2018年5月29日火曜日

「始まりのバラード」を歌う「丸山純奈」の高音が透き通り過ぎて音漏れして困る

「アンジェラ・アキ」「米津玄師」「丸山純奈」・・・徳島県が誇る三大ミュージシャンらしいです。
まあ、3番目については、異論もあろうかと思いますが、「三大○○」の3番目というのは、どれも名乗った者勝ちのようですからね。

先日、ツイッターで、6月22日からの宮古島のロックフェスにソロで出演するとの告知がありました。さっそく「学校はどうするんだ」とか云われてましたけど、本当に行くんですかね。出演者のリストには無いので、誰かのステージにゲストで出ていって、1曲歌わせてもらうってパターンでしょうか。
でも、出演者って、「Dragon Ash」「KICK THE CAN CREW」「ORANGE RANGE 」「10-FEET」とかですよ。そんな暑苦しい男たちの中に「こおんにちわあ、徳島から来ましたあ、丸山純奈、14歳でえすう」とか言いながら一人で出て行くのって、危険すぎると思うんですけどw
まあ、保護者同伴でしょうから、お母様が動画を撮って、ツイッターにアップしてくれると思うんで、楽しみに待ちたいと思います。

で、「丸山純奈」さんは、尊敬するミュージシャンを聞かれると、「アンジェラ・アキ」さんの名前をあげることに決めてるみたいです。実際、アンジェラ・アキさんの楽曲をたくさんカバーしていて、今回紹介させていただく「始まりのバラード」もその1つになります。

動画の日付は、2017年4月30日とありますから、丸山純奈さん13歳、1年ちょっと前のテイクになります。
YouTubeには撮影位置の異なる2つのテイクがアップされています。再生回数は、多い方が5000回で、こちらは400回です。400回と云ってもそのうちの100回くらいは僕です。音質にも画質にも若干難アリのこちらを敢えてセレクトさせていただいたのは、序盤の辛そうな低音部分が比較的気にならないという理由によるものです。

           
透明なのに質感のある声、バラードなのに感情移入は、ほぼゼロ。ノーテクニックの歌唱は「鳴くことを覚えた小鳥が、本能のままにさえずっているだけ。」と云ったところでしょうか。

カラオケライブのようで、気持ち良いくらいにエコーがかかっています。歌手になろうって子ですから、もともと声の通りは良いはずですが、さらにエコーでキンキンに響くので、ヘッドホンで聴いていても、音が漏れちゃって、漏れちゃって、「なにニヤニヤ、女の子の歌なんか聴いてるんだ」なんて、家族にバレてしまいました。

で、何事も無かったように歌っているので、漠然と聴いているときは気づかなかったのですが、実は、このテイク、歌詞を5カ所も間違えています。それも、一文字間違いとかじゃありません。
「ふたり」と「あなた」と「わたし」がランダムに入れ替わってますし、最後のサビのところなどワンフレーズ丸ごと入れ変わってしまっています。

「私は出会うよ。心に響かせる、終わりのない歌を。」って、だったら、その歌は誰が歌ってるんじゃい!

YouTubeのコメント欄では、「純奈ちゃんは、歌詞を覚えるのが苦手なんですぅ。」とか云って、ファンが代わりに謝っていますが、それにしても、彼女の歌詞覚えの悪さと、間違いの多さは、有り得るのレベルを明らかに越えています。

しかし、13歳の丸山純奈さんは、歌詞の世界を聴者に届けようなんて、これっぽっちも考えていないと思います。しなさいと歌の先生からは云われてるかもしれませんけどね。
「太陽に抱かれ、ロマンスは目覚め」のところを「ロマンスに抱かれ、太陽に抱かれ」って歌うんですけど、そんな歌詞で、なんの躊躇もなく声を張り上げられるのは、彼女の歌唱が、声さえ出せれば、言葉の意味など二の次であるからだと思います。
まさに「鳴くことを覚えた小鳥が、本能のままにさえずっている。」ただそれだけ。そして、そんな彼女の歌唱を支えているのが「声だけで97点」と評された天性の歌声なのです。

このテイクは、もう1年以上前のものですから、今の丸山純奈さんの歌い方は、少し変わってきていると思います。歌い出しの低音部は、もう少し上手い具合に切り抜けられると思いますし、サビの声の張り上げ方も、声色を変化させたりして、感情を込めようとしてくるはずです。歌詞の意味を考え、イメージを作って、聴くものに伝えようとするはずです。
それは、彼女の歌が「さえずり」から「歌唱」へと進化することであり、歌手としての成長の証であり、喜ばしいことです。

でも、僕は、この13歳の少女の歌を繰り返し聴いてしまいます。

歌は、それ自体に、人を感動させる要素を内在し、
歌うという行為は、それだけで、人の心に訴える力を持っている。

僕がこのテイクを聴いて、確信したことです。
だから、僕は、歌うことが好きな少女が、ただ歌っているだけの、この動画を何度も聴いてしまいます。

ボリュームをひかえめにして何度も、何度も。

2018年5月25日金曜日

「超絶凄ワザ!人類vsAI」に見る「初音ミクAI」の可能性

 NHKの「超絶!凄ワザ」。その前にあったフジテレビの「ほこ×たて」とともに、よく見ていました。だんだんネタ切れっぽくなっていって、視聴をスルーするようになったんですけど、最終回がAIに関する放送だったので、これだけは録画しておいたんです。

