2016年11月13日日曜日

冨田勲 追悼特別講演「ドクター・コッペリウス」に行ってきました。

 渋谷のオーチャードホールで11月11日(金)12日(土)の2日間で開催された特別講演。僕は、2日目の昼公演に参戦してまいりました。
 公演前に新宿のヨドバシでプラモデルを見ていたんですが、時計を見たら開演30分前。慌ててしまいました。渋谷駅からBunkamuraまで、人混みをかき分けながら走ってしまいましたよ。3分前に席に着けてセーフだったんですけど、座ったとたんに汗が噴き出してきて、困ってしまいました。
 
 チケットが簡単にとれてしまいましたから、観客の入りを心配していたんですけど、3階席までいっぱいの満席状態でした。まあ、僕が予約した時は、冨田先生は、まだご存命でしたからね。追悼公演に変わってから、一気に売れたということなんでしょうか。満席になったのは嬉しいけど、写真の冨田先生にしか会えなかったのは、本当に悲しいです。

 さすがに、中高生や若者カップルはいませんでしたね。初音ミクのライブでは、僕は、ほぼ最年長なんですけど、今回は平均年令が、ちょうど僕ぐらいで、僕みたいに、一人者のオジさんが多数派でした。84才で亡くなられた冨田先生と同世代と思われる年配の方々も多かったです。
 早々と予約しましたので、座席は、前から6列目という良席でした。ただ、ミクのライブならば最高のポジションですけど、オーケストラのコンサートだと、ちょっと前過ぎでしたね。
 フルオーケストラ+合唱団+バレエ+初音ミクの機材一式でS席1万円ですから、オタク相手の初音ミクライブSS席9000円が、いかにボッタクリかが分かります。
 
 コンサートは、挨拶とか、何も無くって、追悼公演ではありましたけど、通常のコンサートと同じように、極めて普通に始まりました。

 1番目は、「イーハトーヴ交響曲」です。全部で7楽章ありますけど、各楽章がそれぞれ独立した合唱曲という感じでしたから、交響曲と云うよりも合唱組曲みたいでした。合唱団は、男声10名・女声10名と、児童合唱団が30名ほどでしょうか。それから、ソリストとして「初音ミク」ですね。前回公演や紹介番組の動画がYouTubeに幾つかあります。


 初音ミクは、ステージ中央の上段に設置されたディラッドスクリーンに、裏からではなくって、前から投影されていました。後ろにプロジャクターを設置するスペースがなかったからでしょうか。ですから、スクリーンを透過した映像が後ろの壁にも映っちゃっていました。影が2つ横に並んでいましたから、2台のレーザープロジェクターを左右に並べて使っていたということになります。
 会場の皆さんは、初音ミクについてどう思っていたでしょうか。初音ミクが目当てで来た人は、1割もいないと思います。で、3割は初音ミクって何?って感じで、3割がこれが初音ミクなんだ?って感じで、残りの3割が何で初音ミクなの?ってところだと思います。

 楽曲は、宮沢賢治の世界を表現した、分かり易い作品だったと思います。ただ、初音ミクでなければ歌えないものではありませんから、ソプラノの歌手さんが歌っても全然問題ないと思います。この先、初音ミク抜きで演奏されることもあるでしょうね。YouTubeに、「機械に頼ることなく人間を信じるべき」みたいなコメントがありましたけど、今さら初音ミクを使ったからと云ってチケットが売れるわけでもないし、人間がやったほうがお金も時間もかからないわけで、こんな無駄なことを単なる好奇心だけでやってしまうのが、冨田勲だと思います。

