2018年4月15日日曜日

初音ミク「恋のミュージックアワー」 ~あの素晴らしき時代と~

現在、最も売れているアーティストと云えば「米津玄師」氏であろう。
その米津氏が、かつて「ハチ」名義で、ボカロPとして活動していたことは、ご存じであろうか。

彼のような、元ボカロPのアーティストというのは今までにも何人かいたが、
人間界の仕事が増えるとボカロの仕事には見向きもしなくなるという傾向があった。
まあ、ボカロ界への裏切り行為とも云えるが、
手っ取り早く売れるために、当時人気のボカロに手を出したって奴も多かったし、
考えようによっては、それもボカロへのリスペクトと云えなくも無いから良しとしよう。

米津氏も「ボカロは卒業しました」っぽい感じだと思っていたが、
昨年のマジカルミライでは、初音ミクのために新曲を提供してくれた。
トップを獲る人間というのは、ちゃんと心遣いができているものだと感心した次第である。

米津氏のファンの中心層は、女子中高生である。
ところが、彼女たちは、「憧れの米津さんが、ボカロPだったなんて、ちょっとショック」
とか言ってると云うのだ。
彼女たちにしてみれば、ボカロというのは、キモいオタクの物であって、
米津氏がボカロPであったことは、黒歴史ということになるらしい。

いつから、そんなイメージになったのだ。

マジカルミライに行けば分かることだが、
チェック柄のシャツを着て眼鏡をかけた小太りの男なんて、ライブ会場では極めて少数派だ。
(そんな奴いないと言い切れないところが辛い)
・・・って云うか、つい数年前の中高生は、カラオケでボカロ曲を歌い、
初音ミクのキーホルダーを鞄に下げていたんじゃなかったのか。
人類史上でも画期的な発明、神の領域に踏み込んだと云えるボーカロイド技術、
それが、この数年のあいだにオタクの象徴へと変わってしまっていたのだ。

昨年は、初音ミク10周年だった。
いろいろなイベントが組まれたようだが、さほど世間に注目されることもなく、
結果的にボカロ界の斜陽化を印象付けることになってしまった。
思えば、GoogleのCMで初音ミクの「Tell Your World」が流れていた頃が、
最後の輝きだったのかもしれない。

で、貼り付けさせていただくのは、10周年記念に制作されたという楽曲「恋のミュージックアワー」。
単純に可愛くて、純粋に前向きな、たわいないラブソングであるが、
コメント欄に「あなたのおかげで私はたくさんの友達ができました。」とあるように、
MVは「Tell Your World」のオマージュといえるような作品である。


このMVから受ける印象は「あの頃は楽しかったね」といったものだろうか。
初音ミクの歌わせ方など、滑舌も改良されて、抜群に可愛くなっているが、
それも今では空しく感じるばかりである。

Google Chromeのキャッチコピーは「Everyone Creator」だった。
それは初音ミクも同様だと思う。

初音ミクが出てからの2・3年は、
多くの者がこの言葉を信じていたか、信じてみようかなという気分になっていた。
熱い想いがあって、気の利いたフレーズを思い浮かべることができたなら、
彼女が歌い、作曲支援ソフトが伴奏を付けてくれる。
ニコニコ動画に投稿すれば、誰かが聴いてくれて、評価してくれる。
さらには画を付ける奴、歌う奴、踊る奴、歌詞を深読みして小説を書く奴。
ボーカロイドが、インターネットが、人と人を結びつけ、
「音楽好きだけど引き籠もり気味な兄ちゃん」たちのリハビリになっていたことは確かだ。

「米津玄師」氏は、才能有る男だから、初音ミクに関わろうが無かろうが、世に出てきただろうけど、
「ハチ」としての活動が現在の彼を作っていることは間違いない。
「Everyone Creator」という謳い文句は、そりゃあEveryoneというわけにはいかなかったにしても、
少なくとも嘘では無かったのだ。

パソコンが世に出たばかりの頃は、基板を集めて自作する奴も少なからずいたし、
プログラムは、自分で組むものだった。
本田宗一郎のバイクだって、山葉寅楠のオルガンだって、全て素人の手作りから始まっている。
いつの時代だって、技術的に未発達な頃は誰でも参加できるのだが、
やがてレベルが上がるにつれて敷居は高くなり、素人は手が出せなくなっていく。

ボーカロイドも制作するものから、しだいに鑑賞するものに変わっていった。
今では、素人が楽曲をニコニコ動画に投稿したところで、誰も聴いてはくれないだろう。
そのニコニコ動画も、最近はユーチューバーにとって変わられた感がある。
インターネットは、自らも参加するものから、一方的に情報を受け取るだけのものになってしまった。
流行のインスタグラムだって、やがて素人の投稿は無視され、
一部の人気インストグラマーの投稿だけが相手にされるようになるだろう。

もはや「何を発信したか」でなく「誰が発信したか」だけが重要なのだ。
そして、「Everyone Creator」は夢物語となり、ボーカロイドは誤解の海の中に沈んでしまった。

って、ここで力説したところで、こんな素人のブログなんて、誰も見向きもしてくれないだろう。

と云うことで、「恋のミュージックアワー」のMMD動画バージョンでお終いにします。
やっぱり、初音ミクには、MMD動画が似合うし、MMDと云えば「艦これ」だと思う。


あっ、これのせいか・・・。

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