 番組は、AIが人間に挑戦する3本勝負ということで、ファッションコーディネートとか、流しのタクシーを取り上げていて、面白く視聴させていただきました。

 そして、3番目の対決が「俳句」でした。
 で、そこで紹介されていたAIに俳句を作らせる過程が、以前(2018年1月26日)に取り上げさせていただいた、人工知能搭載型ボーカロイド「初音ミクAI」による歌唱という課題と多くの共通点を持っているのではないかと。つまり、俳句と歌唱は、文字と音声という違いはあるものの、ともに人の心に訴える芸術分野ですから、AIに俳句を作らせる手順は「初音ミクAI」にも取り入れられるのではないか、と考えたんです。

 AIに俳句を作らせる手法について、番組で紹介されていたことは、次のようなものでした。
 まず、既存の6万首におよぶ俳句をデータとしてAIに入力し、次に、「切れ字」や「季語」などのルールを教えます。そして、AIに作らせた俳句を、人間が5段階で評価することによって、どのような俳句を作れば評価してもらえるのかをAIが学び、その後は、AIが作った俳句をAIが自己評価して、強化学習をするという手法だったと思います。

 これを「初音ミクAI」に当てはめると、既存の歌唱データと音楽理論の入力、ボーカロイド歌唱の人間による評価、そして、AIによる自己評価という流れになります。

 歌唱の評価については、今まで漠然と、1曲丸ごと評価するようなイメージを持っていたのですが、
楽曲は、フレーズの集合体と考えれば、フレーズごとに歌唱の評価をすれば良いのだと気づきました。
 学習の手順としては、まずはAIにワンフレーズ歌わせて、それに対して複数の人間が、「憂い」を感じたとか「切なさ」が伝わったというように評価を与えていきます。これが蓄積されていくことによって「憂い」を表現するには、どのような歌唱が好ましいかをAIが学んでいくようにします。
 そして、このような歌詞で、この曲調なら、こんなふうに歌唱すれば良いと、フレーズごとに得られた評価をデータベース化し、新たな楽曲を歌うときには、蓄積されたデータを対応させ、最終的に1曲を通したときに破綻が無いように微修正させれば良いわけです。

 で、俳句対決の方ですが、結果はAIの惨敗に終わりましたw

 講評の場で語られていたのは、人間の発想力の凄さでした。これについては、俳人さんがAIとの対決を意識してか、発想を飛ばした句を意図的に出してきた一方で、AIは、基本に忠実な正統的な作品を出してきたことによるものだと思います。

 番組に登場した「札幌AIラボ」の「AI 一茶くん」は、お題の写真から俳句を詠むために、どんな俳句がどんな写真にマッチするのかを、人間が手作業で教えたそうで、そのために、ネットで広くボランティアを呼びかけ、数十万というデータを収集したとありました。
 人類の集合知を教えたわけですが、知見というものは、データ数が多くなればなるほど平均化していきますし、最初に正統的な作品を高評価するように教えているのですから、この手法では、奇抜な発想は発現し難くなると思います。

 しかしながら、人間がAIに期待しているのが「人間の代わりに人間と同じように働くこと」であれば、あまり奇抜で冒険的な行動は好ましいものではありませんから、この結果は間違いとは云えません。
 まあ、ピカソだって画学生のときは、ちゃんとしたデッサン画を描いているように、正統的な基礎基本があってこその独創性なわけですから、修行中のAIが独創性を発揮するのは10年早いと云うことでしょう。

 と云うことで、この手法で実現される「初音ミクAI」の歌は、正統的で安心して聴ける歌唱ということになりそうです。

 では、AIに独創的な作品を作らせることは、不可能なのでしょうか。

 囲碁などのゲームの分野では、AIが人間の予想もしない手を指すことが知られています。悪手とされるには、それなりの根拠があるはずですが、AIはその先に新たな可能性があることを、気の遠くなるような試行の結果、見いだしているわけです。

 一方、俳句の世界にも「季重なり」とか「三段切れ」などのように、好ましくない手法があるのですが、あえてこれらを用いた名句というものも存在するそうです。
 AIが、このような手法を駆使して、既存の作品と全く異なる俳句を作ることは、作るだけならば十分に可能だと思います。ただ、ここで問題となるのは、AIが自らの作品を自己評価するにあたり、冒険的な作品を価値あるものと認識できるかということです。

 ゲームには、勝敗という明確な評価基準が存在しますが、芸術の評価は単純ではありません。

 人間の芸術家だって、前衛的な作品が受け入れてもらえるかなんて世間に委ねるしかないわけで、結局は、自らの感性を信じるかどうかに尽きると思います。
 そして、人間の感性と云うブラックボックスの先にあるものが独創性だとすれば、つまり、感性と云う「ワープ航法」でしかたどり着けない領域なのだとすれば、それはAIの手法の範疇の外の話になってしまいます。

 しかし、独創的な発想が、世間に受け入れられると云うことは、そこには、何らかの必然性があるはずです。ワープ航法で一気にたどり着けなくとも、気の遠くなるような論理的試行を積み重ねることにより、到着可能ではないかと期待しているのです。
 そこへ到着するための思考過程は、AIにとっては論理的必然であっても、人間にとっては、もはやブラックボックスです。

