2017年9月23日土曜日

「明日に架ける橋」サイモン&ガーファンクルfeat.巡音ルカ

 サイモン&ガーファンクルに出会ったのは、中学生の時だった。もちろん「サウンド・オブ・サイレンス」とか「コンドルは飛んでいく」などは、もっと前から聞いていたと思うが、これらの作品が、彼らの楽曲であることを認識したのが、その頃ということである。

 僕も、当時の中学生が、皆そうであったように、ギターにハマり、「ビートルズ」にハマり、「NSP」や「かぐや姫」にハマっていたから、当然「サイモン&ガーファンクル」にもハマることになった。ただ、ギター仲間が集まってコピーしようにも、彼らの楽曲は、とても中学生の手に負えるような代物では無かった。僕らにとって、サイモン&ガーファンクルは、演奏するもので無くって、聴くものだった。

 僕は、「グレーテスト・ヒッツ」というベストアルバムを借りてきて、カセットテープにダビングして聴きまくっていた。さらに歌集を買ってきて、なんとか伴奏ができないものかと、オルガンを弾きまくった。おかげで、完全に自己流ながら、ピアノでスリーフィンガーができるようになった。
 「明日に架ける橋」も、ギターコードを頼りに耳コピでピアノ伴奏に挑戦した。他の曲に比べれば、コピーしやすい方だったと思う。もちろん、人に聴かせられるレベルでは無かったけど。
 
 僕が中学生の時には、彼らはすでに解散していた。当時、僕が知っている楽曲は20曲あまりだったと思う。彼らには、僕の知らない名曲がまだまだあるものだと勝手に思っていた。彼らの活動期間が、わずか6年間だったということを知ったのは、すっと後のことだった。彼らがリリースしたアルバムは、数枚しかないそうだから、おもだった曲は大体知っていたことになる。
 
 それらの楽曲群の中で、「明日に架ける橋」が異質であったのは、子どもだった僕にも分かった。まとわりつくようなデュオでなかったし、ピアノ伴奏だったし。
 
 S&Gファンに云わせると、「明日に架ける橋は、良い曲なんだけど、好きな曲では無いかな」ってところだろう。この曲が、サイモン&ガーファンクルの代表曲とされることには異論も多いと思う。
 確かに、サイモン&ガーファンクルがやらなくても、って感じはある。でも、ポール・サイモンが作ったことには違いないし、彼はこの曲ができたとき、生涯最大の傑作だと、周囲に語っていたらしい。

 ウィキペディアによると、この曲は、ポール・サイモンがゴスペルに影響を受けて作った曲なんだそうだ。Gのキーで作曲され、ポールはファルセットで歌うつもりだったらしいが、うまくいかなかったので、キーをE♭に下げて、アート・ガーファンクルが歌うことになったとのことだ。


 この曲が作られたのは、二人の関係が危機的状態に陥っていた頃だった。

 全く同じ頃に、ポール・マッカートニーも「レット・イット・ビー」を出している。この2つの楽曲は対比されることが多い。ピアノ伴奏だし、ゴスペルの影響を受けているし、グループ解散の危機の時期だったし。名曲とは、悩み苦しんだときに生み出されるもの、と云うことだろうか。
 ただ、ポール・マッカートニーが、「Let It Be」と、全てを悟り、放り投げてしまったのに対して、ポール・サイモンは、「Like a bridge over troubled water」と、もがき続けた。

 1970年、アルバム「明日に架ける橋」を最後に、サイモン&ガーファンクルは解散してしまう。

 ポール・サイモンとアート・ガーファンクルは、完全に決別したわけではなくって、その後も、二人でステージに何度か立っている。復活ステージのライブ動画も、YouTubeにはたくさんアップされている。
 でも、「明日に架ける橋」を歌うときは、何となく、しっくりきていない感がある。ヒット曲だから歌わないわけにはいかないし、仕方なく・・・、って感じだ。
 最大ヒット曲が、最も「らしくない曲」って云うのは、あることかもしれないが、ここまであからさまなのも珍しい。

 「明日に架ける橋」は、プレスリーをはじめ、多くのアーティストにカバーされることになる。普通、カバー曲っていうのは、「やっぱり本家には敵わない」ってことになるものだが、この曲に限れば、誰が歌っても、それなりに似合っている。「レット・イット・ビー」が、誰がどうカバーしても、ビートルズの楽曲でしか有り得ないのと対照的である。
 特に、反アパルトヘイトの象徴歌となった、ソウル歌手「アレサ・フランクリン」のゴスペルカバーは有名で、南アフリカでは現在も学校や教会で歌い継がれているとのことだ。ところが、この曲がポール・サイモンによるものであることを、ほとんどの南アフリカの人は知らないらしい。名曲とはそういうものなのかもしれない。

 「明日に架ける橋」は、サイモン&ガーファンクルの代表曲とすることに異論があるにしても、ポール・サイモンが生み出した名曲であるのは確かだ。

 で、いくつかあるボーカロイドカバーで、貼り付けさせていただくのは、この作品。かなり初期の作品なのだが、ボカロが最も盛んだった頃の作品には優れたものが多い。バージョンアップを重ねた最新型のボーカロイドも、当時のボカロPさんの熱意には敵わないというのだろう。


 サイモン&ガーファンクルについて語っておきながら、「明日に架ける橋」だけでお終いというのもナンですけど、今日のところは、ここまでです。

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