPほど原曲と御本家をリスペクトしている人はいないと思います。でなくては、良い作品は生まれません。そして、僕は、そういうボカロPさんたちをリスペクトしているんです。
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