 人間の感性はAIには理解できませんし、AIの深層思考は人間には理解できません。しかし、この2つのブラックボックスこそが、独創性へのそれぞれのアプローチになるのだと僕は思うのです。

2018年5月17日木曜日

松浦亜弥 マニアックライブvol.4 2008年編

2008年です。

この年に発表された楽曲は、5月にリリースされた「きずな」とカップリング曲の「ひとり」
それから、洋服の青山のCMソング「花いちもんめ」の3曲です。

マニアックライブvol.4では、この3択の中から、昼夜ともに「花いちもんめ」をセレクトしています。

確かに「きずな」では、このライブのイメージに合わないような気がしますが、
「ひとり」は歌っても良かったんじゃないかと思いますし、他のライブでは、結構歌っています。
なのに何で、昼夜とも同じ「花いちもんめ」にしたんでしょうか。

昼の演奏です。


夜の演奏です。


何となく、違っています。
昼の部では、間奏をシンセサイザーで「琴」っぽく弾いていますが、
夜の部では、そのままピアノで弾いています。
そして何より、昼の方は軽快さが感じられません。
どうもミスタッチもあるようですし、やっぱり、違和感の原因は桜井さんなんでしょうか。

僕には、夜の部が、昼の演奏のリベンジテイクのように思えます。
昼の演奏に、何か納得できないものがあって、夜も「花いちもんめ」を演奏したように思えるんです。

「花いちもんめ」は、洋服の青山のCMソングとして制作されて、
2008年12月にリリースされたハロ・プロのオムニバスアルバム「プッチベスト9」に収録されました。
その後、2011年発売の「松浦亜弥10TH ANNIVERSARY BEST」にも収録されています。
MCでの「私は嘘つきです」というのは、このアルバムに収録したことを言っているのだと思います。
この曲は、だいぶ、お気に入りのようで、この後も、いくつかのライブで歌うようになりました。

と云うことで、数多くのライブテイクが存在しますが、
僕的には、このマニアックライブⅣの夜の部の演奏が、最も良く思えます。

松浦亜弥さんの2008年といえば、春のライブツアー「AYA The Witch」、夏の「お台場冒険王」、
秋の「STB139」ライブといったところが、知られている活動になります。
後にマニアックライブとなる「松浦亜弥ファンクラブイベント」も、この年から始まりましたし、
竹内まりやソングミュージカル「本気でオンリーユー」の公演も忘れてはいけませんですね。

「本気でオンリーユー」は、竹内まりやさんの楽曲で構成された伝説のミュージカルとのことですが、
DVD化されていませんから、実際に参戦した方のみぞ知る、というステージになっています。
偶然見つけたライブレポートを読んだことがあるのですが、素晴らしいステージだったようです。
ただ、観客は、昔からのアイドルヲタさんばかりで、一般人にはかなりの疎外感があったそうで、
これだけのステージが、全く一般に知られず、ヲタさんに独占されてることを憂う内容でした。
アヤヲタさんは、他のアイドルヲタクと違い、騒ぐばかりでなく聴くときは聴くという姿勢があって、
また、それを誇りにしていたと云いますが、それでも、一般人からすると違和感があったようです。

「お台場冒険王」や「STB139」のようなアコースティックライブでは、カバー曲の印象が強いですね。
選曲には(お付き合いが続いていたであろう)慶太氏の影響を受けていたことも考えられますが、
「本気でオンリーユー」で、竹内さんの楽曲を歌ったことで、
カバー曲の抵抗感(?)もなくなったでしょうし、カバーする楽しさに目覚めたのかもしれません。

その一方で、マニアックライブのような、アコースティックで、ちゃんと座って、ペンライト無しで、
といったステージを始めたのも、この2008年からになります。

「菊ちゃん」こと「菊池真義」氏との関わりが、より深くなっていったのも2008年からだと思います。
菊池氏がいなければ、松浦亜弥さんは、もっと早く・・・
例えば2009年の段階で、歌をやめてしまっていたかもしれません。
「AYA The Witch」が、新アルバムのリリースが無い年のツアーにもかかわらず、高評価を得るのも、
ライブがフルバンド構成であったことが大きいと思います。
「菊ちゃんのギターじゃないと、私、歌わな~い。」とか云ってたようですから、
いっそのこと、バンドボーカルにでもなってしまえば良かったのかもしれませんが、
結局のところ、「あやや」は「あやや」としての殿様商売しかできなかったのでしょう。

歌いたい歌を、歌いたいように歌う。
当たり前のことですし、当然のように思います。
それがやがて「歌いたい時に歌う」となるのですが、それはもう少し先の話ですね。

2018年5月13日日曜日

「松浦亜弥」「丸山純奈」のダブル聖地「天王洲アイル」は都会のオアシスだった話

さて、POLUのワンマンライブに参戦すべく、渋谷へ行くことになったのですが、
渋谷という街には、馴染みがありません。
そこで、家族に、渋谷に行くにはどんな服装が良いかと訪ねたところ、
僕のようなオジさんが渋谷に行くことが、すでにNGなので、
服装など、どうでもいいと云われてしまいました。
で、渋谷での滞在時間をできるだけ短縮するために、
かねてから行きたかった天王州に立ち寄ることにしたんです。

