2015年11月30日月曜日

初音ミクと円周率

 「初音ミクが円周率10,000桁覚えたようです。」という動画があります。いわゆるネタ動画って云うんでしょうか。初音ミクが発売された直後に数多く投稿されていた類の動画です。
 特に明確な目的も無く、初音ミクを購入した者が、さて何に使おうかと考えたときに、とりあえず、身近にある曲をカバーさせることから始めますよね。初音ミクが歌っただけで喜んでいた段階と云えます。そして、次に、何か面白いことをと考えたのが、これらのネタ動画です。有名なところでは、初音ミクに般若心経を唱えさせたり、駅名で替え歌を歌わせたりしたのがあります。

 で、今回紹介させていただく円周率動画は、ネタ動画の中でも特に有名なやつで、視聴回数もとどまるところを知りません。10,000桁を全部聴くと1時間以上かかるという、とんでもない動画なんですが、だいたい10桁を越えた頃から、合っているかどうかなんてどうでも良くなっちゃいます。YouTubeに投稿されている動画も、視聴回数が100万回を越えているんですが、最後までちゃんと聴いた人は、恐らく100人もいないと思いますし、この入力が合っているかどうかを確かめた人は、恐らく皆無ではないでしょうか。


 コメントに、10,000桁を書き込んでくれた方がいるんですが、全表示するとパソコンの画面から溢れだしてしまいました。試しに、ごく一部を貼り付けさせていただきますね。

3.1415926535897932384626433832795028841971693993751058209749445923078164062862089986280348253421170679821480865132823066470938446095505822317253594081284811174502841027019385211055596446229489549303819644288109756659334461284756482337867831652712019091456485669234603486104543266482133936072602491412737245870066063155881748815209209628292540917153643678925903600113305305488204665213841469519415116094330572703657595919530921861173819326117931051185480744623799627495673518857527248912279381830119491298336733624406

 これで、だいたい500桁ぐらいですw

 動画は、10,239桁で終わっているんですが、恐らく、2の10乗×10=10,240 (小数点も含めて)から来ているのではないかと思います。

 この動画は、けっこう音楽的にも良くできていて、聴いてると、だんだん頭から離れなくなります。まあ、こういう遊びの段階を経て、本来のボーカロイドとしての使い方が始まっていったということなんですよね。

 ここからは、初音ミクを離れて、円周率のウンチク話です。

 円周率は、割り切れなくって、方程式の解としても表せないので、近似値でしか書き表せません。有名なのが「7分の22」です。これは、古代から使われていて、22÷7=3.14285・・・ですから、けっこう正確で、ピラミッドの建築などに使用する分には、問題なさそうですw

 以前、ゆとり教育で円周率を「3.14」から「3」にするって問題になりましたけど、あれって、筆算でやるときは、「3」を使う、正確に求めたければ、電卓で「3.14」を使うってことだったみたいで、別に「3.14」を教えないわけでは無かったんですよね。そもそも「3.14」だって「3」だって所詮、近似値ですから、どちらも不正確なことには、変わりありませんし、中学校になって数学が始まれば円周率は「π」ですから、長い人生で円周率を「3.14」として計算するのは、ほんの1年あまり。あんなに騒ぐ必要などなかったようです。まあ、マスコミのネガティブキャンペーンに踊らされたってことですねw
     
 円周率をどこまで計算できるか、という研究というか、競争があるんですけど、此の手の記録を目指しているのは、主にアマチュアの研究者が多いようです。
 有名なのは、長野県の会社員の近藤茂氏で、テレビで紹介されてたんですけど、彼は、1年間かけて10兆桁まで計算した記録を持っています。自作のPCを何台も並列につないで計算していて、一番怖いのは、停電だと云ってました。あと部屋の温度がパソコンからの放熱で、半端なく暑くなっていて、1年中エアコンをかけてました。
 近藤氏の手法は、小数点以下1桁目から順番に桁数を求めていく、いわゆる正統派の計算手法だそうで、他に、計算済みの桁は求めずに、表記も16進法でOKという計算方法ならば、アメリカの大学の研究グループが8,000兆桁という記録を持っているそうです。

 円周率に関するエピソードは、数多くあって、書籍もいろいろと出版されています。
 イギリスのシャンクスという人は、まだ手計算の時代だった1852年に小数第 530 位までの計算に成功します。その後20年かけて、小数第 707 位まで計算したのですが、実は、この計算は小数第 528 位で間違っていて、その先の20年間の労力が無駄になっていたとのことです。で、さらに凄いのは、その間違いに気づいたのが70年間後で、それまで、誰も気づかなかったそうです。もう、確かめようがないんで、信じるしかなかったて云うことですよね。おかげで、シャンクスは、間違いを指摘されることなく、この世を去っていますので、まあ幸せだったと云えます。

 語ればキリがありませんね。ここまで読んでくださった方々に感謝申し上げて、お終いに致します。

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