2015年11月16日月曜日

「エロイカより愛を込めて」青池保子 ~少女漫画の概念を打ち砕く傑作~

 度々、申し訳ありませんが、今回は、松浦亜弥さんも初音ミクも全く関係の無い、僕の自己満足的な記事ですので、適当にスルーしていただくことを推奨致します。

 「エロイカより愛を込めて」は来年で連載40周年という、信じられない少女コミックです。といっても、途中10年間くらい休載していた時期があったので、実質的には、30年ほどでしょうか。まあ、それにしても凄いことだと思います。かなりの有名作品ですので、ご存じの方も多いのでは無いでしょうか。
 で、僕が喜んで読んでいたのは、休載前までの約10年間分でして、再開後の話は知りません。従って、ここでの話題は、第1部とよばれている、全作品の前半部分になります。

 僕とエロイカとの出会いは、本当に偶然でした。学生だった頃、友人から「これ拾ったんだけど、お前にやるよ。」って、一冊の少女漫画を渡されたんです。まあ、処分に困って押しつけられたってことなんですけど。見たら「ベルばら」みたいな表紙絵の、もろに少女漫画じゃないですか。迷惑だなって感じで、とりあえず下宿に持って帰って、何の気なしにパラパラと読んだんですけど、その面白さに一気に虜になってしまいました。偶然渡された「エロイカ」のコミック第4巻、それが僕とこの作品との出会いでした。
 それから、本屋に行って、その前の、1巻から3巻までと、既に出版されていた分を買い求め、さらに新刊が出る度に買って、第一部の最終話「皇帝円舞曲」まで揃えていました。


 話の内容は、一言で云えば、怪盗&スパイ物です。美術品専門の怪盗で男色家のイギリス人「怪盗エロイカ」こと「ドリアン・レッド・グローリア伯爵」、ドイツ人でNATO軍の情報部将校「鉄のクラウス」こと「エーベルバッハ少佐」そして、会計士「ジェームズ君」やKGBの幹部「仔熊のミーシャ」などの強烈な個性を持った登場人物が出てきて、ハチャメチャなパロディーストーリーと、妙なところでの現実感が何とも云えない面白さを醸し出しています。第7話「ハレルヤ・エクスプレス」での狙撃のシーンでは、笑いすぎて、息ができなくって、死ぬかと思いました。

 男女を問わず愛読者が多いというのが、この作品の特徴なんですが、女性ファンが登場人物の、特にエーベルバッハ少佐などの、キャラクターに興味を持っているのに対して、男性ファンは、緻密に書き込まれたメカや綿密な舞台背景などに関心を持っているようです。

 ウイキペディアによると、本作品のヒットで、1970年代後半から1980年代にかけて、大学でドイツ語を履修する学生が急増したとか、ドイツのエーベルバッハ市への日本人観光客が急増したとのエピソードが書かれていました。これらは、主に女性ファンのことだと思いますが、この作品が当時の若者に与えた影響力の凄さが分かると思います。

 その後、現実世界において東西冷戦が終結して、コミックの舞台設定が崩れたのを機に、休載になったんです。まあ、ここまででも、かなりの分量で、最後の方は、若干マンネリ気味でもありましたんで、丁度良い潮時だったのかも知れません。

 ところが、この作品、超有名なヒット作にもかかわらず、アニメ化、ドラマ化、映画化などが行われた形跡が無いんですよね。まあ、逆に言うと、映像化不可能なくらい、滅茶苦茶で面白いコミックだということなんでしょう。
 ファンによると、冷戦構造が崩れた第2部の方が、ストーリーに制約がなくなって、さらに面白くなったという話ですので、中古本でも求めてみようかなって思います。

 「エロイカより愛を込めて」は、僕がハマった最初の少女漫画であり、というか、少女漫画の概念を打ち砕いてくれた最初の作品でした。

 と云うわけで、これからも、いきなり少女漫画の作品紹介をするかも知れません。その際は、適当にスルー願いますね。

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