品川駅から、適当に見当をつけて歩き始めると、すぐに潮の香りがしてきました。
ゴールデンウィークで閑散としたオフィス街をくぐり抜けると運河に出ます。


運河沿いを歩いて行くと、お目当ての「ふれあい橋」が見えてきました。


聖地「天王州アイル」は、松浦亜弥さんと丸山純奈さんがMV撮影をしたところです。
実は、天王州一帯は、多くのドラマやMVのロケに使われているため、
ここを聖地とするファンは極めて多く、聖地の重なり具合は、エルサレムの比ではありません。
天王州がロケ地として好まれるのは、都会であるにもかかわらず、静かでイイ感じの所だからですが、
静かと云うことは、開発の成果があまり出ていないとも云えるわけで、
開発者側としては微妙なところみたいです。

ゴールデンウィークなのに、人が居ない写真が簡単に撮れちゃいます。


天王州アイルのシンボル「ふれあい橋」は、「ピン・トラス構造」という極めて珍しい造りの橋です。
100年前の工法だそうです。
そんな、現在では全く廃れた工法で橋を造るとなると、破格の建設費がかかるはずですけど、
この橋が造られた1996年は、バブルの雰囲気がまだ残っていた頃ですから、
設計者の云うがままに予算を付けることができたのでしょう。

ここが「ピン・トラス」の名前の由来になっているピンですね。
接合部分は、ゴム材を挟んで巨大なナットで締め付けるという、手作り感満載の構造です。


横から見るとこんな感じ、トラス橋なのに、中央に向かって盛り上がっていて、吊り橋みたいです。
トラス橋は、道路面が平らなのが普通で、だから鉄道橋などに使われているわけで、
この盛り上がり方は、ピン・トラス構造とは、関係無いみたいです。


でも、この構造のおかげで、橋の入り口から眺めると、向こう岸が見えません。
橋を渡ってきた感が味わえますし、橋の中央部に隠されて出口側の余計な物が見えないので、
橋に立った時にイイ感じの映像が撮れるようです。
こんなところも、この橋が撮影によく使われる理由なのでしょう。
ドラマロケによく使われるというのは、設計者にとって最高の賛辞ではないでしょうか。


僕が訪れたのは昼時でしたけど、ライトアップした時のロマンティック係数は、かなり高いようです。
人混みの中ではロマンスどころではありませんし、淋しすぎるのも不安でしょうから、
そこそこの賑わいと、橋から見えるウォーターフロントの夜景が最適なんでしょう。

松浦亜弥さんのMV「渡良瀬橋」です。
再生数も、ついに100万回を超えましたね。

     
ロケとしては、本当に簡単に済ませていると思います。
忙しいスケジュールの合間に撮影したのでしょうけど、
余計なところには、お金を使わないと云うアップフロントならではの作品です。
まあ、メインの歌が秀逸ですから、良しとしましょう。
         
こちらは、丸山純奈さんのMVメイキング映像です。
同じく低予算型MVでありながら、松浦亜弥さんのMVよりも手がこんでいます。
ただ出演者に関しては、トップアイドルVS普通の中学生という、凄まじいギャップ感がありますw

       
ここがPOLUのミニライブにも使われたデッキです。
僕が訪れた時は、遊覧船乗り場として使われていました。
通路の反対側は、階段状になっていて、家族連れやカップルが、
昼間っからアルコールを嗜んだり、お弁当を広げていました。
場所取りに困ることもなく、程よい距離感で座ることができます。

                 
月並みですけど、「時間の進み方が此処だけゆっくりとしてる」と云う表現が、ピッタリの所でした。
煩くもなく、閑散としているわけでもなく、のんびり過ごすには、絶妙の混み具合です。
渋谷に行っても、若者だらけで騒がしいばかりでしょうから、
天気も良かったので、ここでギリギリまでのんびりさせていただきました。

完成したMV作品です。


この「ミズイロ」のMVは、1年前の丸山純奈さんの歌なんで、イマイチ感は否定できません。
是非とも、録り直して欲しいところです。


それから、もう一カ所、都会のオアシス「ルノアール」にも行ってきましたw
ルノアールなんて、東京の至る所にありますけど、今まで一度も入ったことがなかったんです。
クラシック音楽が流れる店内は、完全分煙で、煙草を吸う人も、吸わない人も気持ち良く過ごすことが出来そうです。
歩き回って、少しばかり暑かったので、アイスコーヒーで1時間ほど、のんびりさせていただきました。
文庫本をバッグから取り出して、読書タイムです。
ルノアールは、スマホよりも紙媒体が似合います。
スタバなどよりも、かなり割高ですけど、こちらは、まさに、オジさんのためのオアシスでした。

さて、そろそろ渋谷へ出かけましょうか。

2018年5月12日土曜日

「丸山純奈」がデビュー曲「ドラマ」で、まさかの口パク? ~POLU 1st 単独ライブ参戦報告③~

今回のライブで印象に残ったことの1つに、リーダーの「バン」さんのお人柄があります。
純奈さんの保護者がわりとしての言動、音楽に真摯に向き合う姿勢、ファンに対する腰の低さなど、
ミュージシャンとしても、また一人の大人としても尊敬に値する方と思いましたよ。