 2番目は、「エイドリアン・シャーウッド」氏による、組曲「惑星」のライブ・ダブ・ミックスでした。サポートでパーカションのお兄さんが1人とストリングスの人たちが4人出てきました。
 この方は、ダブ・ミックスの分野では、巨匠とか、鬼才とか呼ばれているみたいですけど、僕はこの分野に関しては全く知識がありませんので、どのくらい凄い人か全然分かりませんです。
 曲が始まる前に、通常のクラシックコンサートでは有り得ないほどの音量であること、気分が不快になった場合は途中退席を認めること、などの場内アナウンスがあって会場の笑いを誘っていました。
 ダブ・ミックスというのは、楽曲を加工して別物に作り変えることだそうです。ところどころに、知っているメロディーが出てきますので、これは火星だな、これは木星だなってかろうじて分かりました。ホルストの惑星でなくって、冨田先生の惑星のダブ・ミックスでした。(って当たり前ですね)
 まあ、音量はともかく、低音の響きが凄くって、スピーカーのウーファーが破れてしまうんじゃないかというくらいに強調していました。これじゃあ、お年寄りだったら心臓発作を起こしかねないと思います。ネットで調べてみましたら、単独ライブでは、サブウーファーを特設して行うこともあるみたいです。

 20分の休憩をはさんで、3番目が「ドクター。コッペリウス」でした。スペース・バレエ・シンフォニーだそうです。先生が逝去されたのは、今年の5月5日でしたが、倒れる1時間前まで、この作品についての打ち合わせをしていたそうです。
 全7楽章構成ですが、第1楽章と第2楽章が欠番になっているのが悲しみを誘います。ただ、いきなり第3楽章から始めるのも不自然だったみたいで、新たに第0楽章を付け加えて完成としたようです。

 バレエのダンサーさん(っていうのかなあ)は、女性が1人と男性が2人、あと女の子が8人出てきました。普通のバレエ公演というのは、楽団はオーケストラボックスに入っていて、ステージを空けるものだと思うのですが、今回は、オーケストラの前や後ろで踊っていて、バレエ公演と云うよりは、オーケストラに合わせて踊るコンテンポラリー・ダンスみたいでした。僕は、この分野も全く知識がありませんが、ダンサーさんの「風間無限」氏はクラシックバレエ界で有名な方のようです。ただ、バレエ組曲と云うのは、歌も台詞もありませんから、あらすじをちゃんと理解していないと、何が何だかさっぱり分からないということを学びましたです。

 初音ミクのスクリーンは、オーケストラ後ろの上段に設置されていました。スクリーンは透過型では無いようにも見えましたが、投影は後ろからしていたようです。ただ、あまりにも映像が不鮮明でした。もうボケボケです。座っている位置のせいかもしれませんけど、こんなのは初めてです。あと、人間とCGのからみもイマイチでしたね。1st PLACEの「IA」のライブの方が何倍も良く出来ています。
 ステージをオーケストラが占領していたのが原因かもしれません。まあ、1回の公演で、合唱組曲とバレエ交響曲の両方をやろうって云うんですから、致し方ないことですが。
 客観的に申し上げて、作品の完成度としては、「イーハトーヴ交響曲」の方が上だと思いました。

 最後に、アンコールがなかったことが、寂しかったですね。オーケストラだけの演奏で良いんで、みんなが知っている冨田先生の楽曲を1つでも2つでも最後に演奏して欲しかったです。

 来年の4月に再演決定だそうです。それはそれで嬉しいのですが、できれば、もっと皆が知っている、これぞ冨田勲と云う作品を演奏する、正式な(?)追悼公演もやって欲しいです。


 冨田先生がシンセサイザーを手掛けたとき、周囲は全然理解できなかったと云います。冨田勲は、シンセなんかに手を出さなくても、売れっ子の作曲家としてやっていけたはずでした。しかし、その後シンセサイザーは驚異的に進歩して、現在があります。
 冨田先生が初音ミクに関わったときも嘲笑するコメントが多く書かれました。先生が初音ミクに関わったことを、音楽人生の汚点とする意見もあります。でも、先生が初音ミクに関わるのは、必然のことだったと思います。シンセサイザーで音楽を再現することができれば、次は、歌うことを再現しようと考えることは、当然の思考だからです。
 冨田先生は、すでに音楽界の大御所であったのにもかかわらず、初音ミクを面白いと云ってくれました。ライブにも出掛けていきました。これを待っていたとも言ってくれました。ただ、初音ミクが発売されたとき、先生はすでに75才を越えていました。

 初音ミクが先生の期待に応えるには、あまりにも時間が無さ過ぎました。

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