で、POLUは、オリジナル曲が少ないので、単独ライブを開催するには駒不足、
カバー曲や丸山純奈さんの持ち歌ををセットリストに取り入れなくてはなりません。
持ち歌と云っても、音楽チャンプの審査員「杉山勝彦」氏からプレゼントされた配信曲「ドラマ」と
ピッタマスクのCMソング「これからの景色」しかありませんが。

「私、CMに出ているんですけど・・・出ているっていうのかな?・・」みたいなMCの後に、
披露してくれたのが、「これからの景色」でした。
以前、このブログで、これは本当に丸山純奈が歌っているのだろうか?
という記事を投稿いたしましたが、今回、本当に歌ってたってことを証明していただけましたw

POLUのバンドメンバーによる演奏も格好良くって、CM曲を完璧に再現していたと思います。
純奈さんも、バンドのボーカルとしての歌唱にも慣れてきたみたいです。
CMでは、歌に軽快感を出すためでしょうか、声を加工しているようですが、
生声の「これからの景色」では、パワフルな歌唱を披露してくれました。

POLUの4人は、渋谷でのライブの前日に、インターネットテレビに出演していました。
僕は、リアルタイムでは視聴できませんでしたが、ライブの予習のためにチェックしたんですよ。
そこでは、4人の紹介の他に、機材を車に積み込こんで、徳島を前日の夜9時に出発して、
代わりばんこに運転しながら、9時間かけて東京にきた話とかをしてくれました。
で、今日は、ライブの準備のために渋谷のドンキホーテに行ってきたと云う話をしていて、
いったい、ドンキで何を買ったんだって不思議に思っていたんですけど、
どうやら、演奏の時に「ピッタマスク」を付けようって演出を考えていて、
そのための買い出しだったのではないかと推測します。


なんと「熊五郎」君は、途中でマスクを外して、ギターのネックにかけてしまいました。
新素材によるフィット感と呼吸のしやすさが、ウリのピッタマスクのはずですが、
僕と同じで、マスクそのものが嫌いなのかもしれません。

純奈さんは、歌が終わると、早々にステージの後ろに引っ込みます。
衣装チェンジをして、白い服で登場すると、
今度は、演奏を終えたバンドメンバーが引っ込んで、純奈さん一人です。

で、「デビュー曲を歌います。大切な人を思い浮かべながら聴いてください」
みたいなことを云って始まったのが、「ドラマ」でした。
どうやら「ドラマ」は、バンド伴奏で無くって、カラオケ伴奏で歌うみたいです。

前奏が流れて、気分を盛り上げて、歌が始まったんですけど、
ワンフレーズ歌ったところで、「えっ?!」みたいな顔をして、歌うのをやめてしまったんです。
ところが、歌はそのまま流れていて・・・・

ええっ~! まさかの 口パク!!!!

「ちがいますう、2番の方ですよお・・・」

どうやら、カラオケで無くって、歌入りのトラックの方を流してしまったみたいです。
で、最初から歌い直したんですが、あのまま歌っても、もしかしたら気づけなかったかもしれません。
それほど、口パクが上手かった・・・っていうより、生歌とCDの区別がつきませんでした。

「ドラマ」で云えば、配信音源と、テレビ放送と、今回のライブ、どれも遜色なく揃えているし、
「ミズイロ」みたいに、1年前にリリースしたようなCDだと、
今回のライブの方が、明らかに上手くなっています。

CDよりもライブが良いって、松浦亜弥さんのファンブログである此処で、何回も語ってきましたが、
今回、同様の想いを体験できたをホントに嬉しく思います。

ライブでは、全部で17曲歌ってくれました。
彼女にとっても初めてのことだったのではないかと思いますけど、
大丈夫かな、なんて心配していたことが、馬鹿馬鹿しくなるような安定感でしたよ。


「明日は今日より、きっと上手くなっている。」

そういうことが期待できて、しかも実感できるってのは、正に今しか無いわけで、
そんな彼女に巡り会えたことを嬉しく思います。

2018年5月9日水曜日

「丸山純奈」が最大の魅せ場「I LOVE YOU」で、まさかの歌詞とばし(涙)   ~POLU 1st 単独ライブ参戦報告②~

ライブの中盤、音楽チャンプのことに軽くふれたあと、前奏が始まった。
長崎日大のライブでも演奏した、「I LOVE YOU」バンドヴァージョンだ。
この1年で歌声に厚みが出てきて、バンド伴奏の圧力にも負けない歌唱ができるようになったと思う。
僕的には、最近の熱唱気味のバラードというのは、あまり好みではないのだが、
全力で歌ってさまになるのも、若さあってのことだし、
何より、音程が正確なので、安心して聴くことができるのが有り難い。


ところが、2番にさしかかった時、それは起こった。

何を思ったのか、1番の歌詞をもう一度歌い出したのである。
2小節ほど歌ったところで、気づいたようだった。
そんな時は、途中からでも2番の歌詞を歌うしかない。
文章の意味は、つながらなくなるが、歌を止めないことが重要だからだ。
ところが、間違いに気づいたものの、その次の歌詞が出てこない。
2小節ほどハミングで誤魔化して、ようやく歌を続けることができた。

そこからは、まあ、上手く立て直すことができたのだが、さすがにショックだったようで、
歌い終えたあと、「練習したんやけど・・・」と消え入るような声で呟く。
バンさんが、フォローに入ると、「次、頑張ります!」・・・立ち直りの早さはさすがである。

まあ、ライブだから、17曲歌えば1つぐらい失敗することもあるだろうし、
歌詞覚えが悪いと云われていて、過去動画でも、歌う前から先回りして謝ってるくらいだが、

よりによって、

「この曲で歌詞を飛ばすか!?」

と叫びたいところである。

アコースティックコーナーでも、譜面台に歌詞カードを置いていて、普通にガン見していたが、
そういえば、現在、育児休業中の元アイドル歌手で、
歌詞カードをガン見しながら、ライブする人がいたことを思い出した。
歌詞は飛ばしても、音は外さないところとか、妙に共通点があったりして・・・。


「丸山純奈」さんを全国に知らしめたテレビ放送の中で、最も有名なものは、
2017年12月3日にテレビ朝日で放送された、第1回「中高生制服チャンプ」であろう。
この日は、ちょうど「M1グランプリ」の放送日であった。
「M1」の放送が伸びて、CMを挟むことなく始まったのが「音楽チャンプ」で、
いきなり1回戦で純奈さんが「木蓮の涙」を歌う場面が映し出された。
つまり、M1の視聴者は、半ば強制的に「丸山純奈」の歌を聴かされたのである。
そして、決勝戦で披露されたのがクリス・ハートさんのカバー曲「I Love You」ある。
この曲は、テレビ局が指定した5つの楽曲の内の1つということだが、
これが彼女の歌唱に見事にはまることになる。


これは、1つの奇跡である。
彼女がこの楽曲を歌いこなしたことに違いはないが、
それ以上に、この曲が彼女の歌唱にドハマりだったのである。

僕は、この時の放送を偶然視聴したのだが、聴き終えた後、自分の声が上ずっていたのを覚えている。
僕は、自分でも気がつかないうちに、感動させられていたのだ。

番組テイクが公式動画として公開されると評判は拡散し、今や再生数は1000万回になろうとしている。
「YouTube動画で再生1000万回の歌姫」・・・これほどインパクトあるコピーはないだろう。

「I LOVE YOU」は、POLUとは関連は無いものの、長崎日大や、まんのう公園で歌っていたので、
今回のライブでもきっと歌ってくれると信じていた人も多いと思う。

POLUは、この夏、いくつかのフェスに出演するらしいが、
「I LOVE YOU」バンドヴァージョンをセットリストに入れる可能性は高い。
「YouTube動画で再生1000万回」の話題曲を演奏することは、主催者側の希望でもあるだろうし、
っていうか、それがあるから、出演させてもらえるようなものだからだ。

歌詞飛ばしなど許されない、圧倒的なアウェー感の中で、どんなライブになるのか楽しみである。

2018年5月6日日曜日

「丸山純奈」のステージは、ロックバンドのライブにあるまじき優しさに包まれていた ~POLU 1st 単独ライブ参戦報告①~

渋谷の「eggman」というライブハウスに行ってきました。
NHKのすぐ前、ビルの地下にある老舗のライブハウスで、スタンディングで350名の小さな所ですが、
「レベッカ」「安全地帯」「プリンセス・プリンセス」など、ここでのワンマンライブをきっかけに
大ブレークしたバンドも多いという、有名なライブハウスだそうです。

今日はここで、「丸山純奈」さんがボーカルを担当する「POLU」の初ワンマンライブが開かれます。
3時から整理券配布と聞いていましたので、20分前くらいに列に混ざりました。
あまり早く並ぶのも、何となく恥ずかしかったんですけど、他にすることもないですからね。
で、3時になっても全然進まなくって、さらに待つこと30分、ようやく配布が始まりました。
すいぶん遅れるんだなって思ったんですけど、看板を見たら・・・15:30開始?・・・僕の勘違い!
なんと50分も前から並んでしまいました。
今までは、プレイガイドに申し込んで、コンビニで発券ってのばかりでしたから、
取り置きというのは初体験です。
受付で名前を云うんですけど「承ってません」なんて云われたらどうしようって、ちょっと緊張です。
取り置きというのは、ただの口約束ですからね。
でも、並んだおかげで良い番号をもらえて、サイン入りのCDを買えたし、
まあまあ、前の方に陣取れたので、こんな写真も撮らせていただきました。


動画は禁止だったんですけど、写真はOKでしたよ。

で、ライブの方は、「丸山純奈」さんが、噂通りの天然でボケまくり、
まだ、半分くらいしかやってないのに、「次が最後の曲でしたっけ?」とか言ってしまうので、
リーダー兼保護者代わりの「バン」さんが、教育的ツッコミでフォローしながら進行していきました。

ライブは、1時間45分くらいで、アンコールを入れて17曲でした。
純奈さんが、まだ中学生ですから、夜8時には終わるようになっているみたいです。

オープニング曲は「おまもり」、それから「今夜、星に鳴って…」だったと思います。
ノリが良い曲だと、ついついコールを入れたくなるのですが、誰もそんなことをしないので我慢です。

観客の男女比は6:4くらい、年齢層は本当に幅広くって、初音ミクよりも広かったです。
(でも、初音ミクは、子どもも来てるから、良い勝負かも)
男は、もちろん若者もいましたけど、どちらかと云うと、おじさんが目立ちました。
ちょうど、丸山純奈さんの父親くらいの世代です。
タレントのファンになるというのは、擬似的な恋愛感情と云えますから、
若い男がファンになるには、純奈さんは子ども過ぎるのかもしれません。
(アイドルとも違いますからね)
女性は、逆に、女子高校生から二十歳前くらいの、若い子が目立ちました。
「純奈ちゃんって、私より年下なのに、こんなに歌が上手いなんて凄い」
とか言ってそうな、温和しめな子たちです。
観客の構成がこんなですから、普通のバンドライブとは、雰囲気がだいぶ違っていたと思います。
リーダーの「バン」さんも、「皆さん優しい」を連発していました。
そりゃあ、ライブの中心にいるのが、14歳の女の子ですからね。

POLUはミニアルバムを2枚発表しただけですから、オリジナル曲がたくさんあるわけではありせん。
「夢見る虹色」「Lily」と続けて歌ってしまうと、残弾も少なくなって、カバー曲が始まりました。

構成は、2枚のミニアルバムから7曲、配信デビュー曲「ドラマ」、ピッタマスクのCMソング、
それから、この日のために作ったという新曲が1つ、これでオリジナルは全部でした。
新曲は、ミディアムテンポのバラード系で、70年代っぽい雰囲気の、シンプルで分かり易い曲、
ただ、曲名が・・・言ってくれたかもしれませんけど・・・言わなかったような・・・。

カバー曲は「チャット・モンチー」「アンジェラ・アキ」「マジで恋する5秒前」「ロビンソン」
「うれしい!たのしい!大好き!」「I Love You」「祈り」の7曲で、順番は忘れてしまいました。
どれも過去のステージで歌っている曲でしたから、それぞれYouTubeに動画がありますけど、
過去の動画よりも、今回のライブの方が、上手に歌えていたと思います。(1曲を除いては・・・。)

衣装は、1回チェンジして、アンコールの時は、お約束の物販Tシャツでしたから、全部で3種類。
衣装といっても、特別豪華で無く・・・ちょっと良い普段着とか、ピアノの発表会程度のやつです。

それから、ライブ中盤でアコースティックコーナーがあったんですけど、
ギターとベースが持ち替えたくらいで、ドラムはそのままでしたから、
サウンド的には、それほど大きな違いはありませんでした。
僕的には、アコースティックと云うからには、まんのう公園のライブみたいに、
ギター1本で歌って欲しかったです。
だって、1本のギター伴奏で、アイドルソングが歌える子なんて、他にいませんでしょ。
それに、バンド伴奏だと、どうしてもバンドのパワーに負けないように歌ってしまいますからね。
彼女の繊細な歌唱も聴かせて欲しかったところです。

普通のバンドだったら、半分近くもカバー曲やってたら、どうなの・・・ってなるでしょうけど、
POLUの場合は、純奈さんが、とにかく、良い感じで歌ってくれるんで、本当に楽しかったです。
改めて思ったんですけど、彼女のカバーは、素直でいて、さりげなく個性的で、嫌味が無いんですよ。
こういうところは、いつまでも、いつまでも失って欲しくないと思いました。

そして、温存しておいたオリジナル曲から、「Sing」をラストソングに、
アンコールで「いつか」と「ミズイロ」を歌ってお終いでした。

POLUは、今までやったライブで、一番長かったのでも35分だったそうです。
今回は、初のワンマンライブということでしたけど、ハプニングも満載で、楽しい1時間45分でした。

それぞれのハプニングについては、次回で紹介させていただこうかと思います。                    


6月には、大阪でもワンマンライブを開催するそうです。
「お話をいただくことが多くなって、嬉しいんですけど、なにぶんボーカルが中学生なもので・・・」
と、バンさんが申し訳なさそうに話してました。

そうそう、チケット売り場に座ってたのは、丸山純奈さんのお母様だったんですよ。
テレビでお顔を拝見してましたので、すぐに分かりました。
芸能事務所に所属していない純奈さんは、お母様がマネーージャー代わりと伺っております。

大阪ライブのチケット販売はプレイガイドで、となっていました。
もう、POLUのライブは、チケットの取り置きもなければ、手売りもなくなるのでしょうか。
受付に座るお母様の姿が見られるのも、これが最後だったのかもしれません。

お母様に握手をお願いしなかったことが、心残りであります。

2018年5月3日木曜日

ウォーターライン製作記 ⑫ ~幻の巡洋戦艦「赤城」とワシントン軍縮条約~

歴史家「磯田道史」氏によると、国家はその時代ごとに、最も金を喰う部門を抱えているという。
江戸時代は、それが「大奥」であり、現代は、差し詰め「医療福祉」であろう。
そして近代のそれは「海軍」であった。
産業革命による技術の急激な進歩は、最新鋭の軍艦をたちどころに旧式化してしまった。
大金をつぎ込んで建造しても、竣工する頃には、また新たな新型艦の建造が必要になったのである。

海戦はスペックの戦いである。
性能に劣る兵器では100%勝てない。
海軍が陸軍と比べて、若干ではあるが、合理的なのは、そのためである。
そして、軍艦の維持には莫大な費用がかかる。

当時の日本海軍が計画していた八・八艦隊は、艦隊建造に国家予算の1/3を使う予定だったという。
さらに、全艦隊の年間維持費は、当時の日本の歳出規模15億円に対し、6億円と予想されていた。
つまり、膨れ上がった艦隊は、その維持だけで、毎年の国家予算の4割を使う予定だったのである。
これでは、国家がもたない。

軍事費は国家予算を圧迫し、折からの世界不況と重なって、列強各国の財政は破綻寸前になっていた。
海軍のために国が滅びるというのは、現実に起こりえる問題だったのだ。
これがワシントン・ロンドン軍縮会議が開かれた背景である。

条約で決めたことは、お互い、しばらくの間、新しい軍艦を造るのはやめようということと、
造りすぎた軍艦は、みんなで廃棄しようとの2つである。
日・米・英の保有比率は、3:5:5と決められた。

今では信じられないことだが、当時は、アメリカよりもイギリスの方が海軍力が大きかった。
だから、この条約によって、日の沈まぬ国と称された大英帝国の海軍は、
新興国アメリカに追いつかれることになった。
日本は、対米比率を7割にすることを強く主張した。
7割あれば、どうにか対等に渡り合えると考えていたからだ。
でも、結局は6割で落ち着いた。
条約が流れてしまって、日米が無制限に軍艦を造り始めたら、
アメリカと日本の差は、6割どころか、とてつもなく広がってしまうからだ。
それほどアメリカの国力は強大で脅威だった。

日本は、対米6割とはいえ、
40cm砲を8門搭載した最新鋭の戦艦「長門」と「陸奥」の保有を認められたので、
伝えられている程には、悪い話で無かった。

条約の発効により、既に船体部分が完成していた巡洋戦艦「赤城」の建造は中止となり、
航空母艦に変更されることになった。

建造計画が進んでいた「八・八艦隊」というのは、戦艦8隻と巡洋戦艦8隻を中核とする艦隊である。
「巡洋戦艦」と云うと、大型で攻撃力・防御力に優れた戦艦と、
中型で高速の巡洋艦の「中間的」な艦艇をイメージするが、
ここで云う「巡洋戦艦」というのは、
巡洋艦の行動力と、戦艦の攻撃力を合わせ持つ「スーパー巡洋艦」のことである。
同じようなカテゴリーに「高速戦艦」というものがあって、軸足をどちらに置いているかであるが、
より速力に優れているのが巡洋戦艦、防御力に優れているのが高速戦艦と云ったところであろうか。
巡洋戦艦「赤城」は、41cm連装砲を5基10門搭載、速力30ノット、排水量4万トン以上という、
戦艦「長門」よりも強大で、後の戦艦「大和」よりも高速な艦になるはずであった。

空母「赤城」と純国産戦艦「山城」の2ショットである。
巡洋戦艦の船体を流用した空母「赤城」のほうが、戦艦よりも一回り大きいことが分かる。



条約により、戦艦や巡洋戦艦から航空母艦に計画変更されたのは、赤城と加賀の2隻であった。
両艦はミッドウェー海戦で撃沈されるまで、大型正規空母として機動部隊の中心となって活動した。

実は、同様のことは、アメリカでも行われていて、珊瑚海海戦で撃沈した空母「レキシントン」や、
潜水艦や特攻機の攻撃を受けながらも、終戦まで生き延びた空母「サラトガ」は、
ともに、巡洋戦艦からの計画変更によって建造された空母であった。

「赤城」は、初の近代的航空母艦であったが、当時の飛行機は、まだ複葉機が一般的で、
そもそも、飛行機を艦船に着艦させるなんて芸当が、可能かどうか分からないという時代であった。
赤城は、急速な航空機の発達に合わせて、試行錯誤の改装を繰り返していくことになる。

やがて、軍縮条約が失効すると、各国は制限無く軍艦の建造を進め、
日本海軍も、巨大戦艦「大和型」や正規空母「翔鶴型」の建造を始めた。
太平洋戦争が開戦すると、日米両国は航空母艦の建造をさらに進め、
空母機動部隊を編成していくことになる。
航空母艦の建造と機動部隊の運用に最も力を入れたのが、日本とアメリカであり、
真珠湾奇襲作戦、珊瑚海海戦、ミッドウェー海戦、、南太平洋海戦、マリアナ沖海戦など、
太平洋戦争の主だった海戦の主役は、空母機動部隊であった。

機動部隊の発達は、軍艦に対する考え方を変化させた。
艦船の役割は細分化され、それぞれの性能に特化した艦船で、艦隊を組むようになったのである。
巡洋戦艦は、1隻に多様な性能を詰め込んだ結果、高速と云っても駆逐艦や巡洋艦より劣っていたし、
防御力は戦艦には及ばなかったから、至近距離での撃ち合いでは分が悪かった。
何より、建造に莫大な費用がかかる巡洋戦艦は、コストパフォーマンスが悪すぎた。

巨艦でありながらスマートなシルエットで、軍艦の中で最も美しいと云われた巡洋戦艦であったが、
条約が失効し、建造の制限が無くなっても、再び建造されることはなかったのである。

実在しなかった巡洋戦艦「赤城」であるが、フジミから再現モデルが発売されているとのことである。

近代国家が、持てる技術と金を惜しげもなくつぎ込んだのが海軍である。
人殺しの道具にすぎない軍艦が、何故これほどまでに魅力的であるのか、これが理由の全てである。